※キャラ崩壊注意  
 
「最後に得るもの」  
 
ここは、ニューヨーク郊外、ある高名な夫婦の住む邸宅。  
窓際に背を傾けて初老の、それも身長190もある頑健な男が声をくぐもらせている。  
誰かが通りかかって窓の外から見ても、初老の男の背中が見えるだけで、何が行われているか分からないだろう。  
部屋の中に視点を移して見れば、その男に「奇妙な事」に、二人の少女が四つん這いになって膝まづいているのが見える。  
左側の少女は黒のワンピースに胸元は果物をあしらった飾りが縫い付けられた服、黒髪のおかっぱ頭に白頭巾を被っており、  
あどけない顔だちをしている。右の少女はピンクのワンピースに金髪(ブロンド)で、大人びた表情をしている。  
どちらも男の孫に思えるほど若く、誰が見ても、美少女と言うだろう。そんな彼女達が何をしているのかというと―。  
 
二人は両脇から、その男の股間に顔をくっ付けるようにしていた。それだけではない、  
なんと・・・その男の「男性器」を舐めていた。彼ら以外、誰もいない邸宅で、密やかな口淫の音だけが聞こえる。  
 
「ぴちゃ ちゅぷ」  
 
右側の少女は、彼の幼妻。14歳。近頃、めっきりとセクシーになった。彼女だけでも犯罪的だが、  
左側の少女は、彼の家の奉公人で、こちらも十代。雪国育ちの白い顔を蒸気させている。  
四つん這いになり、ワンピースはまくりあげられ、少女のお尻を包み込む豹柄のパンティは丸見えとなっている。  
男への奉仕に夢中になるほど、お尻がフリフリと動き、男の目を楽しませる。  
可憐な少女達が、こんなカリメロ帽子の初老の男のものを舐めて、何が嬉しいと思うかもしれない。  
少女達は根元から先端まで、交互に舐めている。じゅる、じゅる。代わりばんこに、競い合うように。  
彼の妻は、上目遣いで、扇情的に彼を見上げながら舐め上げる。  
それを見た白い少女は張り合うように、目を落として口の中で舌を動かし、彼をより、刺激することに没頭しながら舐め上げる。  
(わたしのほうが)(わたしだって)そんな心の声が聞こえてきそうだ。どちらも堪らず飽きることがない。  
 
少女達の年を足し合わせても届かないほど年の離れた男のものをだというのに、二人とも、  
嬉しそうに、愛おしむように、奉仕を続けていた。他の男が見たら、羨ましくて、卒倒しそうになるだろう。  
あるいは、新聞記者が見たら、即座に醜聞だと騒ぎたてるだろう。  
彼は、年の離れた幼妻と結婚したことで噂されていたのに、もう一人娘のような年の子がいて、しかも、  
年端もいかない少女達に、こんな羨ましい奉仕をさせているとは。  
男は、「妻」と、実の娘のように大事にしている「少女」の名前を呼んだ。  
 
「ルーシー、シュガー。お前達。これ以上、続けると」  
余りに刺激的だった。二人から絶えず愛撫され、快感を与えられ続けられる。  
 
ルーシーと呼ばれた少女は、横から、彼のモノの幹を舐めていた。シュガーと呼ばれた少女は先端部を舐めている。  
 
二人は目配せして、向かい合うと、今度は男のモノに両側からキスをするように口付けた。  
そして、ハーモニカをふくように左右に動かしていく。息の合った連携。  
少女二人が、自分のモノの先端部を含んでディープキスをする。  
見ているだけで、堪らないのに、重なった二人の口の仲では、二人の舌が、カリの周辺部を左右から的確に刺激する。  
気を抜けばイってしまいそうだった。どんなやり方が、彼を一番、興奮させるのか分かっていてやっているのだった。  
全てはただ、彼を悦ばせ、気持ち良くさせるために。これだけの事をしてくれる二人の美少女に愛されている実感があった。  
 
「お前たち、もう。。。」余裕の無くなってきた彼はやっとの事で呟いた。  
 
「顔にお出しください。旦那様。お受けします」と白い少女は目を瞑って言った。  
丁寧な言葉使いながらも、卑猥な要求だ。「私にもね」と彼の妻は言う。  
少女達の顔に己の汚れた物をかけるなんて、聖像に小便するような行為。それだけに、背徳感がある。  
そんな彼のツボを見越して、少女達は、おねだりをしているのだった。  
 
