「改蔵……お願い……」  
 
今夜も羽美は俺のベッドに潜り込み、おねだりをしてくる。  
ぎこちないがならも、精一杯の媚態を見せて俺に抱いてくれとせがむ。  
「まずはどうすればいいのか……わかるだろ?」  
そう問い掛けると、羽美は顔を赤くしながらもおずおずと俺の股間に手を伸ばした。  
パジャマの下をトランクスごとずり下げて、もう元気になっている気の早い俺の息子を前に  
更に顔を赤くする。  
どうやら、まだ慣れないらしい。  
それでも意を決したようにギュッと目を閉じると、恐る恐るといったカンジで舌を俺の息子に  
伸ばしていった。  
「早くしろよ」  
「…むぅっ!」  
別に焦れてた訳じゃないけど、ねだっていたくせに羞恥に震える羽美が可愛くて、つい意地  
悪をしたくなる。  
強引に頭を引き寄せて、その小さな口に俺のをねじこんだ。  
「ぐ…うぅ…」  
羽美が涙目で俺を上目遣いに睨んでくるけど、気付かない振りで優しく笑ってやる。  
「ちゃんと、舌使えよ…」  
囁くと、羽美は諦めたように目を閉じて舌をねっとりと俺の息子に絡め、擦り上げてきた。  
うーー、たまんねぇ。  
羽美のぎこちない技巧はまだまだだけど、俺の幼馴染が必死になって俺に奉仕するのを  
眺めるのは中々に気分がいい。  
その長い髪が顔の表情を隠すのを、手を伸ばして髪を掻き上げて、切なげに眉を寄せる  
表情をじっくりと眺めてやる。  
 
「…ハァ・…あ…んまり、見ないでぇ……」  
つくづくと眺めていると、その視線に耐え切れなくなったのか俺の息子を口から抜き出して  
顔を伏せてしまう。  
「おいおい、誰が止めてもいいって言ったかよ」  
「だって……」  
「見られたくないんだったら、サッサと俺をイカせてみせればいいだろ」  
素っ気なく言うと、羽美は俺を恨めしげに睨んできたけど、結局あきらめたように顔を伏せて  
俺の息子を口に含んだ。  
どうやらムキになって俺をイカせようと思ったらしく、裏筋を舐め上げたり、先のくびれた部  
分をチロチロと舌の先端で刺激したりと忙しい。  
う…っ、そろそろヤバいかも…。  
実は簡単にはイカされないように30分ほど前にトイレで抜いてきたのだけど、それでもコレ  
はかなりキク。  
俺は自分の気を逸らすために羽美に悪戯を仕掛けた。  
「…ん…ひゃぅっ!!」  
足を伸ばして下着越しに羽美の秘部を足の指で嬲る。  
そこはもう湿っていて、親指がそこを擦るたびニチャニチャといやらしい音が密やかに聞こ  
えてくる。  
手の指ほど繊細な動きが出来るはずはなく、ぎこちない動きの足の指に乱暴に掻き回され、  
敏感な陰核を刺激される度に腰が大きく揺れ動いた。  
「…ひゃら……らめぇ……」  
俺の息子を口に含んだまま、羽美は大きく喘いで抗議の声をあげる。  
「も……やらぁ……」  
耐え切れなくなったのか、大粒の涙が頬を流れ落ちる。  
それでも俺の息子から口を離さないのは上出来だ。必死になって舌を絡めている。  
「…なぁ、羽美。どうして欲しい?」  
俺自身、耐え切れないところまできているが、平静を装って羽美に囁きかける。  
手を伸ばして羽美の頬の涙の跡を拭ってやると、羽美は俺の息子から口を離して縋るよう  
にその手を掴んだ。  
迷子の幼い子供がようやく迎えに来た親に縋りつくように…――  
 
