シーザー・A・ツェペリは、常にある我慢をしていた。
それは師、リサリサに対する欲望であった。
リサリサ先生は俺に波紋を教えてくれた、尊敬する師。そのようなことを考えてはいけない。
それに俺は先生の何も知っていない気がする。
本名や、出身、年齢すら。
しかしその哀愁漂う、奥に何かを秘めた瞳、妖艶な身体は確かにそこにある。
あまり表情を見せない先生だが、ときたまみせる微笑や、険しい戦士としての顔がまた美しい。
女には苦労しない彼だが、ほかの女を抱いている最中にもリサリサとの行為を妄想してしまう。
もう自分を騙したくなかった。 俺はリサリサ先生が欲しい、先生の全てを知りたい!!
その日は水面を歩く修行だった。特に集中力を要するものだ。
が、今の彼には全くそのようなものは備わっていなかった。もはや限界に達していた。
何人抱こうと、何度自慰しようと、リサリサへの肉欲でとまらなかった。
小船から降りて水面を先に歩いていく彼女の後姿、髪、肩、腰、ヒップライン‥生唾を飲んだ。
「さあシーザー、ついてらっしゃい、水面を歩くのはもう十分慣れたはずよね」
ああ、それはもうとっくに慣れた。
先生ほど上手くは歩けないが、沈まず湖だって渡れる。それには慣れた。それには。
片足を水面に添える。波紋を脚へ‥はじく波紋を‥
軟らかい物を潰すような感覚で、脚が水の中に沈む。
「! どうしたのシーザー、何度もやった修行よ!?」
「あああ‥いや‥そんな‥馬鹿な‥」
彼はあっけなく沈んでしまった。リサリサは驚いて駆け寄る。
今日のリサリサ先生‥いつにも増して艶かしい。
開いた胸元から柔らかそうな豊満な乳房、スリットから出た美しい脚。
もはや波紋の呼吸などできなかった。浮いているのが精一杯だ。
「どうしたんです、シーザー?呼吸が大変乱れているわよ?」
あなたのせいです、そう言ってしまいたかった。
「とりあえず上がりなさい」
リサリサが手を差し伸べた。あまりに上手くいかなすぎて心配になっているのだろうか。
本来ならば滝から落ちようと、助けはしない。
手を差し伸べて前屈みになった先生の胸元から服がはだけ、乳房があらわになった。
先生はブラジャーをしていなかった。ずっと想像してきた、先生の乳房、乳首、すべて見えてしまっていた。
シーザーを小船に押し上げると、心配そうにリサリサが聞く。
「シーザー、どこか負傷しているの?もしくは病気?普段のあなたなら水の上を渡るなど難無くできているでしょう?
沈んだ後に自力で水面に登ることすらできなかったじゃない。大丈夫なの?」
「‥‥‥病気というのは当たっているかもしれません。‥」
リサリサが驚く。
「どこが悪いの?」
「‥‥もう先生のことしか‥考えられなくて‥波紋の呼吸どころじゃ‥」
「? 何を言ってるの?」
「先生は‥俺のことただの弟子と思っているかもしれませんが‥俺は‥俺は‥」
いつものキザな台詞は出てきそうにもなかった。
リサリサは彼の股間が大きく膨らんでいるのに気付いた。
「先生‥俺は‥おれはもう‥」
リサリサがフーッ、と仕方なそうに溜息をついた。
「そうね‥あなたも男でしたね‥私の配慮が足りなかったかもしれませんね。」
「それを服から出しなさい、シーザー。今少し楽にしてあげなければ今後の修行に耐えられないでしょう。
いや、今のあなたなら家にすら帰れないかもしれないわ。」
息を荒くしたシーザーが聞き返す。
「‥出す、ってこれをですか?」
「‥はやくなさい」 リサリサは少し頬を赤らめる。
先生の前に‥俺のを‥
シーザーのなかで様々な念が駆け巡る。
リサリサにしてもらえること。リサリサの前に自分のをさらけること。
ずっと妄想してきた憧れの人にいま、何かしら快感を与えてもらえること。
シーザーは慌てふためきながらズボンを下ろす。
リサリサの前に屹立としたシーザーのものがそそり立つ。
シーザーはうつろな目をして、息を荒くする。
リサリサは頬を赤らめながら、目を少しそらしている。
「‥口でしてあげればいいのね?シーザー?」
「は、はい」
リサリサが手で握る。
シーザーに強烈な快感が走る。
軽く扱き始める。
「っあ!ああ!せ、先生‥」
リサリサは表情を変えずに、むしろ険しくシーザーのを扱く。しかし頬の赤らみは彼女を美しくする。
やっぱり先生は他の男としたことがあるのだろうか‥当然だ‥こんなに美しい人‥放っておくわけが‥
いつものキザなシーザーからは考えられない、少年のようなことを考えていた。
何人もの女と交わったはずなのに、生まれて初めてのような快感が続く。
扱くのを止め、リサリサの口がシーザーのものに近づく。
ああ、先生の唇‥艶があって、ふっくらしていて‥あ!!