「ああっ、、いくぞ。。」ほどなくして、男は精を放った。  
少女たちの綺麗な顔が汚れていく。額、まつ毛、瞼、整った鼻筋、頬が白濁液で汚れ、綺麗な髪の毛にまでかかっていく。  
それなのに、少女達は、主人の愛そのものを受けるように受け止め、温かい液体を愛おしく感じるのだった。  
そして、顔に出された精液を、お互いの顔をぺろぺろと舐め合い、飲み下していく。あまりにもエロティックな光景だった。  
彼は、それを見ているだけで、再び自分の分身が硬化していくのを感じた。  
 
いったい、どうして、こんなことになったのか。その経緯を語らなければならない。  
 
 約50年前。シュガー・マウンテンは、ミシガン湖畔の寒村に住む貧しい普通の一人の少女だった。  
1人娘として大事に育てられてきたが、両親が湖畔で斧を落とし、「過ち」を犯して不思議な力で泉に囚われてしまった時、  
シュガーは、自ら泉に“囚われた“。両親が解放される時を待つために。自分の大切な者のためなら、何でもできる、捨てられる。  
それが彼女だった。それからはとても辛い孤独だった。肉体は何故か老いなかったし、精神も「少女」のままだったが、目は次第に、盲い、  
解放される希望は見え無かった。けれど、いつか誰にも明かせない絶望を感じながら、希望が来ることを何十年も待っていた。  
その間、自分が導いて、狩猟者や旅人を罠に嵌めてしまったことにも内心、罪悪感も持っていた。  
それが、ジョニィ、ジャイロによって、泉から解放された。両親と50年振りに再会した。彼らに少女は心底、感謝した。  
自分が人生を投げ打ち、泉の番人として囚われていたからこそ、この「幸運」が招かれたのだ。  
『すべてを敢えて差し出したものが最後に真のすべてを得る』、そのことを彼女は確信した。  
 
 だが、時は、アメリカ北部の1880年代。解放された後のシュガー・マウンテンの人生も、この時代のならいとはいえ過酷なものだった。  
50年も前の村人達が里に降りても、見知る人すらいない。マウンテン一家の住む村々は、木々を伐採するために、その「土地」を買われていた。  
白人の基本概念は金だ。金が無ければ、故郷すら追い出される。とはいえ、当時のミシガン州は空前の好景気。  
男なら、いくらでも働き手があったし、他の解放された男達はそれにありついた。だが、目の不自由な素直で素朴である以外に  
取り柄の無い少女にとって、それは生きていくだけでも辛い時代だった。50年間囚われていたという彼らの事情も不気味がられ、  
家族は社会から「孤立」していった。  
マウンテン一家には『娘』が一人しかいなかったが、「奉公」に出たいと言い出したのは、シュガーからだった。  
自分がせめて働きに出ることによって、家族を助けようとしたのだった。シュガーは村一番の「美少女」で目を引いたし健気に良く働くが、  
目が弱く、非力な少女になかなか引き取り手は付かない。  
 
 そんな中、苦境の彼女に、手を差し伸べる者が現れた。マフィアは一つしかないものからは奪わない。だが、彼女を買ったのはマフィアではない。  
ミルウォーキーで製材工場を営む「資本家」だった。この時代において、資本家の搾取は限度を知らない。  
 
「決して、お嬢さんを工場で、過酷な労働に使ったりはしませんよ。」  
彼は、目の不自由な少女に「慈善」を成すように、恩着せがましく言った。  
少女の「生い立ち」を聞くと、決して馬鹿にすることなく、「これからは何の心配もしなくていい」と涙さえ流しながら、少女の手を取った。  
自分達が食っていくだけでも苦しい時代。仕送り出来るだけの賃金も保証され、両親は、この機会を我が事のように喜んだ。  
彼女は、「パパ、ママ。私、幸せになるわ」そう言って家を出た。「しっかり、頑張るのよ」と両親は送りだした。  
だが、工場の働き手にするでもない、その「成り金」の目的は一つだった。奉公の初日から、彼女は、掃除や料理で、己の精勤さをアピールしたが、  
そんなものは目にも留められない。それでも、自分達、家族を引き受けてくれた人だ、「良い人に違いないわ」と、シュガーは淡い期待を抱いた。  
初めて、夜に「寝室に来い」と言われた時、シュガーはその「意味」が分からなかった。  
膝まづいて、「ひとつ、よろしくお願い申し上げます」と挨拶する少女を、男は急くようにベッドに押し倒した。  
「何をなさるんですか!?」  
 
