「へー、改蔵君ちのお風呂ってこんなかんじなんだー。」  
しえがきょろきょろ眺め回しながら浴室に入って来る。  
昔の彫刻か絵画のように、胸を右腕で、股間を左手で隠しながらだ。  
改蔵は既に先に入って身体を洗い終えていた。彼は湯船の縁をまたぎながらそのしぐさを見て言った。  
「なんだよ。手が邪魔だよ。隠す事ないだろ。」  
「だってー。恥ずかしいよー。」  
改蔵には未だにしえのこう言う心理が良く理解できない。  
エッチの最中は平気なのに、お風呂とかだとなぜ恥ずかしがって隠そうとするんだろう?  
「ほら。隠してないで。見せてくれよ、バンザイしてみて。」  
「んー。じゃ、思いきって…バンザ―――イ!!」  
しえが両腕を思いきり上に挙げると、整った形のオッパイがぷるんぷるんと揺れながら露出した。  
股間も露わになる。陰毛が薄いため、こうして立っているのを正面から見ても縦筋がちゃんと見える。  
その縦筋の周りの肌はかなり色素が沈着してはいるが。  
そんなしえの裸身を、改蔵が湯船の中からしげしげ眺めていると、彼女が恥ずかしそうに訊いてきた。  
「あの…もう、腕、下ろしていいかな?」  
下ろしていいと言われるまでバンザイしたままでいるつもりらしい。  
頬を紅く染め、瞳が(早く下ろしていいって言ってよー)と訴えかけている。  
浴室内が湯気で満ちてきていた。  
 
ようやく両手を下ろしていいと言われたので、しえは今、入浴前に身体を洗っている所だ。  
シャワーを浴びる。ピンク色に上気した肌の表面をお湯が滴になって流れ落ちる。  
一通り浴び終わると彼女は改蔵が浸かっている湯船に入ってきた。  
「…おじゃましまーす…」  
二人入るとお湯がザバッと溢れる。狭い浴槽内で、二人は脚を絡めるようにして対面していた。しえは  
真っ赤な顔だ。  
 
そもそもなんでしえが改蔵と一緒に彼のうちのお風呂に入っているのかと言うと。  
今日は勝家は改蔵しかいない状態なのだ。  
しばらくは誰も帰ってきそうにないので、改蔵はしえを電話で呼び出した。  
で、時間はたっぷりありそうだからと昼間からお風呂を湧かして二人で入る事にしたのだった。  
 
お風呂の中で、改蔵が彼女の肌に触れる。お湯で温まってピンク色に染まっていて美しい。  
「やん。」  
「いいじゃないか。しえちゃん肌きれいだねー。ん?腕に痣が…」  
「あ、それ、部活で…竹刀が当たって…わー、こんな痣になってたんだ、気付かなかった…」  
改蔵はしばらく彼女の痣をなでていた。しえはなでられて嬉しそうにしている。  
頃合いを見計らって、改蔵はなでていた手を別な所に持って行った。  
首筋…脇腹…胸…。  
しえは拒まない。改蔵は反対の手も乳房に持って行き、両手で二つの乳房を優しく揉み回した。  
お湯に浮かんだ丸い二つの膨らみが、揉まれてぽよぽよ揺れている。  
しばらくするとしえのほうから顔を近付けてきた。そのまま顔を重ねる所まで持って行き、キスをする。  
くちゅ…くちゅ…と舌を絡めあう音が浴室内に響く。  
改蔵は胸を揉んだまま、しえは改蔵の首に両腕を回して、二人はディープキスを長い事続けた。  
 
改蔵は湯船に腰掛けた。もう本体は脈打つほどそそり立っている。  
何も言われなくとも、しえはちゃんとわかっていると言う感じで、彼の股間に唇を寄せ、そして彼自身  
をくわえ込んだ。  
しゃぶりまわす音がする。上目遣いで改蔵を見る。感じてるな、と確認すると、またしゃぶる事に意識  
を集中した。たまに口を外し、舌先で裏筋を刺激したりフクロを手でもてあそんだりする。  
(んー。上手くなったなーこの娘…)  
嫌がるのをほとんど無理矢理同然にくわえさせていたのはつい数カ月前の事なのだが、遠い昔のようだ。  
 
「もういいよ。それよりさ、アソコ見せてよ。」  
「え…でも、どうやって?」  
改蔵はお湯に浸かり直すと言った。  
「むこう向きであっちの縁に手をかけて、お尻を突き出して。」  
恥ずかしそうに従うしえ。改蔵の目の前に、しえの恥部が突き出された。  
尻の肉を両脇に開く。お尻はつるつるでお湯でピンクに染まり、色も形もまるで桃のようだ。  
それとはまるで対照的に、大陰唇のほぼ全体と小陰唇の縁の部分が、まるで塗り分けたようにくっきり  
とした境目で茶色になっている。  
処女だった彼女を改蔵が初めて抱いた時には既にこうだったので、この色は遊んでいるせいではない。  
さらに開くと、茶色のさらに内側から、鮮紅色の粘膜が見えた。  
改蔵は指でいじりはじめた。指を入れてみる。ぬるぬるになっていた。しえがひくつくとともに、指を  
締め付ける。同時にお尻の穴もひくひくしている。なかなか楽しい。  
 
