とあるアパートで老人が横になっていた。  
老人は(もうすぐ自分は死ぬんだろうな)と翳む視界で部屋を見渡しながら考える。  
ふと、その目が一冊の本を捉える。その本はパチンコやパチスロに登場するキャラクターのイラスト本。  
(若い頃はよく打ったな…)  
そのイラスト本に出ているパチスロは全て打ったことがあるが、一番のお気に入りは「十字架」だった。  
「……ニーナたん……か…」  
老人の呟いた名前はこのパチスロに登場する人物の名前だ。  
パチスロ「十字架」のキャラクターで一番好きだったキャラクター。  
もう数十年も前になくなった台だが鮮明に思い出せる。  
何せ初めて打ったパチスロなのだから…  
(もう一度打ちたいな…)  
視界は徐々に暗くなってきたが、最後までイラスト本を捉え続ける。  
十字架を打っていたあの頃を思い出しながら、間もなく老人は眠るように息を引き取った。  
 
後日、家賃の取立てに来たアパートの管理人は応答がないので合鍵で部屋に入ると、そこはまるで最初から誰も住んでいないかのように  
何も無い部屋になっていた…………  
 
 
 
アパートで死んだはずの老人は気がつくと薄暗い部屋に倒れていた。  
「………あれ…?……俺は死んだんじゃ…?…」  
見渡す限り自分の部屋ではなく、ずっと広く豪華な感じの部屋だった。  
「ちょっと!、いつまで私の上に乗ってんのよ!どいてよ!」  
自分の体の下から女の子の声がした。どうやら自分の下敷きになっているようだ。  
「あ、ごめんごめん、今退く…よ……?」  
老人は自分が下敷きにしていた少女を見て驚愕する、何故ならその少女は良く知っているからだ  
そして何より触れ合えるはずがない!!  
 
上下一体であろう黒い服とスカート、首の所には赤紫のスカーフ、黒のニーソックスに黒い靴  
さらさらの美しい金髪を黒いリボンでツインテールに括っている、その毛先は括っていても膝下まで届いている程に長い  
髪を下ろせば足首まで届くだろう。見た目13・4歳くらいの女の子、パチスロ十字架に登場する謎の少女二ーナだった。  
 
「う、嘘だろ?…」  
「な、何よ、」  
「……二ーナ…?」  
「な、何で私の名前を知ってるのよ!」  
「に、に、に、……二ーナた〜〜んッ!!」  
老人は二ーナに抱きつく。限界だったのだ。大好きな二ーナが目の前に居るのだから。  
 
「ち、ちょっと、何するのよっ!放してよっ!」  
いきなり見知らぬ男が抱き付いて来てパニくるニーナ、無理もない、だが男は止まらない。  
「二ーナたん好きだぁー!!」  
「え?えっ?えっ?」  
突然告白されたニーナは戸惑う、だが男は止まらない。  
「二ーナたん愛してる!!」  
「そ、そ、そんなこと、急に言われても、」  
男があまりにも真剣に、かつストレートに告白したので男の気持ちはしっかりと二ーナに伝わっている。  
「好きだ!好きだ!愛してる!!」  
「ち、ちょ、ちょっと待ちなさいよ!分かったから落ち着いてよッ!」  
二ーナは冷静に男を宥めているが、実際の所混乱していた。  
何せいきなり現れた男が何故か自分の名前を知っていて愛の告白をしてきたのだ。  
男は贔屓目に見ても美形とは言えない。普通…なのかも判断できない(東洋人を見るのは初めて)黒髪黒眼という初めて見る人間。  
少なくとも彼女は黒髪黒眼なんて人間は初めて見る。  
おまけに男に告白されたのなんて初めてだったので内心ドキドキしている。  
嬉しいかどうかで言えば嬉しい。だが、何にしても男のことを知らなければどうしようもない。  
 
「いかんいかん。年甲斐もなく暴走してしまった」  
「年甲斐もなくって…あんた何歳よ…」  
「今年で80だな」  
「嘘をつくんじゃないわよ!あんた人間でしょ?どう見ても若いじゃないッ!」  
「へ?若いって?ニーナ…子供がお世辞を言うもんじゃ……」  
部屋の中にあるやたらと大きくて高そうな鏡を見ながら男は言いかけた言葉を飲み込む。  
鏡に映っていたのは20代の頃の自分だったからだ。  
「若返ってる…」  
無視して呆然と鏡を見ること数分後、ニーナに脚を蹴られて我に返る。  
「痛ぇッ!」  
「無視するなッ!大体私はあんたよりも年上よッ!」  
そう、男よりもニーナの方が年上なのだ。  
見た目からは分からないが正体を知っている男は、ニーナが見た目=年齢ではない可能性に気づく。  
「じゃあ、ニーナは何歳?」  
「ううッ…そ、それは、」  
ニーナは言えない。人間の振りをしてこの城の中を歩き回っているのだから。  
年齢から正体がばれてしまう可能性がある。だから誤魔化した。  
「そ、そういえば、あんた何で私の名前を知ってるのっ!あんたの名前も教えなさいよッ!」  
「おお、そうだったな。俺は……そうだな…ナナシと呼んでくれ」  
男…ナナシは自分が死んだらしいことや、気がついたらここにいたことなどをニーナに伝えて  
ニーナを知っていることについては、死ぬ前に見た夢にニーナが出てきたので知っているのだと嘘をついた。  
その夢でニーナに一目惚れをしてしまったと…  
 
