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 第一回ゆりえちゃん祭は予想以上の盛況をもって幕を閉じた。しかしながら私どもは誰しも、  
その祭りの終始をひとり傍観していた無機質の瞳に気づかなかった。  
 ビデオカメラである。そのレンズの奥に誰の意図が潜めているのかはわからない。  
ただその中に記録された映像が、一部の少女愛好者によって秘密裏に売買さているのは事実である。  
   
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 男は湧き立つ気持ちを抑えながら、アパートのドアを開けた。  
 見慣れた部屋。六畳一間の狭い室内は雑然と散らかっている。足元の一冊、表紙に掲載された少女が瑞々しい裸体を誇示しながら、  
男に視線を投げかけている。男はにやりと笑った。  
 まさか、噂が本当だとはおもわなかった。半信半疑のうちに出発した尾張旅行――男はその戦果を紙袋から取り出した。  
 部屋の隅には中古屋で買ったテレビデオが置いてあった。その真っ黒い画面には男の姿が映りこんでいる。  
男は奇妙な前かがみの姿勢のまま、震える手で戦果を――問題のビデオを挿入口に差し込んだ。  
 まもなく映像が映し出される。しかし、  
 砂嵐。砂嵐。  
 男の額から流れた温い汗が、頬をつたい、腫れぼったい唇に落ちる。眼鏡の奥の瞳に、早々と苛立ちが見え始める。  
 砂嵐。  
 男は駄々をこねる幼児のように、たたみに激しくこぶしを打った。  
 くそ――あの女――俺を騙しやがって、五万も取りやがって・・・・・・三枝とか言ったか、あいつ、必ず痛い目にあわせてやる――。  
 悪態を吐きながら停止ボタンに手を伸ばしかけたとき、突如として砂嵐が止んだ。  
そして独身男の汚い部屋――ある意味の静寂を持つその部屋に、祭囃子が囁くように鳴りはじめた。  
 男はそれまでの憤怒を忘れたかのように、卑しい笑みに口元を引きつらせると、汗ばんだ右手を自身の股へと伸ばした。  
男はすでに激しく勃起していた。  
 
 
 tuduku  
 
 

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