―――リリィ  
 
 
 
 
 
 
たった一ヶ月  
 
彼女、久美子さんが私達の家に住んで、たった一ヶ月。  
もう私達は彼女に危険な感じも嫌悪感も抱かなくなっていた頃。  
もっとも嫌悪感を抱いていたのは私だけだったのかもしれないが…  
 
私と彼女は空が夕焼けに染まっていく中を学校から二人で歩いて帰っていった。  
その日は佐間太郎は私に掃除を押し付け、親友である進一君と一緒に何処かへ行ってしまっていた。  
そんな何処にでもある日常の1ページ。  
けど、彼女の一言が私を狂わせていった。  
 
「ねえ、テンコさん。キス、しましょうか」  
「……え?」  
振り返ると夕日で頬が赤く染まって見える彼女が私の目の前にいた。  
「ちょ…」  
驚きも反論も出来ぬまま私は唇を塞がれた。  
もちろん彼女の唇に…  
 
彼女の突然のキスに最初は驚き、大いに戸惑った。  
キスした後の彼女は何も言わず、呆然としている私の前を何事も無かったかのように歩いていく。  
私は何か言いたかったが言葉が出ず、私も何も言わずに彼女の後ろを歩いていった。  
不思議と怒る気にもならなかった。  
むしろこんな事で少し安心する自分がいた。声も出せないくらい驚いたのに…  
 
 
そのままズルズルと、どっちつかずな気持ちのままで私は彼女との関係に溺れていった。  
 
―――それから月日は経った  
 
「ね、ねえ…。…き、今日も…する…の?」  
私の部屋の机に座っていた彼女はフフと嬉しそうに微笑んだ。  
「イヤなんですか?」  
「そ、それは…」  
彼女は私の顔を撫でながらベットにゆっくり倒した。  
「何も言わないって事はしてほしいって言っているのと同じ。」  
そう言いながらゆっくりと顔を近づけてくる、彼女の息が私に当たる度に私はおかしいほどに彼女が欲しくなる。  
フフフ、もう一度彼女は微笑むと手を私の太ももから滑らして下着に触る。  
彼女の触れる指先からすぅっと染みが広がる。  
「テンコさん、もう濡れてる。」  
そのことを指摘された瞬間、私は小さく声を漏らしてしまう。  
彼女はゆっくり下着の中に指を入れて液と熱が篭った私の膣に指を一本入れてくる。  
優しく、ゆっくり、掻き回すようにするたびにきゅ、きゅと湿った音がする。  
「でも、濡れているのに指一本でギリギリみたいですね。」  
そう言うと彼女は下着から手を抜いた。  
彼女の中指には私の液が付いていた。そして、その中指を先っぽをゆっくり舌先で舐めた。  
「まだ全然なれないんですね。」  
カワイイ、そう言いながら彼女は私の制服を脱がせようとする。  
「そ、そんなの、仕方ないじゃない。指入れるのは、ちょっと…怖いんだもん…」  
これは嘘だ。自分で入れようとするならまだ少し怖い…けど、彼女の指なら不思議と怖くないのである。  
「ふーん、じゃあおっぱいは弄っていたから大きくなったんですよね。」  
見せて、そう言われ私は彼女の為すがままに制服を脱がされていく。  
衣擦れの音だけが部屋に響き、身体の熱が奪われていくのが私に平常心を失わせ、呼吸が荒くなっていく。  
上下ともに下着なったとき彼女はブラジャーの上から私の胸を揉み解してくる。  
私は漏れそうになる声を抑えてブラジャーの紐を外そうとする。  
「うふふ…テンコさん、おっぱい弱すぎですよ。声も我慢して。どんどんいやらしいカラダになっていって。」  
「ん…そんな、…は、あ…く、久美子さんが触りすぎるから…」  
「最初から素質は充分だったんですよ。」  
ブラジャーが外され、彼女は私の乳首に口を近づけて軽くキスをする。  
そのまま舌を少しだけ出して丹念に私の乳首を舐める。  
私は声を出さないように耐えるのだが、それが本心でないと身体がわかっているのだろうか。時折、思わず声が漏れてしまう。  
その度に彼女は嬉しそうに微笑み、私の汗ばんだ身体の色んな所にキスしてくれる。  
あれは彼女が私の鎖骨にキスをした時だろうか…  
 
