不用意な発言は身を滅ぼす。これはそんなお話・・・  
 
ココではない何処かで、リサリサ達と褌、もとい柱の男達はのんびりとお茶会をしていた。  
何故こんな事になったのか。大方電波な神父が原因なのだろう。  
さしてこの状況を気にする事もなく、彼らは取り留めのない話をしていた。  
だが1人の男の不用意な発言が、この穏やかな時間をぶち壊した。  
「波紋使いは呼吸の乱れが命取りとなる・・・仮にSEXをしたら、君は化けの皮が剥がれるのか?」  
「カーズ・・・あなた、何が言いたいの?」  
カーズの純粋な興味からの発言に対して、リサリサは絶対零度の冷たさでもって答えた。  
周りではジョセフとエシディシがニヤニヤと何かを話し合っている。  
そしてシーザーとワムウに関しては青ざめたり、赤くなったりと忙しい。  
「ま、カーズ!オレもそれ興味あんのよね」  
両者を煽るようにジョセフが言う。それに対して生来生真面目な性格をしているワムウが彼をたしなめる。  
「よさないかJOJO。この場には相応しくない話題だ。カーズ様も御慎み下さい」  
「まあまあ、ワムウよ。なんなら2人で試してみてはどうだ?」  
エシディシの提案に「それもそうだな」とカーズは呟き、挑戦的な視線をリサリサへと向けた。  
「この私の相手をしろ。光栄な事だぞ」  
尊大な態度で言うカーズからいったん視線を外し、リサリサはタバコの火を傍らのエシディシで押し消した。そして  
「いいわよ・・・でも、泣いても知らないから」  
元ギャングのボスがショック死出来そうなほどの真黒な笑みと共に、カーズへと宣戦布告をした。  
 
「では、逝きましょうか」  
リサリサは我が子の耳を捻り挙げつつ立ち上がり、カーズの腕をむんずと掴んだ。  
恐れるものは何もないはずのカーズの背中には冷や汗が流れていた。  
「い、今からか?」  
「そうよ。あなただって早く結果が知りたいのではなくって?ほら、さっさと逝くわよ」  
ノラ猫か何かを追い立てるようにリサリサはカーズを促し、ずるずると彼を引き摺りながら  
寝室へと歩を進めた。『助けろ』とカーズはワムウに目で合図していたが、彼は悲しげに主から視線を逸らした。  
「あ、カーズッ!先生は『強い』からな、覚悟しておけ。駄目だと思ったら土下座をして謝るんだッ!!」  
カーズは最後にシーザーの命知らずな発言を聞いた。  
 
「・・・シィィザァァちゃぁ〜ん。お前、オレのお袋に手ェ出したの?」  
「ノーコメントだ。俺を責める位なら、何故カーズを止めん」  
「このジョセフ容赦せんッ!よくもリサリサに・・・て、あらン?」  
急にドスンと崩れ落ちるジョセフ。彼の背後には左手を握り締めたワムウが立っていた。  
どうやら軽く(ただし彼の基準である)、このお調子者を殴ったようだ。  
「オレには何と言えばよいのか分からぬッ。ただ、カーズ様の無事を祈るばかりだ」  
「ふふ・・・兎にも角にも結果を待とうではないか」  
今一影の薄いエシディシがジョセフを片付けながら言った。  
 
「まさか、女にベッドに放り投げられるとは思いもよらなんだ」  
不貞腐れたようにカーズは言う。リサリサはそんな彼を無視しながら、早々と衣服を脱いでいった。  
だんだんと彼女の美しい裸体がカーズの目の前に晒されていく。  
心なしかカーズの視線は、彼女のすらりとした脚に向けられている。ここは流石と言うべきか。  
「さっさと脱ぎなさい」  
「・・・」  
兎を狙う鷹のような視線で射抜かれ、カーズも渋々と脱ぎ始めた。  
 
