週刊少年サンデー50号より
(ふぁ〜)
ガチョっという音と共に、パジャマ姿のエルシィがトイレから出てきたのは、もう夜中の3時をまわっていた頃だった。
(寝る前にお水飲みすぎました〜〜)
まだまだ昼間は夏の暑さに肌も焼けるが、明日から暦の上ではもう9月、秋もすぐそこ。
夜の空気はヒヤリと冷たく肌寒い。エルシィが長袖のパジャマに衣替えしたのは昨晩からだ。
二階の自室に向かうと、途中の踊場から月明かりが差し込むのが見えた。
(まだ朝には早いですね……)
昼間よりもかなり冷たく感じる水に、心なしか指先が痺れている。その痺れる指先でドアノブをひねる……と。
(…!?)
その踊場には居るはずのない桂馬の姿があった。
(…神にーさま?)
桂馬は踊場のはめごろしの窓枠にもたれかかりながら、まだ夜も明けない薄墨をはいた街並みをぼんやり見ていた。
(…ドキン…)
憂いに満ちたその横顔に、エルシィの胸が弾んだ。痘痕もエクボとはいえ、桂馬の容姿はけっして悪くない。
(……格好いいなぁ…)
少しの間、その端正な顔立ちに見とれたエルシィだったが、桂馬に気取られてはいけない気がして足早に自分の部屋へと入って後ろ手にドアを閉めた。
自室に入るとすぐ、まだ温もりを残す布団に身体を滑り込ませる。しかし、冷たくなった足先はなかなか温まらない。もぞもぞと足と足を擦り合わせてみる。
(神にーさま…、何してたんだろ?夜遅くに…)
先程の桂馬の横顔を思い起こす。
(悲しい顔してた…。…何かあったのかな…)
桂馬の事を考えて、キュ……っと胸の奥が熱くなる。
2週間程前、今でも思い出すと赤面してしまう例の夢を見てから、毎夜眠る前に桂馬を思って身体を慰めてしまう自分がいた。
恥ずかしいと思いつつ、こうでもしないと桂馬への欲情に疼く身体を、エルシィは抑える事が出来なかったのだった。
(……桂馬)
あの生々しい夢の中で、彼自身から呼ぶ事を許された名前を繰り返し繰り返し頭の中で呼んでみる。
そのうちにだんだんと気持ちが昂ぶって、エルシィは自分のパジャマの上から柔らかな乳房を揉みしだき始めた。
(…あ、ふ)
既に硬くなった頂きが下着に擦れて気持ちが良い。
(…もっと、もっと…桂馬…)
もどかしくなったエルシィは、自らパジャマを剥ぎ取って、その美しく白く輝く肉体を月明かりに晒した。