<<ジョルノ嗜血鬼化で悲観的ジョルジョリで強姦(しか書けない)>>
+血の痕より出ずる花+
幸せの最中のこと、花嫁の控え室の中に彼は現れた。
突然の侵入者にとっさにストーンフリーを
繰り出そうとする彼女の手を、『彼』がそっと両手で包んだ。
ただそれだけの行為、それだけで徐倫の『力』は
彼の手の中へと封じられてしまったのだ。
ストーンフリーは徐倫の中をさまよったまま出てこれない。
まるで、終わりのない無限回廊へと葬られてしまったかのように。
意識を吸い取られる感覚、白く濁る視界、薄れゆく意識。
いずこかへ連れ去られる感覚。
…そして―
「…あ…」
白い布の上に、白い布を纏った、白い肌がふわりと落とされた。
僅かな音をたてて軋む、かなり年季の入っていることの窺える
黒檀のベッド。
同じく黒檀で作られた、細かな装飾を施されたサイドボードには
血の色をした液体をはらんだグラスが、二つ並んで闇の中に佇んでいる。
純白の花嫁衣装に身を包んだ徐倫は、これから自分の身に
何が起こるのかを十分すぎるほど理解していた。
(怖い―)
初夜を迎える花嫁の心情とはそんなものだろう、と
経験のある者ならばそう言うのかもしれない。
だが、名も知らぬ男に突然連れ去られてきた彼女の心は
花嫁のそれとは全く違う。
まさに化け物に供された生贄の心境そのもののはずだ。
…そう、彼女を抱きかかえてこの褥に連れてきた彼、
ジョルノ・ジョバァーナはまさしく美しき怪物といえた。
少年期よりもさらに妖しい煌きを増した黄金の巻き毛。
深く、深く、底すら見えぬ海溝のような闇を宿した蒼色の瞳。
健康な白とは違う、古に伝わる吸血鬼を連想させる青白く
透きとおった肌の色…。
まるで、まるで
お伽噺の吸血鬼のようだわ―
(…父はどうしたろう?
アナスイ…私を心の底から愛してくれた人は?
式の前に忽然と消えた私のことを、きっと心配してるだろう)
「…よくお似合いですよ」
ジョルノがサイドボードに載せられたワイングラスを
静かに手に取って中身を少しだけ飲み下して見せる。
まるで、生唾を飲み込む音をごまかすかのように
ゴクリと大きな音をたてて。
「しかし、白の過剰な重複って言うのもなんだか
寒々しく感じるものですね。…徐倫……さん?」
「え… え…? あ…」
!
ジョルノの手先が緩やかに弧を描いたのを視認した瞬間
パシャッという小さな音が徐倫の胸元に叩きつけられた。
「あっ!?」
「ははは、咲いた 咲いた いいですね、白に赤はよく映える」
純白のドレスの胸元に、ワインの鮮烈な赤が咲いた。
濡れて張りつく感触が心地悪い。
「脱いでごらんなさい」
ジョルノの楽しそうな声が徐倫の頭上に降りかかった。
「わかっているのでしょう?
そんなもの、ここから先の行為において、まるで必要がない。
さっさと脱いでおしまいなさい」
躊躇う徐倫の揺れる瞳に、針のような鋭い視線を注ぎながら
ジョルノはなおも無慈悲な言葉を差し向ける。
「できないと? そんな簡単なことすら自分でできないほど
あなたは幼いのですか?」
「…出来るわけがない!
これは、あたしの結婚式のための大事な衣装で
あたしはもうすぐ人の妻になるのよ!!
なんで、他人のあんたのために裸にならなきゃあならないの!?
