陽子は向かいの回廊を歩く景麒を発見した。
不幸にも景麒は気付かなかった。
陽子は暇だったので景麒をからかう事にした。
しかし陽子は体当り派だった。
とりあえず日頃の恨みを込めて足でも引っ掛けて転ばせようと思った。
この間朝議で恥をかかされたばかりだという事も思い出した。
(やっぱり足を引っ掛けるくらいじゃあ足りないな)
しばらく考えた結果、とび蹴りを食らわせて池に落とす事にしよう、と
陽子は王ならではの決断力で決めた。
こっそりと忍び寄り柱の陰に身を隠し、景麒を待つ。
何も知らない景麒が相変わらずの無表情でやってきた。
いきなり現れた陽子に、景麒は一瞬固まる。
次の瞬間、陽子が勢いよく蹴りだした足が綺麗に景麒を直撃した。
――正確にいうと、景麒の股間に直撃した。
金波宮に、夜にも珍しい景麒の悲鳴が響き渡った。
陽子は外出禁止令を食らった。
陽子は景麒を恨んだ。
後で復讐してやろうと心に決めたのであった。
(最初に戻る。エンドレス……)