「ね、テンコさん。神山君ともこういう事…したい?」  
少しだけ背中が冷たく感じた。  
「そ、そんな事…ないよ。」  
「でも、テンコさん」  
彼女は私の耳元で囁いた。  
「時々真剣に神山君の事見つめて。」  
「く、久美子さん…それは…」  
彼女は立ち上がって制服を脱ぎ始めた。  
「…冗談ですよ。テンコさん、最近全然元気ないですから」  
そう言うと、スルスルと制服、下とを脱いでいく。彼女の露わになった白い肌が蛍光灯の光で透けるように白く見える。  
「ね、テンコさん」  
いきなり彼女は私の肩を抱いてきた。私と彼女の距離は10cmくらいだろうか、彼女の瞳、湿った息、赤く染まった頬全てが良く見える。  
私達は胸が擦れ合うほど近づいて見詰め合った。何も言わず。それはほんの5秒くらいだったのかもしれない。  
でも私には、私達には永い時間だった。  
「わ、私じゃ…だめ…?」  
彼女は震えたように声を出した。  
「私だって、テンコさんの事見ていたんですよ。」  
いつの間にか私と彼女の距離はもっと近づいていた。  
「私は隅々まで知ってるし、テンコさんのこと。」  
彼女はそう言いながら私の方に回していた腕を背中になぞるように下げ、私の秘所を触ろうとしていた。  
「…やっ…くッ、久美子さんッ」  
2本の指が中に入ってくる。  
身体が一瞬硬直する。  
「やだっ…」  
「…イヤなら逃げていいよ…」  
どきっ、と私はした。  
私が逃げないのを悟ったのか、彼女は私をゆっくり押し倒した。  
そして私のおへその上にそっとキスをした。  
「久美子さん…」  
彼女はそれを合図に私の中にあった指が力を入った。  
先ほどの優しさも無く、強く私の膣をかき回している。  
「あ、っあッ…」  
今まで我慢してきたものが弾けるように声が出されていく。  
彼女が指を入れている場所は先ほどとは比べ物にならないほどにくちゃくちゃ、と水音が大きくなっている。  
私の身体は音に合わせてびくッ、と腰が動いてしまう。  
私は恥ずかしい思いから両手で顔を隠した。  
「ホラ、逃げないと。」  
そう言って、彼女はもう片方の手で私のクリトリスを外気に晒した。  
だめッ、その言葉と同時に身体が大きくのけぞる。  
身体が沸騰しそうなくらいに熱くなるのを感じる。  
そんなこともお構いなしに彼女は舌先でクリトリスをゆっくり舐める。丁寧に。  
「男のちんぽが入るくらいに拡げちゃいますよ。」  
中の指がゆっくり拡がるにつれて私の腰が少しずつ浮いてくる。  
クリトリスは舌で円を描くように舐められていく。  
私の腰はそのままどんどん浮いてゆき、太ももに力が加わっていく。  
顔を隠していた手も今ではベットのシーツを握り締め身体全体を浮かせようとしている。  
「…はあッ、んぁ…っは」  
中の指が折り曲げられた時、私に限界が来た。  
「だッ、だめぇえ、えッ――――」  
身体中が痙攣のように震え、太ももやシーツを握っている手に力が入り、腰ががくがくんっ、と揺れる。  
そうして私は絶頂を迎えた。  
 
