目的地は水の都ヴェネチア。
一向は二手に別れ急ぐ。
しかし、疲労はピークに達していた。
外で見張りを続けるナランチャ以外は仮眠を取る事にする。
薄暗い部屋の中。
結局は雑魚寝になってしまったが疲労のせいか
ぐぅぐうと寝息があちこちからあがっている。
ブチャラティは背中をそっと撫でられる感触に気がついた。
「どうした?」
「あ……」
予想通り、ボスの娘であるトリッシュだ。
彼女にはソファーで寝てもらっていたのだが?
「べ……別に……」
「ソファーに戻るんだ」
「どこで寝ようと勝手でしょ」
「じゃあ俺が移動するよ」
「あっ……べ…別にここに居てもいいと思う……けど」
きゅっと、服をつかまれる。
「トリッシュ」
「いや!振り向かないで!」
その声は悲鳴に近かった。
気丈に振舞っているが、そうとう怯えているのだろう。
見ず知らずの父親の為に命を狙われているのだ。
無理も無い。
「俺達が守る。大丈夫だ」
くるりと体勢を代え彼女を抱きしめる。
「あ…」
「少しの間、こうしている。落ち着いたらソファー戻れ」
トクントクンと
お互いの心臓の音が伝わる。
最初は戸惑っていた彼女の腕は次第に後ろへと回された。
そして、トリッシュはある一つのお願いをする。
「ねぇ。もっと。もっとして欲しいの」
勢いに任せた大胆なおねだりだった。
もちろん、この意味を彼が知らない筈がない。
そっと、彼女を見る。潤んだ瞳、唇。
「……」
「お願い……ちょっとだけ……」
そっと頬に触れる掌。
ぎゅうと硬く閉じた瞼に優しくキスをする。
「あ…ふぁ…べ……別に……」
今度はおでこにキス。
ぴくんと身体が跳ねる。
「な……何もしてないよりマシって事だから…うん…」
頬に唇をあて、ペロリと軽く、頬を舐める。
「この味は嘘をついてる味だぜ」
その頃、ジョルノとミスタはメガネと大乱闘中。
ホント、敵がこっちに来なくて良かった。
静寂に包まれた部屋の中。
何度も繰り返されるキスに夢中になっている。
それはけして濃厚では無く
初々しい恋人同士がする様な軽いキスだが
今までしてきたどんなキスにも負けてはいない。
彼の唇が再び軽く触れる。
「あ……」
思わず漏れてしまう声。それを塞ぐようにもう一度。
「ふぁ……」
前戯は終わった。柔らかく開いた唇に暖かな舌が侵入してくる。
「ん……」
軽く先に触れ、奥を求め更に侵入し、まるで別の生き物の様に彼女の口膣を楽しみだす。
「んっ……」
そっと、彼の大きな背中に手を回す。
見かけよりもガッチリとした背中は彼がどんな修羅場を
潜り抜けてきたのかを彷彿させた。
そして、この背中は今自分をどんな敵からも守ってくれる。
自分の父親の命令で。
ちゅぅちゅ
すっと顔が首元に移動した。
そのくすぐったさに思わず身を捩る。
「ん……くすぐったいわ」
彼は少し顔を上げるときょとんとした顔をして
「悪かった」
と謝る。それがおかしくてクスリと笑ってしまう。
「真面目な人ね」
ちょっとからかった。
「そうでもないさ」
特に反応もせず、再び首筋に顔を埋める。
――そう、この人は自分よりもどこまでも大人なんだ。
――この行為だって、恐怖を和らげる為にしてくれるんだ。
チクリと胸が痛んだ気がした。
先ほどから『ちゅっちゅ』ばかりしてる二人の後ろの後ろ。
必死に寝たフリをしているアバッキオとフーゴ。
ああ!なんでこの亀は個室がついていない!
