ドンドン
ドンドン
ドアをノックする音で目が覚めた、時計の針は午前2時を指している
…誰だこんな時間に…
不信に思ったが、ドアに駆け寄る
「はい、どなたですか?」
鍵を開け、ドアを開くと美樹本さんと俊夫さんが、後方には真理がいた
「やあ、透くん。こんな夜遅くにすまないね、寝てしまっていたかい?」
やたらテンションの高い美樹本さんがぼくにそう尋ねる
寝てたにきまってるだろ。と思ったが、口にはださず
「いえ、なかなか寝付けなくて。なにせ不気味な館ですから。」
すると美樹本さんはニヤニヤしながら
「おっ!丁度良かった、ちょっとこれから付き合ってくれないかな?麻雀をしようと思っていたんだが、
人数が足りなくてね。」
…信じられない、何を言っているんだこの人は。この館に皆が集まった理由を忘れてしまったのか?
あの忌まわしい事件を、死んでいった人達をなんだと思っているのだ
「酒もつまみも厨房からチョイとくすねてきたからさ。ホラ、ホラ。」
と、俊夫さんが付け足し、手に持った酒や食料を見せる
…なんだこのチョンマゲは?昼間のカップラーメン発言といい、本気で頭がいかれてしまったのではないか
本気でぼくが彼のことを心配しだすと、今度は真理が口を開く
「あ〜、透。何か勘違いしているようだけど、何だか、麻雀をすることが祈祷の儀式に必要みたいよ。」
真理の表情はやや眠たそうだ、どうやら彼女もさきほどまで眠っていたみたいだ
パジャマを着たままの姿でここにいることが、それを物語っている
ぼくは麻雀をする気分にはなれなかったが、頭をポリポリ掻きながら質問をする
「へー…、麻雀で供養ね…、でも雀卓や牌は?場所はどうするか決まっているんですか?」
「ああ、それなら管理人室に全て揃っているみたいだよ、何やらギャンブル特有の勝負熱みたいなものが
浮かばれない霊達を供養するのに必要不可欠らしいんだ。加奈子や啓子ちゃんはルールを知らないみたいで、
春子さんは朝食の支度があるからね。自動的にこの4人になったんだ。」
美樹本さんが髭をいじりながら答えた、なにかとてつもないオーラを感じるが、気のせいだろう
「透はルール、知っているわよね?」
「まあ、自信がないといったら嘘になるかもね。まかせておいてよ。」
ぼくは真理の問いに、自信満々に答えてやった
若かりし頃、ゲーセンで目当てのあの娘を脱がすべく。親の財布から金をくすねてまで打った記憶が蘇る
「おお、そりゃあ楽しみだ。俺も学生時代、こいつで飯を食っていた時もあったんだぜ。」
そう言って右腕をポンポンと叩く俊夫さん。どうやらこの人は根っからのギャンブル好きらしい
そのときぼくは、この人にだけは頼まれても金を貸すことはないな、と思った
「よおし、立ち話はここまでにして、そろそろ部屋に向かおう。」
そう言って、相変わらずニヤニヤした美樹本さんはスタスタと廊下を歩きだす、よほど麻雀が好きなのだろう
はたから見てもワクワクしているのがわかる、そして僕達も後を追って管理人室へと歩きだした
こうして深夜の麻雀大会が開かれるわけであった………
部屋に到着すると、美樹本さんは手際よく麻雀の準備を進めていく
俊夫さんの様子を窺うと、彼はビールの栓を開けグビグビと飲み始めた、手伝う気はないらしい
雀卓は全自動だった。新品なのだろう、とても綺麗な状態だ
「なんだ、全自動か。せっかく俺がつばめ返しを炸裂させようとしたんだが、残念だ。」
俊夫さんはするめイカをクチャクチャ噛みながら、何やらほざいているが誰も聞いてはいなかった
「よおし、準備OKだ。適当に座ってくれないか。」
美樹本さんに呼ばれたので、ぼくも空いている席に座った
対面は美樹本さん、下家は俊夫さん、上家は真理だ。
実際ゲームの麻雀しかやったことのないぼくは、雀卓を前にすると少し緊張してきた
「それじゃあ…まず最初にルールの確認をしようか…」
麻雀といっても色々なローカルルールが存在するので、それの確認だ
「平和自摸は……」「…食いタン、中ビームも…」「大車輪うんぬん…」
何やらぼくの聞いたことがない単語ばかりでてくる、驚いたことに真理も熱心にルール確認をしている
真理が麻雀好きだったなんて知らなかった…
「じゃあ決まりだな。透くん、これでいいね?」
美樹本さんに訊ねられたので、あいまいに首を縦に振った
「フフッ、楽しみだね透。」
真理がヒソヒソと話し掛けてくる、よく見るとパジャマが大きめのサイズなので、胸の谷間もブラの紐も丸見えだ
これでは他の男にも見えてしまうでははないか。真理、不用心すぎるよ…
「よし…、次はレートを決めようか。」
美樹本さんが驚くことを口にする
「まずはデカピンあたりで様子をみようぜ!!」
ウイスキーをラッパ飲みしながら俊夫さんがつづく
「あの…、お金、賭けてやるんですか?」
ぼくはすかさず質問をする
「ん?ああ、何やら本気の勝負じゃないと供養にならないみたいなんだ、香山さんから金をかけてやってくれと頼
まれたんでね…。なあに、明け方までもう僅かな時間しか残っていないし、そこまで酷い目に合うことはないさ。
