美樹本さんが玄関をくぐった瞬間、私はあの人の胸元に惹きつけられてしまった。  
始めて見る男だ。でもそんなことは関係ない。一瞬で、恋に落ちた。  
シュプールまで一緒に来た透は、仲のいい同級生だった。  
話をしても楽しく、そう、共有する時間を楽しむにはこれ以上ない存在だった。  
でも美樹本さんは違う。時間を共有したことは一度だってない。  
それでも一目見たときから、あの厚い胸元、尖った顎先、伏せめがちな目元に  
私の心は一瞬で乗っ取られた。あの胸元に顔をうずめ、  
あのたくましい腕に抱かれ、裏腹に細い指で髪を梳かれたい…。  
 
私が記帳する彼の背を見ながらその様なことを考えているとはつゆも知らず  
彼は荷物を置いて談話室に降りてくると、丁度空いていた私の隣に腰を落ち着けた。  
真横に座ると、より一層彼のたくましさを感じる。  
緊張で漏れた吐息は、湯気のように熱かった。だめ、耳が熱い・・・。  
「あの、はじめまして。」  
こわばってうつむく私に、彼のほうから声をかけてきた。  
「学生さん?この時期に白馬ってことは、観光だよね?」  
「はっ、はい・・・」  
「いや、僕ね、仕事で来てるもんだからうらやましいなと思ってさ」  
「はあ・・・」  
こんなときに限って、言葉はうまく出てこない。  
「ここには長居するから他のお客さんと仲良くなろうと思ってさ。  
 えー、僕は美樹本って言います。写真を取っているんだ。よろしくね」  
「あ、私は小林真理と申します。大学生です」  
「さっき見かけた男の子がいたでしょ?あれ、君の彼氏?」  
タバコに火を灯しながら、彼は透について触れた。  
「いえ、そんな。たまたまここへ誘ったのが彼だっただけで…」  
無意識のうちに、私は透のことを否定していた。  
透のことだって好きだったはずなのに、今の私は、何故…?  
 
「そっか。俺は長いこと仕事で色々回されてて  
 恋愛とはご無沙汰なもんだから、学生はいいよなーなんて思ってさ」  
ハハッと彼は笑った。始めて見るその笑顔には  
少年のような柔らかさと大人の哀愁が混じっていた。  
私の胸の奥を、彼の細めた眼差しが締め付ける。  
「恋人、いらっしゃらないんですか?」  
咄嗟、私は聞いていた。この男に愛される女性の存在を確かめたかったのだ。  
「ん?ああ、仕事柄ね、じっくりと深める恋愛はできないし  
 女の子のほうも待ってられないんだろうな。  
 仕事と私とどっちが大事か?なんて聞かれると  
 これほど悲しいものはなくてさ。こんなことを言わせるほど  
 俺は傷つけていたってことだからなあ…」  
「私は…」  
彼は、覗くような視線で私を見ている。  
「私なら、好きな人を待ち続けることを苦だとは思わないです。  
 その人にとって一番大切な存在でいたい。  
 だったらその人に愛され続ける自分でありたいと思うんだけどな」  
「…恋人の都合に適応させる恋愛か…でもそれは与えるだけの愛じゃない?」  
美樹本さんは、私の幼い恋愛感を聞き、そう答えた。  
「与えられないと感じられないだけの愛が全てじゃないと思うんです。  
 美樹本さんの今までの恋人には、与え続けるだけの恋愛が  
 我慢できなかったんじゃないかな」  
言い終えてはっとした。過去の恋人に対する嫉妬心からか  
私は饒舌になり、捲くし立ててしまった。  
「すっ、すいません、私ったら凄い失礼な…ホント、ごめんなさい!」  
「いやいや、こっちこそ変な話を切り出してごめんね。  
 真理ちゃんのような価値観を持った女性は初めてだったからね、  
 かえってそんな話が聞けて嬉しかったよ。  
 俺にもまだ出逢えてないだけで運命の恋人がいるのかも知れねえな」  
そういうと彼は、またさっきのように笑った。  
「…よかったら、もっといろんなお話、聞かせていただけませんか?」  
笑うのをやめた彼は、真剣な表情に戻って私の瞳を見つめた。  
威圧感のある眼差しを、私はそらすことができなかった。  
今だけは、この瞳に宿る心の声を読み取って欲しかったからだ。  
「…僕の部屋に、移ろうか」  
赤くなる顔を悟られないよう、私はうつむきながら小さくうなずいた。  
 
ベットに腰掛けて会話もそこそこ、彼の腕が回された私の肩は  
キスで遠のく意識を支えようと彼の胸にもたれかかっていった。  
「はあ、はあ」  
彼の過去の恋愛が、舌先を通じて伝わってくる。  
それは私のような子供の器に納まるようなスケールではなかった。  
「んっ、んっ」  
呼吸を整えるのが難しい。私の口は、彼の口に完全に支配されていた。  
「…っはあ、とっても…かわいいよ…」  
かわいい、という表現が胸を突く。まるで子供扱いだ。  
彼の舌は、幾多の女性を知っている。  
そのどれもが、この舌と対等に向き合えていたはずだ。それなのに、私は…!  
「…おねがい、もっと強く…」  
「強く、どうして欲しいの?」  
「強く、深く…」  
私がそういい終えると、彼は私を押し倒した。ギシ、とベットが音を立てる。  
彼は素早くセーターを脱いだ。褐色の肌に隆々とした筋骨が色気を産んでいた。  
私の胸元をまさぐる彼の上半身が、私の腕に近づく。  
指で、彼の乳首をはじいた。うっ、という声と共に、彼の動きが鈍る。  
「私にも、させて…」  
私は彼の背を宮に向けさせ、その股座に顔をうずめた。  
腰骨に引っかかるようにして留まるズボンを下ろすと、彼の性器が覗いていた。  
彼の顔を見上げる。肩で息をしながら、さらに視線は天井を彷徨っていた。  
彼のものを軽くさすった後、それに小さく口づけする。  
彼が息を飲む音が聞こえた。私は唾液を貯め、大口を明けて含んだ。  
チュル、という音が鳴る。舌を上下させ、一心不乱に尽くした。  
(私に、どこまでできるのだろう…)  
不安は止まない。彼の体と心を快楽へいざなうだけの技量はないだろう。  
それでもこの男に愛されたかった。愛されるためならどんなことでもする…!!  
彼の内腿に鳥肌が立ちはじめた。指でさすると、彼は腰から上をのけぞらせた。  
「んはっ…真理…」  
私の名前をつぶやきながら、彼の指が私の髪を揉みしだく。  
その動きに合わせる様に、私も口を動かす。彼の先に舌を立てる。  
「んくっ…」  
次の瞬間、口の中に彼の精子が放たれた。  
 

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