「真っ暗、ですね・・・」
暗闇の中で、八島様が呟いた。
「はい・・・真っ暗、です・・・・・・でも――」
布の擦れあう音――
「みこ、さん・・・?」
「こうしていれば、見えなくても、平気です・・・」
みこが、八島様の胸に寄り添った。
みこの温かさを感じながら、どこか緊張した面持ちで、八島様が口を開く。
「みこさん・・・。その、わたし、こういった経験がないものですから、
どうしたらいいものか・・・よく、わからないもので・・・」
「八島様は――」
みこが、八島様の衣服を、その小さな手できゅっと握った。
「八島様は、どうしたい、のですか・・・?」
「わ、私は――その――」
八島様は、ごくりと唾を飲み込んだ。
みこ。その幼い唇から零れ出た言葉は、
あまりにも女性的で――心を揺さぶる。
「私は――こう、したい、です・・・」
八島様は決心したようにそう呟くと、
おそるおそる、みこの背中に腕をまわした。
小さな背中。ほそすぎる腰。
一度味わってしまえば、逃れる事のできない、少女の匂い――八島様は、
そっと、みこの身体を抱き寄せた。
「やしまさま・・・」
みこが八島様の胸に、頬をすりよせる。八島様が、みこの艶やかな黒髪に顔をうずめる。
このまま、一緒に溶けてしまいたい、みこはそう思う。だから――
「八島様――」
みこは八島様の目を見つめた。そして、
「一緒に、とけま、せんか?」
小さな唇を、おそるおそる突き出した。
「みこさん・・・」
震える薔薇色の唇。閉じられた瞼。柔らかそうな白い頬。
迷う必要は何もなかった。愛しい気持ちが、嵐のような、しかしさざなみのような静けさをともなって、
八島様の心にはじけて砕ける。
八島様は、みこの唇に、そっと、自分の唇を重ね合わせた。
「ん・・・ちゅ・・八島、さま・・・」
「みこ、さん・・・」
まるで、子供同士のようなキスだった。唇と、唇を触れ合わせるだけのキス。
――けれどそこには、ひとりの少女の想いと、ひとりの不器用な神様の想いとが、
どんな深い情愛にも勝って溶け合っていた。
二人の唇がゆっくりと、名残惜しそうにはなれる。するとみこは、
八島様を上目遣いで見つめながら、ひとこと――
「とけ、ちゃいましたね」
頬を桃色に染めるみこ。もじもじと、恥ずかしそうに俯く。
「・・・ハイ。全部、とけました・・・」
ふと、八島様は思う。あぁ、僕は、この少女に、恋をしているんだ――。
だから、もっと知りたい。この、誰よりも愛しい少女のことを――。
八島様はみこの身体を強く抱きしめる。そして、耳元で囁いた。
「僕は――僕は、貴方が好きです。だから、みこさんの、すべてを、知りたい・・・」
八島様の言葉に、みこは俯く。その白い頬を、涙が一筋伝い落ちたが、八島様は気づかないだろう。
ややあって、みこが言葉を返す。涙はもう溶けて消えていた。
「ハイ・・・私も、八島様の事、もっと、知りたいです。だから、
その・・・・・・うしろを、向いてて、くれますか」
「・・・ハイ」
その言葉の意味するところは一つだけ。言われたとおり、八島様はみこに背中を向けた。
暗闇のなか、布の擦れる乾いた音。ひとつひとつ降り落ちていく少女の衣服。
見え隠れする白い柔肌を、八島様は想像する。
「もう、いいですよ・・・」
緊張を帯びたみこの声。
八島様はどきりと身を震わせた。手の指先から緊張の糸が全身へと伸びていく。
どくんどくん、痛いくらいに鼓動が鳴り響く。
その姿はもう神様ではなく、ひとりのウブな青年にすぎなかった。
青年は振り向いた。
月明かりだけが、窓の外から部屋にのぞきこんでいた。
白いシーツの上には、少女の裸体。
薄闇のなか青白く浮かび上がる肢体。
幻想的なほどの美しさをみせる、匂いある柔肌。
緩やかな隆起をみせる胸元で交差された腕の隙間からは、
こぼれ落ちそうな、ピンク色の真珠が二つ。
細く締まった、しかし、少女特有の丸みを帯びた腰の中心には、
隠すもののない一筋のスリット。
そんな、彼女を表現する言葉は無限に存在するのだろうけれど、
八島様は何ひとつ、それらを言葉には出せなかった。
ようやく、やっと、零れるように漏れ出た言葉はただ一つ――
「綺麗・・・です」