 
信じられない  
 
それが二ーナの思ったことである、ただこの男…ナナシが自分のことを好きなのは理解出来た。  
だからニーナは試してみる。自分の正体を知っても好きだと言うのか、気持ちは変わらないのかを  
(それで怯えるのなら、拒絶するのなら…私の正体を知ってしまったこの男の血を吸い尽くすせばいい…)  
「ねぇ、ナナシ……あんた私がドラキュラの娘だって言っても…好きだって言えるの?」  
だがナナシは自分の想像を超えた答えを返してくる。  
「し、正体を教えてくれたということは……結婚してくれるんだなっ二ーナたん!!!」  
「なっ…!?何言ってんのよッ!私はドラキュラの娘だ!って、吸血鬼だ!って言ってんのよッ!」  
「だから隠していた正体を教えてくれたっていうのは、つまり俺と結婚してくれるんだろ!!さあしよう今しようすぐしよう!!」  
 
その後も問答を繰り返したがナナシの答えは変わらず、ただひたすらに二ーナへの愛を伝えてくる。  
「だったらどれくらい本気か証明してみせなさいよッ!」  
「い、いいの?…に、二ーナたん…?」  
ナナシはその言葉を自分の中で都合良く考える。  
(どれくらい好きか?というのを行動でということだな。じ、じゃあキスしてもいいってことだよな…に、ニーナとキス…)  
「お、俺は、死んだけど生きてて良かった!」  
と訳の分からないことを口走ると、ニーナを抱き締めてキスをした。  
「なッ…んんッ!?」  
キスをするのは初めての二ーナも貪られるままにキスを受け入れた。  
 
ニーナの唇…柔らかくて、甘くて、最高だ…大好きなニーナとキスをしているという現実に幸せな気持ちでいっぱいになるナナシ。  
ナナシはニーナに自分の唾液を飲んで貰いたくて、彼女の口の中に舌を入れて唾液を送り込む。  
唇を塞がれたまま送り込まれてきたナナシの唾液を、ニーナはこくこくと飲み込んでいく。  
「んッ、んんッ、んむッ…」  
いつの間にか自分からも舌を出してナナシの舌と絡ませ合いながら、今度はニーナがナナシの口の中に唾液を送り込み  
ナナシに自分の唾液を飲ませた。  
(ニーナの唾液…おいしい…)  
「ん、くちゅ、んんッ」  
数分に渡って深く深くキスをしながら二人は繰り返し唾液を交換し合った。  
 
キスを終えて顔を離すと、透明な糸が二人の唇の間を繋いで、そして落ちていく。  
「ん……ぷはぁっ……あ、あんた、変なんじゃないの?わ、私、吸血鬼なのに、」  
「証明しろって言ったのはニーナたんだろッ」  
「だから私の方が年上だって言ってるでしょッ!「たん」はやめてよ!」  
「分かった、じゃあニーナで通すことにする」  
そう言ってナナシもう一度ニーナと口付けを交わす…  
 
 
お互いに初めてのキスを終えて頬を紅く染めながら見つめ合う二人。  
「分かってもらえた?俺の気持ち」  
「き、き、き、キスしたくらいで、いい気になるんじゃないわよッ!」  
ニーナは白い肌だから真っ赤になっているのがよく分かる。  
「じゃあ…続きしても…いい…?」  
「つ、続きって何よ?」  
「わ、分かっているんだろ?……もちろん…」  
ナナシはニーナの身体を抱き寄せて、彼女の首に巻いてあるスカーフを解くと、首筋にキスをして舌を這わせる。  
「ちょ、やめッ、あッ、」  
その反応にこのまま抱いてしまいたくなったナナシだが、一度離れて自分の腕の中にいるニーナを見つめて言う。  
「こういうことだよ…」  
「わ、私と、その、抱き合うってこと…?」  
「そう。はっきり言うと…エッチとかセックス…つまり愛し合うこと」  
 
「やッ、ちょっとッ待っ…ああッ!」  
言うことは言ったとばかりにナナシはニーナのスカートを捲り上げると、手早く下着を脱がせて彼女の膣に指を入れて  
揉みほぐすように膣内を刺激していく。  
「ひゃッ、あうッ、」  
刺激していく内に膣内は解きほぐされ、奥から愛液が滲み出してきて中を満たす。  
 
