それからは急速に事は進んでいった。  
箱根の温泉へ行くのは明日の土、日、月二泊三日の旅行になるらしい。  
親父はお袋を俺から遠ざけるために一昨日から旅行に出かけている。ウチに帰るのは未定らしい。  
その裏でテンコにどれだけ脅されていたかは俺は知らない、というより考えたくもない。  
わかっているのは俺は明日、テンコと旅行に行かなければならないことだけ  
テンコは「佐間太郎!絶対サッカーチームが作れるほど子供作ろうね!」などと言っていたが  
「俺の意思は!?」と俺は叫びたかった・・・  
まぁ今のテンコに話してもそれは無理な話だろう  
テンコは今俺の横で荷物の用意をしている。遠足に行く小学生のようなはしゃぎっぷり。  
俺は思い切ってテンコに俺の気持ちを伝えようと決めた。  
「なぁ、テンコ」  
「これもいるかな、これも。あ!これもいるかな!」  
「おーい、テンコ!」  
「後は、あれは途中で買っていけばいいし・・・え?佐間太郎呼んだ?」  
「いや、なんでもない・・・」  
無理だった。と、いうよりあんな満面な笑顔のテンコをどうやって諭せばいいのか、俺にはわからない。  
「あ!佐間太郎!美佐さん達に明日旅行に行くからご飯は出前取って下さいって伝えてきて。」  
「えぇ〜なんで俺が」  
「つ・た・え・て・き・て・ね」  
「は、はい・・・」  
俺も親父と同じだな、どんなに偉くても力ですぐに抑え込まれる。  
俺は神様候補。親父は神様。似たもの父子。  
 
向かいにあるメメの部屋のドアを叩く  
「メメ、起きてるか?」  
「うん」  
「入っていいか?」  
「いいよ」  
メメの部屋、この部屋はものが溢れている。  
見たこともないような文字で書かれている本やどうやって使うのかわからない玩具  
「あいかわらずの部屋だな・・・」  
俺は辺りを見回しながら言った。  
「で、何?」  
「あぁ、明日な、そのな、えと」  
落ち着け俺!いったい何を恥ずかしがっているんだ。  
明日テンコと箱根に行って来ると言えばいいんだ。  
何も恥ずかしいことはないはずだ。旅行の目的はアレだけど・・・  
「あ、明日俺とテ、テンコとふた、二人でりょ、旅行に、行って来、るから」  
「うん、じゃあご飯は出前を取ればいいの?」  
「あぁ、そ、そうだからよろしく。けど、別に俺がテンコと旅行に行きた―――」  
「別にいい。聞いてると長くなりそう。パパたちにも言わない。」  
メメの言葉が俺の言葉を遮る。  
「あ、ありがとう。メメ。」  
物分りが良い妹で良かった。俺はホッと胸を撫で下ろす。  
 
メメの部屋を後にすると、次なる難関に俺は向かって行った。姉ちゃんの部屋だ。  
「姉ちゃんいる?」  
「なーに?佐間太郎?」  
「入るよ。」  
部屋に入ると、あいかわらずの下着姿。  
学校じゃあ淑やかに振舞っていても、家じゃこんなんだからな。  
進一とかに言っても信じてはくれなさそうだろうな。  
「はぁー。」  
「何タメ息なんてついちゃってるのよ。」  
「いや、こっちの話。で、言いたいことがあるんだけど。」  
「あぁテンコと二人で婚前旅行も兼ねて箱根に行くんでしょ?」  
「あぁそうなんだけ、ど・・・な、なんで姉ちゃん知ってんの!?」  
「な・い・しょ(はぁと」  
「どうして!?なんで?誰から聞いたんだよ!?」  
「そんなことより、言いたいことって何?そのことなの?」  
はぐらかされた。いったい姉ちゃんはどんな情報網を持っているんだ。まぁいい。  
俺はそのことは置いといて、テンコに言われたことを姉ちゃんに伝える。  
「―――と、まぁそういう事だから。」  
「わかったわ。佐間太郎頑張りなさいよ。こ・づ・く・り。」  
「な、何でそんなことまで知ってんの・・・?」  
「だから言ってるでしょ、内緒だって。あ!お姉ちゃんはお土産を買ってきて欲しいな〜。」  
「お土産?」  
「そう!お土産!買ってこなかったらばらすからね。」  
「・・・はい、買ってきます。」  
「それならよろしい。ちゃんとメメの分も買ってくるのよ。」  
「わかってるよ。」  
俺が姉ちゃんの部屋から出ようとすると  
「佐間太郎、頑張るのよ。」  
と姉ちゃんが言ったような気がする。  
けどそれは俺の気のせいかもしれないし、そうじゃないかもしれない。  
 
