祝宴が終わり、ようやく山長にも静けさが戻った。
今日から二人の寝室となる部屋で達彦は、布団の上で仰向けに
なり、黙ったまま天井を見上げていた。
しばらくして、桜子が浴衣を身に纏い部屋に入って来た。
達彦は、起き上がり桜子を見た。
それは・・・湯上りのせいか、寒桜のようにほんのりと桜子の肌が
色付いていた。
桜子は一瞬、俺に微笑み掛けた様な気がしたが、俯いたまま
鏡台の前に座った。
鏡台の前に座った桜子は、結い上げていた髪を解き櫛で梳かしはじめた。
達彦は、そんな桜子の後ろ姿に釘付けになった。
桜子が髪を整え、達彦の隣りの布団に座った。
達彦と向かい合わせとなって座る桜子の顔を見ると、何処か緊張している
ような表情だった。
「達彦さん」
「うん?」
「ふつつかな嫁ですが、末永く宜しくお願いします。」
と言って桜子は、布団に手を付き頭を下げた。
達彦は、桜子の思いがけない行動に驚き、とっさに桜子を引き寄せ
抱しめた。
「達彦さん?」
「桜子。もう二度とこの手を離さん。一生、俺の側に居(お)ってくれ」
と言って抱しめた。
暫く二人は、抱き合っていると・・・達彦は、桜子を抱きしめる手を
緩め桜子の両肩に手を移した。
達彦は、そっと桜子の唇に自分の唇を軽く重ね離した。
二人は見つめ合い、どちらかともなく二人は再び唇を重ね、互いの
唇の感触・温もりを感じた。
次第に交わす口付けが激しさを増し、体が熱くなって来た。
桜子は、酸素を求め微かに口を開けた瞬間・・・容赦なく達彦の
舌が割って入った。
初めての行為に驚いた桜子は、達彦から逃れようとするが・・・達彦は、
それを許さない。
達彦は、桜子の舌を絡めとり口内をかき廻した。
ようやく、長く熱い口付けから解放された桜子は吐息を漏らした。
再び達彦は、桜子と口付けを交わしながら桜子の浴衣の紐を解き
静かに桜子を布団の上に押し倒した。
「桜子」
と桜子の耳元で囁き、耳たぶ・首筋に軽く口付けをしながら・・・
少しずつ浴衣をはたけさせた。
「達彦さん」
「うん?」
と言って桜子の顔を見た。
「明かりをけして・・・」
「あっ・・・ごめん」
達彦は立ち上がり部屋の明かりを消し、静かに桜子に覆い被さった。
「桜子・・・」
「達彦さん」
互いに名前を呼び、達彦は桜子に口付けをした。
口付けは、角度をかえ何度も桜子の唇に重ね・・・
しだいに首筋や肩に愛撫を繰り返しながら、桜子の浴衣を脱がせた。
初めて見る桜子の体。
暗闇でもくっきり分かるほど、美しく輝いていた。
「そんなに見んで・・・」
桜子は、達彦に見られていると言う事だけで体が熱くなり
恥ずかしく・・・両手で胸を隠した。
「桜子。隠さんでも・・・綺麗だよ。」
と言って桜子の額、頬に口付けを移しながら首筋に口を這わせながら
桜子の差ほど大きくない乳房を達彦の大きな手で包み込み優しく揉んだ。
達彦は、桜子の乳房を揉みながら
首筋から鎖骨、そして乳房に口付けを落とし右の乳房の頂上を口に含み
舌で転がした。
「ん・・・あっ・・・」
桜子は、達彦の肩に手をのせ声を漏らした。
初めて感じる感覚に戸惑ったが、既に桜子の頭の中は、真っ白で
何も考えられなくなっていた。
達彦は、体を起こし桜子の顔を見つめた。
桜子。愛しとる」
と言って再び唇に深い口付けを落とした後、首筋、鎖骨、肩、
乳房へと愛撫を繰り返しながら、桜子の秘所へ手を這わした。
「あっ・・・達彦さん・・そんな所、触っちゃだめ」
桜子の秘所は既に熱くしっとりと濡れ、初めて自分以外の人間に
触れらた桜子は、体に弱い電流が流れたかの様にピクとなった。
桜子は、恐怖心のあまり足に力を入れた。
「桜子。大丈夫だから・・・お前の全てを知りたい。」
と言って桜子の唇に軽く口付けを交わし次第に深く、桜子の舌を絡めた。