男を知らない少女には分からないことだが、奉公人は、ご主人の「お相手」を務める時もあるのだ。  
50年前の古風な淑女(レディ)の教育を受けたシュガーにとって、「寝室は夫婦」のためにあるもの。  
婚前の好きでもない男に抱かれるなんて、あってはならないことだった。  
 
「あたしの下着に触らないで!変態ッ!変態ッ!」  
下着を脱がそうとする男の下で必死にもがいて抵抗するシュガーに、男は、更にショックな事実を打ち明けた。  
男は、彼女の住んでいた村を切り開いて、木材を売っていたのだ。自分が売った村で、故郷を奪われ、  
「困窮する少女」がいるのを聞いて、分かっていて敢えて、彼女を買ったのだ。  
 
「お前の村を奪ったのは、俺だ」  
そう男は枕元で囁いた。恩人だと思って、信じていたのに。  
「だが、俺はお前を買った。“恩人”にはどうするか。分かるよなァ〜〜?」  
シュガーは呆然として抵抗する気力を無くし、急速に男への嫌悪感だけが募っていく。  
せめてもの抵抗に、きつく閉じた唇に、男は強引に唇を合わした。初キスだったのに。  
「今から、これが入るんだぜーー」それは、シュガーが今まで見た事もない、男の象徴だった。  
男は、自分のモノを誇示すると、縮こまる彼女の股を力ずくで開かせ、処女を奪った。  
 
「あああっ」少女は、叫んだ。乾いた、愛の無い痛み。初めては、愛おしい、まだ見ぬ「旦那様」に捧げたかったのに。  
その晩彼女の流した涙は、破瓜の痛みか、故郷を失った屈辱だったか。  
それでも、自分だけではない、両親の生活も、かかっているのだ。彼女は、何があろうと「耐えよう」と決心した。  
そんな彼女の足元を見て、自分以外に依る辺の無い少女を、男は自分好みに「支配」しようとした。  
「心配すんな、両親への仕送りはきっちりやってやるよ。俺の『言う事』ちゃんと聞いてりゃな」  
シュガーはその言葉を信じるしかなかった。  
 
男は、「男を悦ばす方法」をこの年端もいかないウブな少女に教え込もうとした。  
最初は、ソレを見るのも嫌だった。自分の故郷を奪った男のものなんて、汚らしい。  
それでも、突きつけられたものに、口を付けさせられた。舌を付ける。舐める。咥える。毎日、少しずつレクチャーを受けた。  
男は高まっていくと、シュガーを無視して、頭を掴んで、腰を打ち付けられる。  
 
そして、ドロリと出されたものを、嗚咽と共に、飲まなければならないのだ。  
粘っこく苦いだけの液体。嫌いな男のものだと思うと、嫌悪感が倍増する。  
 
それでも、毎朝、寝室に出向いて、ご主人のモノを舐める。高めて、口に出していただき、飲ませていただく。  
それが日課となった。シュガーは物覚えが良かったし、手先も器用で、丁寧だった。  
もともと、「泉の番人」の頃から、誰かに「何かをしてあげる」ことが好きだった。  
だから、ご主人から、教わったことを素直に受け止め、忠実にこなそうとする。  
 
お昼も大抵、彼の書斎で、机の下に籠っての口唇奉仕。毎日、幾度も出され、飲み込まされる精液を、必死に嚥下する。  
とにかく機械的に、こなそうとする。ご主人様に早く出してもらおうと、「男を悦ばす方法」の技術は飛躍的に上がっていた。  
次第に、男のツボも心得てくるようになった。  
 