さっさとあたしを帰し …っきゃあっ!?」
ジョルノの細い指先が、徐倫の胸元を覆う薄い布に喰い込んだ。
早くも繊細なつくりのドレスがピリピリと細かな悲鳴を
上げ始めている。
「手伝って差し上げましょう。
幼いあなたが、一人前の女性になれるように…ね」
ビリッと一際高い音をたてて、絹布が完全に引き裂かれた。
そしてその戒めから解放された徐倫の乳房がたゆんと
零れ落ちる様を眺めて、ジョルノはうっとりしたように息を吐く。
「結構。 心が幼い割には、体のほうは十分に
成熟していらっしゃるようで」
「い、いやッ 父さん、アナ…あぐっ」
暴かれた裸身を、慌てて両腕で守ろうとするも
両の肩を掴まれてそのままベッドへと縫いつけられる。
同時に、いまだ成長の余地を残す乳房が、たぷっと左右に流れた。
徐倫の顔色はすでに蒼白だ。
下手に力で抗ったところで、この目の前の化け物に
喰い殺されてしまうのを悟りきっているからである。
「やめっ… く…やめろ!」
「いまさら何を? この後に及んで果たすべき役割を知らぬとは言わせませんよ」
「こんなトコに用なんてない!! もちろん、あんたにだってね!!」
「ははは、実に幼い!」
笑み、言葉、笑み、言葉。
絶えず美しい曲線を描き続ける彼の唇。
それが、ゆっくりと徐倫の艶めく唇に重ねられた。
「ふ…っ!!」
じゅっと音を立てる音。
にゅる、と舌を突き入れる音。
ぴちゃぴちゃと口腔を攪拌する音。
そんな小さな音の一つ一つが、まるで
スピーカーから流れているかのように大音響で
徐倫の耳の内側へと飛び込んでいく。
「…っぷ、… あ、ああ…ぁ、なんて、ことを…」
「…んん、…あは、美味しい」
徐倫の、怯えた子供のような呻きが空間を満たす。
口腔から舌を引き抜き、次は徐倫の唇にそれを這わせて丁寧に、
丁寧にそのラインをなぞっていく。
そのくすぐったさと不愉快な感触が徐倫の中枢を
麻痺させていく。
彼の掌は既に彼女の心臓の位置に添えられていた。
「ふふふ、可愛い顔をしている…」
ゆっくりと掌に力を込めて、片側の柔肉をわずかに持ち上げた。
右の乳房にも手を這わせ、たぷたぷと弄んで見せてやる。
その白く丸いものに注がれるジョルノの熱烈な視線に
徐倫は軽く身震いを起こした。
「素晴らしい 縋りつきたくなるような女性性を宿す乳房だ…。
あなたもいずれ、子を孕み産んで…この乳房に我が子を抱くんでしょうね」
と、恍惚と乳房を弄るジョルノの表情にわずかに陰が奔った。
「僕の母親…は、一般的に言う『美人』でしたが
決して良い母親ではなかった。
プロポーションが崩れるから、と生まれたその日から
僕に対して一切の授乳をせずに、粉ミルクだけで育てたらしいのです」
可笑しいでしょう?とジョルノが嗤う。
「産まれた我が子に、自分の生命を分け与えて育てる…
動物のメスとして当たり前に受け継がれている本能、それすら彼女は拒絶し
自分の美を保つことを優先した。」
乳房を弄ぶ手に、わずかに力がこもった。
ぷにゅ、という感触とともに徐倫の頂にジョルノの親指が
埋められる。
「……ふ」
切ない痺れに、徐倫の唇から甘い吐息が洩れ出でる。
「あなたは違う。 溢れんばかりの愛情を以て我が子に
その生命の源を授けることを喜びとする…それができる母親となるはずだ」
ジョルノの舌先が乳頭に触れると、徐倫の体がびくりと跳ねた。
構わずにちろちろと舌先を躍らせる。
頂から全身を貫くような、鋭い痛痒感に堪えるように徐倫の手足が
ぎゅっと伸び、シーツに大きな皺を刻ませた。
「ふふふ、ねえ、徐倫さん …ああ、…徐倫と呼んでもいいですか?