二人は出会った事すらないボスを呪った。
折角護衛しやすい様に
移動手段まで確保してやったボスにとっては
感謝される所か文句言われる筋合いはない。
しかし、この狭い空間の中に『年頃男女7人夏物語』を
したボスはそーとー疎いと言うか善人と言うか……。
(そんな事だからセクース→デキチャッタ→人生オワタ\(^o^)/
の転落コースを歩むんだよと、後のアバッキオは思う事となる)
目の前で必死に寝息を立ててるフーゴも同じ事を考えているだろう。
そして、こんな未曾有の危機に陥った二人だからこそ
「バレたら殺されますよ」
「ボスに?ブチャラティに?」
「最初に、ブチャラティに殺されます。次にボスに殺されます」
と、セリ○Aの選手真っ青なアイコンタクトを披露する。
アバッキオより若いフーゴ、必死に
「落ち着け……落ち着くんだ……素数を数えるんだ。
素数は自分と1でしか割り切れない数字……1.3.5…」
と、どっかの悪徳神父の様な事を言い出す。
「ふぁ……」
唇に再度キスをすると、片手でブラのホックを外す。
パチンという音がして、白い胸元から黒いブラが滑り落ちる。
「駄目っ!!!」
羞恥心からさっと、胸元を隠してしまった。
「トリッシュ……」
「…べ……別に恥かしいって訳じゃ……」
自分が真っ赤になってるなんて、
バレたくないのでそっぽを向く。
「さ……寒いのよ!」
言ってから気がついた。
「一枚とっただけで、寒くなるのか?」
真っ当な意見だ。
もじもじとしながらも、ようやく観念したのか
「うう……」
「あんまり……見ないでよ……」
ゆっくりと腕を広げる。
暗闇の中、うっすらと浮かび上がる白い肌。
年往相だが形の良い乳房が現れる。
「あっ!」
ブチャラティの指が、急に乳房に触れたので思わず声を上げてしまう。
ふんふにと柔らかな乳房を揉みながらも
円を描くように段々と中心に向かっていく掌。
「……っはぁ」
リズミカルに動く掌にあわせ、呼吸も荒くなっていく。
「っぁ……駄目ぇ…」
辿り着いた指先は桃色の突起に触れた。
「んあぁ!」
びくんと身体を震わす。
「静かに」
「……ごめん……でも……」
そうだなと呟いて頬に再度キスをする。
「ん……」
唇が離れた後、再び突起に触れる。既に硬直したそれは弾かれ揺れる。
「ふぅ……んん……」
寝ている二人に声を聞かれない様
両手で必死に口元を押さえるが、どこまで耐えられるのだろうか?
ふっと、彼の顔を覗いて見る。
自分はこんなにも、溺れているのに彼は
何時もと変わらない顔。
「……」
自分よりも5年も早く産まれた人。
15歳の時、あなたはどんな少年だった?
今まで抱いた女性はどんな人?
別に関係ないのに……
出会ってから数日しかたっていないのに、
もっともっと彼の事が知りたい。
二人がちゅっちゅっちゅしてる後ろの後ろ。
未曾有の危機に直面した男子二人がいた。
相変わらず技とらしい寝息を立てながらアイコンタクトしている。
「ところで……ゴムはあるんでしょうか?」
「!!!!!!」
ドギャアアアン!
そう、子作り無しの性交に必需品であるアレだ。
もしも若気のいたりでゴム無しで突撃なんてしたら……
それがボスにばれたら……人生オワ(ry
(後にアバッキオはボスの繁殖能力の高さを知り
避妊に気がついて良かったと心底思う事となる)
「勿論」
「一つ聞くけどよぉおお!そのゴムってのは普通のゴムだよなぁあ?
まさか先っちょが暗闇で光るとか?そんなふざけたゴムじゃねぇよなああ?」
「当たり前だよ!普通のゴムですよ!」
「そーかそーか。そりゃ良かったぜ……」
アバッキオは、リーダーの先端がボンヤリ蛍光色に輝く姿を想像した。
もう、色んな意味でブルっちまう。
「しかし、問題がありますよ。ゴムは今、財布の中です」
「じゃあとっとと財布だせよ」
「あそこです」
「何ぃいいい!!!!?」
ズギャアアン!指先はテレビの上を指していた。
「なんであんな所にあるんだよぉお!!」
そう、テレビまでは2m。
たかが2m。しかし2m。
気がつかれずにどうやって取る?
最後の布を取り、初めて裸を見せる。
この姿を知っているのは
母親と、友人と…
恥かしいけれど、初めての男性がブチャラティで嬉しい……
瞳を閉じて思う。
「あ……あんまり見ないでよね」
だが、口から出た言葉は正反対。とんだ天邪鬼だ。
「ああ」
いたって冷静。眉一つ動かさない。
こういう時、ドラマなんかだと「綺麗だ」とか言ってくれるもんじゃないのか?