「ふふ・・・、イってくださいでしゅ?」と、少女は、にっこり笑いながら、媚を売る。  
 
「おめーみたいなロリ女に咥えられながら、”そう”言われるとすげー興奮するんだよなぁ〜」  
男に媚びるための話し方、笑みも磨かれていった。  
「出すぞ」  
 
「・・・んぐぐ、、、、ごっくん・・・」  
 
「ふぅ・・・慣れてきたじゃないか。俺のことが好きなってきたんじゃないか」  
 
「そんなことありません・・・」  
 
「説得力無いぜ〜、俺のモンを毎日、咥えて、嬉しそうに、飲んでおいてよぉ〜」  
 
なんという屈辱だろう。精一杯やっているだけなのに。こんな男に奉仕しなければならないなんて。  
割り切れるものではない。  
 
雑用を押し付けられたと思ったら、難癖を付けられ、「お仕置き」にと、奉仕を強要される。  
気が付けば、一日中、彼の書斎や寝室にいることになった。それでも、彼女が寝室で寝ることは許されなかった。  
奉公人の分を弁えて、夫婦の寝室で寝泊まりするんじゃないというわけだ。  
他に相談できる相手もいない。ご主人のお相手は楽な仕事だと言われて、他の使用人からも距離を置かれていた。  
公認の「性欲処理係」というわけだ。話す相手と言えば、一日中、彼女を凌辱することにしか関心の無いご主人。最悪だった。  
 
シュガーは、「泉」の「不思議な力」でずっと封印されてきた影響で、体も未発達で、まだ、子どもを作れる体ではない。  
それに気付くと、男は慰めるのでもなく、少女を労わるのでもなかった。好都合だとばかりに、毎日、気が向いたときに、  
シュガーを抱いて、獣欲を注ぎ込んだ。まさに性奴隷という扱いだった。キスの仕方も念入りに教え込まされた。  
男の上でいやらしく、腰を振るやり方も。壁に手を突いて、スカートをたくし上げ、尻を見せ、おねだりするやり方も。  
「旦那様ぁ。シュガーのま●こをお使い下さい」そんな台詞をいやいや言わされた。  
 
フェラチオを一通り、仕込まれると、今度は、男の尻の穴まで舐めさせられた。  
こんな「汚いところ」を舐めるなんて、相当な抵抗はあったけれど、その匂いにクラクラしながら、  
尻の穴の皺を舌で伸ばし、ふやけるまで舐めさせられ、どの部分がツボが教え込まされたのだ。  
 
男は、少女に暴力を振るわなかったけれど、精神的に、いたぶるのは、大好きだった。  
 
「お願いします。パパとママには何も言わないでください」  
両親を心配させたくない、彼女が要求できたのは、それだけだった。  
「ああ、黙っといてやるよ。だがな。」  
両親を愛する健気な少女であることを知ると、なおさら、その弱点で、少女をいたぶった。  
 
「パパとママに謝りな。嫁入り前の大事な一人娘が、毎晩、俺のモンを咥え込んでるってよ〜」  
 
「パパ、ママごめんなさい!・・・ぐすん」  
シュガーに両親に懺悔させ、苛めながらするのを、男は好んだ。  
 
「俺に、こんなに汚されてよぉ〜、結婚は無理だよなぁ〜、誰からも愛されることはないかもな〜」  
 
「そんな・・・うぇーん・・・」  
 
「いい顔で泣くじゃないか、田舎娘がよ〜〜、ここの締まりだけは最高だなぁ〜〜、ほれ出すぞ・・うっ・・・」  
 
そして、泣きじゃくる彼女を見ながら、彼女の中で、”射精”するのだった。  
 
「運が良ければ、俺の子を孕めるかもなあ〜」  
 
それだけは、イヤだった。  
 
これも、泉の番人として、多くの人間を罠に嵌めてきてしまった「罰」なのだろうか。  
唯一、良かったのは、余った時間で、彼女が字を覚え、本を読むのを黙認したことだ。奉公に出た孝行娘が、  
勉学に励もうと取り組む姿は、そそられるものらしい。その希望を無惨に散らすのも。  
シュガーが、よく見えない目で必死に机にかじりついて本を読んでいるのを、男は後ろから、組み敷いて犯した。  
「どうせ、何をやっても無駄なんだ。この先、お前はな・・・」  
「大人しく、俺の穴空き人形になっていればいいんだ」  
嫌な男に抱かれるだけでなく、彼女の尊厳を奪われる毎日。こんなことが続けば一年と経たず彼女はボロボロに壊され  
「もたなく」なってしまうだろう。それでも、彼女は希望を捨てなかった。  
そんな中、シュガーは、新聞でSBRレースが終わっていたのを知った。一位かと思われたDioが失格になり、  
ジョニィも失格、あのジャイロが死んでしまったことも。一度会っただけだが、彼らには一言、お礼を礼を言いたかった。  
彼らは「真の全て」を得たのだろうか。そして、レースを主催したスティーブン・スティールの存在も知った。  
ジョニィ、ジャイロを遣わした彼こそ、真の「恩人」ではないのか。その妻ルーシー・スティールの事も。  
結婚しているのは少し残念だったけれど。まだ、見ぬ彼らに想いを馳せた。  
そして、彼らが、その後、労働者の待遇を改善する「慈善事業」を始めたことが分かった。  
 