桜子は達彦と交わす熱く甘い口付けに酔いしれているうちに、達彦は
桜子の足の間に自分の足を絡め、再び桜子の秘所に指を這わせた。
「んぅ・・・あっ・・」
達彦の長い指は、桜子の最も敏感な部分に這わせた。
「ダ・・・メ・・・あっ・・・んん」
首を横に振り身を捩じらせながら、その行為をやめさせようと
達彦の手を掴もうとするが掴めなかった。
達彦の指は、桜子の入り口付近を優しく掻き回した。すると
桜子の奥から愛の蜜が流れ出て来た為、達彦はそのまま奥へ
指を忍ばせた。
「痛っ!」
「ごめん。今日は、もうやめるか」」
と言って桜子の顔を見た。桜子の目は潤み、今まで見たことの
ない表情を浮かべていた。
「私は、大丈夫だで・・・達彦さんの好きなようにして」
と首を横に振り達彦の首に手を廻し自ら達彦の唇に口付けをし
離した。
彦は、意を決したように桜子は、自分の物だと言う所有の証を
桜子の胸に付け、乳房の頂上を舌で転がしながら秘所に指を這わせた。
そこは、先程以上に濡れ・・・いつでも達彦を向かい入れる準備が出来て
いた、
達彦は、再び桜子の入り口に手を這わせ、ゆっくり指を奥へと侵入させた。
桜子の体内は、狭いものの暖かく達彦の指に吸い付いて来た。
「ん・・・あっ・・・んん」
達彦はそのまま桜子の体内から指をゆっくり出し入れを繰り返している
と桜子の秘所から淫らな水音が出て来た。
「あっあああ・・んん」
桜子の体内から指をゆっくり出し、桜子を強く抱き締め口付けを交わすと
達彦は状態を起こし固くなった自分自身を桜子の秘所にあてがい
ゆっくり桜子の入り口に埋めた。
「痛いッ・・・んん」
「今日はやめよう」
「大丈夫だで・・・続けて・・気にせんで続けて・・」
桜子は、達彦の手を求め手を宙に浮かせた。
達彦は、再びゆっくり熱く固くなった自分自身を桜子の体内に全てを埋め込み
桜子の手を取り覆いかぶさった。
桜子の体内は熱く達彦自身に吸い付いて来た。
「桜子。入ったぞ・・・」
「達彦さんと一つになっとるの?」
「ああ。俺とお前は一つになっとる。大丈夫か」
桜子の目には薄っすらと涙を浮かべていた。
達彦は、桜子の目に浮かぶ涙を唇で吸い取り、桜子の唇に深く口付けを落とした。
「桜子。愛しとる、お前は俺のもんだ・・・誰にも渡さん」
「私も・・・達彦が好き」
「桜子・・・動くぞ」
達彦は、ゆっくり動きだした。最初は痛いばかりだったが・・・体の奥から
痛みではない不思議な感覚が出て来た。
「達彦さん・・・達彦さん」
とうわ言の様に達彦の名前を呼ぶ桜子。
一つになった部分から淫らな水音と互いの荒い息遣いが静かな部屋に響く。
桜子は、達彦にしがみついていた。
「はは・・・ううう・・・桜子・・・愛しとる」
達彦は、息を荒げながら腰を振る速度を速めながら、桜子の体内に
精を解放し、そのまま桜子の上に倒れこんだ。
「達彦さん。大丈夫?」
突然大量の汗をかき。桜子の上に倒れこんだ達彦に驚き言った。
「はぁはぁ・・・お前こそ大丈夫か?」
静かに達彦は起き上がり、桜子の体内から達彦自身を抜き再び桜子に覆い
口付けを交わし、桜子の隣りに横になった。
桜子は、達彦の胸の上に頭をのせた。
達彦もまた、桜子のを抱き寄せた。
「桜子・・痛かったか?ごめんな」
「うんん?大丈夫。身も心も達彦さんの奥さんになれて嬉しい。
もう私を離さんで。」
「二度とお前を離さん。ずーと俺の側に居ってくれ。幸せになろうな」
「うん。」
おわり
エピローグ
【達彦バージョン】
自分の腕に重みを感じ目を覚まし、腕を見ると・・・
何も纏わず自分の体に寄り添い、静かな寝息を立て寝ている桜子がいた。
俺は一瞬驚いたが、自分自身も何も纏っていない事に気が付いた。
そう言えば、俺・・・昨日、桜子と結婚したんだ!