俺が部屋に戻るとまだテンコが荷物の用意をしていた。  
これ以上詰め込むところが無いほどのトランクと格闘している。  
「お前、まだ準備していたのかよ。」  
「うん、だって持って来たいものがあるから・・・」  
「いったい何をそんなに持ってくものがあるんだよ。ちょっと見せろ。」  
「駄目!絶対に駄目!」  
嫌がるテンコの制止を振り切って、俺はテンコの荷物を確認した。  
「これは、、よだれかけ・・・か?それに子供服?」  
トランクの中から出てくるのは幼児服。それも大量に。  
「うん!そう、赤ちゃん用なんだよ。パパさんたちの部屋から発見したの。  
色が青いから、たぶん佐間太郎のじゃないかな〜。」  
青色のよだれかけを持ちながら嬉しそうに言う。  
「あのーテンコさん?いったい何のためにこれらを持っていかれるのですか?」  
「赤ちゃんが出来たら、服が必要になるでしょ?  
それにたくさん赤ちゃんが産まれた時のためにたくさん服持ってかなきゃね。」  
なんて輝いている笑顔だろう。こいつは純粋と言うか、こいつ自体が赤ん坊と言うか・・・  
「テンコ!そこに座れ!」  
「え?何で?」  
「いいから座りなさい!」  
「は・・・はい。」  
テンコは俺の目の前に正座した。  
「いいか、テンコ。まず、赤ちゃんはそんなに一日二日で産まれません!」  
「ガーン!!!!」  
「だからその昭和のコメディアンみたいなリアクションをやめろ!!  
次に!赤ちゃんはそんなたくさん産まれてきません!!」  
「ガビーン!!!!!!!」  
「『ガビーン!!!!!!!』じゃない!!!もうやめろ!!!」  
「でも赤ちゃんってえ、え・・・っちする、と出来、るん・・・でしょ。」  
ボフッ!!  
テンコから湯気が立ち上る。  
そんなに恥ずかしいならわざわざ言うなよ。見てるこっちも恥ずかしくなるだろう。  
「・・・あぁそうだけど・・・。と、とにかくこんなに服は要らないから、元の場所に片付けなさい。」  
「はい・・・でも、これで途中でオムツ買わなくて済むね。」  
「さっき言ってたのはそれのことだったのか・・・」  
 
