「久美子さん いつもごめんね 先にお風呂入っちゃって」
「いえ! 久美子的には全然OKです そっそれでは…」
久美子は今日こそ佐間太郎との絶対な関係をつくろうと決意し三畳ルームを後にした
お風呂に向かう途中 全身から湯気を漂わせているテンコとすれ違った
これは先ほどまでテンコがお風呂に入っていたからであり 頭から湯気が出る症状が悪化したわけではないことを付け加えておこう
久美子はすれ違いざまにテンコの心の声をかすかに聞き取った
「…今日こそへこましてやる」
「へこましてやる…貯金箱をかしら もう変なテンコさん フフッ」
久美子はテンコが貯金箱を握りつぶすという壮絶な妄想を浮かべつつ意気揚々とお風呂へ向かうのであった
「佐間太郎ぅ いる?」
「なんか用か?」
「用がなかったら来ちゃだめなの?」
「そんなことはないけど…」
「じゃあ 失礼をば」
モソモソと佐間太郎の横にくっつくテンコ お風呂の火照りとは違う火照りがテンコの全身を包む
(テンコも一応女の子なんだな いいにおいがする… ってだめだコラ! いちいち反応するな! この悪霊め 悪霊退散悪霊退散!)
と佐間太郎が悪霊に悪戦苦闘しているあいだに正面に目をつむったテンコがいた
(こっこれはもしや この前の人工呼吸の続きの要求だろうか? なぜ今? 拳が握られているのは「人工呼吸してくれないなら…」という
ことだろうか? うむむむ…)
佐間太郎は迷ったが殴られるのは避けたいのでゆっくりとテンコに人工呼吸をした
プハッ 人工呼吸をし終えたとたん 握られていたテンコの手はなぜか自らのパジャマのボタンへと移る
「ちょっ おまえなにしてんだよ!」
「佐間太郎とあたしは恋人同士でしょ もうキスだけじゃ嫌なの」
佐間太郎がその言葉に気を取られている内にテンコは生まれたままの姿になっていた
「あたしじゃだめなの? やっぱり久美子さんがいいの? 答えて ねぇ佐間太郎!」
「…テンコ かわいいよ」
佐間太郎はただそれだけぽつりというとテンコを強く抱きしめた
階段を軽やかにのぼる久美子 その姿はなんとブルマである いわゆるハダカブルマである 久美子的に佐間太郎をおとすには一番の服装だ
と考えたのだろう ギリ犯罪的な服装で久美子は三畳ルームのドアをあけた {つづく}