からくりサーカス  

ある日、珍しくエレオノールがワインを買ってきた。  
有名メーカーの新商品だとかいう、淡い薔薇色のロゼ・ワインだ。  
「ほら、キャンペーン中で、こんな綺麗なデザイングラスが付いてたの。」  
そう言って鳴海にペアのワイングラスを見せた。  
「ふーん、そりゃいいけどよ。前から言ってるように俺は酒飲めねぇからな。」  
「いいじゃない、試しに飲んでみれば。あまり苦くなくて口当たりがいいから  
お酒が苦手な人でも飲みやすいんだって。」  
エレオノールはグラスにワインを注いで、鳴海の鼻先に差し出す。  
ツンとアルコールの臭いが鼻について、鳴海はプイと顔を背けた。  
「いらねーっての。俺はギイの野郎と違って酒なんかでぇーきれぇーなんだよ。」  
「もう!」  
彼女とて、それほど飲める方ではない。  
レストランなどでアペリティフをたしなむ程度で、買ってくるのは料理に使う時ぐらいだ。  
それでもたまには2人でロマンティックなムードに浸ってみたいと思って買ってきたのに。  
不貞腐れながらグラスに口を付けていたエレオノールは、ふとイタズラ心を起こした。  

「ねえ、ナルミ。」「なんだよ。」  
ぼんやりテレビを眺めていた鳴海が呼ばれて振り返ると、突然エレオノールが抱きついてきた。  
「うわっ!いきなり何・・・。」  
抗う間も無く、鳴海は強引に唇を塞がれていた。  
無理矢理合わせられた彼女の唇から、苦味を持った液体が送り込まれる。  
思わずゴクンと飲み込んでしまい、鳴海は大きく咳き込んだ。  
「ゴホッ、ゲホッ!・・・お前な―――!!」  
「ふふっ、おいしい?」  
唇についた滴を赤い舌でペロリとなめながら、エレオノールは小悪魔の微笑を浮かべる。  
「ねぇ、全然苦くないでしょう?一緒に飲も。」  
だがすっかりヘソを曲げてしまった鳴海は、ソッポを向いてしまっている。  
「いらねーったら、いらねーんだよ!」  
「これでも?」  
そう言ってエレオノールは鳴海に見せつけるように、シャツのボタンを  
ひとつ、ふたつと外し始めた。  
「お、おい、何する気だ?」  
肩をはだけさせ胸の谷間が露わになる位置までシャツを滑り下ろしたエレオノールは  
白い胸元にグラスのワインを一滴落とした。  

エレオノールの胸の谷間から、甘いフルーツの香りが立ちのぼる。  
ワインの香りをパルファムのように身にまとわせ、彼女は妖艶に微笑んだ。  
しなやかな猫のようににじり寄り、細い指で鳴海の唇をそっと突付く。  
「ここで、なめて・・・。」  
熱愛中の恋人にここまでされて、何も感じなければ嘘である。  
「・・・ちっ、しょうがねぇなぁ。」  
照れくさ気に言いながら、鳴海は膝の上にエレオノールの体を抱きこんだ。  
はだけられた胸元に口を付け、肌を濡らす液体を舌でスッとなめ上げる。  
「くすっ。」  
エレオノールはくすぐったげに体を捩った。  
「・・・結構いけるな。」  
アルコールの苦味は肌の甘さに打ち消され、フルーツの香りと彼女の香りが混ざり合い  
えもいわれぬ芳香を醸し出す。  
その香りを味わいながら、彼女の肌の舌触りを楽しんだ。  

鳴海は彼女の服を全て剥ぎ取り、床の上に押し倒した。  
張りのある豊かな乳房は、横になっても形が崩れることはなく、  
ピンク色の乳首はツンと上を向いている。  
鳴海はグラスを取って、そのふくらみの上にワインを垂らした。  
「・・・んっ。」  
ヒヤッとした感触に、エレオノールはピクンと体を揺らす。  
ワインで濡れた先端を、鳴海はそっと口に含んだ。  
「あん・・・。」  
硬く尖り始めた敏感な突起を、舌でねっとりと転がされ吸い上げられる。  
鳴海の体の下で、エレオノールは悩ましげな声を上げ始めた。  
気を高ぶらせた今の鳴海は、苦手なアルコールも気にならなくなっていた。  
エレオノールは自分から触れて欲しい場所を鳴海に示す。  
「・・・次はここ。・・・ここも。」  
白魚のような手の指から足の先へ。背中のくぼみから腰のくびれへ。  
彼女の求めに応じてワインを注ぎかけ、全身くまなく愛してやった。  
「まるでアクア・ウイタエだな・・・。」  
白い肌を染める薔薇色の液体は、  
まるで彼女自身の中から湧き出しているように見えた。  
鳴海は彼女の両足を広げさせた。  
中央の花弁はすでに透明な液体で満ち溢れ、男の愛撫を待ちわびている。  
彼はグラスを傾け、その花芯にワインを注ぎ込んでやった。  
「あ・・・あ・・・はぁ。」  
薔薇色の液体の一部は、開きかけた花弁の中へ吸い込まれていったが  
ほとんどは流れ出し、肌の上を伝い落ちていった。  
彼女の白い足の間に顔を埋め、流れ落ちたワインを舌ですくう。  
ふとももの内側を丹念になめ上げ、足の付け根に唇を這わせる。  
「ん・・・あっ、あっ・・・。」  
熱く息づく中心部にはワザと触れず、その周辺を念入りに攻め立ててやる。  
「ナルミ・・・、お願・・・い、もう・・・。」  
エレオノールは甘えた声で懇願するが、それでもすぐには叶えてやらない。  
焦らすだけ焦らしてやってから、ようやく彼女の望む場所へと到達した。  
「あぁん!!」  
エレオノールの体がビクンと跳ね上がった。  

尖らせた舌先を、濡れた柔らかい襞の中へと差し込んでいく。  
「あふぅ・・・ああ・・・ん。」  
甘い蜜の味と共に、ピリッとしたアルコールの刺激が舌を刺した。  
それでも鳴海は花弁をかき分け、彼女の中へと進んでいく。  
執拗な舌の愛撫に堪え切れず、エレオノールは激しく体を震えさせた。  
鳴海は彼女の両足を押さえつけ、動けないようにしてなおも攻め続けた。  
甘い液体は内側から止めどなく溢れ続け、内腿を濡らす。  
エレオノールは涙を滲ませながら、必死に訴えかけた。  
「あ、あ・・・来て、お願い、ナルミ・・・早く・・・。」  
彼女の求めに、ようやく鳴海は顔を上げた。  
そして彼女の上に覆いかぶさり、体を重ね合わせた。  

「あ〜あ、何だかんだで一本空けちまったなぁ。」  
「また明日買ってくる?」  
鳴海の腕枕に頭を預けながら、エレオノールはクスッと笑う。  
「・・・毎日晩酌じゃ身が持たねーぞ。」  

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