それに透くんも腕に自信があるみたいじゃないか、俺なんかルールを知ったのもつい最近の素人だし、これは稼ぐ
いいチャンスかもしれないぞ。」
…言われてみれば確かにいい話かもしれない。腕に自信がありそうだった美樹本さんは素人だったのだ
ギャンブルとは縁のなさそうな真理、素人のおっさん、ウイスキーをあおってアホヅラしている俊夫さん…
「う〜ん、それもそうですね。時間も時間ですし。…わかりましたお受けいたしましょう。」
「ちょっと透、本当に大丈夫なの?」
「まかせといてよ、真理がいくら負けてもぼくが取り返してあげるよ。」
ぼくは不思議と根拠のない自信に溢れていた、負ける気はしなかった
ジャラジャラと音を立て、卓に牌が配られる。麻雀の開始である
…きっとゲームのように最初から役が出来上がっているに違いない
そう感じたぼくは自分の配牌を確認する。…天和とまではいかないがまずまずのスタートをきれそうだ
親は俊夫さんである、驚くことにウイスキーはすでに飲み干している
「リーチ」
まだ2順目にもかかわらず、俊夫さんは点棒を投げた
「おおっ、調子いいね〜。じゃあぼくも追っかけ。リーチ!」
なんと美樹本さんも同時にリーチをかける
…こいつら、本当に役は出来上がってるのか?特に隣の酔っ払ったチョンマゲは信用できない
ぼくは風牌が大嫌いなので、北をきる
「ロ〜〜〜〜〜ン!!」
俊夫さんが大声で叫んだ。なんてことだ…よりによって俊夫さんに振込んでしまうとは…
「あー、立直、一発、混一色に…ドラが…と、4!!!倍満〜〜〜〜!!!」
なんだこの人は…まるで麻雀ゲームのラスボスのような和了りじゃないか!
「おぉ〜こりゃすごい、俊夫くん、意外とやるねぇ」
「いやあまぐれですよ、まぐれ。」
俊夫さんは照れ笑いを浮かべると、鼻クソをほじりだす、頼むからその手で牌を触らないでくれ
「ちょっと透…、いきなりこんなことで平気なの?」
真理が不安そうに尋ねる
「いやあ、油断した。…でもまあこのくらいはハンデだよハンデ。」
「そう…、それならいいけど、真面目にやらないとお金無くなっちゃうわよ。」
「ほらほら早く、次だ、次。」
俊夫さんが酒臭い息を撒き散らしながらせかす
なんだか無性に腹が立ってきたぼくは、このチョンマゲだけは許さない、と心に誓うのであった
ぼくたちが麻雀を打ち始めて1時間が経過しようとしていた…
「おお、入った入った、いや〜高いよ、高いよ。」
「いや〜真理ちゃん、悪いね〜。」
「俊夫くん、すごいじゃないか、君がそんなに出来るヤツだったとはね。」
「そういう美樹本さんも素人なんてウソじゃないのか?いや隠さなくてもいい、俺にはわかっていたよ。
あんたが只者じゃないってね、うはは。」
「チー、ポン」
「カン」
「ロン、ロン、ロン、ツモ、ツモ、ツモ。」
「透くん…、それ、フリテン。」
………1時間がこんなにも長く感じたのは初めてだった
俊夫さんと美樹本さんが序盤から好調に飛ばしていき、ぼくと真理は何度もハコテンになってしまった
まさか彼等がここまで麻雀が強いとは…、それに美樹本さんが素人というのはあきらかに嘘だった
ぼくたちはハメられたのだ、真理は怒りからなのか、肩をプルプル震えさせていた
「ちょっと待ってくれ。」
美樹本さんが急に質問をしてきた
「透くん、真理ちゃん…君達はこの島に現金でいくら持ってきたんだい?」
「えーと、4〜5万円くらいはあると思いますが…」
「私も透と同じくらいかしら。」
ぼくたちが答えると、美樹本さんはなにやら考え込み
「…あー、やっぱり…、ほら、これを見てみなよ、君達はもう5万円は負けている、払う金がないとなると
これ以上続けるのは無理かな。ここらでお開きにしよう。」
…ちょっと待て、このおっさん堂々と勝ち逃げするつもりだ。ぼくだって貯金くらいはしているぞ
ぼくが抗議しようとすると、真理が立ち上がり叫ぶ
「あの、ちょっと待って下さい!…確かに今は持ち合わせは無いですけれど、後で必ず負けた分は支払います。
…このまま終るわけにはいきません!!」
真理がここまで熱くなりやすい性格だったなんて知らなかった……
「ん〜、まあ別にぼくはそれでもいいけどね。俊夫くんはどうだい?」
美樹本さんに話を振られると俊夫さんは
「駄目だ!!!」
ワンカップを激しく卓に叩きつけると、怒鳴りちらした
…なんなんだこの酔っ払いは、とうとうアルコールで頭がいってしまったのかもしれない。
「そんな口約束…俺は信用できない…。」
怒鳴りちらしたかと思えば、今度は消え入りそうな声で語りだした
「みどりが刑務所に入って……離婚の申し出をされて……一緒に頑張ろうっていったのにっ……!!くそっ……
とにかく俺は…今は他人との口約束など信用できない、信用できるのは現金と酒だけだ!!」
みどりさんのことは正直気の毒だったと思うが、それでもこの人の変わりっぷりはすごい
「…だそうだ、というわけで3人で打つのもな…、やっぱり今日は解散ってことに…」
美樹本さんがそう言いかけると、真理が立ち上がる
「そういうことなら、体で払います!!!」
……開いた口がふさがらなかった。何を、何を言っているんだ真理…?