今や完全に生まれたばかりの姿で2人は対峙していた。いや、実のところ片方は普段と変わりがない。  
どこか引きつった笑みを浮かべるカーズを面白そうに『見下ろし』、リサリサは彼の上へその成熟した体を乗せた。  
もしも第3者が彼らを見たなら、世にも美しい彫刻のようだと感じただろう。  
お互い天人が彫ったような完璧なプロポーションを持ち、顔立ちも天才画家が挙ってモデルにしたいと思える程のものだ。  
だが、カーズ自身は他者の賛辞など関係ないと思えるほど、危機的状況に立たされていた。正直なところ今すぐ彼は逃げ出したかった。  
「君が『上』なのかね?」  
「そう、あなたが『下』よ。リラックスして?」  
実年齢からは想像できないほど愛らしく首を傾げながらリサリサが言う。  
「個人的な意見を言うと、私は上が良いのだが・・・!!」  
お前の指図は受けないとばかりに、彼女は突然カーズを攻め始めた。妖艶な笑みを浮かべつつ彼の雄を弄ぶ。  
亀裂を右手の親指の腹でなぞる様に撫で、左手は陰茎の根元から天に向かって、一本のラインを描くように上下させている。  
だが、カーズも負けてはいない。年を重ねているだけあって巧みなリサリサのテクニックに対して、声ひとつ洩らさない。  
「つまらない、声を出しなさい。喘ぎなさいよ」  
「確かに君は上手いよ。だが、まだまだだな。なんなら口でやってみるか?」  
余裕を取り戻したカーズは意地悪くリサリサに言い放った。  
「出来ないのか」  
無表情に彼女はカーズを一瞥し、彼の挑発に乗ってやった。蛇のようにしなやかに体を後方へとずらす。  
そしてゆっくりと顔を彼の雄へと近づけた。右手で陰茎を軽く握り、猫の様に先ずは下から上へと舐めあげる。  
その後ワザとグプリと音を立てながら亀頭をその口腔に収めた。カーズは瞬間ビクリと体を震わせたが、やはり声は上げなかった。  
暗い色の瞳は熱っぽくリサリサの痴態を映し出している。リサリサはカーズの雄を自らの中で丹念に上下させ、  
時に真空状態を作りつつ攻め続けた。彼女の頭が動くたび、黒髪が顔へとかかり悩ましい事この上ない。  
 
「イかないのが不満なようだな」  
薄っすらと汗を浮かべながらカーズは言った。リサリサはこれ以上攻め続けても無駄と判断し、いったん行為を中断した。  
「ええ、不満よ。不満すぎて食い千切ってやりたいほど・・・」  
憮然とした表情で彼女はカーズの乳首を抓った。  
「また!突然こんな事をするッ」  
「せずにはいられないのよ。あなた不感症?ああ、でも感じていないわけではないのよね、充分反応していたし。  
単に強いのか?どこだったら感じるのかしら・・・」  
考え込み始めた彼女を目にし、カーズは「勝った」と思った。何だか赤石を手に入れた時よりもはるかに気分が良い。  
こんな事をワムウが知ったら悲しみに打ち沈むだろう。赤石よりも上とは・・・  
「ふふふ・・・大体私達は姿形は似ていても、やはり異なる生物なのだ。触角が良い例だろう?さあ、諦めて私に組み敷かれろッ!」  
「そうね、私もいい加減気持ち良くなりたいし。だが断る」  
「・・・」  
リサリサはゆっくりと目を閉じ再び思案に暮れた。そして彼女はある事に気が付いた。  
「ねぇ。先程『触角』と言ったわね」  
カーズは今一度、自分が不用意な発言をしたと理解した。つつっと額から汗が流れ落ちる。  
「ああ、言ったかもしれぬ」  
平静を装ってはいるが、彼の視線は微妙に宙を泳いでいる。リサリサは苦笑しつつも可愛らしいと思い、  
カーズに初めてキスをした。この男の唇はこんなにも柔らかかったのか。  
「意地悪はしないわ、たぶんね・・・でも、触角だと69は出来ないわねぇ」  
「お、おい・・・たぶんって」  
慌てふためくカーズを尻目に、リサリサは試しに触角をちろりと舐めてみた。  
「うぁ・・・!!」  
初めてカーズが声を上げた。その瞬間、リサリサは自らの手中にある彼の分身が硬度を増したのを確認し、  
自身も興奮のため股間から愛液が流れ出るのを感じた。  
 
「こんなに、こんなにセクシーな声だったのね・・・もっと聞かせて頂戴」  
言い終わると同時に彼女は激しくカーズに口付け、右手で触角を、左手で陽物を弄り始めた。  
キスの角度を変える度に漏れるカーズの声は、リサリサの秘所を彼の太腿に押し付けさせる事となった。  
カーズは自分の下肢が、彼女の愛液によってぬらぬらと濡れていくのを感じた。  
この女の中に入りたいという欲求が高まっていき、そして彼の頬を生理的な涙が一粒滑り落ちた。  
悔しかった。しかしカーズはもはや限界だった。  
「はぁッ!リサリサ・・・そろそろ」  
全てを言い終わらない内にカーズはリサリサを組み敷いた。噛み付くようにキスをし、彼女の秘所へと己を宛がう。  
「痛ッ!」  
「駄目よ。始めに言ったでしょう?あなたが『下』だと・・・」  
噛み切った唇にそっと指で触れ、リサリサは彼を押し倒した。指に付着した血を舐め取る様を見て、カーズは淫魔だと感じた。  
「何故・・・この様な事になったのか」  
どこか疲れきった感じでカーズはぼやいた。  
「私のプライドは・・・」  
「あら、そんなものとっくに捨てたでしょう。私を騙し討ちにした時点でね!」  
勝ち誇ったようにリサリサが言う。カーズはあの時の事を未だ根に持っていたのかと頭が痛くなった。  
泣きたくなってくる。無駄にIQは高いのに、自分がやった事の恐ろしさをよく理解していなかったようだ。  
「自業自得よ、観念なさい。それと・・・私は100キロ走っても呼吸が乱れない女なの。  
最中に『お婆ちゃん』になってしまうなんて事はないから安心しなさい」  
その言葉をリアルに想像してしまいカーズは一瞬萎えそうになったが、無いと言われたプライドで最悪の事態は防いだ。  
このまま何も出来ずに終わってしまったらエシディシ達に何を言われるか・・・  
「分かった、分かったから・・・私が悪かった」  
その言葉を聞き童女のようにニッコリと微笑むと、リサリサはゆっくりと腰を沈めていった。  
 
