僕は矢島透。我孫子武丸から招待状を送られ、この三日月舘にやって来た。  
応接室で皆と飲んだ後、僕は再会した真理と話でもしようと思ったのだが、  
下心を見透かされたのか、真理は気分が悪いと言って、部屋に戻ってしまった。  
仕方ないと、ほろ酔いの僕は自分の部屋に戻ってベッドに横になる。  
コンコン  
ノックがした。もしかしたら真理かも知れないという期待で、胸が高鳴る。  
「真理かい? 開いてるよ」  
僕が応えると、キィッとドアが開いた。  
「おう、真理ちゃんとは一緒やないんか」  
「香山さん?」  
香山さんが夏美さんの肩を抱きながら、部屋の中に入って来た。  
二人はかなり酔っている。ここで飲み直そうとでも言うのだろうか。  
「な、何でしょうか」  
「ああ、ええのや。そのままベッドで寛いでくれ。ただなぁ」  
「ただ?」  
「わしらのセックス、そこで見とって欲しいんや」  
「……え?」  
絶句する僕をよそに、二人はキスをして舌を絡ませる。  
「あ、あのー」  
「いやな、せっかくの旅行やし、何かいつもと違う、刺激的なプレイがしとうなってな」  
「なぁ、ええやん?」  
夏美さんは艶めかしくしなを作り、決まっているかのように言う。  
二人は僕の返答も待たず抱き合い、体を密着させた。駄目だ、もう始まっている。  
だが、僕は卑怯だった。少し声を荒げれば、二人は謝って部屋を出て行くだろう。  
しかし、それができないでいる。  
酔いのせいもあるだろうが、女性経験のない僕は、セックスを目の前で見てみたかった。  
その欲求に、僕は負けたのだ。  
二人は僕の心理など知っているかのように微笑み、行為を続けた。  
香山さんは脱ぐのを待ちきれないといった様子で、  
夏美さんのチューブトップをずり下げ、下着を剥ぎ取る。  
プルン、とした若々しい乳房に、僕の視線は釘付けになった。  
香山さんは乳首を口に含み、音を立てて吸う。  
 
「ンン、彼、こっち見とるわ」  
「今さら何や、透君の前でしよ言うたの、夏美やで?」  
夏美さんは僕を見て、  
「だって彼、けっこう可愛いんやもん。なぁ、あんたも混ざらへん?」  
僕は、言葉の意味に呆然としてしまった。  
「夏美、透君としたいんか?」  
「あかん?」  
「そんなことないで。わしも混ざっとるなら、夏美の好きにしてええ」  
夏美さんはニッコリして、「どうや?」と訊いてきた。  
「い、いえ、僕は結構です」  
さすがに断った。僕は、自分が性に関しては真面目な部類だと思っているし、  
第一、この館には真理がいるのだ。同じ屋根の下で、そんなことをする気にはなれない。  
夏美さんは一瞬、表情を曇らせたが、  
「何や、せっかく気持ち良くしてあげよ思うたのに」  
クスッと笑うと、僕に見えるように口を開き、フェラチオをするように舌をイヤらしく動かした。  
「………」  
僕は、生唾を飲んでしまった。  
夏美さんはタイトスカートをまくし上げると、中に手を入れて、黒色の刺激的なパンティーを下げる。  
一々僕が反応するのを楽しそうにし、パンティーを僕の方へ投げて寄こす。  
僕は、反射的にそれを受け取ってしまった。  
妖艶な瞳で僕を一瞥し、香山さんの前でしゃがむと、ズボンのチャックに手をかける。  
慣れた手付きで大きなペニスを取り出し、半勃ちになっているそれを、口に含んだ。  
チュパ チュパ ジュル  
フェラチオが始まった。AVでしか見たことがない行為が、今、目の前で行われている。  
「気持ちええわ。さすがのテクや」  
香山さんが快感の息を漏らした。夏美さんは自分のクリトリスをいじり始める。  
僕は緊張の余り、喉が渇いていた。股間のソレは、ズボンの中で痛いくらいに膨張している。  
もし、お願いしたら、あの夏美さん舌が、僕のペニスに絡み付くかも知れないのか……。  
その光景を想像すると、ますます股間が疼いてしまった。  
「夏美、チンコ挿してもエエか?」  
「ええよ。奥まで挿入てな」  
夏美さんは壁に手を付いて、お尻を香山さんに向ける。  
両脚の間隔は、香山さんのペニスの位置を十分把握したものだった。  
「しっかり見とって」  
夏美さんは振り向くと、僕に言った。  
「いくでぇ」  
グッと、香山さんの腰が夏美さんに打ち付けられる。  
「あっ、はぁん」  
夏美さんは体をくねらせ、甘い声を出した。  
僕は思わず視線を下げ、二人の性器が重なる結合部を凝視していた。  
「どうや、夏美ぃ」  
香山さんは熟練した腰使いで、夏美さんを攻め立てる。  
「あっ、あっ、ええよ」  
夏美さんは時折呻きながら、快感の声を何度も出した。  
僕からは、夏美さんのマンコにペニスが突き挿入られるところが丸見えだった。  
グチュ グチュ  
愛液に濡れたペニスが、マンコに飲み込まれながら締め付けられているのが分かる。  
 