「ね、改蔵くん、だめ、もう…して、おねがい、してほしいよー。」  
まるでアソコがしゃべっているかのように、しえがおねだりしはじめた。  
改蔵は立ち上がり中腰になると、後背位のまま熱く茹で上がっていたモノをしえのソコに突き立てた。  
「や…あ、熱い…そっか、そだよね…でも…すごい…ああん…」  
脚だけをお湯に浸けて、後背位でSEXする二人。  
二人が腰をつかうたび、お湯がばしゃばしゃ音をたてて波立った。  
 
改蔵はしえの背中が好きだった。意外と艶かしくそそる。そして、お尻の穴がヒクヒク窄まるのが、ア  
ソコと同期していてなかなか卑猥だ。  
お尻の穴をつついてみる。  
「あ、やん、あう…っ、ああん、あんっ」  
 
しえのよがる声が浴室内でエコーがかかってそれが結構二人を興奮させた。  
「改蔵くん…このまま…私、いっちゃって…いい?もう…」  
NOと答える代わりに改蔵は腰使いを緩めた。しえは意図を理解する。  
暴発しないよう、互いにじっくりと自分を高めて行く。そうして改蔵もイク寸前まで到達して行った。  
「あ…そろそろ…俺も…」  
「いい?いいの?イッていいの?」  
二人は一緒に絶頂に達しようとしていた。  
とその時。  
玄関の鍵ががちゃがちゃと開いた。  
「ただいまー。改蔵いないー?ちょっと忘れ物したから取りに来たの、私ドジねー。」  
羽美の声だ。  
 
改蔵としえは半分イキかけた状態で固まっている。  
どすどすどすと羽美が廊下を歩き回る音が聞こえて来る。  
本来なら、二人とも冷水を浴びせられたかのように醒めてしまう所だ。あるいはあわてて行為を中断し  
て何らかの取り繕いをすべき所だ。しかし二人は絶頂寸前で出すことも抜くことも出来ずにいた。  
しえは願った。  
(お願い、今出さないでよ改蔵君…出されたらその瞬間に私イッちゃう、声出ちゃう…)  
しかし改蔵のモノはいく寸前のヒク、ヒクという動きをいまだに持続していた。改蔵も全力で射精を堪  
えているのだ。  
 
「改蔵、どこー?おっかしいな、いるはずなんだけど…。」  
羽美が浴室の前で独り言を言っている。このまま浴室に入って来られたら、万事休すだ…。  
足音が、浴室前を離れた。どうやらキッチンに向かったらしい。  
二人の緊張が解ける。  
 
ところが。  
次の瞬間、改蔵の緊張が解けたせいで、出口寸前まで殺到しながら強制的に止めていた精液の流れが復  
活してしまった。  
どくっ、どくっ、どくっ…熱い液が、しえの膣内に迸り出た。その刺激で今度はしえが絶頂に…  
「あ、あうぅ!あん、あんっ!!」  
しえの声に、キッチンに向かっていた足音が止まる。戻って来る。浴室のドアノブに手をかける音。  
その時。  
「にゃ―――ん…」  
猫の鳴きまね。  
「何だ猫か。」  
羽美は引き返して行ってしまった。二階に向かったようだ。  
一昨日の「猫の鳴きまねだけで7つの戦場を生き延びた男」の話がまだ頭に残っていたのだろうか。  
ふう、と溜息をついた改蔵としえの繋がっている所から、白濁液がどろっとお湯の中に滴り落ちた。  
 
羽美はすぐまた外出していった。そのおかげで二人は気づかれずに事を終わらせる事が出来た。  
洗い場でお互いのアソコを洗いっこする。  
「しかし焦ったな。夜まで戻らないはずだったんだけんどな。」  
「こんな事あるのね。でも改蔵君、猫の鳴きまね上手ね。まあだからって引っかかる羽美ちゃんも…」  
しえのアソコを洗っていた改蔵の手つきが止まった。  
「ちょっと待って。あの猫のまね、しえちゃんじゃなかったのか?」  
「え?私猫の鳴きまねなんて出来ないよ?…って…じゃあ、あれ誰なの?本物の猫じゃないよね?」  
改蔵が、急に納得した表情になった。そうか、それで解った。玄関にしえの靴もある筈なのに、羽美が  
それに気付かないのに引っかかっていたんだけど…。  
「親父だよ。」  
しえが一瞬呆気に取られ、ついでその意味を悟って真っ赤になった。  
 
−完−  
 

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