僕、坂巻快人は自分の身に起きた事を整理するのに時間を要した。  
京香ちゃんがスパイ、日本の諜報組織の一員だというのだ。  
そして、『あるもの』を巡って対立する組織と対峙している。  
テロリストはペンションを占拠し、京香ちゃんの上司である池谷さんや、  
他の宿泊客達を人質にして、部屋に閉じ込めているというのだ。  
信じ難い出来事だが、僕を驚かせる為だけに、これほど大掛かりなことをしたりはしないだろう。  
なにより、この事態が事実であると僕に確信させたのは、イヤホンの向こうで鳴り響いた銃声だった。  
みゆきさんが二重スパイであることがテロリストに露見し、殺されてしまったのだ。  
あの時の緊迫したやり取りが演技だとは到底思えない。  
二時間後にペンションは焼き払われるという。このままジッとしていては死を待つだけだ。  
僕は勇気を振り絞り、みゆきさんに手渡された麻酔銃を使って脱出を図った。  
テロリストの仕業か、ペンション中の明かりが消されていて余計に恐ろしい。  
見張りのテロリスト達は本物の銃を持ち、その先端を躊躇なく向けてきた。  
数回、麻酔銃で眠らせて危機を脱したが、そろそろ精神的に限界が近付いている。  
僕が今、生きているのは幸運に過ぎないのだ。  
以前見た潜入モノの映画の真似事をしているだけで、なんの訓練も受けていない僕など、  
次の瞬間に撃たれてしまっていても不思議はない。  
「くそっ……」  
廊下を忍び足で進みながら、小さく悪態をつく。  
なにが凄腕の工作員、『かまいたち』だ。  
みゆきさんは『かまいたち』のことを敵の手に捕まったと言っていた。  
なんの頼りにもなっていない。  
「うん……?」  
ボイラー室のドアの前に立った時、中から話し声のようなものが聞こえた。  
 
まさか捕まったという『かまいたち』だろうか?   
だとすれば、あの声は拷問でもされているのかも知れない。  
拷問――。途端に動悸が激しくなる。そういった行為が古今、行われているのは承知しているが、  
それが自分の身近で行われているという、襲いかかるような現実感が僕を恐怖に駆り立てていた。  
ガチャン  
思わず手の力が緩み、麻酔銃を落としてしまう。  
しまった……!  
「誰だ!」  
ドアの向こうからくぐもった男の声がする。慌てて麻酔銃を拾うが、  
構え直す前に素早くドアが開かれていた。  
出現した男と目が合い、男は一瞬だけ驚いた様子を見せると、僕の腕を掴んでグッと引き寄せた。  
「ぐっ……あが……」  
あっという間に腕が後ろへと捻り上げられ、僕は抵抗一つできず囚われてしまった。  
「随分と物騒な物を持っているなぁ」  
腕を固定したまま男は嘲笑する。振り返れないが、その瞳が冷笑を含んでいることは想像に難くない。  
もう駄目だ。この男がその気になれば、僕を自覚もないまま殺すことも可能だろう。  
だが、そんな僕の戦慄はすぐに終わった。男が腕を離したのだ。  
「っ……」  
訳も分からないまま麻酔銃を探すが、男は転がっていた麻酔銃をつま先で蹴って、  
手の届かない場所にやる。  
「ど、どういうつもりだ……?」  
「こっちが訊きたいぜ。お前、どこの人間だ?」  
男は微笑こそ浮かべているが、その目は抵抗すれば殺すと言っている。  
案の定、手にした銃は僕へ向いていた。  
どう答えるべきか言葉に窮していると、男は鼻を鳴らし、僕を後ろ手に縛って床に座らせた。  
 