「カイゾー……欲しいのぉ……」  
唾液と俺ので濡れた唇が淫猥に動く。  
「ちょうだいよ……ねぇ・・・」  
腰の奥にズンとした重い衝動が疼いて、耐え切れなくて羽美の細い身体を抱き寄せる。  
無造作に下着を剥ぎ取ると、その熱く濡れてる秘部に乱暴に俺のモノを突きたてた。  
「あ…ッ、あぁぁーーっ!!」  
羽美の中は熱くて、俺をきつく締め付けた。  
待っていたのだと、俺を喜んで受け入れているのだと、蜜に溢れたソコは俺に伝えてくる。  
「あ・・・っ、あん・・・カイ・・ゾ・・・」  
白い腕が俺の首に絡みついて、きつく抱き締めて欲しいと訴える。  
俺はそれに応えて羽美の身体を抱き締めて、首筋や耳元に口付けを落とす。  
羽美は熱い存在に早く突き上げて欲しいのか、焦れたように腰を蠢かしていたが、俺は  
気付かず素振りで羽美の身体に愛撫を施した。  
すぐにでも動かしたら、俺の息子が爆発しそうだったからさ。  
「カイゾ・・・っ、はやくぅ・・・お願い・・・・・・」  
早く絶頂を極めたくて涙混じりに訴えてくる羽美に、俺はようやく息子が幾分落ち着いたの  
で笑いかけた。  
「待たせたな」  
「ん・・・」  
そして力強く腰を使い始める。  
「はっ・・・や・・・んっ、あ…っあっ・・・」  
激しく突き上げる度に、羽美の口から艶っぽい嬌声が洩れ聞こえ始める。  
いつも嫌味を言う口からは考えられないほど、ゾクゾクする官能的で可愛い声。  
もっと聞きたくて、更に責める。  
「も・・・や・だ・・・ッ、許し・・・、カイゾ・・・カイ・・・やぁぁ!!」  
次第に声は切羽詰ったすすり泣きに変わり、絶頂へと押し上げられていく恐怖に羽美は  
子供のようにしゃくり上げる。  
感じて、怯えてる。羽美はまだ絶頂の感覚に慣れないのか、激しく感じている時に子供の  
ように縋り付いてくる。  
その様子が愛しくて、もっと感じさせたくて、俺は更に羽美を追い詰めた。  
 
「あっ、あっ、あぁぁぁーーーっ!!!」  
羽美はどうやら絶頂に達したようだった。  
きつく俺を締め付けて、細い肢体が小さく痙攣する。  
俺は熱く絡み付いてくる羽美の胎内にしとどに全てを注ぎ込んだ。  
 
 
羽美は俺の腕の中で疲れきったように眠っている。  
まだ頬に涙の跡が残っていて、俺はそれをソッと拭ってやった。  
安心しきったような寝顔。  
つい最近まで、こんな羽美の寝顔を間近で見ることになるなんて思いもしなかったよな。  
特に子供の頃なんて、散々、酷い目にあったしな。  
 
そこまで思って、俺の口元を意識しない笑みが浮かんだ。  
ようやく、手に入れたんだ。  
俺の、わがままで手が掛かる幼馴染。  
小さい頃、付いて回る俺に散々黒いことをやらかしたクセに、高校に入った途端、これまで  
のことは『過去のこと』にしようとした。  
友達は相変わらずいなかったけど、常識人を装って普通に溶け込もうと必死だった。  
それが忌々しくて、許せなくて、ブチ壊してやった。  
電波なことを口走って、無理やり引きずり込んで、羽美を周りから孤立させた。  
また電波は伝染するのか知らないが、羽美の親父さんまで壊れてしまって羽美は帰るとこ  
ろがなくなってしまった。  
気が付けば、羽美の居場所は『科特部』と俺の傍だけ。  
羽美は俺がいなくなれば、本当に一人ぼっちになってしまう。  
だから、もう俺から離れられない。  
離すつもりもないけどさ。  
 
