暗くだだっ広い平野の中にひとつの光があった。
たとえこの篝火により敵が近づいてしまっても寒さで凍死、なんてことよりはマシだろと彼ーいや彼女、ホット・パンツーは考えていた。
自惚れではないが自分の能力であれば襲われても対処できるであろうと。
少し警戒しながらもうとうと眠る彼女の耳に蹄の音が聞こえてきた。
遠くから聞こえてきた音は近づくにつれてゆっくりと、まるでこの灯りに引き寄せられるかのようにスピードを落とす。
彼女はまだ姿も見えぬ相手に対し身構えた。
蹄の音が消え騎手が地面に立つ音が聞こえ……るはずだった。
自らの肉をスプレー状に飛ばした場所には誰もおらず、むなしく空を切るだけになった。
「…おいおい、そんな物騒なもの誰だかわからない相手に向けるものじゃあないだろう?」
目の前にいたはずの騎手は何故か自分の後ろにいた。
息が首筋にかかりびくっとする。
スタンドが見えるというのか?
誰だこいつは…
「ただ火を分けてほしかっただけなのだが」
「っ…お前は……!!」
「いきなりそんな真似される覚えはない」
「ディエゴ…ブランドー……」
火が揺らめき一瞬見えた彼の表情はまるで餌を見つけた肉食動物のようであった。
…いや、彼はもうすでに肉食動物であった。
腕と足を恐竜化させていた彼にとって相手の背中を取るなど造作もないこと。
そしてその力で彼女を後ろから押し倒した。
両肩を背後から掴み地面に叩きつけ、四つん這いの格好にする。
いきなりのことだったので彼女はそのまま胸も打ちつけてしまい、一瞬息が出来なくなった。
「っ…なん…つも…りだ…」
視線は自らの背後にいるはずの男に向けられているが輪郭でしか認識出来ないため、ピントが合っていない。
「君は本当に男なのか?」
その質問につい目を見開く。
「このレースは性別不問だ。とは言っても男が過半数、いや殆ど占めていると言ってもいいだろう。だから君が男である可能性は高い。だが君の走りを見て少し不思議に思う点があった。馬の蹄の跡もそう。なにか引っかかっていた」
「…………」
「推測するのは簡単だった。その答えは……今はっきりした。見た目より肩が華奢であり、ちらりと見えるその首筋…あとここ、かな?」
少し開いていた彼女の足の間に彼は自らの足を入れていた。
そこを足で軽く前後に擦る。
まるであるはずのものを確認するように。
「ふざ、けるな…っ!!」
精一杯の力を使い腕を払い、振り返った彼女はスプレーを彼に向けて発射する。
だがまたも肉は空を切った。
彼が彼女の腕を殴り、スプレーを払いのけたからだ。
スプレーは転がって彼女から離れていく。
彼はスプレーに手を伸ばす彼女の手を掴み地面に押し付ける。
今度は仰向けの形にした。
「これで君は対抗手段を失った……おい、無駄な抵抗はよしてくれよ」
それでもなお体を動かそうとする彼女に対し冷たく言い放つ。
彼女の下半身はもうすでに彼の全体重により固定されていた。
「どけ!はな、せ…!いい加減にしろ…!!」
「もう諦めろ、ホット・パンツ。君も女ならわかっているだろう?これからどうなるのか、なにをされるのか。それとも何か?まるで解らないとでもいうのか?」
「うるさい、いいから離せっ!」
せせら笑う彼の言葉に苛立ち手足をじたばたさせるが彼が動じる気配はない。
「君はこのディオの餌なんだよ。これまで女にそれといって不自由しなかったがこのレースが始まってからというもののぱったりだ。…いい加減溜まってしまっていてね」
「たまっ…?…っ…!!」
彼は彼女の耳元で囁きそのまま耳を舐めはじめた。
わざとぴちゃぴちゃと音を立てて穴を舐めていく。
べろりと全体を舐めたり時には穴に舌をねじ込むように舐める。
今まで味わったことのない感覚に身震いした。
「っ……はっ…やめろ…きも、ちわる…」
「ハッ、俺にはそういう風に聞こえないがな」
すでに彼女の手からは力が抜けており、押さえつけなくてもいいくらいになっていた。
拘束のなくなった彼女の腕は彼の肩にすがりつくかのように置かれていた。
彼女にとっては抵抗のつもりだったかもしれないが、端から見たら与えられる快楽に耐えているようにしか見えないだろう。
彼は喉の奥で笑いながら頬を経由して首筋に舌を移動させる。
普段は服で隠れているそこに吸い付き、赤い跡をつける。
彼の考えを察したのか彼女は首を振って拒否をするが、彼の腕が彼女の頭を固定した。
「…ぁ……っ……」
「気持ちよければ我慢せず素直に声をだせばいいだろう?」
「だ、れが…っ!」
「さっきまで気丈にも男として振る舞っていたが、今このディオの下で女になり下がった君のことだよ」
