8月半ば。お盆を迎えた岡崎では、戦後初の夏祭りが開かれていた。  
空襲を連想させる・・・ということで、花火の打ち上げは見送られたが、それでも岡崎城を望む伊賀川周辺には出店が並び、賑やかで開放的な雰囲気を楽しむ人々で溢れていた。  
 
桜子と達彦は『金魚すくい』の屋台の前にしゃがんでいた。  
子供のような笑顔で金魚すくいを楽しむ桜子を、笑顔で見つめる達彦。  
隣では幼い兄弟が、一匹しか採れなかった金魚を取り合って喧嘩を始める。  
「お姉ちゃんの金魚あげるから、喧嘩しちゃだめだよ。はい」  
自分の金魚を差し出す桜子。兄弟は礼を言って嬉しそうに走り去る。  
「一匹じゃ、可哀想だでね」微笑み合う二人。  
と、後ろから走ってきた人に肩が触れ、桜子がよろけた。  
達彦は桜子の肩を守るように抱き寄せる。  
「大丈夫か?」優しく訊ねる達彦。  
「うん・・」桜子は達彦に守られている安心感で、胸がときめいた。  
達彦は肩を抱く手を離し、桜子の手を握った。  
「・・・達彦さん・・誰か・・知ってる人に見られちゃうよ・・」  
恥ずかしそうに達彦を見上げる桜子。  
「別に見られても構わんよ・・・はぐれたら困るだら?」  
達彦は真っ直ぐ前を向いたまま歩く。その横顔を見ながら桜子の鼓動は高鳴った・・・。  
 
二人はそのまま岡崎城の周りを歩いた。  
繋いだ桜子の手を、達彦は何度も握り直し、そして親指は愛おしそうに桜子の手の平や甲を擦る。  
達彦と手が触れ合う・・・たったそれだけなのに、桜子の鼓動は早まり、体が熱くなってくる・・・。  
二人はいつの間にか祭りの喧騒を離れ、人気の無い静かなお堀端を歩いていた。  
「ここ・・・」桜子が立ち止まる。  
そこは達彦の入営前・・・二人が別れを惜しんだ場所・・・。  
愛を誓い、初めて口付けを交わした場所だった。  
二人は思い返すように、しばしその場にたたずんでいた・・・。  
 
「達彦さん・・・ちゃんと約束・・守ってくれたんだね・・・」達彦を見上げる桜子。  
「ああ・・」達彦は微笑み返し、そっと桜子を抱き寄せた。  
「もう・・・何処へも行かんよ・・・」耳元で優しく囁き、ぎゅっと抱きしめる。  
そして・・・桜子に軽く唇を重ねた。・・・あの時の様に・・・。  
唇は離れ、二人は今ここで寄り添える幸せを噛み締めるように、熱く見つめあう。  
どちらからともなく・・・吸い寄せられるように、再び口付ける二人。  
今度は熱く、舌を絡め・・・抱きしめる達彦の手は、桜子の肩や首筋を擦った・・・。  
 
「・・・桜子」達彦は切なく呼びかけ、抱き合ったまま、傍に立つ木の幹の前に桜子を立たせた。  
桜子の顔を手で包み込み、木の幹に押し付けるように深く激しく口付ける達彦。  
桜子も・・高ぶる気持ちを抑えられず、達彦の頭を引き寄せるように首に手を回す。  
達彦の唇は、熱い息を吐きながら首筋を這い、耳にも舌を這わせる。  
「はぁぁ・・」甘い吐息を漏らす桜子。  
達彦は手でお尻を擦り・・・そして自分の腰をぐっと桜子の下腹部に押し付けた。  
桜子は、熱く固くなった達彦自身を感じる・・・。  
 
その時・・・遠くから人の話し声が聞こえ、こちらに迫って来るのに気づいた。  
二人はそのまま息を潜めるように動きを止める。  
何人かが話ながら近づいてくる。木の茂みは挟んでいるが、二人のすぐ近くの道だ。  
と、暫くじっとしていた達彦の手が、桜子の下腹部の浴衣の合わせから忍び込み、下着の上から秘所に触れる。  
「!ダメ・・」が桜子が小さく声を上げると、「しぃ・・」っとその言葉をさえぎるように口付ける達彦。  
達彦の指が、熱くなった桜子の秘所をなぞると・・・溢れる蜜が下着を濡らす。  
「んん・・・」唇を塞がれながら、達彦の着物を掴み、声を押し殺して喘ぐ桜子。  
二人に気付かず、人は通り過ぎて行ったが、また別の一団が近づいて来る。  
達彦は手と唇を離し、「・・・帰ろうか」と耳元で囁いて体を離す。  
「・・うん・・」桜子は大きく息をつき、気持ちを落ち着けるように胸に手を当て、浴衣の着付けを整える。  
達彦はそんな桜子の髪を一度撫でると、黙って歩き出した・・・。  
 