男は情報を欲しがっている。楽観的だが、すぐに僕を殺すということはないのかも知れない。  
だが何も知らないと分かったら? 必要ないと判断すれば容赦なく撃つだろう。  
「彼は関係ないわよ」  
部屋の奥から女性の声が聞こえ、僕は視線を移した。  
室内にはランタンが置かれていて、薄暗いながらも視界は保たれている。  
そこには新貝沙都美がいた。僕と同じように座らされている。  
「お前の組織の仲間なんじゃないのか?」  
ドアの前で聞いた話し声は、この男と沙都美さんの会話だったようだ。  
男は沙都美さんに近付くと、いきなり彼女の頬を張った。加減はしたようだが、かなり痛そうだ。  
キッと沙都美さんは男を睨む。  
フランクな言葉遣いで今時の女の子という印象だったが、まるで別人のような印象を受ける。  
「フン、関係ない只の宿泊客だったとしても、どうせ残り少ない命だがな」  
男の言葉に僕は絶望した。  
「どうだ、この巻き込まれた哀れな男を最後に愉しませてやったら」  
男は侮蔑の意味で言ったのだろう。だが意外にも、沙都美さんは微笑した。  
「それも悪くないわね」  
「ほぅ」  
男の顔が歪む。  
沙都美さんは男に撃たれないように、ゆっくり僕の傍まで近付いて座った。  
そして太股の上に手を置いて摩ってくる。  
ジーンズ越しに伝わる女性の手の感触――。  
「おい、本気かよ」  
男が笑う。  
「ごめんね。こんなことに巻き込んでしまって」  
沙都美さんは小さく言うと、僕の股間に触れた。  
 
「ちょ、ちょっと――」  
「嫌?」  
「………」  
沙都美さんの綺麗な瞳が上目遣いに僕を見た。胸が高鳴る。  
これは動揺? それとも興奮?  
男の言葉が頭の中で再生される。  
『関係ない只の宿泊客だったとしても、どうせ残り少ない命だがな』  
……どうせ、後は殺されるだけなのだ。  
諦めると体から力が抜ける。僕は沙都美さんを受け入れていた。  
沙都美さんは体を寄せ、胸の膨らみ押し付けてくる。  
フッと女性の香りに包まれ、少しクラクラしてしまう。  
突然、沙都美さんの唇で口を塞がれた。  
驚いている内に舌が侵入してきて、舌同士が絡み合う  
その間にも股間を摩られていたが、その力は徐々に強くなっていって、  
硬直を始めたペニスを掴むようにする。  
「おいおい、本当に始めやがった。とんだ淫乱だぜ」  
ゲラゲラと男が笑う。  
「死ぬだけになった奴を相手すんのが興奮すんのか?」  
「そうかもね」  
沙都美さんは淫靡に微笑みながら、僕のベルトを外して下着をずり下ろした。  
ジーンズの中で窮屈そうにしていたペニスが、恥ずかしいくらい勢い良く現れる。  
「もうこんなに元気になっちゃったの?」  
沙都美さんはクスッと笑うが、馬鹿にされている感じはなく、  
むしろ優しさに包まれている気すらした。  
 
「触るね」  
直接、ペニスに触れられただけで呼吸が荒くなる。  
ペニスを手でシゴかれながら、服の前が開かれ、  
沙都美さんはマフラーを外すと僕の乳首を舐めた。  
「うっ……」  
思わず体がビクッと反応する。乳首が沙都美さんの唾液で濡れる。  
「ここで感じるんだ。可愛い」  
肌寒くても可笑しくない筈なのに、興奮のせいかちっとも寒さを感じない。  
きっと僕の顔は真っ赤なはずだ。  
やがて、沙都美さんは唾液を溜めるとペニスに垂らして潤滑液にし、より早くペニスをシゴきだした。  
見惚れるほどに美しい指が複雑に動き、ペニスを時には摩り、時には撫でて巧みに刺激する。  
僕は顔をしかめた。  
「さ、沙都美さん、もうイキそうです」  
「まだダメ」  
沙都美さんは途端に手の動きを止める。  
「口でもしてあげるから」  
沙都美さんは悪戯っぽく言って、僕の股間に顔を埋めると、  
目を合わせたまま根元の裏筋から亀頭の先端へと舌で舐め上げる。  
ペニスが脈打ち、はちきれんばかりに膨張する。  
「哀れな連中だぜ」  
男は呆れたようにしているが、しっかりと沙都美さんの行為を観賞していた。  
「気持ち良い?」  
「は、はい……」  
ペニスの横側を舌が往復する。その艶かしい舌の動きから目を離せなくなってくる。  
 
