真理と入籍し、僕は小林透になった。シュプールの経営も何とかやっているし、  
僕の料理の腕も少しずつだが上達している。このまま順調にいけば良いのだけれど……。  
そんな時、美樹本さんがシュプールにやって来た。  
仕事で白馬の風景を撮影するという。アシスタントを務める可奈子ちゃんも一緒だ。  
予約の時、二人の部屋が一緒なので少し驚いたが、それでは結婚もあるのかな、  
と僕と真理は微笑ましい気持ちになったりした。  
「やぁ」  
到着した美樹本さんは気さくに接してくれる。可奈子ちゃんも笑顔で、二人の仲は順調らしいと僕は嬉しかった。  
夕食が終わり、僕は後片付けをしていた。そこへ美樹本さんが顔を出す。  
「あ、どうしたんです?」  
「ん、仕事が済んだら、俺達の部屋に来てくれないかな」  
「え、どうしました?」  
料理に不都合でもあったのだろうかと、僕は少し緊張した。そんな気持ちを察したのか、美樹本さんは微笑む。  
「なに、大したことじゃないよ。でも真理ちゃんには内緒だぜ?」  
大したことじゃないのに真理に内緒? 僕は少し訝しがったが、大した警戒もせず頷いていた。  
仕事を終わらせた頃には、だいぶ時間が経ってしまっていた。  
楽な仕事なんかないよな、といつものように自分に言い聞かせながら、階段を上る。  
美樹本さんと可奈子ちゃんの部屋に向かい、ドアをノックした。  
時間はもう遅い。普通なら、こんな時間にお客さんの部屋を訪ねたりしないのだが、  
そのお客さんである美樹本さんに言われたのだから仕方ないだろう。  
ガチャ、とノブが回り、ドアが開いた。  
「来てくれたんだな」  
美樹本さんは嬉しそうにし、僕を室内に招き入れた。  
「一体、どうなさったんです?」  
一応、僕は苦情を警戒していた。この仕事を始めて、理不尽な文句を幾度も受けていた。  
美樹本さんがそんなことを言うとは考えにくいが、もう職業病になってしまっている。  
「真理ちゃんには内緒で来たんだよな?」  
「ええ、まだ仕事があるって言って、先に休んでもらいました」  
「そうか」  
美樹本さんはニッと笑い、可奈子ちゃんに目配せした。  
「……?」  
不思議に思う僕をよそに、可奈子ちゃんは服を脱ぎ始めていた。  
 
「か、可奈子ちゃん……?」  
僕は目を丸くして、制止しようとした。だが美樹本さんが止める。  
「透君、可奈子とセックスしてくれよ」  
「な、何です?」  
「そのままの意味だよ」  
「み、美樹本さんは、可奈子ちゃんと付き合っているんですよね?」  
「そうだよ」  
「だったら――」  
僕は美樹本さんを軽蔑した。彼は、僕と可奈子ちゃんがセックスしている様を見て楽しむつもりでいる。  
可奈子ちゃんは、美樹本さんにとって性的な欲求のはけ口でしかないのか。  
だが美樹本さんは、  
「勘違いするなよ。俺は可奈子を愛している。だからこそ、他の男とセックスしていることに興奮するんじゃないか」  
「そんな……」  
「透君、確かに俺みたいな性癖は少数派だろうさ。だがね、だからといって謗りを受けるいわれはないよ」  
「でも可奈子ちゃんが――」  
言いかけた僕の股間を、可奈子ちゃんが裸でまさぐっていた。  
「か、可奈子ちゃん……」  
「透さん、私ね、こういうふうになってしまったの。洋介の前でセックスすると興奮するし、彼も喜んでくれるのよ」  
可奈子ちゃんはチャックを下げ、僕のペニスを素早く露出させていた。  
「こんなことって……」  
僕の性器を快感が襲っていた。可奈子ちゃんは突っ立ったままの僕の前でしゃがみ、  
エッチな顔をしながらペニスをさすり、吐息をかけている。  
みるみるうちに隆起し、ペニスは硬くなった。  
「さすが、若いね。羨ましいな」  
美樹本さんは自分の服を脱ぎ、ベットの上であぐらをかく。完全に傍観するつもりでいる。  
可奈子ちゃんはペニスを口に含んだ。  
「う……」  
信じられない。真理以外の女性が、僕にこんなことをするなんて……。  
そうだ。嫌なら拒否すればいい。それなのに僕は、真理以外の女性を知ってみたくて抵抗しないでいる。  
なんて卑劣なのだろう。真理に対して。  
裏筋をなめ上げられ、亀頭をペロペロと刺激される。  
「あぁ……」  
同じフェラでも、する人が違うとこうも感触が違うのか。  
僕は真理しか知らなかった。そんな性体験に、可奈子ちゃんが加わった。  
 
