「かまいたちの夜」というゲームがある。
このゲームは、何故だか分からないが許可無く僕達を勝手に実名で登場させたタチの悪いゲームだ。
「一体何の目的で!?」と抗議を模索していたところ、何と向こう側から僕達を「別荘へ招待する」という手紙が届いた。
「面白い…!僕達を勝手にゲームで使ったことをタップリ後悔させてやる!!」
「でも何の為にそんなことをしたんだろう?」
「さぁ……」
「不愉快だな。ねぇそう思いませんか?香山さん」
僕はこのクルーザーの持ち主にそう問いかけた。
すると横から、
「あら、私は結構楽しめたわよ。売れてるゲームみたいだし」
「え……」
実に真理らしい受け答えだ。
僕はそのゲームをやってはいなかったが、その内容は人から聞いていた。
登場人物はあの時ペンションにいた顔ぶれとほぼ同じ。
性格や姿形はデフォルメされていたが、名前は実名のままだそうだ。
でもあの時、我孫子なんて奴は泊まってなかった。
「ねえ、島よ!」
真理が叫んだ。
「…浜に誰かいるみたい…」
「よっしゃ!いっちょ免許取り立てのクルージングで派手なご挨拶といくか!!」
「……へ?!」
聞き間違いか?
今とてつもなく不気味なセリフが夏の陽気で爽やかに聴こえたのは?
ガリガリガリ!!
クルーザーが規則的なヤバイ音を立てた。
「アカン。暗礁に乗り上げてしもうた……」
「え〜!?」
「しかも今のでスクリューをやられてもうた……」
「えぇ〜!?」
僕は
A:「真理〜!!」と抱きついた。
B:「お母さ〜ん!!」と叫んだ。
C:どうしようも出来なかった。
B:「お母さ〜ん!!」
そして僕の脳裏に母親との思い出が走馬灯のように駆け巡った。
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『化け物!!』
::::
「…る、透……」
「…真理…ここは天国……?」
「何言ってるのよ。無事だったのよ。私達」
「……」
「透?」
「…良かった〜!!」
僕は脱力から真理にもたれ掛かった。
「あらあら、よしよし!ボクちゃ〜ん。もう安心でちゅよ〜v」
「……」
さっきのあのセリフのせいですっかり子供扱いされてしまった。
「ママのおっぱいいる?」
僕は
A:「うん!」と言った。
B:「ふざけるな!」と不貞腐れた。
C:「ヤメロ!」と真理を燃やした。
続く。