「そろそろいいかな?」  
もういいだろうと膣から指を抜く。  
「あうッ」  
ニーナは少しイったようだ。それを確認してから自分のズボンとトランクスを脱いでニーナの膝を抱え上げ  
脚を広げさせて自分の膝に乗せるといきり立っている肉棒を膣口に宛がい、先端を中に潜り込ませる。  
「ひうッ!」  
一瞬身体を強ばらせるニーナの背中を撫でて落ち着かせて、力を抜くように言う。  
ニーナの腰を掴んだまま、少しずつ自分の腰を前に出していき、ズブズブと肉棒を挿入していく。  
「あぅぅぅ…ッ」  
有る程度まで腰を進めるとキツくなった。そこで一度腰を止める。  
「ニーナ、このまま一番奥まで挿れるけど…いいか?」  
「いい…わよ…」  
ニーナの了解を得たナナシは、腰に力をためてから突きだし、一気に奥まで貫いた。  
ブチィッ!  
「あァァァ…ッッ!!」  
悲鳴を上げてナナシに抱きついて痛みを堪えるニーナ。  
初めてなのだから痛いのは当然だが、このままジッとしていてもニーナの痛みが長引くだけだと考えたナナシは  
すぐに抽挿を始めることを伝えて「ニーナ、多少痛いけど我慢してほしい」と言って動き始めた。  
 
ズブッ ズブッ と肉棒を出し入れされるたびに痛みと、快感がニーナを襲う。  
「痛っ、あッ、ああッ、んんッ、ひんッ、あァッ、」  
揺さぶられるような動きに合わせてツインテールが揺れる。  
腰を下ろしている体制なのでニーナの長すぎるツインテールは床に着いていた。  
しかし髪が汚れたりしないかの心配をする余裕はない。  
「ニーナ、痛いかッ…?」  
「い、痛いけどッ、気持ちッ、いいッ、」  
感じているままのことをナナシに答えるニーナ。  
痛いような、気持ちがいいような、複雑な感触……しかし抽挿が繰り返される内に、徐々にだが快感の方が強くなってくる。  
同時に言いも知れない感触も込み上げてくる。  
ナナシもナナシで肉棒を優しく包んでくれている、温かいニーナの膣内と擦れ合うたびに訪れる気持ち良さと  
ニーナと愛し合っているんだ、セックスをしているんだ、という嬉しさと喜び…そして幸せを感じる。  
 
「あッ、あッ、ナナシッ、私ッ、」  
「な、何、?」  
「も、もうッ、イキそう…ッ、」  
「い、一緒にッ、ニーナッ、一緒にッ、」  
本当はまだ共に繋がり合っていたいものの、ナナシもニーナも限界だ。  
(それなら奥の奥まで繋がって、一緒に果てたい!)  
思ったときにはニーナの膣を思いっきり突き上げていた。  
ニーナもナナシの腰の後ろで離れないように脚を組んで迎え入れる。  
ニーナの膣を子宮まで突き上げた瞬間、肉棒の先端からはドクドクと精液が噴きた。  
「アァァァッッ…!!!」  
背を仰け反らせるニーナを抱き締めて、最後の一滴まで注ぎ込む。  
子宮へと注ぎ込まれる精液はとても熱くて、その熱さがそのままナナシの自分に対する想いのように感じるニーナ。  
「あ……あぁ…ナナシ…」  
「ニーナ…」  
二人は繋がったままキスを交わして、余韻に浸っていた…  
 
 
城の風呂にてニーナの髪を洗っているナナシ。  
結局床に着いていたニーナの髪は汚れていたので「あんたのせいだからねッ!」と言われてナナシが洗っているのだ。  
もっともニーナと一緒にお風呂に入ることになるのでナナシに取ってみれば御褒美でしかないのだが…  
「せ、責任取ってもらうからねッ!」  
「へ?な、何の?」  
「私の初めてをあげたんだから…責任取ってもらうわよッ!」  
「に、に、に、ニーナた〜〜んッッ!!」  
責任取る=結婚という図式にまたも暴走してニーナを犯してしまう。  
ニーナと風呂場で致してしまった後、最初の部屋に戻ってから同じベッドで寝たのだが、寝る前に言われたニーナの言葉に「どうしよう」と思い悩むナナシ。  
 
「パパに会ってもらうからねッ!」  
 
そう、ニーナの親父のドラキュラだ。  
「あ、あ、あれが、俺の、義親父にもなるんだよな、」  
ドリスタではミントを相手にトマトジュースの飲み比べなんてしていたドラキュラだが……十字架で見る限りではドラキュラは怖かった…  
少し不安を抱えながらの新たなる人生のスタートを切ったナナシは  
「お義父さん!トマトジュースの飲み比べで勝ったら、俺にニーナさんをください!!」  
などと言おうと、半ば本気で考えていた……  
 
 

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