登場人物紹介
怪物…鬼塚の変身した姿。改造人間レベル3。真の世界では最初のライダー。
ただし第三の目をもたぬため、凶暴化してしまう。
鬼塚博士(義一)…天才またはマッドサイエンティスト。バッタと人間の細胞合体を成功させる。
人間を排除してライダー帝国を作りたがった。
カップル…怪奇事件の犠牲になった十数名の内の二人。勝手に設定。
風祭真…ライダーに勝手に改造された男。本編の主役。本郷猛並の天才と思われる。
ふらふらと体を揺らし緑の化け物が歩く。暗闇が体を包む。
まわりは公園らしく、蛍光灯の明かりがチカチカと光る。あまり手入れをされていないのか、かなり薄汚れていた。
化け物はときおり頭を、必死に抱えて苦痛に顔をゆがめる。頭の中で金物で殴られたかのような痛みが走る。自分が何なのかさえわからない状態だ。
「イ…イタイ。…なんダ?この変な感じは」
まるで鉄と鉄を強く擦った時のような声を発する。
風が吹き、林の葉がザワザワとゆれていた。鳥の鳴き声が聞こえてくる。
要所要所に設置されているライトの光が、化け物の体に当たる。光に照らされた化け物は、とても奇怪な姿をしていた。
真っ白な目や鋭く尖った牙や爪が生えている。体は緑と黒色で作られ、固い甲羅のような装甲を持っていた。
口から細い管を通るような空気の音を出して、まわりの様子を見回している。化け物は何かを必死に探していた。
まるで全てを見通すかのように鋭く光っている。この目はなんでも見通す事が出来た。この夜の暗闇など意ともしない。
「…チ…ち……血!」
その時、化け物は目的のものを見つけた。それはおきてはならない事だった。
視線の先には、なぜか公園の中だというのに、一台の赤いスポーツカーが道の端に停まっていた。そしてその中には、一組の男女の姿があった。
「…ちょっと〜。ここでヤルの?」
「いいだろ。…嫌なのか」
「別にいいよ。外は嫌いじゃないし。…あ、あぁん」
スポーツカーの中で男女の楽しそうな声がする。座席の後ろで、男女は絡み合っていた。
若者で男の方はチャラチャラした、楽な服装と茶色の長髪をしている。意外といい生活をしているようで似合いもしない金時計を手につけていた。
女も女で、短めの髪を同じように抹茶色に染めていた。顔は若さを隠すため、とても厚い化粧を施している。化粧をとれば、そこらの女性と変わりない顔立ちだ。
「お前も胸が大きくなったなぁ。触ってて気持ちがいいよ」
男の傷ついていない細い指が、胸へ伸びる。手はゆっくりと胸をもみ始めた。気持ちがいいのか、頭を後ろに倒して荒い喘ぎ声を上げる。
ブラジャーの背中のホックを取り外し、上半身を裸にすると顔を近づけ舐め始めた。唾の音がベチャベチャと聞こえてくる。
空いている手を自分のベルトやチャックに持っていき、音を立てながらズボンを脱いでいく。
「もう、せっかちなんだからぁ」
「だって我慢できねぇよ」
男は下半身を丸出しにして、女に組み付いていった。そんな男の様子に慣れている女は楽しそうに笑う。少しずつ自分たちに、危機が迫っている事も感じずに。
手のひらで包めるようなほどの大きさの胸が、プルプルと震えている。乳首はふたつとも、天井向けて立っている。
かなりの回数をこなしてきたせいで、感度がよくなっている女のあそこからはねばついた愛液が垂れていた。
興奮したそこを持ち、女のあそこへと場所を移動する。体を動かすと、正上位の体勢になった。
「よし…入れるぞ。早く腰を浮かせろよ」
「ちょ、ちょっと待ってよ。ふふっ。…はい!」
「いくぞ。…おおっ」
男は腰の先にある、女のそこへ向けて己のものを差し出していった。女は形だけでも清楚な雰囲気を漂わせて、顔を両手でふさいでいる。
とても白々しいSEXだ。そのときの二人はただの快楽をむさぼる、オスとメスでしかなかった。
先端があたり挿入されると思ったとき、男の目にふと異様な物がうつってみえた。
「お、おい。あれなんだ?」
「もう〜。早くしてよ!」
「いいから見ろ!あれ、何だよ!?」
「ん?…え!」
サイドミラーには、緑色の化け物の姿が見えた。すなわち向こう側。怪物が自分たちが、寝ているクルマの後ろ座席に、近づいてきているということだった。
二人は頭を上げて暗闇を見た。だが、なぜか先ほどまで見えていた化け物の姿は無い。
(…見間違いだったのか?)