「ありがとう、ございます・・・」
「触ってみても、いいですか・・・?」
「・・・はい」
シーツの上に正座する八島様。その目の前に、一糸まとわない姿で立っているみこ。
八島様はそっと、みこの肌に手を伸ばした。
「柔らかい、ですね」
「ん・・・くすぐったい、八島様・・・」
八島様の手の平が、少女のお腹をやんわりと撫でる。
みこは、恥ずかしいのかくすぐったいのか、しきりに身をよじらせていた。
ふと、みこの手が、八島様の手に重ねられる。みこは八島様を導くように、
「もうちょっと、上も・・・触って、いいですよ・・・」
「・・・ハイ・・・」
八島様の手が、みこの胸に、すべるように移動する。
するとみこの小さなピンク色が、指にはじかれて震えている。
「ん・・・八島様も・・・やっぱり、お姉ちゃんみたいに、大きい方が、いいですか・・・?」
みこが、おずおずと尋ねた。
「わたしは・・・みこさんが、いいです」
かすかな柔らかさを指で愛しむように撫でながら、八島様が断言した。
みこは顔を赤くしながら、
「おねえちゃんが聞いたら・・・んっ、きっと、怒られますよ?」
「そのときは、よろしくお願いします」
八島様の指が、みこのピンクを優しく摘む。
指の腹でころがすように弄ると、柔らかさのなかに、微かな硬さがうまれ始めていた。
「・・・ハイ。わかりまし――んっ」
必死に声を押し殺すみこ。するとその身体が、すとんと八島様の膝におちた。
「すみません、つらかったでしょうか?」
みこの肩を抱きながら、八島様が心配そうに尋ねた。
「いいえ、そんなことは――でも、あの、お尻に、なにか、当たって・・・」
しきりにお尻のあたりを気にしはじめるみこ。
探るような手つきで、気になる部分をまさぐる。
どきりと身を震わせる八島様。
「みこさん、それは・・・あのですね――」
言いかけたとき、八島様の核心に、みこの細い指先が触れた。
「知って、ます・・・さっき、ゆりえ様が、神通力で出した・・・あの、その、男の人の・・・ですよね?」
「みたい、ですね・・・」
みこは視線を八島様の下半身に落としている。興味があるのか無いのか、捉えようのない表情でじっと核心を見つめていた。
「あの・・・見ますか?」
八島様は意を決して尋ねてみた。みこは黙って頷いた。
注)八島様はたぶん候
3
「えと、なんだか、恥ずかしいですね・・・スースーしますよ」
「わたしはさっきから、ずっとはだかです・・・」
少女の視線の先、八島様の陰茎が直立している。八島様が脱いでいるあいだ、それが見え隠れするたび、
みこは何度も感嘆の声を漏らしていた。
「おっきいの、ですね・・・はじめて、見ました」
言いながら、おそるおそる、指を陰茎へと伸ばすみこ。
「み、みこさん?」
「えいっ」
みこの小さな手が、陰茎の竿を握った。するとみこは、もう一方の手も陰茎へと伸ばしはじめる。
八島様の陰茎は、少女の両手によって包み込まれた。
「みこさん、無理は――」
「お、おねえちゃんの本で、少しだけ、勉強、しましたから――」
消え入りそうな声で言って、みこは突然、握ったままの両手で陰茎をスライドしはじめた。
「み、みこさん――っ」
大胆な行動に驚く八島様。みこはスライドを続ける。
「どう、ですか・・・? おかしくないですか? ・・・んっ」
擦りあげられる陰茎。
「たぶん、おかしくはないかと・・・。みこさんの指、なんだかすごく・・・熱い、ですね・・・」
「んっ・・・ん、八島様・・・熱い。あ・・・先っぽから、なにか・・・かわいい、ちゅ」
みこが、陰茎の先端にキスをする。そして小さな舌を使って、ちろちろとくすぐり始める。
八島様の背すじを快感が走った。つたない動きで一心に奉仕する少女が愛しくてたまらない。
「ん・・・ちゅ・・・ちゅっ・・・んっ」
陰茎を小さな手で擦りながら、キスの雨。反り返った陰茎は、まだ足りないとばかりに、熱い血脈をたぎらせている。
「・・・ちゅぅ、ん・・・ひゃん、八島様・・・?」
「すみません・・・続けて、ください」
八島様の右手がみこの桃色に伸びていた。微かな膨らみを見せる乳房を、指で熱心に弄る。