可奈子ちゃんはペニスを咥え、口の中でも舌を使い、そしてストロークする。  
快感のあまり、足に力が入らず立っているのが辛くなってきた。  
「はぁ、はぁ、可奈子ちゃんのフェラ、気持ち良過ぎるよ」  
可奈子ちゃんはフェラチオをしながら、自分のクリトリスも弄っていた。  
「ふふ、真理さんはフェラチオ、あんまり好きじゃないのかしら」  
分からない。けど、そうなのかも知れない。  
「もう我慢できないわ」  
可奈子ちゃんは立ち上がり、僕をベッドに誘った。僕は誘われるがまま、ふらふらとベッドの上に仰向けになる。  
裸になった僕に覆いかぶさり、可奈子ちゃんは乳首を吸ってきた。  
「うっ」  
段々と範囲が拡がり、首筋、腹部も愛撫される。  
真理は、こんなにセックスに対して積極的ではない。恥ずかしさもあるのだろうけど、  
はっきり言っていつも僕が主導していて、虚しくなることさえあった。  
セックスという行為が、僕の独り善がりに思える時があるのだ。  
忙しさもあいまって、僕と真理が体を重ねる機会は減っていた。  
それにしても、女性からの愛撫がこんなに気持ち良いものだとは……。  
すっかり硬直した僕のペニスを見て、可奈子ちゃんは物欲しそうに唇を濡らした。  
「挿入るわよ」  
可奈子ちゃんは僕に顔を見せるように跨って、ペニスを膣口にあてがう。そして、ゆっくり腰を落とした。  
亀頭が膣内に割り挿入っていく感触に呻く。僕のペニスは、騎乗位で可奈子ちゃんの中に受け入れられた。  
「あん、硬い」  
「う、可奈子ちゃん」  
俺は動こうとする可奈子ちゃんの腰を持って、待ってもらった。  
「ふふ、イキそうになっちゃった?」  
「う、うん」  
「じゃあ、ゆっくり動かすわね」  
言葉通り、可奈子ちゃんは静かに腰を動かした。  
僕のペニスが、真理以外の女性のオマンコに生で挿入ってしまっている。  
事の重大さに驚愕するのだが、欲情の高まりには勝てず、僕は腰を動かしはじめていた。  
「いいぞ、透君。もっと、もっと可奈子を犯せ」  
見ると、隣のベッド上で美樹本さんは自分の男根を握っていた。  
素晴しいスタイル、男を誘うように揺れる乳房。僕は魅了されずにはいられず、その膨らみを掴み、揉みしだく。  
「どう透さん、私のオマンコ、真理さんのと違う?」  
「ち、違うよ。人によってこんなに差があるなんて、知らなかった」  
 
