コンコン、というノックの音に、デスクに向かっていた結城は振り返った。  
「はい、どちら様?」  
どちら様、と言ったもののルームサーヴィスを頼んだわけでなし、そうするとあとは・・・  
「・・・・・・私よ」  
やはりアンリだった。ドアを開けると、憔悴した面持ちで彼女が立っていた。  
「少し話したいんだけど、いいかしら・・・」  
こんなに覇気の無いアンリを見るのは初めてかもしれない。  
(それはお互い様、か・・・)  
そう、だけどそれを気取らせてはいけない。おどけた口調で結城は答えた。  
「僕で宜しければ幾らでも話相手になりますよ、お嬢さん?」  
 
世界征服を目論む新組織の調査のために訪れたこの香港で  
結城とアンリはその新組織「BADAN」の宣戦布告を聞いた。  
その後も矢継ぎ早にインターポールから、ライダー達から情報が送られてきている。  
一瞬にして月面基地が壊滅させられたこと、  
宣戦布告の映像が国際宇宙ステーションの電波をジャックして世界中に送られたものであること、  
沖一也の乗ったシャトルが月付近から強制転移させられ、機体を支えるために一也が船外に出ていること・・・  
・・・そしてまだ、一也の生存情報は入ってきていない。  
 
部屋は至ってシンプルなシングルで、ソファなど置かれていなかった。  
とりあえずアンリをベッドに座らせ、自分は先程まで座っていたデスクの椅子に腰掛ける。  
少しの時間が過ぎ、アンリが口を開いた。  
「ねえ、私達・・・『BADAN』に、勝てるのかしら・・・」  
「勝てるのか、じゃない。勝たなければ、守らなければならないんだ。  
 俺達仮面ライダーは、そのためにいるのだから」  
「だってデストロンからずっと組織を追ってきたけど、そんなのとは比べ物にならない強大さだわ!  
 あんなバカでかい要塞だかを出したり引っ込めたりできるような、そんな敵と闘えるわけないじゃない!」  
悲鳴のように叫んだアンリの隣に腰を下ろし、結城は続けた。  
「・・・闘えないと思ってしまった時が、負ける時だ」  
アンリはその言葉にはっとして結城を振り仰ぎ、その瞳に微かな翳りがあることに気付いた。  
自分の左手の上に置かれた彼の右手が、微かに震えていることにも。  
 
―そうだ、仮面ライダーは感情を持たないロボットじゃない。身体は改造されていても、心は人間のままだ。  
ましてや生身のこの人は、何時だって死の恐怖と隣り合わせのはずで  
それでも人を守る為、自分の罪を償う為に闘い続けている・・・。  
そんな姿をずっと傍で見てきたのに、それなのに私は!  
 
―彼の気も知らず泣き言をぶつけたこの口で、今更「信じる」なんて言えない。  
慰めや励ましの言葉を口にするのも空々しい。  
でもせめて、一時だけでもその恐怖を忘れさせてあげられるなら。  
 
 
不意にアンリは手を伸ばし、結城の首にしがみつくようにしてキスをした。  
唇を重ねたままネクタイを解き、ベストを脱がせていく。  
ワイシャツのボタンに手を掛けた時、結城の腕がアンリの背中に回された。  
震える腕で、縋りつくかのように自分を抱く結城を、アンリはそっと抱きしめた。  
 
―今は怯えていても、あなたが必ず立ち上がることを、私は知ってる。  
闘うあなたを信じてついていけるように、私も強くなるから。  
だから今だけは。あなたも私も、弱い心を吐き出してしまおう。また立ち上がる為に。  
 
 
結局、弱さを曝け出してしまった自分に、結城は自己嫌悪の念を覚えていた。  
だけどそれ以上に、弱い自分をそのまま受け止めてくれたアンリを愛おしいと思った。  
仕事中の身でしかも非常時で、不謹慎なのは重々承知の上だが  
アンリを求める気持ちは抑えられそうも無かった。  
 
照明を落とし、ベッドサイドのランプを点けると、オレンジ色の柔らかな灯りが仄かに辺りを照らした。  
 
再びアンリを抱き寄せ、口づける。深く、長く。  
「ん、ふぅ・・・あ・・・んんっ・・・」  
吐息と、舌を絡める水音だけが、薄暗がりに響く。  
重なる唇から、絡められる舌から、髪を撫でる左手から、腰に回された右腕から  
ぞくぞくするような感覚が全身を走り、アンリは身を捩った。  
 
結城の左手がアンリの腰に滑り降り、セーターの裾をたくし上げてゆく。  
その手の動きに応じてアンリが腕を挙げると、するり、とセーターが抜き取られた。  
オレンジの薄闇に浮かぶ白い肌と黒の下着のコントラストが艶かしく誘う。  
 
「んっ」  
スリップとブラジャー越しに胸に触れると、アンリの身体がピクンと跳ねた。  
そのまま掬い上げては押し潰すように揉むと、濡れた唇から喘ぎが漏れる。  
「・・・っ・・・やぁあ、ん・・・は・・・っあぁっ!」  
上辺から指を滑り込ませ、尖り始めた乳首を指先でくすぐるとアンリが嬌声を上げた。  
その間にも、仰け反る首筋に唇と舌を這わせ、鎖骨へ、胸元へと下りてゆく。  
ブラのホックを外し、肩紐を引き下げると、白く豊かな乳房がこぼれ出た。  
しっとりと汗ばんで吸い付くような柔肌。掌に感じる重みと弾力。  
それらの感触を楽しむように揉みしだき、薄紅に隆起する乳首を指で弾く。  
「!ひゃあぁぅ!」  
唇で啄み、吸い上げ、舌で転がし、歯を立てる。  
アンリの唇から断続的にこぼれる喘ぎが結城の下半身を刺激する。  
・・・やがてアンリが、力が抜けて結城の肩口にしがみつくように身体を凭せ掛ける。  
そっと抱え上げてベッドに横たえた。  
 

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