「例年どおり彼女だけは歳を取るから、あさっての卒業式で亜留美ちゃんは卒業するんじゃないの。看  
護学校に進学す…あら?どうしてそんなびっくりした顔をするの?前から決まっていたことでしょ?」  
亜留美は、なぜか固い無表情だ。すずは続ける。  
「地丹くんだって『看護師になるのが亜留美ちゃんの夢だったんだから』って了解した事じゃない。そ  
れに毎年ずっとこうだったでしょ、私は3年生、地丹くんは2年生で、亜留美ちゃんだけが進級して…」  
「そんなのヘンだよ、非現実的だよ、そんなコトありえないよ、あるわけないだろ!!」  
「どうしちゃったの地丹くんホント…今までと同じパターンでしょ?いつだって、毎年一瞬だけツッコ  
ミが入って、後はさらっと流されてたじゃない。」  
「いや、そ、それは…そうだった…けど…」  
「大丈夫、私は卒業しても、ちょくちょくに遊びに来るよ。それに夜は一緒にいられるんだし。」  
「いや、亜留美ちゃん、そういう問題じゃ…」  
亜留美はまたきょとんとする。すずと顔を見合わせる。地丹は食い下がる。  
「ねえちょっと待ってよ!じゃ、来年はどうなるの?再来年は?5年後は、10年後は…」  
「ずっとこのパターンよ。私も地丹くんも、しえちゃんも神崎さんも今のまま。で、亜留美ちゃんだけ  
歳を取っていくの。看護学校を卒業して、看護師になって、成人して、結婚して子供を産んで…」  
「亜留美ちゃんは僕の婚約者じゃなかったの!?」  
「そうよ。」  
「ぼ、僕はずっと17歳のままなの?じゃ、永遠に結婚できないじゃないか!?」  
「あら、改蔵くんは17歳のままで羽美ちゃんと結婚したでしょ。出来るのよ、色々あってね。」  
「なんだよそれ、わけわかんないよ!!」  
地丹は頭がぐらぐらし始めた。  
こんな非現実的な話があるか、これは何かの間違いだ。そう思ったがぐらぐらは止まらない。  
以前のように、まるで後付けのように記憶が思い出されてくるのかと思ったがそういうわけでもない。  
すずと亜留美は『なんでそんな当たり前の事を驚いてるの?』という顔をしている。  
何がなんだかわからないまま、状況は彼を完全に振り落としてどんどん進行していった。  
そして地丹には何も納得できていないうち―――翌日は来て、卒業式になった。  
 
卒業式も、物凄い勢いで式次第は進み…そしてあっという間に式は終わってしまった。  
地丹は部室に1人でぼーっとしている。まだ呆然としたままだ。  
『亜留美が卒業してしまう』という事実を知らされたのは昨日の放課後のはずだ。なのにあれからまだ  
数分しか経ってないような気さえする。  
おかしいな、あれから何したんだっけ、夕べの夜は何を…ショックから立ち直れないまま家に帰ってい  
つも通りに亜留美を抱いたのか…?だめだ、まるで覚えていない。  
そこに亜留美が入ってきた。  
「あー、終わったー。とうとう卒業しちゃった…長いようで短い3年間だったなあ。」  
感慨深げに言う。  
亜留美は、卒業証書の入った筒を持ち、胸に『卒業おめでとう』のリボンの花をつけている。  
「…ねえ、亜留美ちゃん…ホントに卒業しちゃうの?」  
「はあ?」  
亜留美は呆気に取られる。  
「だって、卒業式で私の名前が呼ばれたの聞いてたでしょ?卒業するわよ、当然。」  
「…僕は、2年生のままなんだよ?」  
「そうよ。ずっとそうじゃない。ねえ、へんだよ地丹くん…昨日からずっとそこにこだわってるじゃん。」  
「看護婦さんになっちゃうの?」  
「最近は、『看護師』って言うのよ、後輩クン。いろいろな事情からそう決ま…」  
「やだ。」  
「へ?」  
「やだよ。ずっと同じ学校の先輩と後輩でいようよ、科特部の部員同士でいようよ!そうでないなら、  
秘密の同棲なんて止めだ、すっかり別れたほうがましだよ!」  
「何わけわかんないこと…駄々こねてんじゃないわよ、ねえー?こ・う・は・い・クン?」  
「後輩後輩言うなよ、2年前までは僕のことを『センパイ』って慕ってきてくれてたじゃないか!!」  
地丹は亜留美を部室のベッドに押し倒した。からからん、と、卒業証書の筒が乾いた音を立てて転がる。  
「きゃ!?ちょ…ちょっと…な、なにす…地丹くん、やだ、ん…ぐ。」  
 