沙都美さんは両手を僕の太股に置くと、口だけでペニスを舐め回し、しゃぶった。  
口の中でも舌は淫らに動き、常に刺激してくる。  
「さ、沙都美さんっ」  
「またイキそうになっちゃった?」  
沙都美さんは再び行為を止め、上半身裸になる。  
僕を息を呑んだ。その美しさに。  
艶やかな肌。均整のとれた乳房は大きめで、色の薄い乳首は先端を尖らせている。  
ウエストは締まり、くびれの曲線は僕をいっそう欲情させた。  
沙都美さんはペニスを乳房で挟み込み、自身が動いてくれた。  
きめ細かい柔肌に包まれ、摩擦されたペニスは今にも射精しそうだ。  
「僕、もう我慢できません」  
「じゃぁ、そろそろイカせてあげようかな」  
ジュッ  
沙都美さんは再びペニスを咥えると、頭を前後させてストロークした。  
赤茶色のテールが揺れる。その動きは段々と早くなって、僕は強い射精感に襲われた。  
ビュッ ビュッ  
僕はそのまま、なんの予告もなく沙都美さんの口の中に射精してしまった。  
「うん……」  
だが彼女に気にした様子はなく、射精後もペニスを咥えたまま、  
手で竿をシゴき、最後の一滴まで口内に含む。  
「凄い量ね。それに濃いし」  
舌の上で白濁液を震わせ、飲み込んでしまう。  
「さ、沙都美さん……」  
 
「アバズレだぜ」  
男がニヤニヤしながら言う。  
「悪かったわね。なんならアナタの相手もしてあげましょうか?」  
「フン、噛み切られたら堪らんよ」  
「手でしてあげるわよ。どうせ後は死ぬだけだし」  
「ハハッ、自棄になりゃビッチにもなれるってか?」  
男はだらしない顔で、ベルトを緩めながら近付いてくる。  
次の瞬間だった。  
自分の間合いに男が入った途端、沙都美さんは襲いかかっていた。  
僕が下半身を露出したまま呆然としているうちに、沙都美さんは男を気絶させていた。  
「さぁ、行きましょう」  
「へ……」  
「なに、君は本当にここで死ぬつもりなわけ?」  
沙都美さんは服を着て、マフラーを首に巻いた。  
「じゃあ、敵を倒すために僕に……?」  
「当たり前でしょ。十中八九成功しないと思ってたけど、コイツが馬鹿で良かった」  
沙都美さんは仰向けに倒れている男を見下ろした。  
確かに、ああでもしないと男の気が変わって殺されていたかも知れないけれど……。  
「あの、『かまいたち』ってどうなったんでしょう。全然頼りになりません」  
腕を縛っていたロープを解いてもらい、服を整えた僕は気になっていたことを訊いた。  
 
