「ン……ちゅむ……ちゅ……ん……」
時を忘れるような、それは甘い甘いキスだった。
今まで桂馬が味わったどんなキスとも、それは違った。ただ唇を
合わせるだけではなく、純は舌を入れてきた。ただそれだけでこれ
程までに甘くなるのか……そんな慄きすら覚える程、その感覚は
劇的だった。背筋を走る悪寒にも似た震えが、不快感どころか
純然たる快感であると気づくのに、そう時間はかからなかった。
快感。そう、快感だった。それは、性の喜び。
「ちょ、ちょっと待て!」
「……なぁに、桂木君?」
どこか舌足らずな声で、普段の凛とした表情とは違う蕩けた顔を
見せる純に、もう互いの唇が離れているにも関わらず、再び桂馬は
背筋を走る悪寒――快感を覚え、身体をビクッと震わせた。
「こ、これ以上は……不味い、だろ」
これ以上。これ以上とは、一体何の事だ。
桂馬は、ギャルゲーの神だ。落とし神と言う名は、数多のギャルゲー
をクリアすることで手に入れた勲章だ。当然、その中には本来彼の
年齢ではプレイする事のできないはずのゲームもあった。
だから、知識はある。これ以上……キスの、その先についての。
「……どうして?」
イタズラめいた笑みを浮かべ、純は挑発するように唇を舌で舐める。
「どうして……って」
思わぬ返答に、桂馬は自分の頭が真っ白になるのを感じた。明晰
な頭脳も、この状況にはさっぱりついていけていない。
「だいたい、お前こんなキャラじゃなかっただろ!? 熱血教師が
実は淫乱でした、って……どんなエロゲーだよ! しかもこの脈絡
の無さは、ゲームのシナリオとしては破綻してるっ! まるで、
手元に原作が置いていない二次創作だ!」
「でも……こういうのも好き、なんでしょ?」
そう問われれば、言葉に詰まるしかない。
嫌いではない……いや、大好きだ。女の子も、その女の子が見せて
くれる、様々な表情も。だがそれは……
「それは……ゲームの中での事、で……」
「ゲームなんかしなくても……こうして、ね?」
木に押さえつけるように、純が身体を押し付けてくる。その柔らかい
感触に、再び桂馬は身体を震わせる。
「桂木君が言ったのよ……自分がいいと思う事をやれ、って」
「そ、それは確かに言ったけど……でもむんぅ!?」
再び、唇が押し付けられる。一瞬自らのそれを閉ざし、伸びてくる
舌を防ごうとするが、やんわりと上唇を舌で撫でられると、すぐに
その門も開かされてしまう。
侵入してきた純の舌は、先程のように優しくはなかった。
「んっ、むぅ……! んぅううう!?」
絡め取るように桂馬の舌をたぐりよせ、その横腹から全体を巻き
取るように撫で上げていく。ガクガクと膝が震え、全身から力が
抜けていくのを、桂馬は感じた。
「……どう?」
「はぁ……ふっ……うぅ……」
息も上がり、満足に返事もできない桂馬を、純はゆっくり抱きしめ、
その耳元で囁いた。
「これ以上は……もっと、凄いわよ?」
突如淫乱になってしまった教育実習生長瀬純!果たして、桂馬の
貞操はどうなってしまうのか!続きはPC版でお楽しみください!
「神にーさまぁー、私とのシーンもあるんですよねー?」
「……そ、そういうルートもあったからな。全ルート攻略しないと、僕の
プライドが許さないから、仕方なく、だな……」
「わーい♪ 神にーさまとエッチだー!」
「(顔真っ赤)」