「私と透、どちらかが負けたら二人とも今着ている服を脱ぎます、逆に美樹本さん、俊夫さんあなた達のどちらかが
負けたら私たちの負け額を2割づつ減らしてください。負け額が全て無くなるか、脱ぐ物がなくなったら終了で。」
なるほど、と思った。が、それはまずい、よく考えるとぼくと真理は4回負けたら全裸ではないか
それに真理の裸はぼくでさえ見たことがないのに…
「ほう、脱衣麻雀ね…。うん………わかった。…真理ちゃん、…俺はべつに裸が見たいわけじゃあないんだが、君の
あきらめない根性には感動した。…だから条件を飲もう。」
格好つけながら俊夫さんが答えるが、表情はニヤついている、なんだかんだいってこいつは裸が見たいんだな
「というわけだが、美樹本さん。あんたはどうするんだ?」
俊夫さんが美樹本さんに聞くと、彼はなにやら考え込む
「……ん、ああ。…一つ確認したいんだが……ぼくたちのどちらかが勝ったら、真理ちゃん……、それと透くんも脱ぐ。
ということでいいんだね?」
「はい。それと、どの服から脱ぐかは私達に決めさせてもらいます」
「わかった、その条件でもう一度勝負しようじゃないか。」
「透もいいわね?」
真理にきつく睨まれたぼくはYESとしかいえなかった。こうしてぼくたちは脱衣麻雀をすることになる
「あの、打つ前に少し作戦会議をしてもいいですか?」
真理が提案する、何かいい作戦でも思いついたのだろうか
「透、ちょっといいかしら。」
ぼくは真理に部屋の隅に連れていかれた
「ねえ、透。…いつもどんな作戦で麻雀を打っているのか聞かせてくれない?」
─なんだそんなことか、そういえばまだぼくは一度も和了っていない、ちょっと流れが悪いだけで、いつでも取り返せる自信はある
のだが、本当にぼくは麻雀が強いのか真理も不安になったのだろう
「作戦?まあ作戦というか…ぼくは基本的にいつも四暗刻狙いさ。決まれば一撃でCPUを全裸に……いや、相手を飛ばせるよ。」
「…はあ?ちょっと…本気でそんな麻雀で勝てると思っているの??ちょっと聞きなさい…………」
「…いい?私の言った通りに打ってよ。絶対負けられないんだから…。…まったく、透がこんなど素人だったなんて
思わなかったわ……。」
ぼくは真理にさんざんぼくの麻雀をけなされた挙句、次からの勝負でどうやって攻めるかも全て命令された
とにかく早く和了ること、それに一点をしぼって攻めていくのがぼくたちの作戦だった。
負けたら全裸。女の子の真理が神経質になってしまう気持ちもわかる。
「お待たせしました」
作戦会議も終わり再び卓を囲む
俊夫さんは焼酎を片手に余裕の表情だ、麻雀で飯を食っていたというのもあながち嘘ではないのかもしれない
しかし美樹本さんはなんだか様子がおかしかった、下を向いてなにやらブツブツ言っている、大丈夫だろうか
真理の裸をこの人達に見せるわけにはいかない。ぼくは覚悟を決めた
「よし始めるぞ、それじゃあサイコロを振ってくれ」
緊張の初戦、ぼくの配牌。役はタンヤオのみだがすでテンパイしていた
本来のぼくならば即リーなのだが、ここは真理のいうとおり慎重に攻めることにしよう…
そして一巡後、美樹本さんがぼくの本命牌をいきなり振り込んでくれた
「美樹本さん、それ、ロンです」
やった!いきなり借金が2割減った。いい流れが自分に来ていることを確信する。どうだい真理?ぼくの本当の実力は
「チッ……まさかテンパっていたなんて、クソッ」
美樹本さんの独り言が聞こえてきた、あきらかに様子がおかしい。今の彼からは余裕が感じられない
「おいおい、美樹本さん頼むぜ。」
俊夫さんが嫌味を言うが、美樹本さんの耳には届いてないようだ、なんにせよあと4回勝てば負けた金はチャラだ
そして次戦…
「ツモ。ピンフのみです」
今度は真理が速攻で和る。いける。ぼくはそう確信した
「………クッ…負けるわけには…いかないんだ……」
なにやらブツブツいうと美樹本さんは貧乏ゆすりをはじめる
その様子を見た俊夫さんは、カキピーを口に放り込みバリバリと音をたてて噛み砕いた。こいつらのチームワークなんてこんなものか
所詮、深い愛情で結ばれているぼくたちの敵ではなかったということだ
それからぼくたちは、真理の3連続の速攻であと1回勝てば全てチャラになるところまできた