「――よし!これで荷物はいいね。ちょっとの余裕はあるし、これで美佐さん達のお土産も買っていけるね。」  
「あぁそうだな・・・」  
「佐間太郎、なんでそんなに元気がないの?」  
「なんて言うか、疲れた。」  
勝手に準備が進んで行ったしな。  
「そうだね。私も疲れちゃったな。じゃあ佐間太郎おやすみ。明日は旅行だからって夜更かししちゃダメだぞ。」  
「お前もな。」  
テンコが部屋を出て行って、やっと俺の部屋が静かになった。  
さっきまでの騒がしさがあっただろうか、いつもより周りの音が遠くにあるような気がする。  
「ふぅー。」  
俺は全身の力を抜くように息を吐き、ベットに倒れこんだ。  
俺は明日テンコと旅行に行かなければならない。正直言って気が乗らない。  
けどあんなにもテンコが嬉しそうな顔をしていると俺も言いたいことも言えなくなる。  
「どーすればいいのか・・・」  
そんなことを考えていると、突然ドアをノックする音  
「テンコか?どーした?忘れ物か?」  
「テンコじゃなくて残念だったわね。」  
ドアが開くと、部屋に入ってきたのは姉ちゃんだった。  
「姉ちゃん何?買ってきて欲しいお土産でもあるの?」  
「違うわよ。出来れば食べ物系が良いけどね。」  
「はいはい食べ物ね、わかりましたよ。」  
「そうじゃないわよ。佐間太郎、あんた頑張りなさいよ。」  
「頑張れっていったい何を頑張ればいいんだよ。」  
「色んなことよ。テンコのことでもあるし、明日の旅行のこと。」  
「色んなことね。けど、俺は別に旅行なんて行きたくなんて・・・。」  
「何でよ。」  
「だって別に俺はテンコのことが好きとかそんなじゃ・・・」  
「あんた、それ本当に言っているの?」  
「そ、そうだけど・・・」  
「はぁ。あんたは昔から自分の気持ちに背を向けてると言うか、ただのヘタレと言うか・・・」  
「なんだよ、それ。」  
「とにかく!佐間太郎。あんた絶対旅行に行きなさい。これは命令よ。」  
「もし命令に背いたら?」  
「それはもちろんママ達が帰ってきたら言うだけよ。」  
「・・・わかったよ。行くよ。行けばいいんだろ。」  
「それでいいのよ。佐間太郎、ちゃんと自分に正直になりなさいよ。」  
「だからなんなんだよ。」  
「じゃあおやすみ〜。」  
「聞けよ・・・」  
姉ちゃんが部屋を出た後、俺は部屋の電気を消し、ベットの上で横になりながら一人考えた。  
姉ちゃんが俺に言ったこと、自分に正直になれ。自分の気持ち。  
その日は寝るのが遅くなってしまった。明日は旅行初日だ。  
 
 
朝、窓から降り注ぐ朝日が俺の目を覚ました。  
昨日の夜はカーテンを閉めなかったからか。目に映る光がまぶしい。  
俺は布団を顔いっぱいまでかぶって二度寝をしようとしてると  
「佐間太郎ー、起きてるー?」  
テンコだ。そうか今日は旅行だったな。このまま狸寝入りでもしてるか。  
「おーい佐間太郎ー、眠ってる?」  
「・・・・・・」  
「ねえ佐間太郎、実は起きてるんでしょ?」  
「・・・」  
「佐間太郎ー起きてよー、今日は二人で新婚旅行でしょー。」  
「・・・。・・・そ、そんな訳ないだろ!」  
「あ、やっぱり寝たふりだった。もう、佐間太郎しっかりしてよね。」  
「あぁ、ごめん。・・・じゃなくて何だよ。新婚旅行って!?」  
「美佐さんがね、『佐間太郎が寝たふりしてたら言いなさい。』って」  
「また姉ちゃんか・・・」  
「ほら、佐間太郎早く着替えて!!」  
「ハイハイ、わかったよ。」  
テンコが部屋を出て行き、俺は着替えを済ませて下に降りていった。  
 
「おはよう、佐間太郎。」  
リビングで牛乳を片手にたたずむ姉ちゃん。テンコに変なこと吹き込みやがって。  
「おはよう。」  
「佐間太郎、ちょっと来なさい。」  
俺は手を招いてる姉ちゃんに呼ばれるがままに行くと  
「佐間太郎、あんた寝たふりしたでしょ。何でかな?」  
「え!?それは、」  
「私の言ったこと覚えてるでしょうね。」  
「わかってるよ。旅行に行けばいいんだろ。」  
「よろしい。けど次は無いからね。」  
「・・・はい、わかりました。」  
 
「佐間太郎、美佐さん。朝ごはん出来ましたよ!」  
「あー、佐間太郎があまりにヘタレだから美佐さんお腹へっちゃたー。」  
「だからなんでなん――」  
「テンコー、朝ごはんなにー?」  
「聞けよ・・・。」  
俺は腑に落ちない気持ちを感じながら朝食を食べていた。  
皆朝食を食べ終え、テンコも片付けが終わったようだ。  
 
