香山さん夫妻と大変なことをしてしまった……。  
そのせいで、朝食の間も真理とはギクシャクしてしまっていた。  
何も無かったように挨拶をする香山さんには驚きだったが。  
とにかく、あんなことがあったとしても、僕の真理に対する気持ちは変わらないのだ。  
僕はちゃんと話し合う為、真理の部屋の前に来ていた。  
緊張し、溜め息を一つ漏らす。  
「ん……?」  
ノックしようとした時、室内から呻くような声がした。  
気のせいかも知れない。けど僕には、予感めいたものがあった。  
一大事だ……!  
ドン!  
気が付くと、僕はドアに体当たりをしていた。テレビドラマや映画のようにはいかず、なかなか壊れない。  
何度目かで、やっとドアをブチ抜いた。  
「こ、小林さん……!」  
僕は自分の目を疑った。  
真理が、叔父である小林さんに犯されている。  
「透!」  
涙を流す真理が、僕に助けを求めた。  
「と、透君、駄目じゃないか。ドアを壊したりして……」  
現実逃避なのか、小林さんは狼狽した顔でこちらに歩み寄りながら、的外れなことを言った。  
僕は状況を理解すると、小林さんを拳で殴り付けていた。  
転がったカメラを床に叩き付け、何度も踏み付ける。  
真理は立ち上がると、自分の服に手を伸ばして体を隠した。  
僕は格闘になるかも知れないと思って強張ったが、小林さんは「すまない!」と言って、床に手を付いていた。  
「どうかしていたんだ。私が……こんなことを……!」  
「謝る相手が違うんじゃないですか?」  
僕の怒気を含んだ声にハッとして、小林さんは真理に土下座し直した。  
 
「真理、すまない。私は取り返しの付かないことをしてしまった。警察に……連絡してくれ」  
小林さんはそう言うと、むせび泣いてしまった。  
「叔父さん……」  
真理は、悲しそうに小林さんを見下ろした。怒りというものではないように感じられた。  
「……透、このことは三人だけの秘密にして欲しいの。もちろん、叔母さんにも言わないで」  
「え……?」  
目の次は耳を疑うことになった。小林さんがしたことは許されることではない。卑劣な行為なのだ。  
「ま、真理……ありがとう」  
小林さんは床に額をこすりつけながら、何度も謝罪と感謝の言葉を繰り返した。  
真理は、小林さんが本来の優しい叔父さんに戻ったのを悟ったのかも知れない。  
それとも、今日子さんが可哀相だと思ったのか……。  
僕は納得いかなかったが、真理がそう言うのでは仕方がなかった。  
「何かあったんかいな」  
声に振り返ると、香山さんが部屋の中を外から覗いていた。  
「い、いえ、ドアが壊れちゃったみたいですけど……」  
勝手にここまで壊れるはずがない。僕は自分の言い訳に呆れた。  
「ふ〜ん」  
香山さんは顎をさすると、その場を去った。  
多分、全てを察しただろう。あの鋭い香山さんのことだ。  
 
その夜、真理は僕の部屋に来た。  
「透、ありがとう。透が助けてくれなかったら、大変なことになっていたわ」  
僕がベッドに腰掛けると、真理は隣に座った。  
少し心の整理が付いたのか、表情がいくらか明るくなっている。  
「大変……だったね……」  
まったく……。気の利いた台詞の一つも言えない自分が恨めしい。  
だが次の瞬間、真理の唇が、自分のそれに触れていた。  
ま、真理……。  
真理は口を離すと、気恥ずかしそうに微笑した。  
「助けたからって、こんなこと……」  
それこそ無礼な言い方だったかも知れない。真理は首を振った。瞳が潤んでいる。  
「あなたが、好きなの」  
一瞬にして胸が高鳴る。そんなこと、初めて言われた……。  
「ごめんね。私が素直じゃないから、こんなことに」  
僕に体を預けてくる。  
「真理、良いのかい?」  
真理は頷く。  
僕は、今度は自分からキスをしていた。  
だけど、真理の方が積極的に僕の唇を吸う。少し驚くと、やはり恥ずかしそうに真理は微笑した。  
「はしたないと思った?」  
「いや、そんなことないよ」  
僕の返事に安心した顔をして、真理は続けた。  
僕の手が真理の胸に、真理の手が僕のベルトにかかる。自然と、僕らは服を脱ぎ合っていた。  
真理は僕の前でしゃがんで、フェラチオを始める。  
「うっ」  
僕は、いきなり感じ過ぎてしまった。  
もちろん真理の舌使いは気持ち良いが、この状況が一層、快感に拍車をかけている。  
ここに香山さんはいない。僕と真理が、二人っきりで体を重ねようとしているのだ。  
真理が、僕を受け入れてくれるのである。  
真理はたっぷりの唾液を舌に絡ませて、僕のペニスをなめる。  
舌先で裏筋をつつくようにして、一々反応する僕を楽しんでいるようだった。  
カリの部分も丁寧に、綺麗にするみたいになめて、吸ってくれる。  
真理が自分から進んで気持ち良くしてくれる。僕は感動した。  
 