「透くん、ちょっとタイムだ。君達の出した条件を飲んでやったんだ、これくらいはいいだろう?」
俊夫さんはそう言うと、美樹本さんを連れて部屋の外に出ていった。せいぜい少ない脳みそで作戦を練ってきてくれ
「透、やれば出来るじゃない、見直した。」
「ありがとう。でも真理もすごいじゃないか。ぼくたち1枚も脱がないですみそうだね。」
「ふふ。…でも、まだ勝負は終ってないわ、油断しちゃ駄目よ、透。」
しばらくして二人が戻ってきた、俊夫さんの手には新しいワインがあった。
この人、たんに新しい酒を取りに行っていただけじゃないだろうな…
「悪い悪い、じゃあ始めようか」
勝負再会である
5戦目が始まった
ぼくの配牌は酷かった、ゲームのように牌交換アイテムを使えないことが、かなりの痛手だ
「………」
皆、無言のまま黙々と進めていく。部屋は異様な空気に包まれていた
「リーチ」
美樹本さんがゆっくりと牌をきった
真理は牌を自摸ると長考した。そして安牌をきる
ぼくの手牌はまだまだバラバラだ、ここは降りたほうがよいのかもしれない、しかし流れはぼくらにあるのだ
ここは強気で攻めるべきと判断したぼくは伍萬をきった
「ロンだ。」
…しまった、振ってしまった。やはりまずは安牌をきればよかったか…
「さて、二人とも脱いでもらおうか。」
真理は器用にブラだけを脱ぎ捨てた、それでも顔は真っ赤に染まっている
ぼくは靴下を脱ぎ捨てると、美樹本さんは何故かがっかりした表情を見せた、あれ?そんなにぼくの足臭かったかな…
「透、しっかりしてよ。」
真理に叱られた、確かにこれ以上は負けられない。
両手で頬を叩き、気合いを入れなおし、6戦目。
「ツモ!!!!!」
俊夫さんが叫んだ。この酔っ払いは静かな部屋で突然大声をだすので心臓に悪い
それにしてもまずい状況になった。─2連敗。
真理は物陰でパンティーを脱ぎ捨てた。パジャマの下はノーブラ、ノーパンだ
ぼくはTシャツを脱ぎ、上半身裸になった。真理の様子を窺うと胸のあたりに小さな突起物が見える
─あ、あれは、もしや、ち、乳首……。ぼくは股間が大きくなるのを必死にこらえる
そして7戦目…
「ロン」
またしてもぼくは振りこんでしまった、隣に座る真理からの視線がとても痛い
─おかしい。こいつら何かイカサマをやっているんじゃないのか……
ぼくは牌と雀卓をじっくり観察したがそれらしき痕跡は見当たらなかった
「さあ真理ちゃん、かわいそうだがこれも勝負だ、脱いでくれ。」
ニヤニヤしている俊夫さんをキッと睨みつけると、真理はパジャマの上着を脱ぎ捨てた
ぽろり、と真理の綺麗で形のいい乳房がこぼれ出る。ぼくの想像以上に素晴らしい
真理は片手で胸を隠しながら悔しそうに唇を噛みしめた
ぼくもズボンを脱ぐとパンツ一丁になる、何やら美樹本さんの視線を感じるが、気のせいだろう
これ以上真理に恥ずかしい思いをさせるわけにはいかない、ぼくは目を閉じて静かに祈った
─どうかぼくに神の御加護を…
泣いても笑っても最後の8戦目が始まる
…
…
真理の顔色はみるみるうちに青ざめていった
またしてもぼくは振りこんでしまったのだ…
「…ちょっと透…、あなたわざとやってるんじゃないでしょうね…。」
「……」
ぼくは何も答えられなかった、暗刻が3つ配牌にあったから四暗刻を狙ったのがいけなかったのか…
どちらにせよこれで僕達の敗北が決まってしまった…
「残念だったな、さてと、最後の一枚も脱いでもらおうか。」
真理はしばらくうつむいたまま固まっていたが、やがて意を決したのか、ゆっくりとパジャマの下を脱ぎだした
白く美しい肌は、ほのかに紅く染まりとても色っぽい、意外にも薄い柔毛に包まれた真理の秘部はピンク色をしていて
引き締まった腰のラインはとても美しかった。モデル顔負けである
ぼくも俊夫さんもしばらくその姿に目を奪われていた
「これでいいでしょうっ!」
真理は両手を使い大事な部分と胸を隠すと椅子に腰を下ろした
ぼくが不甲斐ないばかりに……ごめんよ…真理…
「コラコラ…、透くんもボーっとしていないで、早く脱がないと。」
美樹本さんが鼻息を荒くしながらぼくを促した
実際脱ぐとなると男のぼくでも恥ずかしかった、人に自慢できるようなピーではないのは自分でもよくわかっている
3人ともぼくに注目をしている…、そんなにぼくのピーが見たいのですか?