「どうや透君、スケベやろ」  
今度は香山さんが振り向いた。  
「混ざりたいやろ?」  
「い、いえ……」  
夏美さんがまた振り向く。  
「そんなん顔真っ赤にして、チンチン硬くして、なに見栄はっとんの?」  
僕のペニスは、ズボンの上からでも完全に分かるほど勃起していた。  
恥ずかしさに、何も言い返せない。  
「ちゃんとお願いし。そしたら、一緒になってしたげるわ」  
夏美さんはペニスを挿入られたまま、色っぽい目で僕の返事を待っている。いや、待ってくれていた。  
「……お、お願いします。僕も、混ぜて下さい」  
僕は屈服した。これ以上ないくらいに顔が熱くなっていた。  
夏美さんは満足そうな笑みを見せる。それは香山さんも一緒だった。  
「ふふ、ここは譲るで」  
香山さんはペニスを夏美さんの膣から引き抜くと、観戦とばかりに、壁に背を預けた。  
夏美さんは僕に近付き、ベッドの上に乗ってくる。  
「素直が一番や」  
夏美さんは、僕の体を触りながらキスをしてきた。  
「……ン」  
甘美な、女性の色香に包まれる。僕は容易に魅入られてしまった。  
夏美さんの舌が僕の唇を開かせ、中に入ってくる。  
ピチャ ピチャ  
絡み合う舌。注がれる唾液。  
僕は服を脱がされ、うつ伏せにさせられる。夏美さんも全ての衣服を脱いでいた。  
「夏美さん、僕、こんなことしたことがなくて」  
「ふふ、じゃあ、うちが初めての女やね」  
初めての女……。その言葉に、ますます緊張してしまった。  
スタイルが良く、艶めかしい。そんな体が、僕の背中に重ねられる。  
「気持ちええ?」  
耳元で囁かれる。夏美さんは脚など全身を使うが、特にオッパイを意識的に押し付けてくる。  
柔らかさとハリ、勃った乳首の感触に、僕はこれで射精するのではないかと心配した。  
「なぁ、うちのことも気持ち良くして」  
「は、はい」  
体勢が入れ替わって、また絡み合う。  
腕と腕が触れただけでも気持ちが良いくらいだというのに、  
夏美さんは積極的に、僕に愛撫の仕方を教えてくれた。  
僕は色、形の良いオッパイを揉み、乳首をなめる。  
「初々しいのもええね」  
夏美さんは嬉しそうにし、「吸うて」とねだってくれる。  
 
