一年ぶりに再会した真理は僕の予想以上に綺麗になっていた。  
つぶらな瞳に艶やかな長い髪、そして柔らかそうな、いや、先ほど柔らかいことが確認された可愛らしい唇。  
少女のような清純さの中に、月並みな言葉だが大人の魅力を備え、真理の美しさは僕を虜にしていた。  
そんな真理と一緒に旅行をしているのに、たった一度の軽いキスだけとはとても我慢できなかった。  
僕は部屋を出ると暗い廊下を歩き、真理の部屋へ向かった。  
円形のようにぐるっと回る廊下を半周歩く間、外の風の音も、誰かが話す声も全く聞こえてこなかった。  
 
コンコン  
 
僕は真理の部屋のドアを軽くノックした。  
しかし、ドアの向こうからは何の返答もない。  
 
「真理」  
コンコン  
 
僕は声を掛けながらもう一度ノックをした。  
それでも、ドアが開いて真理が顔を覗かせるようなことは無かった。  
 
僕は応接室を後にするときの真理の言葉を思い出した。  
『「これからどちらかの部屋で少し話さない?」  
 「ごめんなさい。ちょっと気分が悪いの。もう寝るわ」』  
確かに真理は夕方頃から何か思い詰めたような、いつもの明るさが無かったような気がする。  
僕は今夜は諦めて寝ることにした。  
 
その時、  
廊下の突き当たりにある部屋のドアがわずかに開いていることに気付いた。  
(あそこはみどりさんの部屋だったよな・・・)  
みどりさんは気分が悪いからといって応接室には来なかったはずだ。  
俊夫さんが様子を見に来ているのかなと思いながら、僕はドアに近づいた。  
いくら信用できる人たちが多いからと言って、女性の部屋のドアが開いたままというのはよくないだろうと思ったからだ。  
特に、あの正岡って人は自意識過剰で女たらしでいい感じがしない。  
あの男がみどりさんの部屋が開いてることに気付いたらと思うと非常に危険な気がした。  
取りあえずドアが閉まっていれば鍵が掛かっていないとは思わないだろう。  
僕はドアのノブに手を伸ばした。  
 
僕の手はノブを触る直前で停止した。  
みどりさんの部屋の中から何やら声が聞こえてくる。  
外に声が漏れることを気にしてか、小さな声で話していてよく聞こえないが、口調からして口論をしているようだった。  
(みどりさんと俊夫さんが夫婦喧嘩しているのかな)  
他人の家庭のことを盗み聞きしては悪いと思いながらも好奇心には勝てず、僕はドアの隙間から中を覗いた。  
 
ベッドに備え付けられた小さなスタンドのライトに照らされて、男女一組の人影が見える。  
男の方はベッドに腰掛け、その前で女の方が何か問い詰めている。  
「さっきの美樹本さんの話は本当なの?」  
女性の声が少し強く大きくなった。  
そしてその聞こえてきた声は、みどりさんのものではなく何と真理の声だった。  
「美樹本さんの話だと、あなたは雑誌社とは全く関係ないみたいじゃない」  
「まぁまぁ、真理ちゃん。そんなに怒らないで。怒った顔もとてもキュートだけどここは僕の話を聞いてよ」  
男はベットから腰を僅かに浮かせて慌てて取り繕うとする。  
そんな軽薄な台詞を言う男は正岡さんしかいない。  
(なんで真理と正岡さんがこんなところに・・・それに、何の話をしているんだ・・)  
非常に気になったが真理のプライベートに首を突っ込むのは躊躇われた。  
しかし、だからと言って立ち去る事も出来ず、そのまま覗きつづけることになった。  
「あの美樹本って男は僕の才能に嫉妬して、ありもしない嘘を言ってただけだよ」  
「そうかしら?私は美樹本さんの言葉のほうが信用できるけど」  
「えーっ!何で真理ちゃんはこの才能溢れる僕よりも、あんな冴えない三流カメラマンの肩を持つの?」  
正岡さんは必死になって身振り手振りで真理を説得してる。  
一方、真理は冷めた視線で正岡さんを見下している。  
「ごまかさないで!あの時、あなたは私を雑誌のモデルにしてくれるって言ったでしょ。だから私はあなたの言うことを聞いてあんな事までしたのに・・・後で連絡するって言ったっきりじゃない」  
「いや、あれはね、ちょっと手違いがあったんだよ。でも近いうちに連絡するつもりだったんだ。真理ちゃん信じてよ〜」  
烈火の如く怒る真理に対して、正岡さんは謝っているがどう見ても心底謝罪しているとは思えない。  
その態度についに切れた真理が腕を振り上げ正岡さんの頬を引っぱたいた。  
 