ぼくは勢いよくトランクスを脱ぎ捨てた、脱ぎ捨ててからピーが大きくなってしまっていることに気がついた
真理は真っ赤になってピーから目をそらした、美樹本さんは食い入るようにピーを見ている
「……プッ。」
隣のチョンマゲはぼくのピーを見て苦笑すると再び真理を視姦しだした
…ぼくは人を殺したくなる瞬間というものが生まれて初めてわかった気がした
「…うっ……、ヒクッヒクッ……グス…グスン。」
俊夫さんの舐めまわすような視線に耐えられなくなったのだろう、真理が泣き出してしまった
「…もうそろそろいいでしょう?…ほら、真理。」
ぼくは上着を拾い上げると、真理の肩にかけてやった
さすがにやりすぎたと反省したのか、俊夫さんと美樹本さんはお互い顔を見合わせると苦笑いを浮かべた
「いやぁ、ぼくたちも大人げなかったかな。でもこれだけ白熱した勝負が出来たのだから供養には十分なっただろうな。」
美樹本さんはそう言うと、煙草を咥え火をつける
すると廊下からドタドタと誰かが走ってくる音が聞こえてきた、音はこの部屋へと近づいてくる
「あかん!!!!!!あんたら今すぐ中止するんや!!伊右衛門の呪いが強くなっとる!!!」
ドアを勢いよく開け、なにやら叫びながら入ってきたのは香山さんだった
「夏美から聞いたで!!あんたら、ここで脱衣麻雀やっとったろ!!あかん、あかんあかん、あかんで!!」
夏見さんから聞いたって…?一体何を言っているんだこの人は?
「!、真理ちゃん…その格好は……………あかん、手遅れやったか…」
香山さんがつぶやくと部屋全体がピンクの霧に包まれていく
─なんだこれは、ぼくは立ちあがろうとしたが金縛りにあったように体がうまく動かない
「伊右衛門に囚われ続けた魂がこの部屋に集まってきとるわ……。」
伊右衛門?一体何の話だ、ぼくは香山さんに質問しようとしたが口を動かすこともできなかった
「透くん……ああ、俺の愛しい透くん……」
なんだ?気色の悪い声が聞こえてきた。
……美樹本さんだった
美樹本さんは、そのたくましい腕でぼくを抱きしめると、ゆっくりとぼくの顔にくちびるを……
─ぼくの意識はここで途絶えた
私は誰かに抱きかかえられていた
まだ視界がぼやけていて、誰が私を抱きかかえているのかわからなかった
ひどく頭が痛む、一体私はどうしてしまったのだろうか、記憶を辿ってみる
…麻雀を打っていて、…私は熱くなってしまって…脱衣麻雀を打ち始めて…
思い出しただけで顔から火がでそうだった、裸を見られたのだ、しかも3人にも─
しかし、そこからの記憶が曖昧だった、…確か香山さんが部屋に入ってきて…私は…
…そこから記憶が途絶えている、一体どうしてしまったのだろうか
私を抱きかかえた人は、どこかの部屋に入り私を静かにベッドに降ろすと、隣に腰を下ろした
私はなんだか怖くなって聞いてみる
「……透なの?」
「…ん?何をいってるんだ?俺だよ、俊夫だよ。」
…驚いた。でも、どうして俊夫さんが私を…?
私は起き上がろうとしたが、体に力が入らない。かろうじて目を開け、部屋の様子を確認する
私の部屋ではなかった。…だとするとここは俊夫さんの部屋…?でもどうして私をここに…?