ぷぅと膨れてみると、ブチャラティは不思議な顔をして
「どうした?」
「なーんでも無いわよ。本当、解ってない男よね」
「何がだ?」
「そーゆう所よ」
彼に罪は無いのだが、いや、
あるとしたら『乙女心に気がつかない』事だろうか。
トリッシュも、これは自分の我侭だと解っている。
が、どうも意地を張ってしまう。
「……どうした?」
「もぉー!鈍感!いい!?一回しか言わないわよ!」
ばっと、耳元に飛びつきごにょごにょ。
一瞬、きょとんとした顔をしたが
ぷっと吹き出し
「綺麗だよ」
と囁いた。
恥丘の奥、誰も触れた事の無い場所に指を這わす。
「!!!きゃあ!」
思わず、大きな声を出してしまった。
鎖骨や乳房の愛撫とは比べ物にならない感触が身体を襲う。
「あっ!ひぁ…やぁあ」
次々と迫る刺激に、へらず愚痴も言えないでいる。
「ひぁ……あっ!ブチャ……やぁ…あぅ!」
更に薄い茂みの奥に指を伸ばす。
硬く閉じられた花弁はまだ男を受け入れていない。
指をはわし、下からつつっとなぞる。
「ひぁっ!やぁ!そ…そこ…駄目ぇ」
ゆっくりと楽しむ指は、僅かに震える肉芽に触れた。
「きゃあ!」
身体に電流が走り、衝撃にびくんと、身体が波打つ。
「駄目!そこ……強い…きゃぁ!」
敏感に反応する肉芽を指の腹で転がす。
その度にトリッシュの身体はびくんと反応し、
処女とは思えないくらい、花弁からは蜜が滴る。
「駄目!駄目ぇ!」
初めて襲う感覚には訳の解らない気持ちになる。
このまま、自分が無くなる様な、溺れる様な感情。
初めての体験に恐怖すら覚える。
「い…やなの!駄目…!」
ぶんぶんと首を振り、ブチャラティの手から逃げようとするが上手くいかない。
蜜壷から流れる愛液は、太ももを伝い床に流れる。
それをすくい、指に絡めると花弁の奥に指を侵入させた。
「!!!」
突然感じる違和感。
「あっ……!いやぁあ……」
不思議と痛みは感じなかった。
「痛くないか?」
「あっ…うん…でも…」
ぬるりと更に奥に進む指先。
「ふぁっ!!変な……感じなのぉ……」
第一間接まで挿入し、ゆっくりと動かしてみる。
「何これ!あ…駄目!あっ…やぁああ!」
その瞬間、トリッシュは大きく跳ねた。
何度か痙攣するとぐったりと彼の腕に落ちた。
掌からは滴り落ちる雫、
はぁはぁと身体全体で呼吸を整える。
「ん……」
この後、何をするか解っている。
ぎゅっと瞳を閉じる。
怖くないと言えば嘘になる。
しかし……
「これ以上は……俺はできない……君は好きな男とするもんだ…」
ふるふると首を振る。
「いいの……何も言わないで………今だけ…はやく……」
その頃男二人は(ry
「仕方が無い……僕のスタンドで……」
「ヤメロォオオ!!!バカかテメェ!全員死ぬぞ!!」
これこそ最悪の結末だ。
「しかし!このままでは!」
「オメェ、ちょっとは落ちつけ!」
アバは、目が据わっているフーゴをなだめる。
「僕はいたって正常です。あなたこそ愛しのリーダーを
小娘なんかに取られて動揺してんですか?えぇ!?」
しかもホモ疑惑までもたれてる。
「殺すぞ」
一向に進まぬ事態に険悪なムードになる。
しかし、イラついても事態が好転する訳ではない。
こうしているうちにも、刻々と
貫通式は近づいている訳で……
「そうです!彼です!ナランチャです!!」
フーゴは外で見張りをしているナランチャに最後の希望を託した。
「うああ……すげぇ…」
部屋の中をオカズに夢中に一人スタンドバトル。若いから仕方ない。
「あのド低脳がああああ!!!」
「やめろ!クレームが来る!せめてクサレ脳みそにしとけ!」
ぷちんと音がする。ジャケットの内ポケットから
取り出したのは見た事のある…
いや、彼らが望んでいたあの「明るい家族計画」のゴム製品。
「あ……持ってたんだ」
再度キスをすると、
自身を当てゆっくりと身体を沈めた。
「っ!!!!きゃあああああ!!」
その瞬間、裂かれる様な痛みが全身を襲う。
「−−−−−っ」
声にならない声が喉から漏れる。
どんなに望んでても、覚悟しててもこの痛みは仕方が無い。
秘部からは赤い雫が垂れ、太ももを伝っていった。
「痛い!いやぁああ!!」
激痛に悲鳴を上げ、彼の背に爪を立てる。
「……ぐ……トリッシュ……力を抜くんだ」
「そんな事言ったって!!無理!無理よぉ!」
ぶんぶんと首を振り、必死に叫ぶ。
ー痛いって知ってたけど、こんなにもだなんて!