パチン!  
 
真理の平手打ちの痛さを知っている僕は思わず首を竦めた。  
 
僕は正岡さんの頬に紅葉が出来ていることを想像しながら恐る恐る部屋の様子を見た。  
すると、意外なことに真理の平手は正岡さんに防がれ、逆に腕を掴まれていた。  
「ダメだよ〜、女の子が乱暴しちゃ。こんな悪い子にはお仕置きしないとね〜」  
正岡さんは何やら嬉しそうに立ち上がった。  
「ちょっと、手を放してよ!」  
正岡さんに手を握られたままの真理が抵抗する。  
しかし、正岡さんは手を放すどころか、もう片方の手も掴むと両手を上げ、真理はバンザイをするような格好になった。  
「真理ちゃん、なんでこんな悪い子になっちゃったの?あの頃はとてもいい子だったのに」  
「その話はもうやめて。私がバカだったのよ・・・あんたみたいな男を信じたりして・・」  
「え〜、それは酷いなぁ。でも、こうやって僕の部屋に来たってことは本当はあの頃のように可愛がって貰いたかったんでしょ?」  
両手を掴まれて動けない真理の首筋に正岡さんは唇をつけた。  
鎖骨からうなじ、耳たぶの辺りを舌で舐めたり軽く噛んだりを繰り返す。  
すると身体を揺すって嫌がってた真理の動きが次第に弱々しいものに変わっていく。  
「真理ちゃん、どう?気持ちいいでしょ?あの時のことを思い出した?」  
正岡さんの愛撫が続くに連れ真理の頬は赤く火照り、僅かに開いた唇からは吐息が漏れ始めた。  
「はぁ・・やめて・・そんなこと・・・はぁ・・しないで・・・」  
一応否定する台詞は述べるものの、もうその意志が薄いことは一目瞭然だ。  
真理の抵抗が弱くなったのを見るや、正岡さんは真理の可憐な唇にしゃぶりついた。  
突然のキスに一瞬目を見開いて驚いた表情を見せたが、正岡さんの舌が入ってくるともう抵抗をしなくなった。  
 
(真理・・・)  
僕はまるで夢でも見ているのかと思った。  
あの真理が正岡さんとディープキスをしている。  
しかも二人の関係は話を聞く限りではもっと深いらしい。  
僕は部屋に飛び込みたい衝動に駆られながらも、二人の関係が気になって動けずにいた。  
 
二人のディープキスは続いていた。  
腕をだらりと下げ、動かなくなった真理の唇からどちらのものかわからない唾液が零れ落ちる。  
真理を抱きしめていた正岡さんの腕がTシャツの裾を掴んで少しずつ脱がし始めた。  
背中のほうからゆっくりと脱がしキュッと縊れた脇腹が覗き、そしてブラの辺りまで捲くりあがる。  
「あっ・・ダメ・・」  
ここにきて自分の服が脱がされそうになっていることに気付いた真理がTシャツを直そうとするが、正岡さんはその隙をついて一気にTシャツとブラを脱がしてしまった。  
 