僕は言われた通りにした。夏美さんの反応を見ながら力を加減し、時には強く吸ってみたりする。  
「ンン……上手や。痺れそう」  
「夏美、ホンマに感じ取る声やないか」  
香山さんは笑う。  
「だって、ええんやもん」  
僕は吸い続けながらも、女性が自分の行為で感じていることに内心、驚きというか、不思議な感覚がしていた。  
「うちからのご褒美や」  
夏美さんは体を起こすと、僕の股間に手を伸ばした。  
「うっ」  
ペニスに触れたかと思うと、シゴかれる。自分の手では絶対に得られない、女性の手の感触だった。  
息が荒くなる僕への追い討ちとばかりに、夏美さんは僕の股間に顔を埋めた。  
「な、夏美さん……」  
いきなり口に含まれる。そして、フェラチオが始まった。  
何もかもが初めての感覚。その一つ一つに、僕は快感のあまり、どうにかなりそうだった。  
「うち、もう我慢できへん。ええやろ?」  
夏美さんは欲情しきった顔で仰向けになり、僕のペニスの挿入を待った。  
僕は脚を開かせ、ペニスを持って膣口をさがす。  
「ここや」  
夏美さんはペニスを持って、自分から膣口に押し付ける。  
「なぁ、早く」  
「は、はい」  
意を決し、僕のペニスは正常位で夏美さんの中に挿入った。初めて経験する、女性の膣内……。  
「あぁん」  
夏美さんは、うっとりした顔で僕と目を合わせる。  
「若いチンチン、久しぶりや」  
「何や夏美、若い方がええのか? 少し妬けるわ」  
香山さんが寂しそうに言う。  
「何言うてんの。セイちゃんの方がおっきいし、それに、誰にも真似できへん腰使いがあるやないの」  
「ん、そうやなぁ」  
香山さんは、あっさり元気を取り戻す。  
夏美さんは僕の目を見つめ直した。  
何て素敵な瞳なのだろう……。僕は胸は、今までと違う高鳴り方をしていた。  
「うちの中、気持ちええやろ?」  
「は、はい」  
「どんなふうに?」  
「温かくてヌルヌルしてて、凄く締め付けられます」  
「ここは自信あんねん。うちのマンコ、名器や」  
そう言って、微笑する。その笑みの中に、どこか自嘲的なものを感じたのは気のせいだろうか。  
 
「さぁ、動いて」  
僕は腰を動かした。  
「あっ、あっ……」  
快楽と夏美さんの喘ぎに段々と大胆になり、僕の動きは早くなっていった。  
「ン、上手や。ホンマに初めて?」  
「は、はい。頭の中が、真っ白です」  
僕は夏美さんに覆いかぶさり、続ける。  
「あんっ、あんっ」  
「夏美さんは気持ち良いですか?」  
「うん、ええよ」  
何だか嬉しくなる。愛液が増えている気がしたので、本当だと思った。  
「ぼ、僕、もうイキそうですッ」  
堪らず表情が変わる。すると夏美さんは、腕と脚を僕の体に絡ませてきた。  
「な、夏美さん……!?」  
「うちの中で、イッてええよ」  
「そ、そんな、ああっ、夏美さん!」  
僕は体を離すことができず、だが腰の動きを止めることもできず、夏美さんの中に射精していた。  
「はぁ、はぁ……」  
僕は射精後の余韻の中にいた。だがやはり、膣内射精したことが気になる。  
「透君、人の女房に中出しとは、ええ度胸やな」  
香山さんが言う。  
「す、すみません」  
僕はペニスを抜き、謝った。だが、  
「はは、冗談や。目の前で中出しされる女房見て、わしが一番興奮しとるんや」  
「え?」  
香山さんは豪快に笑う。  
「そうなんや。困った旦那や」  
夏美さんも笑っていた。  
「それにしても凄いわ。溜めとったの?」  
夏美さんは手でアソコを拡げて見せる。膣口から、自分でも驚く量の白濁液が流れ出ていた。  
「さぁて、そろそろ、わしも混ぜてもらうで」  
僕と香山さんは、夏美さんを挟むように座った。  
自然と僕が左半身を、香山さんが右半身を担当して、夏美さんを愛撫する形になる。  
「夏美、男二人に挟まれて幸せやろ?」  
「めっちゃ興奮するわ。なぁ、マンコもいじって」  
 