( 彼こそ、助けになってくれるかもしれない )  
 
ここからの彼女の行動力は凄まじかった。男が少女を荒々しく貪り、満足して寝てしまうと  
毎晩、彼女は書斎で彼の会社が犯している不正の証拠を集めた。男は少女がそんな事をしているとは夢にも思わず、無防備だった。  
そして彼女はスティーブン・スティールに証拠を添えて、手紙を送ったのだ。何も知らない、何もできない少女だと思っていたのに。  
少女の大人しい外見に惑わされてはいけなかった。何十年も泉の番人を続けてきた精神的なタフさ、逞しさ、「気高さ」は揺らぐことが無かったのだ。  
 
スティーブンがどのように動いたのか知られていないし、彼女には言わないことだろう。  
だが、一ヶ月後には、その会社はスティーブンのものとなり、労働者の待遇の改善は為された。  
「史実」より早い展開となった。歴史を動かしたのだ。だが、このままでは、彼女を「裏切り者」と目を付けた「資本家」からの報復は続くだろう。  
こうして、彼女は、スティール一家の『奉公人(メイド)』として働き、匿われる事で、一家の保護を受けることになったのだ。  
「ジョニィからの手紙で知っていたよ。ミシガン湖のほとりに、少女がいる。世話になったから、『保護』が必要なら、『そうして欲しい』と」  
あのジョニィとの縁=引力。今までやってきた事は無駄ではなかった。スティールにとって、「遺体に囚われていた少女」は、  
大統領の「計画」の犠牲者であり、SBRレースの被害者とも言えた。それだけに、自分でケジメを付けたかったし、窮地にあるなら救いだしたかった。  
彼女の境遇にも悲しんだ。もう二か月早かったら少女が辛い目に会う事もなく、救いだすことができただろう。  
彼の妻、ルーシーの境遇とも重なり、彼はますます彼女に対し親身になろうと思った。  
 
「礼を言ったりするなよ、私のためにやったことだ。」  
「遅くなってすまない。もう、辛い目には遭わせない。これからは君の面倒を看るよ」  
そんなことを言われて、何も感じない者がいるだろうか。彼女は、スティーブンに恩義を感じるようになった。  
 実の両親も、何があったのか、シュガーには聞かなかったが、信用ならない男に預けてしまったことを悔いており、  
今度はスティール氏のことを信頼し、私たちのことはもう考えなくていい、貴方の好きなようにしなさいと送りだした。  
 
「君はとても気のきく可愛い娘だ。シュガー、君をこれから娘として扱う。  
いっしょにここに住むといい。実の家族だと思って、遠慮しないでいい」  
シュガーは、彼ら夫妻に囲まれて、彼らの「娘」のように扱われた。今までと天と地との差だ。  
盲学校にも通わせてもらえ、教育を受けられるようになった。スティール氏は、ルーシーに対してそうなように、紳士的だった。  
彼が高い身長だということ、彼女が目がよく見えないことを考慮して、よく見えるように、しゃがんで顔を近づけて話してくれる。  
外に出るときなども、危ないので、手を繋いでくれる。一時は、男に触れられるのもイヤだったけれど、  
彼に手を繋いでもらうと、心と身体が温まるのだった。彼は実の子どものように可愛がってくれ、  
スティール氏は、シュガーの「おママごと」遊びにも付き合ってくれた。  
 
彼らの家族となったシュガーの最大の関心は、彼らの夫婦仲の事だ。スティーブンも、ルーシーもとても仲が良い。  
見ていて、羨ましくなるほどだ。恋愛に夢を見がちな少女にとって、彼らは理想の夫婦に見えた。  
また、だいぶ、スティーブンが妻に尻に敷かれているのも感じた。甘えているというのか、  
彼が妻に膝枕させてもらって、愚痴を零しているのをよく見かけた。  
毎日、出かける妻と夫が仲睦まじく頬にキスをしているのを見て、微笑ましく思った。ルーシーもシュガーを好いた。  
同年代の女友達に飢えていたのかもしれない。何故か、可愛い女の子に目が無いようだった。  
「可愛いシュガーちゃん。貴方は何も『遠慮』することは無いのよ」  
奥様は何不自由無いようだったが、あまり夫が、「積極的ではない」ことが唯一の「不満」のようだった。  
夫婦が一緒にいる時間は思ったより少ない。好奇心旺盛な奥様は、読心術やらの習い事が多く、夕方まで帰ってこない。  
 