唇を塞ぎ、舌を無理やりねじ込み、右手は脚の間に入れてパンツの中に。亜留美は必死に口を離す。  
「やだ、そんなふうにされたら痛いよ、痛いってば!」  
抵抗する亜留美に構わず、ブラウスを引きちぎるようにして胸を開く。『卒業おめでとう』のリボンが取  
れかかった状態で脇の下に垂れた。  
黄色の布地に白糸で薔薇の刺繍のあるブラ。それをずり上げる。隠れ巨乳とその小ぶりの乳首が露出し  
た。娘はまだ抵抗しているので、乳房は大きく暴れるように揺れている。  
「やめてってば!こんなことしたらさよならだよ、無理やりなんてヤダ、同棲解消しちゃうから!!」  
「もうどうでもいいよ、こんなんなら別れちゃったほうが…むちゃくちゃにしてやる…」  
地丹は彼女のパンツ(ブラとおそろいの、黄色の布地に白の薔薇模様)を引きちぎった。  
強引に太腿を開く。よく見知った彼女の性器が現れる。  
陰毛は恥丘に申し訳程度に生えているだけで、割れ目の両脇はまったく生えていない…そして、ほんの  
縦筋だけのピンク色の部分…。  
地丹はすでに反り返るほどになった彼自身をズボンから引き出すと、その彼女のピンク色に突き立てた。  
「ね、だめだったら…別れたくないなら止めて、挿れないで…どうしても挿れるならお別れだよ、ほん  
とだよ、それでいいの?」  
「いいんだ…もういいんだ、だから挿れる…そして中でイッて、それきりで終わりにするんだ…」  
ぴたっ、と亜留美の抵抗が止まった。  
「そう…」  
躊躇せず地丹は挿入した。初めて、濡れていないところに無理やりと…亜留美の顔が苦痛にゆがむ。  
「…痛い…挿れちゃったね…ダメだって言ったのに…」  
答えずに地丹は腰を動かし続ける。  
「これ、どういう事か、わかってる?ほんと、もう…これっきりだよ…そういう約束だから…これが最  
後のエッチなんだよ…ねえ、答えてよ地丹くん…ああ、痛いよ…」  
地丹がこれほど破壊的な感情になったのは、単に彼女が卒業してしまうから、ではない。  
このまま、彼女だけが歳を取るということを繰り返してゆくとどうなるか…亜留美だけが成人し、子供  
を産み、年老いて、自分が今のままなのに彼女は…その結末を悟り、慄然したからなのだ。  
 
数分はそうして彼女の膣内を暴力的にかき回し続けた。しかし、やがて…  
破壊的衝動は、嘘のようにおさまっていった。理由は定かではない。ただ『そうじゃない、僕のしたい  
のはそういうことじゃない』という別の感情が、時につれ優勢になってきたのだ。  
地丹の動きが変わる。彼女を、丁寧に、入念に愛してゆく…すぐに、亜留美は、さっきまで嫌がってい  
た娘とは思えないくらいに濡れて昂ぶって来た。拒絶の心も溶けてくる。  
「あ、あう…ああん…いい…いいよぉ…地丹くん…もっと…」  
亜留美はそう口走りはじめた。ぐちゅ、ぐちゅ、と繋がったところから音がしている。  
「あん…あん…ずっとこうしていたい…でも…ねえ、地丹くん…なんでこうなっちゃったんだろ…」  
胸の、『卒業おめでとう』のリボンが取れかかったままゆらゆら揺れている。部室の外からは、卒業生と  
在校生たちのやり取り、笑い声や泣き声などが聞こえてくる。そして室内では二人のあえぎ声。  
「あん、ああん…ねえ、なんでなの…なんでなんだろ…私わかんないよ…」  
「…はあ、はあ…はあ…」  
「ねえ、地丹くん、答えてよ…あ、いい…ちゃんと…こたえ…あ、あん、ああ…あ、ああ!」  
地丹は攻めた。彼の全力で亜留美を攻め続けた。泡だった愛液が、二人の繋がったところから滴り落ち  
る。初めて使用されるそのベッドの真新しいシーツはもうぐしょぐしょで、二度と使えないだろう。  
「あ、ちた…ん…くん…好き、あ、いく…好きだよ、来て…一緒に…一緒に…あん、あん、あああ!!」  
 
地丹が我に返ると、すずが部室にいた。いつ入ってきたのか。  
それに気づいているのかどうか、服を着直しながら亜留美が言う。  
「ね…地丹くん、あの…さっきのは別に、約束ってことにしなくともいいよ?」  
パンツを穿こうとする。だが、脇の部分で引きちぎれてしまっていて穿くことができない。  
「あの、ね?やっぱ…お別れは無しで…」  
「いいんだ…どうせ、君だけどんどん歳を取るなら…これでおわりにして別れたほうがいいんだ。」  
「なんで?『ずっと一緒にいたいけど、看護師になりたいって言うのは亜留美ちゃんの長年の夢だった  
から叶えてあげたい』って地丹くんも言ってくれたじゃない。」  
「そんなこと…言った覚えないよ、そんな記憶ないよ…。」  
 
