――リアリティには『経験』と『観察』が必要だ。
いくら漫画家といえど家にばかり
こもっていてはいい作品は産まれない。
彼、原稿を描き終えたばかりの『岸辺露伴』は
今日も作品のアイディアを練る為に
息抜きを兼ねての取材へ向かうのであった。
(…カフェ・ドゥ・マゴでのんびりコーヒーでも飲みたいな…。
しかし仗助や億泰のアホ共に見つかると後々面倒だ、
カメユーは今の気分ではどうも行く気がしないし…)
そんな時行くのは大体コンビニのオーソンである。
時たま読者に出くわす事もあるが別にそれは大した事ではない。
むしろ店員がおつりを渡す時レシートの上に小銭を置いて
文鎮代わりにすると財布の中にしまいにくく非常に不便…
まあそれは置いといて。問題はそう例の、あの不思議な小道の事だった。
オーソンとドラッグストアのキサラを挟んだ『過去の世界』とその『住人』。
二人…いや、一人と一匹と表現した方が正しいであろうか。
殺人鬼から主人を助けようとして首を切られ殺された犬の『アーノルド』と、
近所の子供であった露伴を守る為に身を呈して犠牲になった『杉本鈴美』。
(…どうも、彼女といると調子が狂う。
…自分の知らない過去を知っているからか?それとも命の恩人だから?)
それは、露伴自身にもよく分からない。