「ゴメン」  
男から銃を奪った沙都美さんが可愛らしく謝る。  
「え?」  
「私がその『かまいたち』なの」  
これには唖然とする。  
「人質の中には組織にとって重要な人もいる。  
助けようとしたんだけど、逆に捕まってしまったわけ」  
「………」  
なんというか、それはそれで不安になる。  
一度捕まってしまった人が、この状況を打破できるのだろうか。  
懸念が表情に現れてしまったのか、沙都美さんは苦笑した。  
「同時に数人がかりで来られたら、いくら私でもね」  
「教えて下さい。テロリストが狙ってるメモリーカードの中身は何なんです?」  
沙都美さんは少し考えたが、口を開いた。  
「これだけ巻き込んじゃったら話しても良いかな。だって、もう元の生活には戻れないだろうし」  
元の生活には戻れない……。なら小説家になるという夢もオシマイということか。  
内心動揺したが、僕は続きを促すように沙都美さんを見た。  
「ある国の歴史よ」  
「歴史? それを巡ってこんな荒っぽいことを?」  
「正確には真実の歴史の証拠ね。それが表沙汰になれば、その国の歴史がひっくり返る。  
現政権が駄目になるだけじゃない。国民のアイデンティティーそのものが崩壊するわ。  
そうなれば、後後の政権だって国民をまとめることが困難になるでしょうね」  
なんだか大きな話になってきた。  
「その国と日本は仲が悪いけど、日本政府は、その歴史の証拠を表沙汰にするのではなく、  
外交カードとして利用するつもりよ。日本国民も、相手国民も知らないところでね」  
「脅すってことですか」  
「ええ。テロリストはそれを阻止しようとしてる」  
「じゃあテロリストって、外国人なんですか?」  
「いいえ、今回のテログループは、ほとんどが日本人」  
「え……何故です」  
「歴史の証拠が両国の関係を現在よりも悪化させると考えているの。皮肉よね。  
私達の組織もテロリストも、日本の為だと思って行動して、敵対しているんですもの」  
難しい話になってきた。  
ここまでくると善悪ではなく、主義とか思想の問題なのではないだろうか。  
僕は沙都美さんに京香ちゃんが連れ去られたことなど、知っていることを伝えた。  
 
「さて、そろそろ行きますか」  
沙都美さんはそう言ってドアに向かった。  
僕は慌てて麻酔銃を拾い、彼女の背中に付いていく。  
ボイラー室の外に出て階段を上がる途中、ふとフロントの方から人の気配を感じた。  
沙都美さんは僕よりも早く察知していたらしく、  
口元に人差し指をやって見せると、忍び足でフロントの様子を伺う。  
「京香さん?」  
沙都美さんが声をかけるが、僕には見えない。  
「……沙都美」  
近付くと、確かにフロントにいたのは京香ちゃんだった。  
こちらに気付いて驚いたようだったが、すぐに微笑を浮かべた。  
手にはボッコちゃん人形を持っていて、この状況ではあまりに不自然だ。  
それに、京香ちゃんはテロリストに連れ去られたのではなかったのか。  
「一人で逃げられたの?」  
沙都美さんの問いに京香ちゃんは苦笑する。  
「スノーモービルは途中で引き返したみたい。私、このペンションの地下室に監禁されていたの」  
ボイラー室の反対側の倉庫だろうか。  
「なんでそんなことを……?」  
凄腕の『かまいたち』である沙都美さんですら、僕がいなければ逃げられなかったのだ。  
けど、あれは協力したなどと言えるものではない。  
不意に先程の行為を思い出し、胸がドキドキした。  
僕と目を合わせたまま、ペニスを淫らに頬張る沙都美さんの光景が蘇る。  
沙都美さんは納得がいかないようだが、京香ちゃんは疑念を遮るように人形を僕らに見せた。  
「この人形の中にメモリーカードが隠されているのね」  
「情報が確かなら、ね。私が取り出すわ」  
「あっ」  
沙都美さんは京香ちゃんの手から人形をひったくった。  
「………」  
なんだか一瞬、京香ちゃんの顔色が変わったような気がする。  
沙都美さんがメモリーカードを取り出す間、京香ちゃんが周囲を警戒し、僕もそれを真似た。  
「あった」  
沙都美さんはメモリーカードを自分のポケットに入れた。  
 