「はぁ・・・気持ちいい」 
リサリサは緩やかに、円を描くように自らの体内を掻き回していた。カーズのソレは、 
彼女を満足させるだけの大きさと硬さを持っている。彼女が上下する度に豊かな乳房が揺れ、 
飛び散る愛液がカーズの下肢を汚していく。 
「ねぇ、感じてる?」 
潤んだ視線を下へと落とし、リサリサはカーズに問うた。 
「ああ・・・感じているよ」 
何かに耐えるように眉間に皺を寄せながらカーズは答えた。だが、彼女は満足しなかったらしく「ウソね」と言い、 
そのたおやかな腕をカーズの触角へと伸ばし、撫で始めた。彼の体が大きく跳ね上がり、反動でリサリサを深く突く。 
洩らした快楽の呻き声はどちらのものだったのか・・・堪らずカーズは朱鷺色の飾りを持つ彼女の双丘を鷲掴みにした。 
「ああ!!」 
仰け反りながら甲高くリサリサが声を上げる。意識が快楽の海に沈みそうになりながらも、カーズはニヤリとした。 
グチュっと音を立てながら狂った様に彼女を突き上げる。 
「ふぅ・・・君の方が・・・感じているではないか」 
負けじとリサリサもカーズを攻め上げる。だが互いに絶頂が近かった為、激しく口付けを交わした後、 
彼女は切なく声を張り上げ、力一杯体内でカーズを締め上げた。 
「あぁん!イくッ・・・あ、あーー!!」 
「はぁッ!」 
最後に大きく痙攣しながらリサリサは果て、同時にカーズも大量の精液を彼女の中へと放った。 
数回擦り付けるように動きながら、彼はこのまま実を結んだとしたら、 
どんなに腹黒い子供が生まれるのだろうかと想像し、ほんの少し身震いした。 
 
「化けの皮は・・・本当に剥がれなかったな」 
呼吸を整えながら、カーズは自らの上に倒れこんでいるリサリサへと話しかける。 
その手は優しく彼女の黒髪を撫でていた。 
「一息ついたらヤツ等の所へ戻ろう。お前はなかなか良かったぞ」 
「一息ついたら・・・戻る?」 
春の午後の様に柔らかな雰囲気を破壊する、リサリサの地を這うような声が聞こえた。 
「何を寝ぼけた事を言っているの。まだまだこれからでしょう?自分だけ満足しないで頂戴」 
「・・・はい」 
既に完璧に呼吸を整えたリサリサは妖しく微笑みながら、再びカーズを攻め始めた。 
 
やめたいと思ってもやめさせてもらえないので・・・そのうちカーズは考えるのをやめた。 
勿論この後、これに激怒したリサリサによってさらに虐められる事になるのだが。 
 
「長いな」 
ワムウは呟いた。誰かに向けた言葉ではなかったのだが、シーザーが「でもまだ3時間だぜ」と答えた。 
カーズとリサリサが消えてからというもの、彼らはひたすらポーカーをしていた。 
途中、あまりにも非生産過ぎるとワムウは言ったのだが、目を覚ましたジョセフによって  
延々とゲームを続けさせられていた。 
「カーズ様はご無事だろうか」 
「何、心配するな。お前ほどではないが、アイツも常人よりははるかに体力がある」 
「エシディシ様・・・ですが」 
次に答えたのもやはりシーザーだった。 
「大丈夫さ。先生は『強い』けれど、カーズもきっとそうだろう?精も根も吸い尽くされる事はないさ・・・たぶん」 
ぼんやりとカードを眺めながらワムウは長い長い溜息をついた。ふと、風が主の悲鳴を運んできた気がした。 
 

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