「んっ・・・ちゅっ・・・胸が・・・ピリピリ、します・・・ん、ちゅ」
みこの舌が、陰茎の先端を丹念に舐める。あますところなく甘い唾液で多いつくし、温かさを残していく。
と、みこの手の中で、陰茎が脈打ちはじめる。突然の射精の兆しを、八島様は感じはじめていた。
「やしまさ、ま・・・ちゅっ、んっ・・」
みこの舌が絡みつく。八島様は、腹の底からあふれ出してくる何かに、身を強張らせると、
「みこ、さん・・・出ますっ!」
「・・・え?」
みこの唇が、陰茎から離れたその瞬間、竿の先から、精液が勢いよく飛び出した。
飛び散った精液は、ぽたぽたと、みこの頬や胸、太股を濡らしていく。
と、みこの手の中で、陰茎が脈打ちはじめる。突然の射精の兆しを、八島様は感じはじめていた。
「やしまさ、ま・・・ちゅっ、んっ・・」
みこの舌が絡みつく。八島様は、腹の底からあふれ出してくる何かに、身を強張らせると、
「みこ、さん・・・出ますっ!」
「・・・え?」
みこの唇が、陰茎から離れたその瞬間、竿の先から、精液が勢いよく飛び出した。
飛び散った精液は、ぽたぽたと、みこの頬や胸、太股を濡らしていく。
「あぁ、す、すみません!」
慌てる八島様。呆然とするみこ。
八島様は手近にあったティッシュで、汚れてしまったみこの胸や太股を拭う。
すると何を思ったのか、呆然としていたみこだが、頬についた精液を舌でぺろりと舐めた。
「み、みこさんっ! や、やめてください!」
さらに慌てる八島様。みこは何事もなかったふうに微笑むと、
「・・・まずいです」
それだけ言って、八島様に抱きついた。
注)八島様覚醒
「みこさん・・・」
八島様の肩にまわされる細い腕。露出した少女の性器の触れ合う場所からは、
湿り気を帯びた感触。まるで誘われるかのように、八島様は、みこの下半身に触れる。
「ひゃんっ、八島様・・・?」
「いや、でしたか?」
「い、いいえ」
ふるふると首を横に振るみこ。八島様はみこの性器に手の平をあてると、優しく揉み始めた。
「みこさん、すこし、濡れて、ます」
「言わないで、くださいっ」
八島様は、手の平に温かい湿り気を感じていた。
柔らかな溝に人差し指を添えると、ゆっくりと、上下に擦る。
「やしまさまっ、やしまさまっ」
みこが抱きつく腕に力を込める。
八島様はみこをシーツに仰向けに寝かせると、真摯な瞳でみこを見つめた。
みこは八島様を受け入れるように、震えながら、太股をひかえめに開く。
「綺麗です・・・」
そう言って、八島様は、みこの秘所に指を添えると、優しく、性器を割り開いた。
覗く鮮やかなピンク。ひだの合わさった頂点には、肉色の真珠。
「あんまり、見ないで・・・やしまさま・・・」
みこが恥ずかしそうに呟く。八島様は、少女の股に顔を近づけた。
「お返し、です・・・」
みこの真珠に、舌が触れる。舌は真珠をもてあそぶように、速い動きで振動する。
「あっ・・・やしま、さま、そこは・・・あぅ」
敏感な場所を刺激されて、少女の声が震える。しかし、八島様は止めない。
薄い小陰唇にキスをすると、唇で挟み込み、優しくはむ。
「わたしだって・・・その、一応、男、ですから・・・わたしが――」
舌を膣の入り口で遊ばせる。少女の性器は、八島様の唾液と熱心な愛撫によって潤いをみせはじめていた。
「あん・・・んっ・・・あふぅ・・・」
顔をうずめながら、八島様は空いた手でみこの胸を撫でる。乳房の頂点、可愛い桃色は、もう硬くなっていた。
桃色を手の平でころがす。指のあいだで挟み込み、ささやかに引っ張る。
「やしまさま、そこは、お、おへそっ」
胸から下ろした手で、みこのへそを指でつつく。すべすべのお腹。
「やしま、さま・・・なんだか、変な感じ、です・・・お腹が、熱くなってきて・・・」
八島様は愛撫を続ける。みこの核心から溢れだす愛液は、だんだんと量を増してきている。
「みこ、さん・・・っ!」
八島様はみこの下半身から顔をはなす。口元を手で拭うと、みこの身体に覆いかぶさった。
キスできそうな距離まで近づく二人の顔。八島様が口を開く。
「我慢・・・できそうに、ありません」
みこは驚いた。あの優しい八島様が、こんなにも求めている。どうすればいい?