203号室の人質を助けに行く。途中のテロリストを沙都美さんは次々に倒していった。  
最初は頼りないように思えた『かまいたち』だったが、やはり凄かったのだ。  
無事203号室に辿り着き、池谷さん達の拘束を解いた。  
「敵は大分倒したわ。ねぇ君、通信機を聞いてみて」  
沙都美さんに言われ、僕は無線の電源を入れた。  
『味方の損害が大きい! 撤収して次の機会を狙う! 駐車場に集結せよ!』  
体制を整え直そうというのか。ともかく、どうやら僕達は助かったようだ。  
だが突然、京香ちゃんが声を荒げた。  
「沙都美、動かないで!」  
ビックリして振り返ると、京香ちゃんが拳銃を沙都美さんに向けていた。  
「京香、なんのつもりだ!」  
池谷さんが大声を出すが、京香ちゃんは視線を変えず、沙都美さんを睨み続けている。  
「迂闊だったわ。怪しかったのに……」  
それで人形を京香ちゃんの手から奪ったのか。  
溜息を漏らす沙都美さんの銃の先は――下に向いていた。  
もしもそれを構えようとすれば、京香ちゃんは躊躇わず撃つのだろう。そう思わせる迫力があった。  
「京香ちゃん、君も二重スパイだったのか……?」  
なんてことだ……。みゆきさんはテロリストと通じていると思わせて、本当は諜報組織側の人間だった。  
京香ちゃんはその逆。組織側の人間と思わせ、実はテロリスト側の人間だったのだ。  
「さぁ、分かっているでしょう? 変な動きをしたら死ぬわよ」  
彼女から聞いたこともない怖い声が放たれる。紛れもない殺意だ。  
促され、沙都美さんはポケットからメモリーカードを出して京香ちゃんの足元に投げた。  
京香ちゃんは銃口を向けたままそれを拾う。  
「追って来たら撃つわ」  
言い捨て、部屋を出ていく京香ちゃん。  
沙都美さんは舌打ちすると、僕が持っていた麻酔銃を奪って追いかけた。  
 
僕は反射的に後を追った。  
「邪魔よ!」  
そう言われても僕は付いて行った。京香ちゃんの事も気になるが、  
沙都美さんの盾くらいにはなれるではないか、そう思ったのだ。  
僕は、彼女に惹かれているのだろうか。  
バン!  
銃声が鳴り響き、走る沙都美さんの近くに着弾する。  
それでも怯むことなく沙都美さんは後を追う。  
「京香ちゃんを殺すんですか!?」  
「向こうは本気で狙ってるみたいだけどね」  
沙都美さんは冗談めかして言った。  
沙都美さんは驚異的に早い。僕は遅れてしまって、必死に走った。  
玄関付近まで来ると再び銃声が鳴った。だが呻く声が聞こえ、人が倒れる音。  
追い付くと、京香ちゃんが玄関で倒れていた。  
「こ、殺したんですか?」  
「これで?」  
沙都美さんはニッコリして僕に麻酔銃を見せたが、すぐに悲しげになった。  
「……京香さん、私達を殺してメモリーカードを奪うこともできた。  
チャンスはあったはずよ。けど、それをしなかったわ」  
「………」  
捕まった芝居をしたのも、僕達を遠ざけて危害を加えないようにして、  
カードを回収する為だったのだろうか。  
好意的に見れば、そう考えることもできる。  
沙都美さんはしゃがみ込んで、京香ちゃんの頬を撫でた。その表情には憂いがあった。  
多分、仲が良かったのだろう。それがこんな結末になってしまい、  
寂しさと怒りが入り混じった気持ちなのだ。  
このまま玄関に寝かせているわけにはいかない。  
僕は駆け付けた池谷さんと一緒に、京香ちゃんを部屋へ運んだ。  
勿論、逃げ出したり抵抗したりできないように武器は取り上げたし、  
池谷さんが見張りを引き受けてくれた。  
京香ちゃんを運んだ部屋から出ると、表で沙都美さんが待っていた。  
 