疑問は増えていくばかりだった。
「ほらほら、そんな格好じゃ風邪ひくぞ。それとも誘ってるのか?……そうだよな、俺達だいぶご無沙汰だったもんな、いいぜ、
たっぷり可愛がってやるよ、みどり。」
俊夫さんの発言にも驚いたが、もっと驚いたことがある、私は裸のままだった
「……ち、違う、何を言ってるの俊夫さん、私はみどりさんじゃないわ、私は真理ですよ。」
「ああ…みどり……、お前がいない間、俺がどれだけ寂しい思いをしたか……、さあこっちへおいで。」
一体、俊夫さんはどうしてしまったのだろう、まるで何かに取り憑かれているかのようだった
「お願い、俊夫さん。目を覚ましてっ」
俊夫さんの耳には私の言葉は全く届いていないようだった、彼は鼻歌を歌いながら服を脱ぎだし、あっという間に全裸になった
たくましい胸板と黒くて大きいモノが現れる。さきほど見た透のモノと比べてもあきらかに大きいサイズだということがわかった
…逃げなくちゃ。そう思った私はなんとか立ちあがろうとするが、腰から下に力が入らなく上半身だけ起き上がる格好になってしまう
「何を今さら恥ずかしがっているんだ…?来ないならこっちからいくぞ。」
俊夫さんが近づいてきた、─透。助けて。
目の前まで迫った俊夫さんが私の腰に手をかける、そして私はキスをされた
「ん…………、ちゅっ………ぁ、……んん………」
俊夫さんのキスは想像以上に優しかった。
「ぷはっ……あ…ん……んんっ……ちゅ…ちゅるっ……」
舌を挿し込まれると、なんだか頭の奥がクラクラしてくる
「あぁ……お、お願い…俊夫さん、やめて……んっ……ちゅ……」
俊夫さんの手は私の胸を刺激する、その微妙な刺激におもわず喘ぎ声がでてしまう
「あ…………あはぁ………だ、駄目……やめてぇ……」
「はぁはぁっ…みどり、どうだ、気持ちいいか……?」
俊夫さんは私の乳首を口に含むと舌先で丁寧に転がす、私は自分の体がどんどん熱くなっていくのを感じる
こんなこと…駄目、駄目なのに─
俊夫さんの愛撫はとても繊細だった、胸や脇の下、お腹など、私の体中に舌を這わせていく
「…あぁっ……いやぁ……せつなく、せつなくなっちゃうよ……んっ……」
抑えようと思っても自然と声が出てしまう、一体、私の体はどうなってしまったの……?
「愛してるよ……」
俊夫さんが私の耳元で囁く。魔法のような言葉だ、私ではなくみどりさんに言っていると分かっていても熱くなるものがある
そのまま俊夫さんは私の耳や首すじを舐めまわす、なんだかフワフワした気分になってきた
エッチってこういうものだったんだ………
「チュパ………チュパ……チュパ……」
俊夫さんは私の太ももを吸いだした、少しくすぐったい感じがする
「…みどり…、すごい濡れているぞ…そうか、そうだよな…お前も寂しかったんだな…」
…俊夫さんが信じられないこと言い出す、…でも私が感じてしまっているのは事実だった
イヤなのに……感じてしまう……透、私どうすればいいの…?
「あんっ……くぅっ……はぁはぁ…あぁ…すごい……」
俊夫さんは私の秘部に手を伸ばすとクチュクチュと音をたてながら掻きまわす
ああっ…私、すごくいやらしい音出しちゃってる……
そして私のアソコに何か温かく柔らかいモノが触れる
それは俊夫さんの舌だった。彼は私の一番敏感な部分を舐め上げる
「くぅぅん……あぁぁぁっ………と、俊夫さん……わ、私……んんんっ………」
俊夫さんの舌は休むことなく動く、俊夫さんの舌は何か別の生き物のようにも感じられた
下から突き上げてくる快感に、私の思考は停止しはじめる
こんなにもエッチが…気持ちいいものだったなんて……
「ジュプ、ジュプ、ジュルルル、ジュパ、ジュル、ジュプ…」
俊夫さんは私のアソコを愛撫しながら胸や足も刺激してくる、まるで何本も手があるみたい…
「みどり…今度は俺のも頼むよ……」
俊夫さんはそう言うと、私の頭のほうに足を向けるようにして横たわる。69の体位だ
私の顔の前には俊夫さんの立派なモノがいきり立っている
「…さあ、舐めてくれ…」
俊夫さんはそう言って再び私のアソコを愛撫する。私は目の前にあるモノをしばらく眺める
…スゴイ、これが男の人のなのね……
俊夫さんのソレはビクンビクンと脈を打っている。見ているだけでドキドキしてきた
少し怖かったが、ためしに手でふれてみた、するとピクッと反応する。なんだか愛らしく感じてしまう
「あぁ………みどり……頼む…から…じらさないでくれよ……」
普段の俊夫さんからは考えられない鼻のかかった声だ、その母性本能をくすぐる仕草は透に似ているかもしれない
私は先っちょのほうを指先で軽くはじいてみた
「ああっ……!!みどり……うぅ……そんなこと一体どこで覚えてきたんだ……」
俊夫さんの息遣いが荒くなってきた、なんだか楽しくなってきた私はギュッと両手で握り締めてみた
「うあぁっ………はぁはぁはぁっ………」
俊夫さんの息が私のアソコにかかって、なんだかせつなくなってきた……
それにしても、手で触れただけでこんなに反応するなんて……。もし、舐めてあげたらどうなっちゃうんだろう…?