答えは簡単だった。みこは八島様にキスをした。
「きて、ください・・・」
4
覚悟したように目を瞑るみこ。
八島様はみこの太股を大きく開かせると、やや緊張した面持ちで、
陰茎を、みこの中心にあてがった。
「いきますよ・・・」
八島様は、ゆっくりと腰を押し進める。みこの唾液によって濡れた亀頭が、
少女の性器の柔らかさに触れる。
「大丈夫、ですか? みこさん・・・」
八島様は少女の身を案じていた。
みこは唇をかみ締めながら、行為に耐えている。先端はすでに、
少女のなかに埋まり始めていた。
「だい、じょうぶ、ですよ。続けて、ください・・・」
みこが、気丈な声で答える。
八島様は迷った。みこは明らかに、苦痛を我慢している。
気丈な態度は、余計な心配をかけないためのものだろう。
「心配しないで、ください・・・がんばります、から・・・」
みこが笑う。その額には、うっすらと汗が滲んでいた。
八島様は心の中ですみませんと呟くと、さらに腰をすすめた。
やがて、先端がすべて埋まる。きつい締め付け。耐えるみこ。
竿の半分まで埋まったところで、先端がつきあたりに行き着いた。
「ここまで、みたいです」
「大丈夫、ですから・・・動かして、ください」
みこが荒い息をつきながら、笑ってみせる。
八島様は、ゆっくりと、陰茎を引き抜く。すると竿の部分には、みこの血が付着していた。
「ん、やしまさま・・・あ、んっ」
先端まで引き抜くと、また、ゆっくりと奥まで進める。それの繰り返しだった。
小さな膣内。動かすたびにみこは苦痛に顔を歪ませていたが、
やがて慣れ始めたのか、だんだんと、その表情からはかたさが消えつつあった。
「あっ、あぅ・・・・・・やしま、さま・・・」
緩やかな抽送に反応するみこの身体。桃色に火照り、荒い息を吐く。
八島様はみこの奥を突きながら、その小さな唇を塞いだ。
「ん、ちゅっ、あ、ん。ちゅ――」
八島様はみこの小さな唇をはむ。啄ばむように、しかしふかく唇を重ねる。
みこが八島様の首に手をまわす。八島様が、突き上げる。二人の淫靡な匂いと音が部屋中に響いていた。
八島様の唇が離れ、みこの桃色へと降りていく。みこの桃色はその幼さとは対称的に、求めるように、かたく隆起していた。
八島様はそれを口に含むと、舌でころがす。
「あぅ・・・やしまさま、ダメっ、です・・・」
みこが首を振る。シーツに広がった黒髪がゆらゆらと揺れた。
八島様は止めない。膣からゆっくりと陰茎を引き抜きながら、みこの微かな膨らみを口に含み、そして吸い上げる。
「んっ、んっ・・・ふぁ、やしまさ、ま・・・」
八島様はみこのお腹に頬をすりよせる。柔らかな肌を舌で這うように舐める。
「またっ・・・あふぅっ、ひゃん・・・そこは、んっ、おへそ、ですっ」
八島様はみこのお腹の中心、おへそを弄る。キスを浴びせかけ、舌でほじる。
みこはしきりに嫌々をするが、八島様は認めない。
「ひゃん、奥まで、きてますっ・・・」
みこの身体が上下に揺れる。
八島様はむさぼるように、みこの窮屈な穴を突き上げていた。
八島様の手が、みこの真珠へと伸びていく。八島様は指の腹で真珠を捉えると、
すでに固くなったそれを、円を描くように転がした。
みこの背中が反り返る。鋭い性感がみこを襲う。まるで嵐のような奔流をともなって、
それらは飽くことなくみこの小さな身体に押し寄せる。
「ふ、あぁ、んっ! ダメ、ですっ、やしま、さま。んっ!」
突き上げる八島様。結合部からは、どちらのともわからない液体が飛び散っている。
充血したみこの性器。小さな口を精一杯に大きく開けながら、太い陰茎を受け入れている。
「やしまさまっ、やしまさまっ!」
みこが髪を振りしだきながら叫ぶ。大きく開かれた太股が、ふかく突かれるたびに揺れ動いている。
「ん、あっ! や、しま、さま・・・大好き、です・・・んあっ、ふぅ! キス、して、んくださ――」