「一段落ついたわね」  
「ええ……」  
京香ちゃんがテロリスト側の人間だったのはショックだった。  
それに、僕自身の今後も気になる。以前の生活には戻れないと沙都美さんが言ったが、  
その通りだろうと思う。僕は色々と知り過ぎたのだ。  
「不安そうね」  
「そりゃあ……」  
「来て」  
沙都美さんは僕の腕を引き、自分の部屋に連れて行った。  
ドアを閉めて僕をベッドの端に腰掛けさせると、隣に並んで座る。  
「一生監視付きの生活を送るか、私達の組織の一員になるかね」  
「それしかないんでしょうか」  
「おすすめは私達の仲間になること。多分、テロリスト達は君のことも調査するはずよ。  
一緒にいれば守ってあげられるし、君自身が自分を守るすべを学ぶこともできる」  
「………」  
「歓迎するわよ」  
握手を求められ、僕は沙都美さんの手を握った。  
だが手を離すと、沙都美さんは僕の股間へ手を伸ばした。  
「さ、沙都美さんっ?」  
「私、あなたのこと気に入ったの」  
「え、ええ?」  
沙都美さんの瞳には妖艶な輝きがあった。  
「あの時ね、君のオチンチンをしゃぶってて私、濡れてたのよ?」  
「ぬ、濡れて……」  
言葉の意味を理解し、僕の心臓の鼓動は早まった。  
「愛撫なんかされなくても濡れちゃう。あの続きがしたいの。君は嫌?」  
「い、嫌なわけ――」  
こんな美人に迫られて嫌な男などいるはずがない。問題は拒むこどうかだけど……。  
 
「良いわよね」  
沙都美さんは僕の服に手をかける。抵抗もせず脱がされていき、とうとう下着だけになった。  
だが沙都美さんの手がトランクスをずり下げようとした時、反射的に腰を引いてしまった。  
「なに恥ずかしがってるの。もうオチンチンだって見てるし、口でだってしてあげてるんだから」  
それはそうだけど……。  
本当に、僕はこんな綺麗な人とセックスできてしまうのだろうか。  
欲求不満ゆえの夢ではないのか。そう、スパイだって、テロリストだって……。  
アパートとアルバイト先を往復するだけの生活。女性と触れ合う機会も少ない。  
京香ちゃんに会いたい。そんな願望が、  
偶然再会するような夢を見せているのかも知れないのだ。  
見せつけるように自分の服も脱いでいく沙都美さん。  
再び目にする肌は、やはり眩しいほど美しかった。  
ニーソックスとショーツだけになった肢体。  
そのスタイルの良さに、一気に欲情が湧き上がるのを自覚する。  
「ねぇ、触って」  
沙都美さんは僕の手を取って乳房へと導く。  
「………」  
促されるまま、両手で両方の乳房を揉んだ。  
柔らかい、だけじゃなく若々しい弾力と滑らかさもある。  
自分の行為によって形を変える膨らみを、僕はどこか惚けたように見つめた。  
こんなにも現実味のある感触が夢であるはずがない。  
「さっきは私がしてあげたんだから、今度は君が私を気持ち良くする番」  
沙都美さんはベッドに仰向けになる。  
「来て」  
妖艶な誘う瞳、肢体、仕草には抗いようがない。  
 