僕は体を起こしてキスをする。唇、舌を吸い、押し倒して正常位で激しく突く。  
「あぁん、上手よ!」  
お世辞でも良い。こんなこと、真理は言ってくれない。  
「気持ち良いよ可奈子ちゃん! 可奈子ちゃんのオマンコで、僕のペニスが溶けちゃうよ!」  
「うっ、あぁんっ!」  
可奈子ちゃんの膣内がギュッと締まり、僕はその中に白濁液を放つしかなかった。  
「はぁ、はぁ」  
絶頂を向かえ、僕たち二人は抱き合ったままだった。  
そこへ、美樹本さんがベッドに乗ってくる。  
「良かったよ、透君。可奈子も気持ち良さそうで、いい顔してた。写真に収めたくて仕方なかったくらいだ」  
僕のペニスが抜かれた可奈子ちゃんのアソコを、美樹本さんは拡げる。  
「イヤらしいな。こんなにたくさん中出しされて。奥で出したはずなのに、もう精子がドロドロ流れ出てる」  
「嬉しいくせに」  
可奈子ちゃんは微笑んだ。  
「まったくだ」  
その時だった。カチリとロックが外れ、ガチャッとドアが開く音が背後でした。  
僕は振り返る。そこには真理がいた。手にマスターキーを持っている。  
「ま、真理」  
「透……」  
真理は顔を赤く染めながら、ドアを閉めると服を脱ぎだす。  
何がどうなっているんだ?  
白く、美しい肌を晒した真理に美樹本さんは近付き、抱き寄せる。  
唖然とする僕をよそに、二人は舌を絡ませた。  
「み、美樹本さん、どういうことなんです?」  
「君には内緒だったが、俺と真理ちゃんは以前から何度か関係があったんだ。  
君とのセックスじゃ、なかなか満足できないと言うんでね。  
でも、いきなり全てを話したら君はここに来なかっただろう?」  
真理は潤んだ瞳で僕を見た。  
「ごめんね。でも裸で透に素直になるには、これしかないのよ。だから見ていて」  
真理と美樹本さんはセックスを始めた。僕の目の前で。  
「真理ちゃん、濡れるの早いよ。やっぱり透君に見られているからだろう?」  
真理は時折、僕に視線を向けて気恥ずかしそうにする。  
「ああっ、美樹本さんの、やっぱり大きい!」  
美樹本さんは立ちバックで真理にペニスを挿入した。突かれる度に、真理の美しいオッパイが揺れる。  
 
「透さん、真理さんが自分以外の男とセックスしてるの見て、興奮してるんでしょ?」  
耳元で可奈子ちゃんが囁いてきた。  
「そ、そんなこと……」  
「だって、ほら」  
可奈子ちゃんは僕のペニスを握り、シゴく。  
「私に中出ししたばかりなのに、もうこんなに硬くなってる」  
「………」  
何を言い返せなかった。確かに僕は、真理が美樹本さんに抱かれているのを見て興奮し、鼻息を荒くしているのだから。  
僕は、彼と同じ性癖の持ち主だったのだ。  
「透、もっと私を見てっ」  
真理が懇願した。  
「透の目の前で、美樹本さんにオチンチン挿入られて、感じちゃってる私を見て!」  
「そうだぜ、透君。その方が真理ちゃんが喜ぶんだ。だから――ン!」  
美樹本さんは突如呻き、真理の膣内に射精していた。  
「はぁ、はぁ、いつもより締りが強いから、つい……」  
ペニスを抜かれ、ふらついた真理を僕は支えた。虚ろな、快楽に酔いきった目をしている。  
「真理、そんなに美樹本さんのペニス、良かったのか?」  
「……うん」  
気が狂いそうな嫉妬と、欲情の渦が僕を操っていた。  
僕は疲れているはずの真理に、立ったまま前から挿入した。  
「あぅん!」  
真理は声を上げ、僕にしがみ付く。  
「真理、真理!」  
憑かれたように腰を振り、真理を突き上げる。  
美樹本さんが言った通り、いつもより締め付けが強い。まるで手で握られているみたいだ。  
「透、気持ち良いよ!」  
「僕だって! 真理、最高だよ!」  
真理は以前から、僕に内緒で美樹本さんと寝ていた。  
悔しい。そんなことも知らず、僕は美樹本さんが抱いた後の真理を抱いていたかも知れないのだ。  
だがその腹立たしさが、更に僕の情欲を掻き立てていた。  
「はぁん!」  
ベッドの方から声がし、見ると、四つん這いの可奈子ちゃんに美樹本さんがバックで挿入していた。  
「俺の前で、透君のペニスを美味そうにマンコに咥え込みやがって!」  
そうは言うが、美樹本さんは嬉しそうに口端を上げている。  
「あん! 洋介、良いわ! もっと突いて!」  
僕たち四人は、そのまま夜が明けるまで享楽にふけった。  
時折、パートナーを交換しながら。  
そうだ、今度は俊夫さんとみどりさんを呼んで、六人で楽しむんだ。談話室でするのも良いな。  
話すと、みんなが賛成してくれた。  
 
 
おわり  
 

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