俺とテンコは昨日用意した荷物を持ち、玄関に出た。  
玄関には姉ちゃんとメメが見送りに出ていた。  
「佐間太郎、テンコ。いってらしゃい。」  
「お土産よろしくね・・・」  
「あぁ、わかったよ。」  
「美佐さん、冷蔵庫の中にお昼ごはんと晩ごはんが入ってるので、チンして食べてくださいね。」  
「え?お前そんなのも作ってたの?」  
「うん。だってやっぱり出前は体に悪いし、それに二人だけだと心配だしね。」  
呆れた。コイツそんなことまでしてたのかよ。朝から三食作ってたのかよ。  
もうそんなに心配なら旅行なんて行かなきゃいいのに・・・  
「けど、明日は出前でお願いしますね。月曜日には帰ってきますから。」  
「ふたりとも旅行楽しんできなさいよ。」  
「はい!」「はーい。」  
「じゃあ行ってくるから。」  
俺らが家を出るとき  
「佐間太郎、ちょっと。」  
「え?なに?」  
「ちょっと、ね。テンコはちょっと外で待っててくれない?」  
「はい、わかりました。じゃあ佐間太郎、外で待ってるから。」  
「あぁ。」  
姉ちゃんはテンコが外に出たのを確認し、俺に向かって言い始めた。  
「佐間太郎、アンタは男なんだからちゃんとテンコを守ってやりなさいよ。」  
「なんだよ。それ。」  
「ちゃんと気を配りなさいってことよ。じゃあそれだけだから。」  
「それだけって・・・」  
「じゃあ、いってらっしゃい。」「いってらっしゃいお兄ちゃん・・・」  
「あぁもう、じゃあいってくるから。」  
俺が外に出ると家の前でテンコが待っていた。  
「待ったか、テンコ。」  
「ううん。全然。それより早く行こうよ。」  
「待てって!まだ、電車までの時間はあるだろう。」  
「ねえ、早く、早く。」  
「おい、待てよ。テンコ!」  
テンコは気持ちが抑えきれないようだ。  
俺はそんなテンコを追いかけていった。  
 
 
「ふー、ついにここまで来ちゃったね。佐間太郎と私の二人だけの旅行。」  
「ここまでって、まだ電車に乗っただけだろ。」  
「もー佐間太郎はわかってないな。パパさんにもママさんにも邪魔されずに出かけるなんて始めてでしょ。」  
「・・・まぁそうだな。」  
確かに今までは自分でするってこともなかったし、親父たちに干渉されないものたまにはいいかもしれないな。  
 
そんなことを考えているとテンコがいきなりカバンの中を探り始めた。  
するとひとつの本を取り出した。昨日は入ってなかった物だ。朝、自分で入れたのか?  
俺は自然とその本のタイトルに目が引かれる。  
 
『わかりやすい子供の産み方。』  
 
 
「・・・・・・テ、テンコ!な、なんて本読んでるんだ!!」  
「え?『わかりやすい子――」  
「言うな!わかったから、なんでそんな本持ってるんだ?」  
「美佐さんが・・・」  
「また姉ちゃんか・・・。で姉ちゃんがなんて言ったんだ。」  
「明日の旅行には必要になるかもしれないからって・・・。って佐間太郎どうしたの?」  
「いや、ちょっと。とにかくそれは絶対に読むなよ。禁止だからな。」  
「なんで?だって必要なことでしょ。」  
「必要じゃありません。読むこと禁止だからな。」  
「はーい。」  
まったく姉ちゃんは何を考えているのか。からかってるなら本当にやめて欲しい。  
恥ずかしくなるこっちの身になって欲しい。  
 
