白金の日記
○年×月10日
フランシーヌと一緒にプラハの街を出る。
フランシーヌは泣いている。
機嫌を取るためにいい宿を選んだ。
これから彼女と初めて愛し合うもりだ。
僕は歓喜に満ちている。
フランシーヌは怯えている。なんて愛しいんだろう。
○年×月11日
昨日、フランシーヌの生まれたままの姿を見た。
彼女は泣き叫ぶ。
いくら夫との行為とはいえ、繊細で優しい彼女には不安なのだろう。
だから僕は、そんな彼女を責めたりはしなかった。
しかし僕が下着を脱いだ途端彼女は僕を見てすごく哀れんだ顔になった。
そうしてまた泣き出した。
あんまり可哀想になったので、そのまま何もせずに寝た。
大丈夫、僕らは上手くやっていける。
愛し合う機会はこれから何度でもあるだろう。
フランシーヌの回想より
○年×月11日
字が書けたらいいのに、と思う。
インさんに習えば良かった。
インさんに会いたい。
会いたい。会いたい。
子供たちはどうしているだろう。
ジンさんは、以前の優しい顔のままだったり、突然怖ろしくなったりする。
帰りたい。
…それにしてもジンさんの…その、あの場所は、とても小さかったので驚いてしまった。
インさんも同じようだったらどうしよう。
インさんに会いたい。