そう思い安心して前方を見たとき、二人の顔は恐怖に引きつる事となった。
目の前には先ほど見えた恐ろしい化け物がいた為だ。それもとても恐ろしい形相でにらんでいる。二人はあまりの恐ろしさに身動き一つ出来ない。
化け物はスポーツカーの裏側に両手をかけた。何かを持ち上げるような格好だ。息を一回吐くと、力をこめ一気に引き上げる。
それにより何百キロもあるスポーツカーが簡単にまわってしまった。タイヤの部分が空を向き、頭を覆う鉄の屋根が地上にくっ付いたのだ。
「きゃああああぁぁぁ!!」
公園中に響き渡る。精一杯の声。何者かが助けに来てくれる事を期待して、思い切り叫んだ。しかし誰の姿も声も聞こえない。
こんな深夜でさえ誰かが来てくれるはずだ。なのに、公園にはカップルと化け物しかいないと思えるようなほど静かで闇に包まれていた。
「ひっ。ひいぃぃぃ!」
男は何とか車から這い出し、逃げようとする。さっきまで戯れていた女を投げ捨てて。
今までこんな恐ろしい事に会った事は無い。自分が助かるなら、女だろうが車だろうがどうでも良かった。ただ逃げたかった。
そんな淡い願い事も残酷に引きちぎられる。
怪物は恐るべき速さで走り、男の右腕を握った。
「ぎゃあっ!」
万力のような強い力で男の腕はぎりぎりと握り締められている。頭をつんざくほどの痛みを感じた。実際に腕の骨と肉がメキメキと音を立てている。
男は泣くなといわれたとて、この痛みに耐え切れる者はそうはいない。さきほどから涙もあふれ出ている。
恥も外聞も無く、男は泣きじゃくっている。そんな男を助ける事も、どうすることもできずに、女は必死に車から這い出ていた。
そして外で更に恐るべきものをみた。男の死にざまが、目に飛び込んできたのだ。思わず悲鳴をあげた。
「…ひっ!きゃああああぁっ!」
怪物は長く伸びた歯を男の喉へ突き刺した。のどからは血の噴水が駆け巡り、あたりに飛び散る。
叫び声をあげたいのだろうが、ひゅーひゅーと音がするのみで誰の耳にも聞こえない。まったくの無駄だった。
自慢の髪に赤い血が飛び、自慢の金時計が赤く染まる。とても惨めで無残な光景だ。それを全て女は目撃してしまった。
(や…やぁ)
血を吸い取っているため喉がゴクゴクと揺れている。とても美味しそうに血を飲んでいる。
全てが無くなってしまい、ほそびたミイラのような男を怪物は大きく投げ捨てた。男の死体は、公園の美しさを保つために生えていたイチョウの木に引っかかった。
(オ、美味しい。…やっぱりチっておいしいなぁ。アレ?今度は体が熱くなってきタ)
化け物は頭の中から、何者かが呼びかけてくるのを感じていた。
(今度は女だ!増やせ!種族を増やせ!!)
怪物は声に逆らえなかった。この声が何者かはわからない。しかし絶対的な何か。まるで神のような何かとも思えた。
その声に導かれるように、怪物はあたりを見回す。すると車の下で、必死に逃げようとしている女を見つけた。所々が引っかかり、赤いミミズのような傷を作っている。
大きくジャンプすると、女の前に着地する。そしてその力強い手で女をクルマの下から引きずり出した。
「やだっ!いやぁっ!」
ズリズリと体とコンクリートが擦れる。悲鳴をあげて、体を必死に動かすが、まったく逃げる事が出来ない。
(無駄なのニ。ナニやってるんダ?)