俺とテンコはその後も他愛のない会話を交わしながら、電車に揺られていた。  
 
つぎは〜箱根湯本〜箱根湯本〜  
 
やっと目的地についたせいか、俺は大きく背伸びをした。  
ふとテンコの方を見ると、テンコも俺と同じように大きく胸を張り背伸びをしていた。  
不意に俺とテンコの視線が合わさる。  
突然、俺は笑いたくなった。何か可笑しいことがあった訳では無いのに。  
するとテンコも俺と同じように笑っていた。俺達はふたりして笑いあっていた。  
「着いたみたいだね。」  
「そうみたいだな。」  
「楽しみだな。佐間太郎との混浴!」  
「ば、馬鹿!そんなの入るわけないだろ。」  
「えー。入ろうよ。一緒に。」  
「入るわけないだろ。」  
「佐間太郎のケチー。」  
「ケチじゃない!」  
「でさぁ佐間太郎、今日は何処に泊まるの?」  
「テンコが決めたんじゃないのか?俺は予約なんてしてないぞ。」  
「え!?そういうことはパパがするものじゃないの?」  
「パパじゃない!そんなことよりこれからどうするんだよ?」  
「とりあえず、ぶらぶらしようよ。泊まるところはそれからでもいいじゃん。」  
「そんなので大丈夫か?」  
「大丈夫!いざとなったら泊めるように言うから。」  
いったい誰に言うのかはわからないが、とにかく俺らは駅のロッカーに荷物を預けて温泉街を散策し始めた。  
こんなことなら家でゆっくりしておけば良かったと思う。  
 
さすがに温泉街というだけあってか、人が多い。  
これだけ人が多いと酔いそうな気がする。  
「佐間太郎!待って、歩くの早いよ。はぐれちゃう。」  
「ごめん。けどそんなに歩くの早かったか?」  
「早いよ。佐間太郎は男の子で私は女の子なんだからね。」  
「わかったよ。これから気をつけるから。けど人が多いからはぐれるかもな。」  
「じゃあ、・・・ハイ。」  
テンコが少し恥ずかしそうに手を伸ばす。  
「『ハイ』って?」  
「佐間太郎とはぐれたくないから、あの、その、て、手つないで欲しいなって・・・」  
「あ、そ、そうだな。」  
「うん。だから、手つなご?」  
「あ、あぁ。・・・ま、迷子になってもらってもこ、困るしな。」  
俺はテンコの手を取る。テンコの体温と俺の体温が交じり合う。  
なんだか、恥ずかしいな。手をつなぐなんて。  
テンコと手をつなぐなんていつ以来だろう  
「は、・・・恥ずかしいな。」  
「・・・うん、そうだね。」  
テンコは顔を真っ赤にしながら答えてくれた。  
けど、俺もテンコと同じくらい顔が真っ赤になってると思う。  
「そ、それじゃ行こうか。」  
「うん。」  
 
散策もしばらくし、手を繋ぐことにも慣れてきたとき  
「ねぇ、もしかしてさ私たちって夫婦に見えるのかな。」  
「絶対に見えない!見えたとしても恋び・・・じゃなくて仲の良いきょうだいとかだろ。」  
「・・・じゃあこうすれば?」  
テンコはおもむろに腕を組んでくる。  
「お、お前!」  
「ねぇこれなら見える?」  
「・・・み、見えないこともな、ないかな・・・」  
「えへへへ。じゃあ今日はずっとこうしてるね。」  
「あぁ、か、勝手にしてくれ。」  
俺の体の感覚はほとんど腕に集中していた。  
その後はどんな話をしたのか、何処に寄ったりしたのか覚えていない。  
ただ覚えているのはテンコの体温だけかもしれない。  
 
辺りを散策しているうちに、時間はあっと言う間に経ってしまった。  
「テンコ、さっきは泊まることは大丈夫みたいなことを言ってたけど本当に大丈夫なのか。」  
「大丈夫です。心配しないで。」  
根拠のない笑顔、本当に大丈夫なのか。  
「もう暗くなるから、荷物でも取りに戻ろうか。」  
「そうだな。」  
駅に戻り、荷物を取ると。  
「じゃあ今日泊まるところでも探そうか。」  
「探そうかって・・・」  
「じゃあ行くよ。佐間太郎。」  
「ちょ、待てよテンコ。」  
俺らはまた温泉街を散策する羽目になった。  
今度は自分たちの泊まるところを探すために  
 
 
 
 

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