桜子は昨日、俺のもんになったんだ!
俺が長年思い続け来た桜子が・・・俺の妻になったんだから、こうしとっても
何の問題もないんだよな。
自分の腕の中で無防備に眠る桜子を見ると布団の隙間から二つの膨らみが
見え隠れしている。
その二つの膨らみには、俺が昨夜付けた所有の赤い花びらが多数あった。
叶うものなら、寝ているこいつを起こし・・・欲望のままお前を抱き
俺の腕の中で泣かせてみたい。
これじゃ・・・まるで、戦地で何時しか目にしたあいつらと一緒じゃないか。
桜子、愛しとる。
ずーと俺の側に居ってくれ。
明日はどんなお前を俺に見せてくれるんだ?
明日から俺らの新しい生活がはじまる。
これからの長い人生を共に歩んで行くんだよな。
宜しく頼むよ桜子。
桜子を抱き直し、桜子が寒くないよう・・・肩まで布団を掛けてやり
俺は再び深い眠りについた。
【桜子バージョン】
私を抱しめる腕は誰?
暖かくて気持ちが良い。
もう・・・朝?
起きたくない!
ふっと目が覚めると、私の目の前に何も着ないで、私を抱しめるその手は誰?
恐る恐るその手の持ち主を見た。
どうして、達彦さんがここに居るの?
どうして、何も着ないで私を抱しめとるの?
そう言えば私も、何も着ていない・・・どうして?
あっ!私・・・昨日、達彦さんの奥さんになったんだよね。
嬉しいけどちょっと恥ずかしい。
達彦の胸に自分の頬を優しく擦りつけた。
達彦さんの胸の中、暖かくて気持ちが良い。
ねぇ!達彦さん・・・私、ずーと達彦さんの側に居っても良いんだよね。
達彦さんのここに(胸)傷があったんだ!
もしかしてこの胸の傷は、戦地で負傷した傷?
痛かったよね、苦しかったよね・・・
でも、もう大丈夫。これからは、私が達彦さんの側に居って達彦さんを
支えるで、苦しい時や悲しい時は一緒だで・・・
ずーと側に居るから・・・
ねぇ!達彦さん・・・達彦さんのここに(胸)傷があるの知っとるの
私だけだよね。
他の人は知らんよね。
静かに寝息を立てて寝ている達彦の胸傷を指でなぞる桜子。
「桜子。」
桜子を抱く手を強め、囁いた。
桜子は、驚き達彦の顔を見た。
「ごめん。起こしちゃった?」
「うんん。おはよう。」
「おはよう。」
恥ずかしそうに言う桜子。
「達彦さん。ごめん。私が・・・達彦さんの腕を枕にして寝とったから
疲れて眠れんかったね。」
と言って桜子は、布団で体を隠しながら達彦の腕から逃れようとした。
しかし、達彦は、それを許さず・・・桜子を組敷しき、桜子の唇に自分の唇を重ね
離し見つめ、桜子の肩を抱き横になった。
「今日の様にグッスリ眠れたのは、久ぶりだ。お前が俺の側に居るから休めたんだな。」
「達彦さん。この胸の傷・・・」
桜子は、達彦の胸にある傷を手で優しく撫でながら言った。
「あっ!この傷か・・・この傷は、戦地で負傷した傷だ」
「やっぱり・・・痛かった?」
「ああっ!痛かったな。傷も心も痛かった。でも、今はもう痛くない。」
「達彦さん。」
「悲しい顔をするな。俺はお前の側に還って来た。還ってこれたんだ・・・
お前が待っとると思うと、死ぬにも死ねんかった。」
桜子は、達彦の胸傷を撫でながら・・・結婚して初めて、自ら達彦の唇に
重ねた。
「桜子。そんな事されたら・・・また、お前が欲しくなってしまう。」
「達彦さん。私はもう。達彦さんのものだで・・・達彦さんの好きにして
ええよ。でも・・・昨夜みたいな事は、もう朝だで・・・夜まで我慢して」
「桜子。我慢できんと言ったら?」
「我慢して・・・それに、達彦さんと一つになった場所が、まだ少し痛いで
夜まで我慢して、お願い」
「桜子。ごめんな。守りたいのに・・・大事にしたいのに、痛い思いをさせて」
「うんん。気にせんで・・・私、そろそろ起きるねで・・・達彦さん、少し
布団かぶっとって」
おわり