 
 
 昼食後の「お昼の時間」は、大抵、スティールと二人っきりになる。今日も、シュガーをちょこんと膝の上に乗せては、  
本を読んでくれている。だが、今日はいつにもなく上の空だ。  
「なんだか、今日はお元気がないですね?」  
妻と違って、シュガー相手には、かっこ付ける必要がない。彼女相手には気安く、本音を話せるのだった。  
シュガーに、スティールは悩みを打ち明けるのだった。  
 
「ルーシー…彼女に男として見られているのか自信が無いのだ。もし、私が三十歳若ければ違ったかもしれないが」  
 
「そんなことを悩んでいるのですか?」シュガーは、彼の悩みが意外だった。スティールは、彼女の目から見ても、  
恩になった贔屓目があったとしても、魅力的だった。男としての自信が無いなんて、考えもしないことだった。  
 
「『君には手をつけないなんて』あんなにカッコいいことを言っていて、今さら、どうしろというんだよおおお!」  
 
スティールは、(妻にするように)シュガーの膝に抱き着き、泣きながら、言うのだった。だが、悩みを打ち明けられても、  
シュガーにはどうしたらいいのか分からなかった。  
 
そのことをシュガーはルーシーに告げた。  
 
「そう、『自信が無い』のね」  
 
「奥様のことを、愛しておりますわ」  
 
「ええ、分かっているわ、シュガー。でも、女の子同士の貴方だから言うけれど、  
それでも、夫婦が二人、寝室にいて、何もされないって、悲しいことだわ」  
 
傍目から見ても、二人の関係はもどかしいように見える。教師や生徒の間柄のように見えるが、  
いまだ、夫婦の営みが無いのは不自然に見えた。  
 
「奥様はどうなさりたいのですか」  
ルーシーは夫に、年頃になれば好きな男を作れと言われてはいたが、もちろん夫一筋という結論しかなかった。  
 
「私は抱かれたいわ。普通の夫婦のようにね」ルーシーははっきり言った。  
 
「ルーシー。私、お二人のためなら、何でもしたいと思います。私ができることでしたら。何でも言ってください」  
夫婦間のことに口を挟むのは厚かましいかもしれなかったが、シュガーは、二人の恩に報いたいと心底、思っていた。  
女の子同士の「恋愛話」というのは、年頃の娘をワクワクさせる。  
女の子の観点から、夫婦のためのデートプランでも考えてあげましょうか。二人のために、腕によりをお料理を作るのもいいかもしれない。  
だが、ルーシーが言い出したのは、もっと突拍子も無いことだった。  
 
「ねぇ。あなた、誘惑してみない?」  
 
「えっ?」期待していた方向とあまりに違って、呆気に取られた。  
 
「そんなこと、考えたこともありません!スティール氏は、奥様のものです。」  
あまりに想定の範囲外で、考えた事もないことだった。  
 
「何度、私が誘惑しても駄目だったのよ。お尻や、胸をちらっと見せても。私ったら、魅力無いのかしらね。」  
 
「そんなことはありません!」  
 
ルーシーは、シュガーより、成熟した女性という感じで、憧れだった。未発達な自分の身体にコンプレックスすら感じていた。  
 
「あなたなら、気に入るかも」  
 
「私なんて、魅力なんてありません!」  
 
「あら、あなたもずいぶん、魅力的よ。」ルーシーはうっとりした目で彼女を見る。  
 
「深く考えることはないわ。キスをしたりして誘ってみたりしてほしいのよ。」  
「こんな感じで、するのよ、ほら。」  
 
ちゅっ  
 
ルーシーに不意にキスされて、シュガーは顔を赤らめてしまう。女の子同士でキスするなんて。シュガーの常識にはないことだった。  
「彼が、『女の子に興味を示してくれる』それだけでも進展なのよ」  
 
「そんな、私なんか・・・」  
 
「それじゃ、頼んだわよ」  
 
「あの、奥様・・・」  
 
それでも、恩義のあるルーシー夫人に言われた以上、断るわけにはいかなかった。シュガーは追い込まれてしまっていた。  
 
To be continued.  
 

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