頭がボーっとしてきた、目の前にいる俊夫さんが可愛らしく思えてくる…
私は我慢できなくなり俊夫さんのモノに顔を近づけると舌先でチュルンと舐めてみた
「おぉ……、いい……その調子で続けてくれ……」
…気持ち良かったらしい。なんだか私は嬉しくなってくる、私はこの人にもっと気持ちよくなってほしくなった
私は手で袋をさすると、下から上へと何度も舐め上げた
「チュル………チュル……チュピ……チュプ………あぁっ……ん…ちゅ…チュル……」
私の口に入りきるか心配だったけど、なんとか咥えることができた
「んん〜……レロレロ……チュプ………むふぅ……んっ……ちゅう…チュルル…ん…レロ…ぷはっ…」
「はぁはぁ……チュルルルル……チュプ…チュパ…んっんっんっんっ……ジュルル……レロレロレロ…ちゅ…ちゅ…」
驚くことに俊夫さんのモノを咥えているだけで私は感じてしまっていた、どんどん快感の波が押し寄せてくる
私はこのまま一体どうなってしまうのだろう…
はふ……ん…ぁ……チュピ…んん……チュプ……はむ……はむ…んっ…ちゅる…」」
「…んしょ……ぢゅるぅぅ…ぢゅぱっ……んく、ぢゅっぢゅる………じゅぽじゅぽっ…じゅぽじゅぽっ……んんんっ〜…」
私は夢中になって俊夫さんのモノに奉仕を続ける。俊夫さんの喘ぎ声が聞こえてくるたびに胸がせつなくなってくる
「はぁはぁっ…みどり…みどりっ…も、もう…イキそうだ……うっ…」
俊夫さんのアソコは激しく脈打つと、私の口の中に何かを放出した
「……んんんん〜〜〜〜っ」
俊夫さんのアソコからでた物の勢いはすごく、私はそれを飲み込んでしまった
「…ん、ケホッ…ケホッ…はぁはぁっ……ケホッ…」
とても苦い、気管に入って苦しくなった。それでも私は奇妙な満足感を感じていた
「みどり…やっぱりお前の口の中は最高だよ……」
俊夫さんは私の頭を抱き寄せると、優しくキスをしてくれる
「ぁぁ……ん………」
とても甘いキス……自然と私の両手は彼の首に回される
…ああ、まさか俊夫さんとこんなことになってしまうなんて……
…しかも私は今、自分から彼を求めてしまっている……
彼にならこのまま抱かれてもいい。…一瞬そんな考えが頭をよぎる
俊夫さんはさわやかな大人の魅力があり、頼りがいのあるお兄さんのような存在……私にとって彼はそんな存在だった
でも、もし、みどりさんがいなかったら…私は……
…今思えば、彼がシュプールに勤めていた頃から、私は俊夫さんのことが気になっていたのかもしれない
脳裏に透の顔が浮かんできた、私は罪悪感に押しつぶされそうになる
そんな私の葛藤を俊夫さんの一言が打ち消した
「さあっ……入れるよ、みどり…」
私の足をM字型に開くと、俊夫さんは自分のモノを私のアソコにこすりつける
クチュ……クチュ……
…あんな大きいモノを私の中に入れるつもりなの…?
