「ふふふぅ…フランシーヌ、美しい。美しいよ…」  
「あ、いやぁ……!あーーーー!!」  
もう幾夜この怖ろしい日々が続いたか分からない。  
フランシーヌは毎晩のように、優しい目と血走った目を一瞬ごとに  
入れ替える白金に身体を蹂躙され続けていた。  
そこには快楽など全く無かった。  
―ジンの方は幸福そのものの表情で、聖女の上で動いている。  
しかしフランシーヌの体にも心にも、あるのはすべて痛みだけだった。  
死んでしまう。  
 
夫の顔を思い出しながら耐えていた当初はまだよかった。  
けれどもう、そのことすら彼女を罪悪感で苛む苦痛の一種に変わっていった。  
両脚の中心から引き裂かれる身体が悲鳴を上げる。  
あげる声は嬌声などではなく、ただ泣き叫ぶ声でしかなかった。  
「あっ、あっ、あっ」  
「フランシーヌ、気持ちいいかい?僕は、はぁっ…君とひとつになれて  
本当に幸せなんだよ、フランシーヌ。フランシーヌ、フランシーヌ…はぁ、はぁ」  
もともと栄養の足りなかったフランシーヌの細い腰は、  
大陸を渡る長旅を経てきた力強いジンの身体が思うままに引っ張られ、動かされていた。  
肩ほどに伸びてきた薄い金色の髪が涙で頬に張り付き、  
力なく垂れ下がっていた白い細腕は跡がつくほど強い力でジンに握りこまれている。  
「も、もう…フランシーヌ、僕はしあわせだ、僕はしあわせだ、僕は…うああっ!!」  
打ち込みを続けていた男の腰が断続的に震えた。  
 
「ふうっ…!!」  
フランシーヌの子宮の奥に、熱いものが発射され、注ぎ込まれていく。  
彼女はぼろぼろと涙を流して、下半身を捩った。  
最初の頃のように泣き叫んで逃げる力すら残されていなかった。  
互いの腰の震えはやがて止まり、蹂躙する男の身体がずっしりと  
フランシーヌの上に崩れ落ちて彼女を潰した。  
「あ…」  
「フランシーヌ…僕たちは今日もひとつだよ」  
 
かの昔日のように,穏やかそのものの、嬉しそうな声。  
それはフランシーヌの心を強い力で削り取り、遠慮なく食べていく声だった。  
削られた心は力をなくしていく。  
フランシーヌは虚ろな瞳で、薄暗い木の天井を見つめていた。  
まだ膣にもぐりこんだままの肉棒は温度を失っていない。  
きっと今日は、もう一度彼が私の中で動き回る。  
彼女はジンの唾と涙でじっとりと濡れたまぶたを静かに下げた。  
 
インさんは、私をどのようにして迎えてくれるだろうか。  
見つからないようにずっとずっと隠している、あの布製の指輪を嵌めた私を、  
子供たちに囲まれながら、手を広げて迎えてくれるだろうか。  
そんな夢でも、見ないよりはきっと死が遠くなる。  
私の心が死ぬ前に、あの人のもとに帰りたい。  
 
閉じた瞳から、透明な涙が音も無く伝い落ちていた。  
その上から、無邪気に僅かの怒気を含んだ甘い声が囁かれる。  
「ねえ、フランシーヌ。笑ってくれよ。僕に笑ってくれ」  
「……」  
「寝てしまったのかい、フランシーヌ?」  
ジンは、最愛の女性の顔を数秒間凝視した。  
軋む音が薄らいだベッドは、それからさらに数秒後、また大きな音で軋み始める。  
 
「…ぁっ、ぁ…」  
「ああ…フランシーヌ、起きてくれたかい?ほら、僕だよ…もう一度…っく、はぁ、  
 もう一度僕たちはしあわせになれるんだよ、フランシーヌ…僕を見て、  
 あっく、いいよ、フランシーヌ!ああっうああっ!!」  
膨らんで大きくなったジン自身が、フランシーヌを貫き続ける。  
彼女は虚ろに天井を見上げ、ただそれに合わせた吐息を漏らし、身体を揺らされるだけだった。  
 
「あ、あ、あっあっはっ…」  
「美しいよ、君は本当に。君は最高だ。フランシーヌ」  
「ふ…っく、あ、…ぁ…あ、やぁ!!」  
無理矢理体位を挿入したままで変えられ、フランシーヌが痛みに喘ぐ。  
背中からシーツに押し付けられ、聖女は背後から動物のように男と交わらされていた。  
「ううっ…ぐぅっ、ふっ」  
尽きたと思っていた涙が更に溢れ出る。  
(インさん、インさん…私、あなたのもとに帰りたい)  
「フランシーヌ、いつまでも一緒に居よう。僕の妻。僕の最愛の君…」  
ジンの声が遠くから聞こえていたが、耳をただ静かに素通りして行った。  
彼女の耳には、いつかの夫の声が響いている。  
 
 
 
 
私と、一緒になってくれ。  
 
 
 
 
(そうであったら、どんなに素晴らしかったでしょう)  
 
 
了  

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