徐倫。 今ね、僕はとっても幸せな気分なんです。
普通の人は、赤ん坊の頃にこんな気分を味わっていたんでしょうね」
ちゅぷっと唇全体で乳頭を包む。
ちゅぱちゅぱと音をたてて、まるで本当に母乳を吸い出しているかのように
喉を鳴らせて飲み下すような動きをする。
「…………」
奇妙な気分だ、呆然とジョルノを見下ろしながら徐倫は思った。
目の前の怪物が、赤子のように一心不乱に自分の乳房を貪っている。
愛おしい、けれども怖い。
可愛らしい、けれども醜い。
抱き寄せたい、突き放したい。
さまざまな感情が、まるでカフェオレのように均等に混ざり合って
徐倫の体を縛りつけ続ける。
目の前の青年は、果たして天使か獣か。
答えは意外にも早く出た。
「あっ!?」
ジョルノの手が自分の鳩尾から臍の下をドレス越しに撫でさする感触に
意識を呼び醒まされた。
そう、青年は天使でも獣でもない。
―男、なのだ。
「この中に子宮という、女性にしか備わっていない神秘の器官が
収められているのですね」
ジョルノの手が大きく下降し、ドレスの長い裾をめくりあげ
ショーツに手を差し入れながら徐倫の僅かな茂みを軽く撫ぜた。
そのなだらかな曲線を中指でなぞっていけば
控え目な割れ目にたどり着く。
「やめ…!!」
「今更」
狼狽し、やめるよう懇願する徐倫をクッと嘲笑いながら
中指を割れ目に埋め、人差し指で柔肉を掻きわけていく。
「お…お願いだから あぁ、そこだけは… 嫌、嫌……ああ、神様ぁ…」
以前の恋人…あのロメオにすら触れさせていなかった
未開の場所を、会ったばかりの男に蹂躙される現実に
徐倫はただただ恐怖し、嗚咽を上げ続けた。
その声を耳にし続けても、ジョルノの指の動きは止まることはなかった。
くにゅくにゅと襞を弄り、膣の入り口をまだかまだかと撫でさする。
徐倫は異性との『交わり』こそ持っていなかったが、自慰行為から
自らの性感を目覚めさせていたため潤滑はすぐに訪れた。
「濡れてきましたよ…。もう、受け入れられますね」
「…お願い……あたし、は愛した人に…あげたいの…」
徐倫の声音からはもはや怒気や威嚇の意思が全て消え失せていた。
ただただ、目の前の怪物にせめてもの慈悲を仰ごうと
神に祈る時のように両掌を組み合わせて涙を流す。
だが―――
「…僕もです! 僕も、あなたに僕自身を差し上げたい…」
優しい微笑み。
これからしようとしている、この世で最も残酷な行為に似つかわしくない
まさしく天使のような微笑を徐倫に向けて、ジョルノは囁く。
部屋の空気が、ゆっくりと重たくなっていった…。
――――――
「いやあッ!!」
徐倫の絶叫が空気を震わせた。
既にドレスは縦真っ二つに引き裂かれ、徐倫の背中を摩擦から守る
ただの布切れの役割としてしか機能していない。
完全に暴かれた徐倫の秘所に、細身のジョルノからは想像できないような
雄が押し込められようとしている。
と、徐倫の叫び声が金切り声へと変わった。
「ッきゃあああぁぁぁッ!! ああぁぁッ 嫌ああぁぁぁーッ!!!」
ソコから、頭の天辺、四肢の先にまで伝わる激痛に
徐倫はただただ無力な叫びをあげた。
同時に、犯される屈辱と、貞操を奪われた悲しみと、自分を待っているであろう
恋人に対する申し訳なさとが彼女に大粒の涙を流させた。
ジョルノは既に、徐倫を慰める言葉も忘れて彼女の中に
己の分身を突き入れることに没頭していた。
「………ぅん?」
ふと、ジョルノが動きを止め、クンクンと鼻から空気を取り込み始めた。
ぼぅっとなにかに想いを馳せるように目を細め、唇の端を吊り上げて
妖しく微笑む。
「…失礼」
ヂュピ、と音をたてて徐倫のそこから己を引き抜くと
オーバーニーのガーターストッキングを穿いた脚を掴んで
持ち上げた。