咥えられ、ストロークとシゴキが始まったところで、僕はイキそうになり息遣いが荒くなる。  
「まだダメよ」  
真理は優しく言うと、僕をベッドに仰向けにした。  
「私のことも気持ち良くして」  
僕にお尻を向けるように跨って、69の体位になる。  
「透?」  
僕は眼前に差し出された、真理の美しい女性器に呆然としてしまっていた。  
真理は腰を動かして、刺激を催促する。  
僕は真理の性器をなめた。前回とは違う。僕は、真理に望まれて愛撫している。  
ピチャ ピチャ  
「あっ」  
真理は時折、体をビクッとさせながらもフェラを続ける。僕は指を膣内に入れたり、クリトリスをなめたりした。  
やがて、真理のフェラがゆっくりになる。僕達は目を合わせ、その時が来たことを確認する。  
真理は立ち上がると、壁に手を付いて僕を誘った。  
「透、来て」  
「う、うん」  
僕は立ちバックで、真理にペニスを挿入した。  
「あんっ」  
グッと、膣がペニスを締めて、うごめく。  
「ま、真理、気持ち良いよ」  
ヌチャ ヌチャ  
突く度の快感に、僕はイキそうになる。きっと情けない顔をしているんだろうな、と想像した。  
「ああ、透……」  
真理が、僕とのセックスで感じてくれている。  
「うっ、ああっ」  
僕は我慢できなくなって、突然、膣内に射精していた。  
「はぁ、はぁ……透の精子、出てる……」  
「ごめん、いきなり……」  
「良いの。嬉しい」  
思えば、僕が真理に中出しをしたのは今のが初めてだ。僕は、また感動した。  
「今度は私が動くからね」  
真理は僕を再び仰向けにして、ペニスをシゴき、しゃぶる。僕のモノは、だらしないくらい簡単に復活した。  
 
今度は顔をこちら側に向けて跨る。そして騎乗位で、真理は僕のペニスを受け入れた。  
「ンンッ……凄く、硬い……」  
真理は僕の上で、一生懸命に腰を動かした。  
「透、私のアソコ、気持ち良い?」  
「うん、凄く……。真理は?」  
「私も気持ち良い」  
憧れの真理が、僕のペニスを求めて腰を動かし、快感を得ているという事実。  
これが夢でなければ良い。僕は心底、そう思った。  
真理は僕にキスしながらでも、その動きを止めない。  
僕も次第にリズムに合わせて、一緒に腰を動かしていた。  
上半身を起こして向き合っても、それは続いた。  
真理、愛してる。  
僕の中で、奉仕欲のようなものが刺激されていた。真理の為だったら、僕は何だってする。  
「真理が一番好きな体位は何だい?」  
「え?」  
「それでしてあげるよ」  
真理は恥ずかしそうにして、「正常位……」と小さく言った。  
今度は、僕が真理を仰向けにする番だった。  
真理が望む体位で、僕のペニスが彼女の中に埋没する。  
「はぁん」  
パン パン  
少しずつ、突き挿入る速度が早くなり、僕達は互いに高ぶっていくのが分かる。  
絶頂に近付き、僕は、真理から伝わってくる全ての感覚に陶酔していた。  
「イ、イクよ!」  
「うん! また中に出して!」  
ドクッ ドクッ  
「あっ、ああん」  
イク瞬間、真理の体が仰け反る。  
僕は中出し射精をすると、大きな息を吐いて、真理に覆い被さっていた。  
真理は、僕を愛おしそうに抱き締めてくれる。  
「はぁ……はぁ……わたし幸せ」  
「僕もだ」  
真理の温もりと香りの中で、僕はこれ以上ない幸福感に包まれていた。  
 
 
 
おわり  
 

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