不安と期待が入り混じる、それでも私は抵抗するつもりはなかった
俊夫さんは、ゆっくりと私の膣内にあの大きな肉棒を沈めてきた…
ズ…ズズ……ズプ……ズププ………
「…あぁぁっ…いやっ……い、痛いっ………だ、だめ……んんんっ……と、俊夫さん、お願い……もっと…ゆっくり…あぁっ」
激痛が走る、あまりの痛さに私は俊夫さんの背中に強くしがみついた
「くぅっ…ぅぅぅ……はぁはぁっ……ぅぅ、だ、駄目ぇ…………熱くて…んっ……とっても固いっ…」
奥まで貫かれる。意識が飛びそうになったが、強い充実感に私は包まれた
…透。ゴメンね…
「はぁはぁっ……ぜ、全部…入ったの……?」
「…ああ、…それにしても…みどり……今日は一段と締まりがいいな……すごいぞ…もうイっちまいそうだよ……」
そう言いながら俊夫さんは私の胸を揉みしだくと、チュパチュパと乳首を吸い出す
そして静かに腰を動かしてきた
「はぁんっ…あ…あ…あ…あぁ……くふぅん……」
パチン…………パチン………パチン…………
腰の動きはスローだが、俊夫さんのモノが奥にぶつかるたびに、気が遠くなるような快感が襲ってくる
さっきまでの痛みもだいぶ和らぎ、私の体は快感に支配されていく
「ああっ、す、すごいっ…も、もっと……ぁぁっ……は、激しくっ……あっ…あっ…あっ…」
少しづつ腰の動きが早くなってきた
パチン…パチン…パチン…パチン…パチン…
「あぅ……はふぅっ…あっ…あっ…い、いい…き、気持ちいいっ…と、俊夫さんっ……も、もっと…お、お願い…もっとぉっ…」
俊夫さんは私の腰をグイッと持ち上げるとさらにスピードをあげる
パンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッ…
「あっ…あっ…あっ…わ、わたし…んんっ…も、もうっ……あぁぁぁっ……」
私は俊夫さんの動きに合わせて淫らに腰を動かした、ズボズボと自分に出し入れされている俊夫さんのモノを見ると理性が飛びそうになる
「あぁっ…!みどりっ…みどりっ…もうそろそろっ……イクぞっ…!はぁはぁっ…」
「…はぁんっ…わ、私もっ…も、もう…駄目っ…い、いっちゃうよ……あっ…あっ…一緒にっ……お願いっ……一緒にっ…んんっ!」
「ああ!みどりっ…出すぞっ…はぁっ…はぁっ…う、うあああぁっ…!」
「んんんっ……ああっ、いく…いっちゃうっ…あぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
俊夫さんはラストスパートをかけると、私が果てるのと同時に射精する、私の震える膣内には彼の白く濃い液体が勢いよく吐き出された…
私は膣内からこぼれでた白い液体をぼんやりと眺める
ああ…私…俊夫さんとセックスをしてしまったのね……
─エピローグ─
私は俊夫さんとのエッチが終った後のことはよく覚えていなかった
気が付くと私は自分のベッドの上で寝ていた。ちゃんと服も着ている
まさか…全て夢だったの…?そう思って自分の性器を手で確認してみる
…ぬるっとした感触があった。残念なことに、夢ではなかったみたいだ
すぐに着替えて食堂へ向かう、食堂では皆揃って食事をしていた
さらに驚いたことに、昨日の出来事を覚えている人は誰一人いなかった
俊夫さんは二日酔いで機嫌が悪く、麻雀を打ったことすら忘れている
透は「朝起きたら何故かお尻が痛くてたまらない。」といってトイレに篭ったままだった
美樹本さんに昨日のことを尋ねても「何か悪い夢でも見たんじゃないのか?」と軽くあしらわれた
結局、謎は一つも解けることなく、祈祷が終ると私達は島を後にした、まさか本当に全て夢だったのかしら…
しかし、私の膣内にのこる鋭い痛みがその可能性を否定しているのであった………
─あれから半年の時が流れた─
「オーナー!外の雪掻き終わったぜ」
「もうっ、オーナーって呼ぶのやめてって何度言えば分かるの?ちゃんと名前で呼んでよ。」
「ははは、すまんすまん、お、今度はこのワインを地下室に運べばいいのかな?」
「うん、お願いするわ。本当、男手があると助かるわ。…夜になったら、またマッサージしてあげるから頑張ってね。」
「おお、そりゃあ楽しみだ。それじゃあ、さっさと仕事を終らせてくるかな。じゃあまた後でな、真理。」
「俊夫も、ワイン重いから気をつけてね。」
ペンション「シュプール」もシーズンの真っ最中でとても忙しくなっていた
麗子さんの料理が啓子ちゃんの取材で雑誌に載ることになり、おかげで客足も大幅に増えていった
…半年前、島から帰ってきた私はすぐに俊夫さんに連絡を入れた
「シュプールに泊り込みで働いて欲しい」俊夫さんは最初はしぶっていたが、私の熱心な説得でようやくOKをしてくれた
一緒に働いているうちに私達はお互いに惹かれていった、そして毎日のように愛し合うようになる
それからというもの、俊夫さんはみどりさんと別れた頃と比べ、人が変わったように仕事に精をだしてくれた
私は毎日が大変でもあるが幸せでもあった、それだけ充実した日々を過ごしていた
透とは半年前からほとんど連絡を取らなくなった
なんでも大学を中退して美樹本さんの仕事のアシスタントをしているらしい
彼が写真に興味があったなんて知らなかった私は、とても驚いたのを今でも覚えている
そして、つい最近透からメールが届いた
添付された写真にはふんどし一丁で美樹本さんと抱き合ってピースしている透が写っていた
酒の席か何かだろう、こんな下品な写真を送ってくる彼の無神経さがちょっぴり懐かしくなった
ほんの半年前のことなのに、ずっとずっと…遠い昔のことのように思える
─きっと彼も幸せに過ごしているのだろう
私は静かに目を閉じて、ふくらんだお腹から聞こえてくる自分の子供の声に耳を傾けた
おしまい