僕の視線の先に半裸になった真理がいる。  
ブラまで脱がされ乳房を晒したことに気付いた真理が慌てて隠したが、僕の脳裏には一瞬見えた真理の乳首が鮮明に記憶された。  
きめ細かな綺麗な肌で造られたお椀の天辺に佇む桃色の蕾。  
腕を組むようにして隠しているがそれではとても収まりきらない大きな双乳とその谷間。  
僕の予想通りの抜群のプロポーションを見て、相手が僕以外の男だとことを忘れて見入ってしまっていた。  
 
「真理ちゃんのオッパイはいつ見ても綺麗だね」  
胸を隠す真理の腕を退かし、再び現れた乳首を摘むとコリコリと転がし始めた。  
乳首が感じるのか真理が切なそうな声を上げる。  
正岡さんはもはや為すがままになった真理のベルトを外すとズボンまで脱がした。  
真理は清楚な白いショーツを穿いていた。  
この時抱き合う二人の位置が少しずれ、僕の視界からは真理の背中しか見えなくなってしまった。  
しかし、ショーツに包まれたお尻が腰が動くたびに微妙に揺れ、まるで僕を誘っているかのようだった。  
もう僕の股間は爆発寸前まで膨張していた。  
その僕にとどめを刺すかのように正岡さんの手が真理のショーツを掴みそのまま下まで下ろし、僕の眼前に真理の白いお尻が現れた。  
僕は周りの音に気をつけながらベルトを外し、ペニスを握り締めた。  
もう我慢できなくなっていた。  
 
「どう?久しぶりに見る僕のペニスは?」  
正岡さんも既に裸になっていた。  
その前で全裸の真理が立ち尽くしている。  
「あの時みたいに触っていいんだよ」  
真理はおずおずと正岡さんのペニスに手を伸ばした。  
 
まさか真理が・・・  
僕はショックだった。  
ある程度覚悟はしていたが、やはり真理と正岡さんは深い関係にある。  
僕もまだ見たこと無いのに、この二人はお互いの裸を見合う関係。  
苦悩する僕に正岡さんの言葉が追い討ちを掛ける。  
 
「ほら、真理ちゃんの処女を奪ったペニスだよ。懐かしいでしょ」  
 
やはり・・・  
僕は身体中の力が抜け、目の前が真っ暗になるかのような感覚に襲われた。  
しかし、そのような感覚になるだけで現実はペニスの強度が増し、眼前の真理はベッドに座る正岡さんの膝の上に乗っかろうとしていた。  
華奢な体格に合わず僕の何倍も大きな正岡さんのペニスは天を突くかのように反り返っている。  
そのペニスの上に跨った真理は自分で肉唇を広げながら少しずつ狙いを定めながら腰を下ろしていく。  
 
(真理!)  
僕は声にならない悲鳴を上げる。  
僕がまだ入れたことも見たこともない肉唇に他人の男の肉棒が挿入されようとしている。  
愛する者を奪われた喪失感と屈辱感に異常なほど性感が高められていた。  
 
「あぁぁ!はぁ!ああぁぁぁ・・・」  
ついに僕の目の前で真理と正岡さんが繋がった。  
正岡さんのペニスは根元まで埋め込まれ、その感触を愉しむかのように真理はそのまま腰を密着させる。  
そしてお互いが強く抱きしめ合うと、真理の方から快楽を求めて腰を動かし始めた。  
 
その後のことはもう余り覚えていない。  
正岡さんの力強いストロークに喘ぎ捲くる真理。  
そして絶頂を迎えた後、真理の股間から溢れ出す白い液体。  
その後もいとおしそうに正岡さんのペニスをしゃぶる真理。  
 
僕のペニスも膨れ、真理の中にではなくパンツの中に発射させていた。  
僕の心にぽっかりと開いた穴を埋めるように何度も何度も猿のようにペニスを扱き捲くる。  
そして次第に遠のいていく記憶の中に真理の声が聞こえてきた。  
 
「真理は正岡様の奴隷です・・・」  
 

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