私は荒い呼吸の中、だらしなくベットの上に横たわっていた。もう力が入らないのだ。  
彼女は私がイッてしまった後、自分の鞄の中を漁っていた。  
彼女が鞄から出したモノを見て私は驚いた。  
はぁはあっ、と息を漏らして彼女が持っていたのは双方向に伸びているペニスであった。  
「えッ、きゅ、久美子さん。それ…って…」  
彼女は息を荒げながら、手に持っているモノを自らの秘所に押し当てて、前後に一定のリズムで動かし始めた。  
もうすでに充分に彼女も濡れていたのか。すぐに彼女の秘所から持っているものに半透明の液がたれ始めた。  
「これをみて…テンコさん」  
そう言いながら彼女は持っていたモノの片方向を自らの秘所に入れ始めた。  
あっさり入ってしまったが、彼女の表情は今まで以上に快楽に堕ちているようだった。  
「この…オモチャで、私と繋がって…」  
彼女はもう片方に伸びるモノを掴んでこちらに向ける。  
「ま、待って」  
だけど、彼女はゆっくり私に向かってくる。  
ひっ、と恐怖に怯える声が出てしまう。  
「ゆッ、指でもギリギリなのに無理、そッ、そんなの無理だよっ。」  
彼女は私の脚を掴み、脚を開かした。  
そして彼女は微笑みながら  
「大丈夫ですよ…」  
ホラ…、と私の秘所に当ててゆっくりと入れてきた。  
「あ゛ぅ、あ゛っ…あッ…入ってッ――」  
中に異物が入ってくるのが分かる。私の膣からはきゅ、きゅと音が鳴り、身体が自分の意思とは無関係に痙攣を起こす。  
よほど濡れていたのか、涙が少し程度の痛みだったのが良かった。  
彼女も私と同じように息を荒げ、身体を熱くしているようだった。  
「はぁっ、はあっ…わたし、テンコさんと繋がってる…」  
「ま、待ってっ。動いちゃだめっ動いちゃ…」  
うああぁあッ、私の抗議も聞かず彼女はいきなり動き始めた。  
私達が繋がっているものを通じて突き上げられる衝撃が身体中を巡る。  
より深く、より私達の距離が縮まるたび、お互いの秘所から液が止め処なく溢れていく。  
「あっ…テンコさ、んっ…あッ。」  
彼女は顔を赤くしながら濡れた瞳で私を見てきた。  
「はあっ…好きっで、す…テンコさ、んぁ…私っ。」  
「うん…いいよ…」  
今度は私が彼女の首筋に手を添え、キスをする。  
唇を重ね、お互いの舌を絡ませあう、絡まるたびにちゅる、ちゅと言う音が私達を加速させた。  
彼女は腰を激しく動かし私達は一つに溶け合うように熱くなった。  
私達は胸と胸が重なるように抱きつき、一つになった。  
「ああッ、…ん、ぁあ…すきッ、はぁ…はあぁあっ―――」  
私達は同じように絶頂に達し、果てた。  
はあ、はぁ、と息を荒げていた。  
「好き…好きだよ…テンコさん…」  
行為を終えた後も、私達は寄り添いあい離れることはなかった。  
ベットのシーツに紅く染まった二つの血の跡がとても印象に残った。  
 
 
…それから…  
 
 
「テンコさん、そろそろ帰りましょう。」  
「…うん。」  
私はまた佐間太郎に掃除を押し付けられて、何処かへ行ってしまっていた。どうせまたゲームセンターなんだろうけど。  
そんなことは今はいい。  
彼女は私の手を取り、私を引っ張った。  
「い、家の近所に近づいたら離してくださいねッ。」  
ヘヘッ、彼女は笑い、手を強く握った。  
彼女と私は今もこうして繋がっている。  
「行きましょう。」  
 
あの日…告白のあった日の答えはまだ保留にしている  
彼女はすごく不満みたいだけど  
 
ずっとずっと好きでいたいから  
もうしばらくは答えは出さずに取っておこう  
いつか答えを言う時が来るだろう  
 
…その時までは…  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
―リリィ終わり―  
 

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