俺は散々苦労して手に入れた幼馴染を抱き締めて、大きなアクビを一つすると、ゆっくりと  
満足の眠りについた・・・――  
 
 
ある日の科特部・・・――  
 
羽美が一枚のプリントを前に難しい顔をして悩んでいた。  
「あら、どうしたの?眉間にしわ寄せて・・・」  
すずにからかい気味に問い掛けられて、羽美は慌てて自分の眉間を隠す。  
「もーー、真剣に悩んでいるんだから、からかわないで下さい!!」  
「なーに?進路の紙?」  
「はい。今週中までに書いて提出しなきゃいけないんだけど、ほら、ウチって今、あれで  
しょ?だから、なんて書いていいのか、わからなくて・・・・・・」  
困惑げに俯く羽美の家庭の事情に、すずは特に同情する素振りもなく無表情にプリント  
を見下ろす。  
「羽美ちゃんは進学したいの?」  
「んーー、出来たら・・・だけど。でも奨学金貰えるほど頭良くないしなぁ」  
ぼやく羽美にすずは意味ありげな笑みをその形のいい唇に浮かべた。  
「進路が決まらなかったら、改蔵くんのお嫁さんになっちゃえば?」  
「へ・・・?」  
思いがけない台詞に羽美はキョトンとした後、あっさりと答えた。  
「あ、それはないです」  
「あら?」  
思いがけない反応にすずは首を傾げる。  
「あなたと改蔵くん、付き合ってるんじゃなかったの?」  
「いや・・・まぁ、そうですけど。腐れ縁みたいなもんだし・・・・・・」  
パッと顔が赤くなった羽美はゴニョゴニョと答えたが、すぐに強い瞳ですずを見返す。  
「でも私、小さい頃からお嫁さんになるのが夢だったんです」  
「だったら・・・」  
「でも、改蔵のお母さん相手に姑イジメはできませんよぉ。負けちゃいますもん」  
昔から苦手だし・・・・・と心の中で呟く。  
「家事の合間のテレクラもダンナの食事に毒をちょっとづつ盛るのも改蔵相手だと難しそう  
ですし・・・・・・」  
ハァーと大きな溜め息をつく。  
 
「だから私、高校を卒業したら合コンをしまくって、善良で騙され易い普通の人をゲットする  
んです。そして子供の頃からの夢を叶えたいんです!!」  
「・・・・・・そう、頑張ってね」  
目を輝かせうっとりと夢を語る羽美にすずは無表情に相槌を打つ。  
これは改蔵くんはまだまだ苦労しそうだな・・・と心の片隅で思ったが、その方が面白そうなの  
で敢えて突っ込もうとは思わない。  
うっとりと夢に浸る羽美に背を向けて、すずはPCに向かった。  
 
一方、科特部の部室の外でたまたま羽美とすずの会話を漏れ聞いていた改蔵は呆然と  
立ち尽くしていた。  
手に入れたと思っていた存在は、どうやらまだ腕の中に収まる気はないらしい。  
「フ・・・、フッフッフッ」  
喉の奥から笑いが込み上げてくる。  
こうなったら徹底的に追い詰めてやる。誰にも羽美には近付かせない。  
いや、むしろ近付く気さえ起させない。  
羽美の周りに誰もいなくなって、その瞳が俺しか映さなくなるように・・・――  
 
乱暴に科特部のドアを開けると、羽美が夢見心地から醒めた眼差しで俺を見てぱぁっと  
花が綻ぶように微笑った。  
くそっ、やっぱり可愛い!  
「改蔵、遅かったわね」  
「あぁ」  
素っ気なく応えて顔を背けると部長と目が合った。  
部長の目が意味ありげにスゥッと細められて、その唇が「がんばってね」と声もなく形作られる。  
どうやら部長にはお見通しらしい。  
俺は更に不機嫌になって、自分の椅子にどっかりと座り込むと、目の前で不思議そうに  
俺を窺う羽美を見ながら、今夜はどうやって苛めようかとアレコレ考えていた。   《完》  
 
 

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