さっきまで、ジョルノの雄をねじ込まれていたソコからは
真っ赤な鮮血が流れ出ている。
ジョルノがブルッと身を震わせた。
「!」
ぴちゃぴちゃと響く音と、生暖かい異様な感触に恐る恐ると
徐倫が瞼を上げる。
「ひ…!? な、何を…」
自分の脚の間で揺らぐジョルノの金髪。
彼は一心不乱に徐倫の性器を、いや性器から噴き出していた
破瓜の血液を啜っていた。
ぴちゃぴちゃ言う音はジュルジュルというさらに嫌悪感を増す音へと変わり
徐倫の耳を容赦なく犯した。
「うあああぁぁッ!!」
その強烈な吸引に徐倫は為すすべもなく声を上げさせられる。
脚をばたつかせようとも、人間のものとは俄かに信じられない
力で両膝を捕まえられ、尻を高く上げさせられて辱められるがままと
なってしまっている。
「はぁ、はぁっ…… 美味し… んっく、ん… んくっ」
興奮しきったジョルノが膣の中にまで舌を差し入れ、もっともっととでも
言うかのように内部に残る血を求め、吸い出し、嚥下し続ける。
「…ひ、ひゃ、うッ や、やめて……ッ!! き、ちゃう…」
徐倫の哀願を無視し、衝動のままに吸いつけた。
「ひっ…!!」
絶頂に、徐倫が全身を戦慄かせる。
ぴったりと密着していたジョルノの鼻面に、ぷしゃっと透明な液体が
噴きかけられた。
それすらものともせず、ジョルノはわずかに顔の位置を移動させて
今度はその、潮に濡れた尿道口に吸いついた。
「や…やだ…ッ 嫌だ、嫌だ、嫌だ!! …っく ひっく…」
嗚咽を上げ続ける徐倫に、ジョルノはゆっくりと顔を上げて応える。
「…すごく、美味しかった…」
徐倫の膝を持ったまま、ジョルノがそろそろと膝立ちで起き上がった。
そこに起立した彼のものは、気のせいか先ほどよりも大きく
反り返っているように見えた。
――――――――――
暗闇に、男女が性器を結ばせる音だけが響く。
徐倫はもはや夢に中にいた。
……痛みに失神してしまいたかった。
むしろ、感情のすべてを捨てて狂ってしまいたかった。
脳裏に浮かぶ、愛おしい人たちは徐倫に微笑みを向け続けて
彼女の罪悪感をますますに煽る。
キス。
ジョルノが徐倫の唇に、さも愛おしそうに気遣わしげな
それを落とす。
まるで、「堕ちてはいけないよ まだ堕ちてはいけないよ」と
呼びかけるように。
ジョルノが徐倫の膝から両手を離した。
そして、その両肩を掴んで僅かに浮かせ背中に腕をまわして
強く、強く。
折れんがばかりに抱きしめた。
強い痙攣。
徐倫は、自らの胎内の最奥を 白く汚されたことを
悟り、ついに意識を手放した。
――――――――――――――――――――
どのくらいの時間がたっただろうか…。
赤ん坊のように安らかに瞼を閉じて
徐倫の乳房に頬を埋めていたジョルノが
ゆっくりと上体を起こした。
眼下の徐倫はすぅすぅと寝息を立てている。
唇の端からは、痛みを我慢していたためか
それとも最中に自決を考えたのか?
一筋の赤い血が流れていた。
その紅玉色をしたものにゾクゾクとした感情を覚え
唇を寄せた、が。
思い直したように、サイドボードの引き出しを開けて
薄手のハンカチを取り出し、丁寧に血液を拭きとってやった。
そして、涙の痕が痛々しい目尻にそっとキスを落とす。
―僕は
徐倫から顔を背ける。
―悪戯に、人の妻となりかけていた女性を
床へと視線を投げかける。
―吸血鬼の血だか何だかしらないが、女体を欲して、瑞々しい血を欲して
そして…… とにかく彼女の全てを欲して
膝に涙の一雫。
―彼女の全てを奪って、また、多くの人から彼女を奪って
怪物と化した青年の瞳からとめどなくあふれる、人としての感情。
―僕は ―
暗闇の中に佇む、写真立ての中の男が小さく笑った気がした。
――――――――――――――――――――――――――――――