第三話 裁くのは誰だ!?  
 
「こういうところ初めてでしょ。  
JOJO・・・?」  
学ランを着込んだ体つきのガッシリした男が答えた。  
「おれは学生だぜ、当たり前だ。  
それにこれはビールじゃねーか  
学校の先生とは思えねー行動だな」  
店内を流れるユーロビートは音量がかなり大きい。  
「ビールですって!?  
これが!  
あなたにはこのジュースがビールに見えるの?  
ガボガボ」  
学ランの男、承太郎は素早く身構えた。  
「野郎ッ!まさかッ!」  
女性がイタズラっぽく笑う。  
「なんてね、・・・確かにビールよ  
でもいいじゃない?  
少し話したいこと、あるし・・・・。」  
承太郎は椅子に座りなおし、学帽を目深にかぶる。  
「やれやれだぜ」  
「ゆっくりしてて。  
ちょっとトイレに行ってくるわ」  
その先生は片目を閉じた。  
「JOJOも一緒に行く?」  
「さっさと行ってきな」  
 
甘く強い香りが承太郎の鼻を強く打つ。  
先生が立ってからわずか10秒ほど経てからだ。  
椅子が引かれた。  
「早かった・・・・ッ!?」  
先生ではない別の女だ。  
大きな瞳に、ピンと立つまつ毛、口元にはベールを垂らしている。  
店内は薄暗くパッとわかるのはそれぐらいだ。  
その女は手のひらを見せた。  
「ハァイ・・・・」  
 
 
 
目の前のナイル川の流れに目をやりながらポルナレフは吐き捨てた。  
「あのくそビッチ!」  
天国と地獄を往復させられ苦悶し、のたうちまわった悪夢の夜。  
 
―犯す。  
何度でも。  
最も屈辱的な形でだ。  
あの白い細腕に唾を吐き、柔らかな太ももを足蹴にし、たわむ胸を爪を立てて揉みしだき、犯す。  
貝のネックレスが彩る首を締めあげ、むき出しの腹を蹴りあげ、くびれた腰をおさえつけて犯す。  
気の強さを如実にあらわす整ったあの綺麗な顔を白濁液で見る影もないほど汚してやる。  
ポルナレフは復讐に燃えてここにやってきた。  
ここ、ナイル川にはかつて彼が封印したものが眠っているのだ。  
―露出が趣味ならばいっそ服を切り刻みすっ裸のまま公衆の前に引きずり出して、犯してやる  
 
ポルナレフのスタンドの目は川底に沈む何かを見つけていた。  
―男を舐めきった傲慢な表情が恐怖に歪む様を、  
下半身を突き刺すような妖艶な音色のあの声が許しを乞う様を  
白く輝く美体が怯えて震える様を  
早く見たい―  
チャリオッツが拾いあげて来たものを手にしてポルナレフはほくそえんだ。  
「シルバーチャリオッツ、+アヌビス神ッ!」  
あの日以来何度となく想像してきた、ついにその機会がくる。  
踏みにじり、犯し尽くすその時が。  
ポルナレフはカイロの空港へと急いだ。  
日本へと旅立つために。  
 

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