香山さんがオッパイを揉みながらキスを始めたので、僕が夏美さんのマンコに指を挿入した。  
動かすと、残っている僕の精子が掻き出される。中出しをしたんだという実感が、強くなった。  
突然、夏美さんがビクンッと体を震わせる。  
「そこ、そこや」  
今にもイキそうな顔で、僕に懇願した。  
「透君、思いっきし掻き回すんや」  
ニヤつく香山さんの後押しを受け、僕は挿入している指を素早く動かした。  
「ああん! ああっ!」  
クチュクチュと液が溢れるのが分かる。僕は鼻息を荒くしながら続けた。  
そして夏美さんは声を上げ、潮を吹いた。  
「はぁ……はぁ……」  
夏美さんは仰向けに倒れた。  
「あんた、もしかして凄く上手になるんとちゃう?」  
「そ、そうでしょうか」  
僕は答えようがなかった。  
夏美さんはふふっと笑うと、突然、僕を押し倒して跨った。  
「ええやろ? 挿入るで?」  
夏美さんは僕のペニスを持って、膣口に当てる。そして体を沈めた。  
「な、夏美さん……!」  
騎乗位で、僕と夏美さんは再び繋がった。  
「真理ちゃんのこと、忘れさせたる」  
「え――?」  
夏美さんは腰を動かし、時折グラインドも加えた。  
「うわっ」  
あまりの快感に、僕は気が遠くなるような錯覚がした。  
「わしのことも構ってや」  
香山さんは夏美さんの傍に立ち、フェラチオをさせる。  
上の口でチュパチュパと、下の口でグチュグチュと、イヤらしい音が鳴る。  
僕は揺れるオッパイを下から揉みしだいた。  
「さぁて、そろそろ挿入させてもらうで」  
代わるのだ、と思ったが、香山さんは僕にニヤリとして、夏美さんの後ろに回った。  
「ほれ」  
背中を押し、夏美さんの上体が前に傾く。  
「夏美ぃ」  
「分かっとるから、焦らんといて」  
夏美さんは物欲しそうに唇を濡らして、お尻の角度を変えた。腰の動きが止まり、僕も悟った。  
香山さんは、夏美さんのお尻の穴にペニスを挿入した。  
「ああんっ!」  
「どうや、夏美!」  
「ンン……二本挿しは、うちも初めてやねん」  
「苦しいかいな」  
「うん……でも、慣れてくると思うわ」  
「透君、まずは、ゆっくりいこか」  
「は、はい」  
 
僕と香山さんは腰を動かした。  
「あっ、あっ……」  
僕は心配したが、夏美さんの表情には、次第に恍惚が浮かんでくる。  
「もっと、もっと早くしてええよ」  
突き挿入る速度は段々と増し、夏美さんは口端から涎を垂らす。  
「透君、もう思いっきし突いたれ」  
「え、でも……」  
「夏美、大丈夫やろ? わしも突きまくるで」  
「うん。二人とも、うちを犯して」  
夏美さんは、乱れた呼吸の中で言った。  
僕と香山さんは全力で、激しく夏美さんを突いた。  
「ああっ! ああっ!」  
夏美さんは叫ぶように喘ぐ。  
僕は、完全に快楽の虜になっていた。他のことはどうでもよくなって、  
同じ館の中に真理がいることも気にしなくなっていた。  
ただひたすら、快感を求めて夏美さんを突き上げていた。  
「あぁんっ、うち、イッてまう!」  
「夏美、両方の穴に挿入られてイクんか!? だったら、両方に中出しや!」  
「出して! 両方に、一緒にィ!」  
絶頂を迎える夏美さんは、さらに強くペニスを締める。もう限界だった。  
ドクッ ドクッ  
僕は、再び膣内に射精した。  
夏美さんは痙攣したみたいに体を震わせ、僕に倒れ込む。  
表情からすると、どうやら香山さんもイッたようだ。  
「はぁ……はぁ……最高やったな」  
香山さんはお尻からペニスを抜いて、大きく息を吐いた。  
「こんなん、止められなくなるわ……」  
夏美さんは僕の胸の上で呼吸を整えながら、淫猥な笑顔を見せる。  
「これからも、ちょくちょく集まってやろうや」  
香山さんはそう言うと、ハッとして僕を見た。  
「そうや透君、就職はもう決まったか? まだやったらウチ来んか?」  
「え?」  
「ウチはええで。実力主義や。若いモンが十年目の奴より給料もろたり、平気でしとる」  
「は、はぁ……」  
僕のペニスは夏美さんに挿入ったままだと言うのに、香山さんは熱弁し始めた。  
「ええやないの」  
夏美さんは僕に微笑む。  
「大阪に来れば、いつでも三人でできるやん」  
「世の中、不況や不況や言うやろ? ウチはな、そんなもん――」  
 
 
おわり  
 

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