ブチャラティは、
はぁと息をこぼし、ゆっくりと引き抜く。
「…!」
「悪かった……」
「あ……」
「ご……ごめん……大丈夫よ……」
しかし、彼はあくまで優しい顔だ。
「無理するな。君にはまだ早い」
「大丈夫だって言ってんでしょ!!」
思わず怒鳴ってしまった。
「……ごめんなさい…でも……アタシ……」
優しすぎる彼。ここで「もう止めて」と言えば
絶対に無理強いはしないだろう。
こんな時くらい素直になれれば良いのに……
ついつい意地を張ってしまう自身が情けなくて
トリッシュはぽろぽろと涙を零す。
「お願い……耐えるから……最後までして……」
これが精一杯だった。
「……」
「……解った」
再度、先端を当てゆっくりと侵入してみる。
「んーーーーー!!!」
先ほどではないが、やはり鈍痛が腹部を襲う。
口元を両手で押さえ、声を押し殺す。
「……トリッシュ……」
そっと、髪に触れる。
彼女の痛みが和らぐまで、ブチャラティは
動きを止め乳房や身体に優しく指を這わす事にした。
「ん……」
ふにふにと揉みしだかれる乳房。
先端で硬くなっている乳首を指で摘む。
「んっ…!あぅっ…」
何度か指の腹で扱き、口に含む。しかし、
「あっ…胸は……やぁ……」
「トリッシュ……」
「ん……」
差し出された指はその先の唇に触れた。
「ここがいい……」
「解った……」
再度、唇を重ねあう。
優しく、激しく、何度も何度も求め合う。
やがて、トリッシュの中では鈍痛が薄れていく様な気がした。
それを察したのか、
「動くぞ……」
ゆっくりと、腰を埋める。
「っつ!」
動かすとまだ少し痛い。
けれども、先ほどの様な悲痛な気持ちは無い。
「大丈夫か?」
「ん……大丈夫よ……」
ニッコリと微笑む。
指と指を絡ませる。
やっと気がついた。
彼が好き、大好きなんだ。
この気持ちに気付けて、今抱かれていて、
それだけでとても幸せなんだ。
涙が一滴、瞳から流れた。
情事の後、彼の腕の中で
じーっと見つめるトリッシュ。
「どうした?」
またしても、きょとんとするブチャラティ。
「解らない?」
「ああ」
「ホント、ニブイ人よねぇ」
よいしょと、半分脱ぎかけのスーツを完全に脱がす。
「?」
「ふふっ。寒いから借りるわよ」
にっこりと笑い、戦利品を羽織る。
ーこうすれば、眠りにつくまでアナタの温もりを感じられるでしょ?
会った事も無い父親、この後自分がどうなるか全く解らない。
しかし、今この瞬間は幸せな夢を見よう。
もそもそと、ブチャラティの胸元に顔を埋める。
――この気持ち、今言うのはムカつくわ。
でも…この旅が終わったら、ちょっとは話してみようかしら。
まどろむ意識の中、彼女は思った。
蜜の様な情事から数分後。
腕の中で小さな寝息をたてる少女。
「もう寝たのか?……無理ないか…」
サイズが合わなくてブカブカになってるスーツを
見てるとおかしな気分になる。
ふわふわのクセ毛。
起こさない様に触れてみる。
「……」
静かに揺れる長いまつ毛。潤う唇。
そっと顔を近づける。
「ん…」
一瞬、ドキリとして離れる。
「……まったく……」
久々に感じる少年の様な、甘い心。
その感情をぐっと抑える。
立場はわきまえているつもりだったのに……
ふぅと、ため息をつく。そして後ろに向かって喋る。
「見せ付けた様で悪かったな」
返事は無い。
まぁいいか。と最後に呟きもう一度髪を撫でた。
暗闇の中、無理やり無表情の二人。
「とりあえず、ヴェネチアに上陸したら何発か殴ってもかまいませんか?」
「OK。フーゴ。俺はP・ヘイズの使用を許可するぜ」
最初から気がついていやがった!
まったく、イチャつくなり幸せにでも何とでもなっちまえ。
こうして、長い夜は明けていった。