女を車から数十メートル引き離すと、即座に化け物は襲い掛かっていった。
体を覆い被さって、刺だらけの腕を使い、女の自由を奪う。女の裸になった上半身は瞬く間に傷だらけになる。柔らかな肌が血に滲む。
「いたいっ!」
髪を振り乱して騒ぐ。化け物は気にもせず、腰を引いた。本当なら後ろから挿入した方が妊娠しやすいのだが、そういうわけにもいかない。
へたに動かして怪我をさせるわけにもいかないのだ。とたんに、慎重になる。
「…や、やだっ!やめてよ!」
女は気づいたのだ。この化け物が自分を求めているということに。
顔が一層真っ青になり、恐怖に引きつる。恋人を殺され、混乱して今にも気が狂いそうなのに、更に恐ろしい事が起こる。耐えられそうにもない。
化け物の股間がシャワシャワと、泡と音を立てる。体をまとう殻の間から、赤黒い物体が顔をのぞかせてきた。人間の性器のように大きいが、穴が所々にあいている。
どちらかといえば虫の性器の形状に近いといえるだろう。女はそれをみると、目から涙をポロポロと流す。
(こんな所に…くるんじゃなかった。パパ…ママ)
相手の腰を掴み、棒を入れようとする。女はもうほとんど抵抗をしない。あきらめているのだ。
自分の不注意な行いや今の境遇をうらんだ。
化け物のそこから伸びた棒が、先ほどの行いで十分に濡れていた女の秘所にズブズブと入っていく。
「あー!いやぁ!あぁぁッ!!」
悲鳴をあげるが、その悲鳴も化け物にとっては心地よい声にしか聞こえない。弱者が泣く言葉が全て快感となる。
獲物を狩る生物の悦びとは、このように純粋な物なのだろうか。
「グァガ。グァガァァ。イイ。ワルク…ない」
中の具合を味わっている。肉壁はこんな異物がはいっても優しくまとわりついてくる。
ぬちゃぬちゃとした液体が、壁から分泌され挿入を容易にしていた。やがて棒は奥底まで簡単に到達する。
「あああぁぁんっ!」
奥底を擦りあげると、女は先ほどより高い声を出した。まるで電気が走ったかのような快感が突き抜ける。
大きく太いそれを受け入れることにより、気持ち悪さより気持ちよさが勝ってしまったのだ。ずいぶん使い慣れているためだからだ。
化け物も自分のそれを、絶え間なく濡らし締めてくるそこへの動きを活発にする。腰を上下のピストン運動に動かして、必死に頑張っていた。
秘所からあふれる蜜が、化け物の腕を伝って垂れる。湿った蜜は地面にいくつもの小さな水溜りを作った。
「グウウウゥゥゥ」
蜜が体をぬらし、肉が棒をキュキュと締める。腰の動きも自然と早くなっていく。
女は化け物の爪やとげが体に突き刺さっているというのに、顔を赤くさせて目をつぶっていた。痛みより快感が駆け巡る。
そのまま、数分間の時が流れる。体が熱くなり、もう耐え切れない。いくら大きくとも、この秘所の締めや蜜には耐え切れないのだ。
(ウ、ウウゥ。イ…いく。いってシマうぅ)
ついに爆発の時がきた。体を弓なりにして、一気に押し込んだ。
たまりにたまった生命の液を吐き出していく。欲望は、はけ口を求めながら、先端から飛び出していった。
「ガァッ。ガアッ!」
「ああああああっ!いやぁっ!やだ!入ってくる!何かが…入ってくるっ!」
なぜか女は不思議な感覚に襲われていた。恐ろしいほど気持ちがよくなっているのだ。こんなに犯されたというのに。
体を弓なりにしていく。内部に侵入する液体は、女を絶頂感に包んでいった。
「ぁぁぁぁああああぁっ!!」
そこから吐き出されたものは、どんどんと奥へと送り込まれる。生物としてかなりの生命力をもつのだ。量もかなりのものだった。
受け入れきれないものは、ブクブクと泡を立てながら隙間から染み出してくる。女の擦れたそこからの愛液と混ざり、淫靡な匂いを漂わせる。
「はぁっ、はぅうっ。ふぅ、ふぅ」