みこは中空に視線を泳がせながら、快感に打ち震えていた。突かれながら、唇を突き出す。
八島様はふたたび、その唇に唇を重ねた。
「ちゅ、ん・・・ちゅぷ・・・あふ、はぁ・・・やしまさま、やしまさ、まぁ! ふぁっ!?」
「みこ、さん・・・!」
八島様が抽送を速くする。限界が近い。それを感じ取ったのか、きゅっと、断続的に締め付けるみこの膣内。
「やしま、さまっ! だして、いい、んっ・・・ですっ、よっ」
みこが八島様を受け入れる。
「う・・・く、みこさん・・・―――っ」
八島様はみこの最奥まで突き上げると、絶頂に達した。みこのなかで放たれる精液。
八島様は繋がりながら、みこのうえに倒れこんだ。
「はぁ・・・はぁ、ん、おなか、あったかいです・・・やしまさま・・・。あれ、八島様? ・・・・・・寝ちゃったんですか?」
みこは八島様の額にキスをすると、いまだ余韻に震えるそのからだをきゅっと抱きしめた。
八島様が気絶していたと知ったのは、その翌朝の事だった。
5
早朝。来福神社の縁側に一人の少女が腰をおろしている。少女はしきりに、
隣の――誰もいない空間に向かって丁寧に話しかけていた。
「ほんとうに、きにしていませんから、やしまさま・・・頭を上げてください」
みこの隣で、八島様が必死になって頭をさげている。
「みこさん! ほんとうに、これ以上、あぁ、申し訳ありません。
なんて謝ったらよろしいでしょうか。暴走したあげく、気絶してしまうなんてっ」
頭をがんがんと打ちおろす八島様。みこが宥める。
とそこに、ニヤニヤ笑いを浮かべながら、祀がやってきた。
「みこ、そこに八島様、いるんでしょ?」
「おねえちゃん、はい。隣に・・・」
「そう」
と言って、祀は八島様の座っているであろう場所に近づくと、
「んふふ。八島様、昨日の夜はいいもの見させてもらったわ。まるで猿ね。しかも”早い”」
それだけ言い残すと、足早に立ち去っていく。
「もぉ! おねえちゃんっ! ・・・・・・八島様、ごめんなさい。わたし、ぜんぜん気にしてませんから」
小さなコブシを振り上げて、姉の背中に抗議するみこ。今にも泣きそうな表情でがっくりとうな垂れる八島様。
と、そこで、廊下の奥から、祀がふたたび顔を出した。祀はにんまり笑うと、
「妹を、みこをよろしくねっ」
すぐさま顔を引っ込める。今度こそ遠ざかっていく足音。
八島様はぐすんと鼻を啜ると、ややあって面をあげた。
「祀さん・・・」
「八島様、お姉ちゃんも、ああ言ってくれている事だし、その、元気を出してください」
もう一度、鼻を啜る八島様。
「みこさん・・・手をつないでいいですか・・・?」
「・・・ハイ」
何もない空間に向かって、みこが手を差しのべる。
触れ合う事ができないのに、触れあいを求める手。八島様はその小さな手を握り返した。
「おばあちゃんになっても、ずっと、ですか?」
みこが尋ねた。
「ずっと、そばにいますよ」
空を見上げながら、八島様。
「うそです」
みこが、八島様の手をきゅっと握り返す。
「ほんとうです。神様は、嘘をつきません」
「ゆりえ様は、平気で嘘をつきますよ? だから、理由には、なってません」
「それは、その――」
言い淀む八島様。ややあって、恥ずかしげに頬を染めながら、唇をそっと、みこの額に近づけていく。
「ぼくが、あなたに恋をしてしまったから、ではだめですか」
「・・・・・・今度はまた、気絶しちゃ、だめ、ですよ?」
「・・・ハイ」
少女と、不器用な神様の物語は、いま始まったばかり。
owari
omake
「ゆりえっ! どうしよう! この股に生えたお●んちん、取れないじゃないっ!」
「ごめん。光恵ちゃん。わたし、腰が痛くって、立てないの」
「全国初! お●んちんの生えた中学生。これは当たるわっ!」
「はったおすわよっ! あんたっ」
祀ちゃんマジ外道。