家路につく二人・・・。  
桜子は、少し前を歩く達彦を見つめながら、火照った頬に手を当てる。  
体がまだ熱く疼いている。  
桜子は今夜・・・達彦に抱かれる自分を思い浮かべ・・・そんな淫らな気持ちを振り払うように何度も深呼吸をした・・・。  
 
店の前に着き、桜子は引き戸を開けるため鍵を取り出そうとする。  
と、達彦が桜子の手首を握り「こっち」っと言って、隣の通用門の方へ連れて行った。  
不思議に思いながら、門をくぐり、母屋の玄関へと歩く桜子の肩を、後ろから押すように抱き、水洗い場の陰に連れ込む達彦。  
「・・え!?・・・どしたの?達彦さ・・・」  
驚いて訊ねる桜子の口を、唇でふさぐ。強く抱きすくめ、荒々しく口付ける達彦。  
「んんっ・・・」桜子は水洗い場の柱に体を押し付けられ、身動きが取れない。  
達彦の唇は首筋を這い、手が乳房を擦る。  
「はぁっ・・・たっ達彦さん、家に入ろう・・・ね?」戸惑う桜子。  
「・・・いやだよ・・・ここがいい・・・」  
達彦は耳元で囁きながら、手を桜子の腰に伸ばしお尻をぎゅっと掴む。  
「え!?・・・ここって・・・外だよ!?」驚く桜子。  
「そうだよ・・・さっきの・・・続きだ・・・」桜子の耳を軽く噛む達彦。  
「・・・ほいでも・・・あんっ・・誰か来たら・・・」体を離そうとする桜子。  
「盆休みだで・・・誰もおらんよ・・・」  
達彦はひるまず、浴衣の裾を肌蹴させ、太ももに手を這わせる。  
「・・・ほいでも・・・ああっ・・」達彦の手が敏感な部分に焦らすように迫ってくる。  
「・・・いやか?・・・やめるか・・・?」  
達彦は下着の中に手を入れ、指先で花芽や花びらをなぞった。  
力は入れず・・・そっと・・・蜜のぬめりを味わうように・・・。  
桜子の陰唇は熱く充血し膨れている。  
「・・んんっ・・・はぁぁ・・・いや・・・やめんで・・・」  
桜子は頭の中がぼうっとして、達彦の首にしがみついた・・・。  
 
達彦は桜子の浴衣の襟を開き、白い胸元に吸い付く。  
「・・んっ・・達彦さん・・・」桜子は達彦の頭を抱え、喘ぎながら呼びかける。  
達彦は顔を上げ、呼びかけに応えるように舌を絡め、熱く口付ける。  
桜子の手が達彦の体を這い・・・熱く固くなった下腹部を擦る。  
「・・・欲しいか?」耳元で囁く達彦。桜子はコクンと頷いた・・・。  
 
達彦は桜子の体を回し、背中から抱きしめ、うなじに吸い付く。  
桜子の浴衣と、自分の着物の裾をまくりあげ、帯に挟み込む達彦。  
そして桜子の下着を脱がせ、袂にしまう・・・。  
「こんなん・・・なんか・・・怖いよ・・・」振り向こうとする桜子。  
達彦はそれを許さず「大丈夫だよ・・・大丈夫・・・」と熱い息を漏らしながら耳元で囁く。  
桜子の白いお尻を撫で、ゆっくりと秘所に手を伸ばす達彦。  
しなやかな長い指を、花びらの中に挿し込む。  
「ああんっ!」思わず大きな声をあげる桜子。  
「桜子・・・ちいっと声・・こらえて・・・」桜子の口を軽くふさぎ、小声で囁く達彦。  
指をゆっくりと出し入れすると、蜜が溢れ太ももを伝う・・・。  
「うぐ・・・んん」桜子は達彦の手を口に押し当て、声をこらえて喘いだ・・・。  
 
達彦は震える桜子の腰を支えるように、自分の膝を桜子の股の間に割り込ませる。  
そして熱く怒張した自分自身を取り出した。  
「達彦・・さん・・・私・・もう・・」うつろに呼びかける桜子。  
桜子はかすかに腰を動かし、達彦の太ももに花びらを擦りつける。  
「わかっとる・・・俺も・・・我慢できんよ・・・」  
達彦も剛直を花びらにあてがい、なぞるように擦り付ける。  
「桜子・・・もうちっと腰を突き出して・・・」桜子は体をかがめ、足を踏ん張る。  
達彦は位置をさだめ、ゆっくりと腰を沈めた。  
桜子が足に力を入れているため、粘膜はいつもより強く締め付けて来る。  
「・・うっ・・・すごいよ・・・桜子・・・」思わず声を漏らす達彦。  
根元まで自分を沈めると、達彦は桜子の腰を抱え大きく突き上げた。  
「ううっ!・・・ぐ・・!」  
桜子は子宮が持ち上がるような衝撃を受け、声を押し殺して柱にしがみつく。  
達彦はゆっくりと・・・深く強く腰を突き上げ続けた・・・。  
 