先生が一気に亀頭の部分を咥え込んだ。先生の舌の感触が!ねっとりと絡み付いて‥!
くちゅくちゅと亀頭を舌で弄ぶ。
「あああ!!先生!!あぁ‥」
憧れのリサリサ先生が俺のものを咥えている‥!
亀頭の裏をねっとりと舌を這わせる。こんな顔の先生は見たことがなかった。
そしてこんな快感は味わったことがなかった。シーザーの意識が薄らぐ。
睫毛の多い際立った眼がシーザーを見つめた。
先生がこんな顔を、眼をするなんて‥普段のクールな彼女からは想像できない。
舌先で尿道を数回突付く。
「あ!そこは‥!!あ!」
尿道から根本までの裏筋を舌がいやらしく這う。ねっとりと舐る。
先生、なんていやらしく、美しいんだ。
リサリサがものから顔を離して、扱きながらシーザーに聞く。
「気持ちいい?シーザー」
「ぇ‥あ、はい、すごく気持ちいいです‥」
「そう‥」
彼女はクールに言い返すと、再び口を近づける。
そして今度は一気に深く咥え込み、上下に這わせる。
「せ‥せ‥ん‥せい‥」
普段なら相手を満足できるくらい耐えられる彼も、最早限界が来ていた。
彼女の口の中は、味わったことのない柔らかさや温かさがあった。
この光景を何度想像しただろうか。先生、先生。
「せんせい、もう、俺‥もう‥」
先生と眼が合う。先生は何か解ったように、口の動きを速くした。
湖畔の小船のなかで、ぐぽっぐぽっといやらしい音が響く。
リサリサは上下の動くをさらに速くする。
ものがびくんっと震えた。
「ああ、先生、もうああ!先生、先生!!」
一瞬、先生の険しい顔がほぐれ、全て受け止めてあげるわ、と優しい顔になった気がした。
シーザーのなかから彼女への欲望が大量に込み上げてきた。
「先生!出る!先生!先生!」
どくん、と大量にリサリサの口の中に放出されていく。
リサリサが眼を見開き驚いたような顔をする。
「先生好きだ!好きだ!好きだ!ああ!ああ‥」
シーザーは思わず言ってしまった。彼女への思いが口の中へと放出されていく。
至上の快感とともに、意識が薄れ行く。
十数秒に渡って出し切ったものをリサリサはゆっくりと口から引き出す。
「先生‥先生‥」
「あなたが修行に耐え、優秀な成績を残していたにもかかわらず、
このような悩みを抱えていたのに気付かなかったのは師である私の責任です。
だから、少し楽にしてあげようと思ったのです。」
口を拭き、整えながらリサリサは言う。
「先生‥俺は‥先生のことを師として尊敬しています。
だけど‥それ以上に‥先生のことを‥女性として‥」
「それ以上はいけません」
リサリサが止める。
「あなたの気持ちはわかりました。しかし、私達は波紋の修行をしている、師と弟子です。
わかってください、シーザー」
「‥‥‥‥‥‥‥‥ならば俺は、先生が認めてくれるような、先生を護れるような
波紋使いになるだけです。そうしたらもう一度俺の気持ちを言います。」
リサリサはまた溜息をついたような、少し嬉しそうな顔で答えた。
「わかりましたシーザー、頑張りなさい」