女のため息、声を出すたびに吐かれる息が寒い夜空に聞こえてくる。己の体の中を化け物のそれが駆け巡っている。
まるで信じられないのか、それとも何も考えたくも無いのか。体を横たえていた。
化け物は自分のそれが満足したのを知ると、ずぶりずぶりとまた音を立てて抜き去った。それには透明の愛液やら真っ白なそれやらがついて落ちていた。
このまま送り込まれた精液は、子宮に到達し子をなすだろう。とても満足げな気分になる。
そのままゴロンと寝転がり眠ってしまいたかったが、また頭に痛みが走る。こんどは釘を打ち込まれるように痛い。
(まだいるノか?チがいるのカ?どこまで欲しいんダ?…クソッ)
目の前で放心状態になっている女の血を、体は渇望している。血を得る好意をすれば、種の保存が台無しになる行為だ。
だが、こちらの欲望はもっともっと上だった。闘争心というものか、それとも残虐な欲望を満たす為だけのものなのだろうか。
何も考えたくなかった。人が来る前に全てを終わらせてやりたい。化け物は、その残酷な行為を実行に移した。
哀れな女は何も言わないまま、乳房を見せて白目をむいている。
しかしこの異様な空気に、少しの雰囲気の変わり様に気づいたのか怪物を見た。
その顔はどんどんと青白くかわっていった。涙があふれ出てくる事を止める事は出来なかった。
「グアアッ!ガアアアアッッ!!」
「きゃあああああああぁぁぁっっっ!!!」
怪物の高らかに持ち上げた腕。その剛腕は一気に振り下ろされる。悲鳴の次に顔面の骨を砕く音がする。それが、女の最後だった。
『昨日深夜遅く、男女が死体で発見されました。
場所は○×公園で、男性は喉を切り裂かれ
女性は何者かにひどい暴行を受けた上、刃物のような物で
体中を切り裂かれ死亡しています。
死亡した男女の身元はただいま…』
白い手術台の上に、たくましい体の青年が横たわっていた。口元には空気を常に送られており、麻酔で眠らされている。
その台の隣に一人の男が立っていた。真っ白な手術服を身につけ、金縁のメガネレンズごしに青年の姿をじぃっと見つめていた。
「風祭……真。すまないな。お前にこんな事をして」
男の胸のプレートには鬼塚とかかれている。手術台の上の風祭を愛しそうに見つめていた。
鬼塚の頭の中では、朝のニュースの声が聞こえている。自分の所業をうまく隠しながら報道するニュースの事を。
あれはいつだったのかと鬼塚は考える。財団に雇われ、実験の機会を与えられた。最初は満足していた実験にも、いつしか飽きが来る。
(何度も薬物を使うと、やがて耐性が出来る。…そんなものか)
生物とサイボーグ。とても魅力的だった。人間の更なる進化、理想の生物にしたかったのだ。そのために、鬼塚は自らの体をも実験材料にした。
その結果、恐ろしいほどの力を手にいれた。…しかしその引き換えに自我をまったく制御できない。
「ここで終わりにすればいいのかもしれない。だが私はやってやるさ」
光るメスに手を伸ばし、握り締めた。メスや手術の道具が置いてある台の隣には、何百ものバッタの死体があった。そのエキスを取った注射器も。
この実験を終わらせさえすればよかった。そうすれば、風祭真も同じ怪物となる。難しい手術だが、天才と呼ばれる鬼塚には不可能ではない。
己のプライドが、利己心が、探究心がここで終わりにする事を許さなかった。
ただそれだけではない。かすかな希望も持っていたのだ。
「私のような怪物を、暴走した怪物を殺せるのは、同じ怪物だけだ。真。お前がもし同じ体になった時。その時は私を…」
メスが深深と真の体に突き刺さっていく。血がにじみ出ていく。体がビクビクと振動し、呼吸音が荒くなった。
「さぁ。はじまりだ」
こうして、一人の狂人の手によって新たな怪物『真・仮面ライダー』が誕生したのだった。