僕は彼女に覆いかぶさり、キスをした。  
舌を出すと沙都美さんも応じ、舌同士を絡ませ、唾液を交換する。  
今度は乳房にむしゃぶりつく。  
「もう、せっかち」  
指摘された通り、焦っているのは分かる。しかしどうしようもないのだ。  
強く乳首を吸う。沙都美さんは、そんな僕の行為を受け入れて声を出した。  
「あん」  
僕は体中に唇を這わせて愛撫した。お腹、背中、お尻。腕も脚も。  
そしてショーツをずり下げ、脚を開かせて秘裂を舌でなめ上げる。  
「あぁ……」  
喘ぎ声が艶かしく、しっとりしてくる。  
「あの男、私のことを淫乱だって言ったでしょ。あれ本当よ。  
でも誰が相手でも良いわけじゃない。相手は選んでる」  
「僕で良いんですか?」  
「いまさら何? オッパイだってオマンコだって好きにしてるじゃない」  
そうだ。沙都美さんは僕に対し、脚を無防備に開いてくれているのだ。  
指先で小陰唇を拡げて、膣口もクリトリスも音を立てて執拗に責めた。  
沙都美さんは勃ったクリトリスを吸うと特に敏感に反応して、ベッドのシーツを掴んで体をよじる。  
「はぁん……もう我慢できない。挿入させて」  
沙都美さんは僕を仰向けに寝かせると、顔を見せるように跨ってきた。  
僕の拙い経験を承知してくれているのか、主導権を握ってくれる。  
沙都美さんは硬直したペニスを手に取って、亀頭を割れ目に擦り付けた。  
「うう」  
僕は呻いてしまった。  
クチュ  
何度か割れ目を往復した後、とうとう亀頭の先端が膣内へ入り、  
彼女は少しずつ、ゆっくりと腰を落としてゆく。  
 
沙都美さんの中は窮屈で、熱いくらいだった。  
十分に濡れている。しかも膣壁自体がペニスを求めているかのように絡みついてくる。  
ペニスを奥まで受け入れた沙都美さんは、「ふぅ」と少し長い息を吐いた。  
「硬いのね。一度抜いてあげてるのに」  
恍惚を浮かべた彼女の表情の、なんと淫らなことか。嬉しくなるほどだ。  
「あぁん」  
ゆっくり、亀頭と竿の感触を確かめるように腰を前後に振って甘く喘ぐ。  
「ねぇ、私のオマンコ、気持ち良い?」  
「す、凄い締まってて、最高ですよ」  
「もっと気持ち良くしてあげる」  
沙都美さんは脚をM字に開くと、両手を後ろにやって僕の両脚へと置く。  
グチュ グチュ  
上下にピストン、怒張したペニスが愛液に濡れ、膣内へ飲み込まれるのがよく見えた。  
次第に腰使いが早くなり、パン、パンと二人の肌がぶつかる音。  
「はぁっ……うぅん」  
沙都美さんの呼吸も激しくなり、乳房が大きく揺れる。  
「良い! 君の生チンポ良いよ!」  
ペニスを挿入されたまま、沙都美さんは器用に体位を背中を向けるように変え、さらに激しく動いた。  
ふっと体が汗ばみ、沙都美さんの香りが鼻先を刺激する。  
それは情事の香りと入り混じって、ますます淫猥さを煽った。  
振り返り、僕に問う。  
「挿入ってるところ見える? 君のオチンチンが私のオマンコに挿入ってるところ」  
「見えます。凄くエッチで、興奮し過ぎてどうにかなっちゃうかも……!」  
「お願い、後ろから突いて。私、それが好きなの」  
沙都美さんは体を離すと四つん這いになり、自ら指で秘裂を拡げながら求めてきた。  
引き締まりながらもムッチリと肉感的なヒップ。男根に貫かれることを期待してうごめく膣口。  
僕は我を失いそうになりつつ、要望のままペニスを膣口にあてがい、バックで挿入した。  
「あぁんっ!」  
パンッ! パンッ!  
催促もないうちに早く、強く腰を打ち付ける。  
「はぁん、激しいの大好き! もうイッちゃうよ!」  
「僕も、イキそうです!」  
「良いよ、このまま出して! オマンコに君の精子出して!」  
「沙都美さん!」  
ドクッ ドクッ  
僕は射精し、白濁液を沙都美さんの膣内へと放った――。  
「はぁ……はぁ……」  
二人同時に絶頂を迎えた後、沙都美さんはうつ伏せになって呼吸を整えていた。  
「凄かった。素敵よ、君」  
セックスの余韻を含んだ顔を僕に向け、沙都美さんは微笑む。  
ペニスが抜かれた膣口からは僕の精子が垂れ流れ、シーツを汚していた。  
 
 
おわり  
 
 

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