達彦は桜子を背中から抱きしめ、腰を突き上げ続ける。  
桜子は達彦の腕にしがみつき、叫びたくなる衝動をこらえていた。  
「はぁぁ・・達彦さん・・もう・・ダメ・・立っとられん・・よ・・」桜子の膝がガクガクと震える。  
「・・うんっ・・桜子っ・・もう少し・・・こらえて・・・」達彦の顔にも苦渋を浮かぶ。  
達彦は腰に回した手を秘所へと伸ばし、敏感な花芽に指を当て震わせた。  
「!・・ああっ!・・そんなっ・・やっ・・!」  
桜子は声を上げると、ビクビクッと粘膜を痙攣させ崩れ落ちた。  
「うあっ!・・・ちょ・・・ああ・・!」  
達彦は桜子を支えきれず、結合が解け、白濁が桜子の背中や後ろ髪に飛び散った・・・。  
 
地面に膝をつき、肩で息をする桜子を後ろから抱きしめる達彦。  
「・・・大丈夫か?・・・桜子・・・立てるか?」  
呼吸が少し落ち着くと、達彦は桜子の肩を支え抱き起こす。  
「うん・・」放心し、うつろに答える桜子。  
「ごめん・・・汚しちゃったな・・・このまま風呂に行こう・・」  
達彦は着物の裾を直し、ヨロヨロとした足取りの桜子を支えながら母屋へ向かった・・・。  
 
風呂で桜子の髪を優しく洗う達彦。  
そしてお互いの背中を流し、湯船につかった。  
桜子は達彦の胸に背中を預ける。  
「・・・痛い・・」膝小僧を湯から出す桜子。  
さっき崩れ落ちたときに、膝を擦り剥いていたのだ。  
達彦は(ああ、可哀想に・・)という顔をして、桜子の膝にフーッと息を吹きかける。  
「ごめんな・・・支えきれんで・・・痛かったな」洗い髪に口付け、肩を擦る達彦。  
「ううん」首を振り、達彦の手を握る桜子。  
「ほいでも・・・どうだった?・・・外は・・」達彦が耳元で囁く。  
「どうって・・・もう・・・びっくりしちゃったよ・・」桜子は恥ずかしそうに達彦の腕に唇を寄せる。  
「だろ?」達彦は桜子に問いかけるように、意味深に囁く。  
桜子は一瞬(何のこと?)という顔をしたが、思いを巡らせ、6年前、あのお堀端で達彦に体を預けようとした時の事を思い返した。  
「ほんと・・・私・・・なんも解っとらんで・・・大変なんだね・・・外で・・なんて」  
と小声で呟いた。  
「そうだよ。ほんとお前は・・・思い込んだら後先の事考えんからな・・」  
桜子の頬を指で軽くつつく達彦。桜子は拗ねた様に  
「達彦さんだって・・・今日は後先の事考えとらんかったじゃん」と言って膨れる。  
「ほうだな。ごめん・・・」達彦はハハッっと笑い、桜子をぎゅっと抱きしめた。  
「ほいでも・・・嬉しかったよ・・あん時のお前の気持ち・・・」達彦は遠い目をして囁く。  
桜子は振り返り、達彦を優しく見つめた。達彦も微笑み見つめ返す。  
「ほいだから・・・俺は今、こうしてお前の傍におれるんだな・・・」  
二人はまた、お互いに吸い寄せられるように唇を重ねた・・・。  
 
桜子が熱く甘い口付けに酔いしれていると、達彦の手が乳房を揉み始める。  
「んん・・・」うっとりと目を閉じている桜子の耳元で達彦が囁く。  
「なぁ桜子・・・まいっぺん・・ここで・・やらまい」  
「ん・・・ここは・・・いや・・」首を振る桜子。  
「どして?・・今までも何べんもしとるじゃんか・・・」桜子を抱き、乳首に吸い付く達彦。  
「あっ・・ん・・ほいだって・・・ここも声が響くだら?・・こらえるの・・きついもんで・・」  
甘えるように呟く桜子。  
達彦はまたハハッっと笑い、桜子を抱きしめ髪を撫でた。  
「わかった。ほいじゃ・・・部屋に行こう・・・」  
二人は風呂から上がり、寝室へと向かった・・・。  
 
「はぁはぁ・・・ああっ!・・いい・・・達彦さんっ・・!」声をあげ、喘ぐ桜子。  
「ううっ・・俺もだよ・・・桜子っ・・」桜子の体を激しく貫く達彦。  
汗にまみれ、体をぶつけ合う二人・・・。  
 
拓司「(あわわ)たっ達彦・・・(やるなぁお前・・・父さんは羨ましいぞ・・・)」  
かね「はぁ〜(ため息)・・・わかったでしょう。毎晩この調子だで・・・私はもう見飽きました」  
拓司「ほいでも・・・いいなぁ・・・かね・・・昔を思い出すじゃろ?」  
かね「何をいっとるの!ほらっ!もう〜いつまでも見とらんで、帰らまいっ!!」  
拓司「・・・達彦ぉ・・・きばれよぉぉ・・・」  
 
二人は天国に帰っていった・・・。  
 
(おわり)  
 
 

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