「敬語でセックスするのはやめてくれないか? 」
「そ、そう言われましても……」
恥ずかしそうに俯く彼女の顎に指をかけ持ち上げると、潤んだ瞳が見つめ返してきた。
なんて可愛いんだろう。
前に会った時、この人の魅力に気付かなかった俺は馬鹿だ。
「ほら、この腕をどかして。よく見せて」
「美樹本さん……」
胸を押さえていた腕がそっと降り、輝くような肢体が現れる。
しっとり濡れた肩にからみつく髪が、蜘蛛の糸のような怪しいいやらしさを放っている。
今まで抱いてきた女達とは比べ物にならない程の妖艶さ。
その濃厚な色気に、俺の頭の後ろはじんじんと痺れた。
透くんがこの島に向かったきり連絡を絶ったというので偵察を頼まれた俺だったが、
この人に会ってからは、もう、彼の事などどうでもよくなっていた。
「俺はこれから一生この島で暮らす事にするよ。この島の美しさと、
その中で微笑む君を撮り続けたい」
「あ、ありがとうございます……」
彼女は涙で頬を濡らし、深く頭を下げた。
今までたった一人でどれだけ寂しかっただろうか。
それを思うと、俺は切なさで胸がはち切れそうになった。
こんな気持ちになったのは生まれて初めての事だ。
そして、俺をここまで癒してくれる女に出会ったのも。
・・・・駄目だ。
たった今一発ぶちかましたばかりだというのに、俺はもうこんなに!
思わず彼女に覆い被さり、震える乳房を揉みしだきながら彼女の唇を荒々しく塞いだ。
「んぅっ!」
彼女は小さく悲鳴のように声をあげると、怯えたように俺から顔を離した。
無理強いのようになってしまった事をどう詫びようかと気まずい笑顔になった俺に、
彼女の方が腰を低く曲げて何度も謝ってきた。
「す、すんません!すんません!」
「い、いや、俺の方こそ、乱暴にしてすまない」
今度は優しく……
俺は自分にそう言い聞かせながら、再びキヨの背中に腕をまわした。
彼女の目がにやりと歪んだのに気付かぬまま・・・
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