「ずるいよそんなの…私、どうしても看護師になりたいの。病気の人を、身も心も捧げつくすような献  
身的な看護で治す仕事がしたいの…そもそも私が看護師になりたいと思ったのは、小学校の…」  
「聞きたくないよ!そんな話聞きたくないよ!」  
亜留美は口をつぐむ。すずはずっと黙っている。  
しばらくは誰も何も言わなかった。やがて、  
「…じゃ、私…記念撮影とかあるし…行くからね…もう、さよならだよ…」  
パンツを穿いていない事が気になるのだろう、しきりに制服のミニスカートの裾を引き下ろしている。  
亜留美は、そして最後に、切なそうにに彼を一瞥すると、そのままミニスカをひるがえし(その瞬間、  
産まれたままの状態の下半身をチラッと見せつつ)部室を出て行った。  
また、長い無言の時間。  
「亜留美ちゃん、出てっちゃったわ…悲しそうだったわよ。本当にさよならなのよ、あれでいいの?」  
少ししてから、すずが口を開いてそう言った。地丹は俯いたまま答えない。  
「終わり方は残念だけど、全部地丹くんには好ましい方向に働いてたでしょ?亜留美ちゃんだけ歳を取  
るから、年下の娘とクラスメートと年上の女性っていう状況を一気に体験できたし…」  
「いらないよそんなの、したくなかったんだよ!」  
すずを見ずにうずくまったまま、久々に地丹が口を開いた。  
「こんな事になるなら、そんな経験したくなかったよ、何もかも最悪だよ…」  
「…」  
顔を上げずに、地丹は続ける。  
「こんなのないよ、だいたいなんかヘンだよ最初から…まるで作りものみたいで…演技から始まった出  
来合いの恋人関係も、思い通りに鉄道ばっかり出来る街ももううんざりだ…」  
「地丹くん…」  
「もうやだよ…そもそも、改蔵と羽美ちゃんが黙って転校なんて…するから…二人ともどこいったんだ  
よ…リセットしてあの頃に戻りたいよ…そして亜留美ちゃんも年をとらないでずっと一緒に…。」  
地丹は泣き始めた。泣きながら続ける。  
「もういらないよ、こんな生活…とらうま町なんか、もう…消えて無くなってしまえばいいんだ…」  
 
それきり黙る。すずは、少し時間を置いて、まるで自らに呟き聞かせるかのように言った。  
「…本当にとらうま町がなくなってしまえばいいと思うの?」  
地丹は頷く。  
「本当にそう思うの?」  
地丹はもう一度頷く。  
「そう…実はね…」  
すずは、外ハネを揺らしながら地丹の前に片膝をついてかがみこむ。  
地丹からミニスカートの裾の奥が見える角度だが、特に気にしていないようだ。現に地丹には彼女の紫  
色のパンツが見えているが、彼も特にそれで何かを感じるような心理状態ではない。  
「実はね、私は…いいえ、私たちはね…あなたがその言葉を言うのを待っていたの。地丹くんがいつそ  
う考えるようになるか、そのタイミングをずっと待っていたの…今回の事は、全て、そのために作り上  
げられたものだったのよ…」  
地丹は涙目の顔を上げ、すずを不思議そうに見た。  
すずの表情が、いつもと違うことに気づく。いや、これが彼女の本来の表情なのだ…そう直感する。  
「もう大丈夫ね。こんなダメージ受けたばかりの時で変に思うかもしれないけど…あなたは大丈夫よ。」  
すずは立ち上がり、部室の壁際に向かう。向かいつつ胸ポケットからカードキーを取り出す。  
ピッ、と電子音。すずが、部室の壁を押す。  
この光景には見覚えがある…地丹はそう感じたが、なぜか思い出せない。  
隠し扉が開いた。  
「さあ…この扉をくぐるの。」  
隠し扉の向こうから、明るい光が差し込んできている。  
地丹は、その扉の向こうに行くと、二度と今のこの世界には戻って来れない事に気づいた。理由は判ら  
ないが、間違いない、そんな確信があった。どうしようか…彼は少しだけ迷い、そして決心した。  
すずがそこを先に抜けながら言う。地丹がついて来るのを確認し、軽く微笑みながら。  
 
「いらっしゃい。あなたには…この扉のむこうにあるものを手に入れる権利があるわ。」  
 
つづく  
 

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル