「おかしいと思いませんか?!」私は切り出した。  
「何が?」対面に座る外ハネの女性が答える。  
この人は我が科特部、もとい科学部の部長さんだ。  
ものすごく偏った考えの持ち主だが、私に話を合わせようとしない  
クラスメートよりよっぽど頼りになる存在だ。  
「だから一年も同じ部屋で寝起きしてるのに何も無いなんて、  
 改蔵の奴どうかしてるんじゃないですか?」  
「まあお互い未成年なんだし、事情が事情だからしょうがないんじゃない。」  
「けど毎年クリスマスだって一緒に過ごしてるし…。  
 それに知ってるんです、あいつがかなり女好きな事。  
 なのに私に手を出さないなんて普通じゃないですよ。」  
「ちょっと男の子の理性を軽視する発言ね。もしかしたら羽美ちゃんの事  
 大事にしたいと思ってるのかも知れないし。  
 何をそんなにあせってるの?」  
 
「このままじゃ、私はあいつの何なのって事ですよ!」  
私は激昂していた。部長の落ち着いた口調が今は腹立たしい。  
「小さい頃からお互いの事よく知ってる、てことじゃダメなの?」  
「そんな事じゃあいつの周りをウロつく他の女に言い訳出来ない  
 じゃないですか!私が欲しいのは他の女に示しのつく  
 絶対的な優位です!」  
「じゃあやっぱり既成事実を作っちゃうのが手っ取り早いわね。」  
「そうでしょう?でも改蔵、私で欲情する気配が無いんです。  
 あいつがおかしいの?それともやっぱり私には女として  
 魅力が無いからですか?」  
声を上げて訴えているうちに私は涙目になっていた。  
部長は足組みの体勢のまま、顎をしゃくり上げた。  
「うーん、傍目で見る分には羽美ちゃん結構かわいいし  
 問題は性格かな、お互いを知り過ぎてるのも障害になってるし…。  
 よし、改蔵くんの理性を吹っ飛ばすのがベストチョイスね。」  
目の前に光明が見えた。部長は立ち上がり、ロッカーに向かって歩いていく。  
 
部長は紙袋を取り出し、ロッカーの中身を幾つかその中に入れた。  
戻ってきた部長は私にこう説明した。  
「人間の性欲は大脳旧皮質で司っているの。生殖の為に必要な事だからね。  
 けど見境無く異性に引っ付くと、それはそれで不都合な事が起こるの。  
 だから大脳新皮質、ここは主に論理的思考、理性を司る部位だけど  
 ここで性衝動を抑えるの。つまり性的な欲望を解放させたければ  
 大脳新皮質を抑えて大脳旧皮質の働きを活性化させればいいわけね。」  
部長は相変わらず難しい事を知っている。けどどうやって改蔵を  
飢えた獣に変えるのか、そこを説明して欲しい。  
と思ってたら、彼女は紙袋から酒瓶、板チョコ、精力剤の壜を取り出した。  
オリジナルのラベルが剥がされているところが、何やら非合法な匂いを醸し出している。  
部長の説明が続く。  
「この酒瓶、中身は大脳新皮質の働きを抑える薬よ。飲みやすいように  
 私が調合したわ。それからこのチョコレートみたいなのは大脳旧皮質の  
 働きを活性化させるの。食べ過ぎると鼻血が出るから注意してね。  
 それでこの小壜は人間の生理機能を向上させる補助剤だから。  
 この三点セットで改蔵くんの性欲を解放させるのよ。  
 全部飲み過ぎ・食べ過ぎに注意してね。安全性は特に問題ないけど。」  
そう言って部長は紙袋にそれらを戻していく。  
 
私は紙袋に飛びついた。だが部長は紙袋を持ったまま冷静に言い放つ。  
「タダじゃあげられないわよ。結構元手と手間が掛かってるんだから。  
 本当なら5万円で譲る所を羽美ちゃん特別価格\29,800でいいけど。」  
出た、部長商法。そうやって泣きを見た人がどれ程居たことか。  
でもどっちにしろ売るつもりだし、改蔵を私の虜にする為には致し方ない。値切ろう。  
「\19,800にして下さい。」  
「\27,800。」  
「\24,800。これ以上は無理です。払えません。」  
「いいわ、それで。羽美ちゃんの財布も大変だしね。」  
手付けの五千円也を払い、紙袋を受け取って  
私は意気揚々と部室を出て行った。  
後はどうやって改蔵にこの薬を仕込むかだ。  
 
ー---------------------------------------------------------------------  
 
羽美とほぼ入れ替わりに地丹が部室に入って来た。  
「部長、あれ酒とチョコレートとファ○ト一発でしょう。  
 相変わらず非道い商売しますね。」  
どうやらやりとりの一部始終を覗いていたようだ。  
「嘘は言ってないわ。全部お酒、チョコレート、精力剤の効果だもの。」  
部長はしれっと言いのけた。  
「さーて、今夜あたりから改蔵くんの部屋に隠しカメラでも仕込もうかしら。  
 生ハメ撮りの映像は相変わらず青少年に人気だし。」  
「ううっ、可哀相な改蔵くんと羽美ちゃん…。」  
 
 
−−−−三日後−−−−  
今日、私は改蔵と結ばれる。この日を選んだのは改蔵のお母さん  
(最近は奥様と呼んで遜っているが)が慰安旅行とかで留守にしており  
事を運ぶのに適しているからだ。  
改蔵自身も「モー」の発売日で帰宅がやや遅く、準備を整えるのに都合がいい。  
ここで私の立てた作戦を説明しよう。  
改蔵が帰宅するとすぐ、小壜を栄養剤と偽って飲ませる。  
夕食の際、酒瓶の薬を飲み物として出す。  
その後2人で映画を観る時に、板チョコ状のものを菓子代わりに食べさせる。  
薬の作用で欲望を解放された改蔵はついに私を…想像すると頬が赤らんでしまう。  
それでは「愛の行方」作戦開始。  
 
部活が終わると真っ先にビデオ屋に寄り、ホラー映画を一本借りる。  
改蔵の奴、あれで怖がりだからこれを観てる最中私に抱き付くに違いない。  
私が怖がって抱き付くんだったらよく聞く話だけど…まあどっちでもいい。  
その後買い物を済ませ、帰宅するとすぐ夕食の支度に掛かる。  
食卓に並んだご馳走を見て喜ぶ改蔵の姿をつい想像してしまう。  
手際よく鍋を操り、皿に盛り付けていく私…  
 
-------------------------------------------------------------  
 
「はい、お願いします。その時間で。」  
受話器を置き、食事の準備が整った。  
改蔵が帰って来た「ただいまー」。  
私は玄関にいる改蔵に呼びかける。  
「改蔵ー、先にお風呂に入っといてー。」「おうわかったー。」  
私はその間卓上に食器を並べ、部長からもらった小壜を用意した。  
風呂から上がった改蔵に小壜を差し出す。  
「改蔵、飲んで。」  
「あのー、オレ風呂上りは牛乳って決めてるんだけど。」  
しまった、こいつ結構細かい事を気にする奴だった。  
でもこれを飲んでもらわないと話にならない。  
「なによ、改蔵が喉渇いてると思ってせっかく私が用意したのに。」  
「ラベルが張ってないぞ。毒とかそんなんじゃないだろうな?」  
こいつ妙な所で鋭い。神童と呼ばれてたのは伊達じゃないと思うんだが。  
いけない、躊躇してると怪しまれる。どうすれば・・・  
 
とっさに出た一言が私を助けた。  
「最近改蔵が元気ないからって、部長が調合してくれたの。栄養剤を。」  
「なんだ博士の薬か、安心した。羽美の調合した呪い薬だったらどうしようと思ったよ。」  
「失礼なっ!!」  
 
---------------------------------------------------------------------------------  
 
改蔵は部屋で宿題をやっている。私もよく改蔵に見てもらう。  
信じられないかも知れないが、こいつ勉強はよくできる。  
私なら1時間かかる宿題を、改蔵は20分ぐらいで全部終わらせる。  
その後勉強してる私の傍でネットを繋ぎ、「モー」関連情報の検索や  
オークションサイトでムー大陸の遺品なんかを探している。賢いんだか馬鹿なんだか。  
チャイムが鳴った。  
「すいませーん、ご指定の時間にお届けに上がりましたー!」  
代金を払い、届いたピザを食卓に並べて二人で席に着く。  
酒瓶から薬品を改蔵のグラスに注いで呼びかける。  
「改蔵、乾杯しよ。乾杯。」  
「おい、未成年の飲酒は法律で禁止されてるんだぞ。それに何で羽美のグラスに  
 何も入っていないんだ?」  
またやった、確かに私も飲まないと怪しまれる。  
この薬部長は安全だと言ってたな。改蔵に多く飲ませればいいだけの話だし。  
自分のグラスにも薬品を(少し)注ぎながら改蔵に説明した。  
「これは部長の作った『お酒っぽい』ものよ。未成年が飲んでも大丈夫なの。」  
「なんだ博士の造ったものか。なら大丈夫だな。」  
…どうして私の出すものは疑って部長だと信用する訳?まあいいわ、飲ませりゃいいんだから。  
「かんぱーい!」  
この薬意外と美味しい。何かワインみたいな飲み口がピザによく合う。  
 
いけない、つい飲み過ぎてしまった。  
改蔵にもなんとかお替りをさせたが、どう見ても私の飲んだ分量が多い。  
ちょっと頭がぼやけてきた。大丈夫かな私…  
改蔵は卓に突っ伏して泣いている。  
「ううっ、ララァーー!!」  
なにがララァだ、このガンダムオタク。  
奴は放って置いて、少し乱れた足並みで食後の片付けをする。  
 
---------------------------------------------------------------  
 
「改蔵、映画観る?」  
台所からリビングに戻った私は呼びかける。だが返事は無かった。  
よく見ると、改蔵はテレビ画面に向かったまま涙を流してる。  
画面に映っていたのはご存知「フランダースの犬」最終回だった。  
いい話だし、私が観ても泣いてしまう内容だが今は鬱陶しい。  
VTRを止め、私が借りて来たテープを入れる。  
「何すんだよ!人が観てるのに!」  
「うるさいわね。今日はあんた私と映画観るの!」  
「フランダースの犬観ればいいじゃないかよ!」  
「これでいいの!それより改蔵、チョコレート食べない?」  
「…うん。」  
どうでもいいが、泣いてる改蔵を見て可愛いと思うのは私だけだろうか。  
私は板チョコ状のモノを取り出し、ひとかけら割って口に咥え、改蔵の前に突き出した。  
「ん…」どう、改蔵?  
改蔵はほうけ顔で私を見ていたが、やがて私の手にあった残りを掴み  
全部食べてしまった。  
…ホントにこいつは(怒)。  
映画の最中、改蔵は怯えっぱなしだった。それでも私には抱き付かない。なんて奴なの!?  
映画自体はまあまあ良かった。なんだか血を見ると興奮してしまう。  
本能の奥底を呼び起こされるみたいで何か感じてしまう。  
それに今夜これから起こることを考えると…。  
 
終わった後、ふと傍を見ると改蔵がいない。まさかこんな時間に外出?  
玄関へ飛んだ。靴はある。じゃあ部屋?  
部屋にいた。しかも寝ている。  
こいつ夜寝るのは早い方だけど、それじゃあここまでの私の努力が水の泡だ。  
…決めた。封印された奥の手を使おう。  
私は押入れからストックの人形を取り出すと、改蔵の髪の毛を入れ  
厳かに式を執り行った。  
どうやら金縛りが効いたようだ。寝返りさえ打ってない。  
私は深呼吸し、下着だけの姿になって改蔵に寄りそう。  
そして彼の着衣を全部脱がし、何年振りかに見る今は成長した  
改蔵の分身に手を添え、高まる予感の中でそっと顔を近づけていった…。  
 
私は口内に改蔵の分身を含んだ。とりあえず先端の部分を舌でなぞる。  
味は今まで口にした中で最も例えにくいものだった。  
茎の部分にも舌を絡めてみる。意識してないのに唾液が湧いてくる。  
私はそれを飲み込む。自然、改蔵を吸い込む形になる。  
すると突然、今まで沈黙していた改蔵の男性部が熱を持ち、膨張した。  
これが勃起か、実物は初めて見た。  
それと同時にふと気づく。  
舐めるより吸ったほうが気持ちいいんだ。  
とはいえ、膨れ上がった改蔵のモノ全体を口に含むことは不可能だった。  
仕方ない。先の方だけでも口に含み、吸ってあげよう。  
私は再び舌を男性自身に絡め、その上で口内が改蔵と密着させる事にした。  
そのままでは息苦しいので、呼吸は鼻ですることになる。  
私の息が荒くなっている。それは息苦しさのせいとばかりも言えない。  
いつの間にか私は、口全体で男性自身を擦っていた。  
本能に記憶されていた行動のなせる技か、それとも…  
あれほど変だと思っていた口内の物が、だんだん愛おしくなってくる。  
この時、改蔵がつぶやいた。寝言らしい。  
「…さやか」  
…さやかって誰?私は何をしているの!?  
私はいい気になっている改蔵のモノに噛み付いた。  
 
「何だ?あっ羽美、お前何やってんだ!?」  
目覚めた改蔵は体を動かさず叫んだ。正確には動かせなかった訳だが。  
私は改蔵から口を離し、問いかける。  
「さやかって誰よ?」  
「何言ってるんだ!オレは何でお前がこんな事してるのかって聞いてるんだ!」  
「答えて!あんたさやかって女とこんな事してるの?  
 他の女とはもうセックスしてるって訳?!」  
「関係ないだろ!それよりお前、自分が何してるか判ってるのか?」  
「関係あるもん!私はずっと改蔵のこと好きだもん!  
 その私を差し置いて他の女が改蔵とくっつくのやだもん!」  
「だからってこんな事…。今すぐやめろ!」  
やめない。改蔵は私のものだ。私だけのものだ。  
再び改蔵のものを口に含み、一心不乱に口を動かす。  
改蔵は動けない、抵抗できない。叫ぶだけ。  
「やめろ、やめてくれ、羽美…」  
こいつ、男にとってこんなにオイしい筈の状況になってまだそんな事いうか。  
そうしてる内に改蔵の分身が一際大きくなった。確か絶頂が近い証拠だと  
吉川くんの持って来たHな雑誌に書いてあった。  
クラスメートの一人が机の中から発見し、女子で廻し読みしたっけ。  
ついに改蔵が陥落した。粘性の液体が咥内に発射される。  
しょっぱい変な味だが、それを感じないよう一気に飲み下す。  
口の中とは言え、私に射精したとなればいざ私を抱く時の罪悪感も軽くなるはず。  
それにしてもまだ終わらないの?射精って一回だせば終わりだと思ってた。  
私たちの息が荒い。ようやく呪縛の解けた改蔵が起き上がり、私を放すと  
顔を覗き込んできた。  
「羽美、お前…」  
 
「お前セックスがどんな物か知ってるのか?」  
無意味な問いだ。私は返した。  
「したいって訳じゃないけど、あんたが他の女とする位なら  
 いっそ私が抱かれる方がずっとマシよ。」  
「何をバカな、こんな事しなくてもオレはお前が…」  
「意味ないわよ!そんなことどう信じろって言うの?  
 大体いっつも女周りにはべらせてても説得力ないわよ!  
 どうせ山田ともやってるんでしょ、この女たらし!」  
「それは誤解だ、ちゃんとオレの話を…」  
「聞きたくない、それにあんた私の中に出してるでしょ!」  
この一言が効いたようだ。改蔵は口をつぐんでしまった。  
だが少しすると言い返してくる。  
「あれはオレが頼んだ事じゃない、お前が勝手に…」  
「だとしたらあんたのせいよ。あんたが女たらしだからいけないのよ。  
 言葉で好きって言ってもらうだけじゃもう信じられない…」  
涙がこぼれてきて視界が効かない。怒り、悔しさ、切なさ、  
全ての負の感情が押し寄せて来てどうにもならない…。  
ふと肌が密着する感触があった。改蔵は向かい合う形で両手で私の肩を抱き、  
頬をすり寄せてくる。  
「わかった、そこまで言うなら態度で示す。けど羽美、初めては痛いぞ。」  
「なんであんた私が処女だってわかるのよ。」  
改蔵は答えず、私の唇を奪いに迫ってきた…  
 
ほぼ2年ぶりのキスは、それまでの私の感情を吹き飛ばすのに十分だった。  
舌を絡め、歯茎を舐めてくる。大人の、恋人同士のキスだ。  
たまらず鼻息がこぼれる。改蔵は口付けをしたまま、右手で私の頬をなぞり、  
左手を私の背中に回してブラのホックを外す。肩と胸に開放感が訪れた。  
両手で肩をなぞるようにして、改蔵は私からブラを優しく取り去った。  
そのなぞる感覚が心地よい。  
御世辞にも豊かとは言えない私の胸が露わになった。  
ようやく二人の口が離れた。新鮮な酸素を貪って私が言う。  
「やだ、見ないでよ。恥ずかしい…」  
「なんでだよ。」  
「だって私オッパイ小さいし…あっ!」  
改蔵は右手の指で乳首をはさむようにして、掌全体で私の貧弱な乳房を包む。  
そして揉んでいるのか、擦っているのかわからないような動きで  
私の左乳房を弄びだした。  
「はあぁ、そんなこと…」  
彼の触れた箇所から熱と切なさが駆け上る。  
「すっげえいい触り心地だ。オレこういう感触大好き。」  
「やあぁ、エッチ。」  
嬉しかった。胸の事を褒めてもらったのは初めてだ。  
やがて改蔵は私の首筋、鎖骨の下へと唇を這わせ、その唇は私の右乳房に達した。  
左手は私の背中をさすっている。  
と、改蔵は私の乳房全体に舌を当て、丁寧に全体を撫で回す。  
くすぐったさが背中を上る。思わず声が出る。  
「ああっ、あっ、やあん」  
そして舌が頂上に達すると、突起をその周辺ごと口に含み、吸う。  
舌でなぞられる感触と吸引される感触とに同時に襲われ、私は身悶える。  
改蔵は密着したまま、私を仰向けに寝かせた。  
 
そして私の背中から左手を抜くと、今度は両手で私の両胸を捕らえる。  
口は私のへその下辺りを攻めていた。  
さっきから上半身ばかり攻められているのに、下半身にも熱がこもる。  
たまらず改蔵に助けを請うた。  
「お願い、改蔵…。下の方も…はあっ…触って…」  
「ああ。」  
そう言うと改蔵は左手の動きはそのままに右手を私の内腿に伸ばした。  
いよいよ触れられるのだ。誰にも許したことのない部分へ…。  
と思っが、意外にも彼の手は内腿から離れなかった。  
いや、内腿とお尻をなぞり出したのだ。  
これはこれでくすぐったく、私の吐息を荒げたが  
私の触って欲しい部分と違う。そこじゃなくて…。  
「お願い、意地悪しないでよ…」  
「ゴメン、つい羽美が可愛いから…」  
彼の右手はショーツ越しではあるが、やっと秘部に触れた。  
「湿ってるな…」  
「バカ、そんな事言わないで…」  
改蔵は掌を私の股間全体に当て、中指と思しき指で秘裂をなぞるように触りだした。  
 
さすがにこの感触からは一瞬逃げたくなった。  
だが改蔵は胴体を私に押し付けているので、私は逃げられない。  
やがて改蔵はもっと大胆な行為に出た。  
私のショーツを苦労しながらも片手で取り去り、秘部を直接触りだしたのだ。  
今までの数倍の感触が私を襲う。私は思わず脚を閉じた。  
「足、開いて。」  
改蔵は落ち着いた声で私に命じた。  
「もう、やあぁ…」  
恥ずかしさの為、私はもう改蔵を見つめることが出来なくなっていた。  
それでも私は目をつぶったまま脚を開く。見られる。見られてる。  
突然両腿に拘束を覚えたと思ったら、改蔵は私の秘部にかぶりついていた。  
「だめぇっ!そんなトコ舐めちゃ駄目っ!」  
改蔵は返事しない。私も改蔵の大事な部分を舐めた訳だし、これであいこ?  
いや違った。彼の技はもっと凄かった。  
陰唇をなぞる。舌で秘裂を開く。  
「ああっ、あっ、あっ、うっ、ひぃっ!!」  
さっきから感じていた波が一気に、連続して押し寄せる。  
さらに改蔵の舌は一番刺激の強い部分を探し当て、そっと触れる。  
「はぁぁぁぁっ!!」  
ついに改蔵は、私の脚を拘束していた手を秘部へ伸ばす。  
すでに彼の唾液と私の愛液で濡れた秘処で指先を濡らし  
指先で敏感な突起を、脚の付け根の秘部周辺を、そして舌で秘洞を同時に攻める。  
「ああっ、あああああぁぁぁっ!!」  
波が私の意識を一瞬さらっていった…。  
 
全身の肌が熱を持ち、汗が噴出してくる。  
まだ脳が痺れてるうちに改蔵は私の腰を捉え、秘裂を指で開き、  
今まで我慢してきた彼の分身を素早く私にあてがう。  
私の性器に再び彼の体温が接触する。  
「あ…」  
私は未知の領域に足を踏み入れようとしている。少し身がすくんだ。  
改蔵はそんな私の様子に気が付いたのか、そこで動きを止めて  
私に語りかけてくる。  
「大丈夫だ。緊張すると痛いぞ。」  
「うん。でも…」  
どうやったって挿入の瞬間は痛いだろう。それにどうしたってその時には  
緊張してしまう。  
改蔵はそんな私の躊躇いを察したようだ。  
「じゃあ1,2の3で入るからな。1、2の間は大丈夫だから。」  
「うん。」  
私は改蔵に体を預けた。  
「行くぞ、はい1…」  
私が身構えるよりも少し早く、改蔵は力を入れて強引に侵入してきた。  
股間の少し体奥側を引き裂かれるような感覚に襲われ  
今までに無いほどの痛みのあまり声を上げる。  
「ひぃあああぁぁっ!!」  
改蔵は少しきつそうな表情をしていた。こら、痛いのは私の方だって!  
だが関門を突破すると、それまでの抵抗が嘘だったように  
私は改蔵を奥まで受け入れていった。  
そのまま改蔵は私に向かって倒れ込み、私の背中へ手を回し  
しっかりと私を抱きしめてきた。  
私も当然のように彼の背中に手を回し、汗に濡れた互いの素肌を密着させる。  
まだ痛みは残っていたものの、たった今一つになった彼の体温が暖かく、心地よかった。  
 
改蔵はしばらくそのまま動かなかった。  
私はと言うと、中で改蔵を確かめつつ、感触を味わっている。  
「ごめんな、痛い思いをさせてしまって。」  
「ううん、いいの。そんなに気を遣わないで。」  
改蔵だって、さっきから我慢してるんじゃない。  
私は大丈夫だから、貴方も気持ちよくなって…  
私の思いが通じたのか、改蔵は少しずつゆっくりと動き出した。  
その煽りで、私は規則正しい声を奏でる。  
今は言葉は要らない。思ったことが通じ合ってる。  
古来、女と男は一つの生き物であり、神々の手によって二つに分けられたという。  
そして今でも互いに一つになろうとする、という話を昔の哲学者が言っていたらしい。  
だとしたら今の私達の行動は、ずっと前から決まっていた必然なのだろうか。そうに違いない。  
やがて改蔵の動きが力強く、激しくなってきた。  
痛みが強くなったが、それ以上の未知なる快感が昇ってくる。  
彼は腰の動きにとどまらず、私の肌を万遍なく触ってくる。  
そして私の唇を求め、私がそれに応える。  
 
私の脳は混乱していた。今まで味わった事のない質量の感覚が  
私の心を、身体を、私の全てを壊さんばかりに襲いかかる。  
私が壊れる。でも不安はない。  
その先を越えると私が、いえ私達が生まれ変わるから。  
だから改蔵、私を壊して。もっと一つになる為に…  
…その瞬間は突然やって来た。  
先ほどから私を襲っていた波が一際大きくなると、再び私の知覚が飛んだ。  
わずかに意識が回復しかけた時、改蔵は私に倒れ込んでいた。  
そして私の中に、彼が生まれてきた理由を注ぎ込んでいる。  
大波が去った後の波打ち際に小波が寄せては返すその感触が  
私のけだるい心と体を優しく癒していく…。  
ありがとう改蔵。私の愛しい男、私だけの男。  
ずっと、ずっと一緒だからね…。  
改蔵と繋がったまま、私は深いまどろみへと落ちていった。  
 
-----------------------------------------------------------  
 
しがらみ町某所。  
無機質な室内で、彩園すずはモニターを眺めていた。  
「3日か、まあこんなもんね。  
 それにしてもカメラアングルは失敗かな、これじゃ売れないわね。  
 だけど羽美ちゃん、なんだか幸せそう。ちょっと羨ましいな。  
 私もあんな幸せな体験してみたかった…。」  
彼女はモニターを切り、部屋から立ち去っていった。  
 
 
翌日。  
昨日の出来事が嘘のように、改蔵は家でも学校でもごく普通にとり澄ましている。  
恥ずかしさの為、私は改蔵と並んで歩いたり、そばに寄ったりできない。  
今日も改蔵は女子に人気がある。放課後ミッチーと佐々木さんが彼に寄って来た。  
いやっ、改蔵に近付かないでよ。改蔵、何話してるのよ。聞こえないわよ。  
ダメ、そんなに馴れ馴れしく話しかけないで!  
 
-------------------------------------------------------------------  
 
「なあ、羽美のことなんだけど。  
 ちょっとぐらいは仲間に入れてやって欲しいけど、いいかな?」  
「うーん、難しいな。あの娘協調性が全然無いからねえ。」  
「それに何か嫌な事があるとすぐ呪うから。」  
「羽美にはオレから言って聞かすから。な、頼む。」  
「どうする?」  
「改蔵くんがそう言うのなら…。」  
 
何言ってんの?もしかして私の悪口?  
昨夜私達の間にあったことは何だったの?  
いやっ、そんなの嫌!  
佐々木も神崎もみんなみんな呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪う呪ってやる!!  
私は駆け出す。秘密の場所へ走る。  
 
----------------------------------------------  
 
3体目の人形に釘を掛けようとしたその時、部長の声がした。  
「羽美ちゃん、そんな呪いよりもっといい方法があるわよ。」  
驚いた。どうしてこの人、秘密の呪い場を知ってるの?  
部長は涼しい様子でその先を続けた。  
「改蔵くんの事でしょ。彼がもっと羽美ちゃんに惚れ込んで  
 他の女に目が行かないようにすればいいのよ。」  
なるほどその通りだ。ついいつもの癖で呪ってしまったが部長の言う事は正論だ。  
私は呪いの儀式を強制終了させ、部長に聞き返した。  
「どうすれば良いんですか?」  
「ついて来て。いい物を紹介するわ…。」  
 
(了)  
 

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!