達彦によって初めて女の悦びに目覚める杏子であった
杏子「達彦さん、ああ・・・ハァハァ」
達彦「ああ、あなたは処女のようにしとやかなのに、娼婦のように大胆だ」
杏子「ああ、いやいや」
達彦「杏子さん、なんてすばらしい・・・ハァハァ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
達彦「杏子さん、結婚して下さい」
杏子「私のような出戻り、女将さんがお許しになる筈が・・」
達彦「でも、好きなんだ」
杏子「私もお慕いしています。私は日陰者でいいんです・・でも」
達彦「でも?」
杏子「桜子とは別れてください」
達彦(このひとにも嫉妬があるのだろうか?)
杏子「桜子のような娘に大店の女将さんが勤まるわけがありませんもの」
杏子「ああいう娘は東京暮らしのほうがあっています」
達彦「・・・・」
ナレーター「いざとなると、桜子の凸凹の無い身体にもまだ未練のある達彦でした」