「今日、私とあんたが掃除当番だよ、教室の!!」
歩美は、輝いていた。今まで僕に対してこんな明るい笑顔を見せたことがあったか。
━━気持ち悪い。
「忘れずに来てよっ!」
そう言って、イベントは終了。
「くそ、たちの悪いFD・・・それともおまけイベントか。」
『攻略』でもないのに、ヒロインの言う通りにする理由などない。無視が定石。
・・・だが、僕は教室にいた。もちろん、歩美もいる。
「ねえ、ちひろと何があったの?」
「何もないよ。」
僕は掃除に集中した。早くこの駄イベントを乗り切って、ちひろの駆け魂を出す算段を・・・。
けど、歩美は邪魔をする。
「ちひろに、何言われたの?」
「うっ」
僕は、奴の言葉を思い出す。
「・・・何が『底辺ゴキブリ男』だ。身の程を知らない女だ、あいつは!」
「ご、ゴキブリ・・・」
歩美が苦笑いする。どうせお前も、そう思ってるんだろ。
「それは流石にひどい、かもね。」
「は?」
「そ、そりゃ桂木って、なんかよくわからないし、ゲームばっかだし、みんなも嫌がってるけど」
そんなこと僕には関係ない。彼らが僕のことをどう思おうが、僕の生き様には何ら関係がない。
「私、桂木のこと・・・・た、確かに不思議だし、ずっとゲームしてて気味悪いと思うことも、ないわけじゃないけど」
「けど、なんだよ」
「嫌いじゃないよ。」