彼の軽蔑したような言葉を受け、彼女はうっすら涙を浮かべるが、おめおめと泣く気はない。
ここで涙を流したら彼の思う壺だということがわかっているからだった。
この態度に苛立ちを感じたのか彼は彼女の乳房を乱暴に鷲掴みにした。
「いたっ…やめ…」
「男の振りをしておきながら胸に何も巻いていないのか。割と柔らかいじゃあないか。服の上からでも判る柔らかさをしている」
「っだまれ…!調子に乗るなこの下衆野郎!!その手を早くどっ……!?」
パンッと乾いた音が辺りに響いた。
一瞬何をされたかわからなかった彼女は目を白黒させたが、首に手をかけられるとはっとしたように彼を見上げた。
そのまま彼は首を締めていく。
「調子に乗るなだと?その言葉は上の者が下の者だけ吐ける言葉だ!今の状況をまだわかっていないのか?この俺にいいようにされているお前の立場を!!」
そういいながらもきりきりと首を締めていく。
興奮のため恐竜化し、爪が伸びて彼女の首に食い込み血が滲んだ。
「うぁ……ぁ…っ…」
「僅かな力で俺はお前の命を奪えるのだということを肝に命じておけ……!!」
そう言い放ち彼は首を解放した。
彼女は咳き込みながらも必死に彼に向かって頷いた。
「フン、わかればいいのだよ。君は頭の悪いそこらの女とは違うだろう?」
そう言いながら手を下半身にのばしていく。
彼女はその手に一度自分の手を重ねて止めようとしたが、触れたのは一瞬ですぐに離した。
抵抗などしてはいけない。
こうなってしまったからにはすべて受け入れなければならない。
例えそれで失うものがあったとしてもこれ以上余計な犠牲など払いたくない。
それがこの1秒にも満たない時間で彼女の脳裏に浮かんだことだった。
「そうだ。それでいい…」
彼はひとつなぎになっている服の下から自らの腕を差し入れる。
彼女の足に巻かれている包帯を剥がそうと爪を立てる。
だが簡単に剥がれなかったため、鋭い爪でひっかいて包帯に切れ目を入れていく。
時々爪が肌に食い込み彼女は顔をしかめたが声も上げず、身じろぎもしなかった。
そのおかげか作業はスムーズに済み、足の付け根から膝あたりまで剥がしたところで彼は手を止めた。
地面には無残に破られた包帯が散っており、風が吹く度に少し宙を舞っていた。
素肌を撫でる冷たい空気に彼女は身震いをした。
いや、恐怖で震えていたとも言えるだろう。
彼の手が彼女の膝を掴み無理やりこじ開け、足の付け根に向かっていく。
服はずり上がり秘部が薄布越しに露わになる。
「やっ……!」
「これも邪魔だな」
両側の細い部分に爪を引っかけ破る。
重力に従い、前側の布がぺらりとめくれる。
「やぁぁっ…!」
「誰が足を閉じてよいと言った?」
「うぅ……」
閉じかけていた足を自ら開く。
その屈辱的な行為に顔を彼から背けた。
「綺麗な形と色をしているな…まさかその歳で男を知らない、とか?」
ククッと笑いながら秘部に手を添わせ開き、隅々と舐めるように見る。
彼女の髪よりも鮮やかなピンクの小さいひだが見える。
濡れていると視認はできなかったが彼は親指を第一関節まで無理矢理そこに入れた。
「いぃっっ!!」
「キツいな…これだけで痛いのか?そんなんじゃあ先が思いやられる」
「ひ…あっ、ぬいてぇ……」
彼は望まれた通りに親指を抜いたが、代わりに中指を奥まで入れた。
「うぁああっ!」
びくびくと体が痙攣する。
自分の体であるはずなのにコントロール出来ない恐怖と初めて味わう異物感に頭が混乱する。
それでも彼が言った「足を閉じるな」という命令を守っているらしく、足を反射的に閉じてしまってもすぐに開いていた。
その様子に満足しながら彼は彼女の中を乱暴にかき回す。
初めての彼女がそれで快楽を得られるわけもなく苦痛の声をあげるが、体はその苦痛から守るために温かい液体を分泌し始めた。
「も…やめ……」
息も絶え絶えに涙を浮かべて見つめてきた彼女はとても扇情的であり彼を煽るには十分であった。
指を引き抜きベルトを緩め、ズボンと下着を脱ぐ。
まだ固さが足りないそれをしごきながら彼女の手を導く。
一瞬何を触っているのかわからなかったが状況を目にした途端、全身が凍りついた。
「よく確認するがいい。これが今から君の中に入るんだ。なあに、怖がることはない。どんな女も一度は通る道さ」
「こ、こんなの…っ、むりだっ…」
さっきまで入っていた中指とは比べものにならない太さと長さ。
「無理だ…!い、いやだ!や、やぁ、やめっ…」
「無理だと?意外と人の体っていうのは丈夫に作られているものだよ」
「ひっ、う、あ、あああっっ!!」
彼のものがゆっくりと入っていく。
少しずつ腰を進めるのは彼女を思っての行動ではない。
あまりにもきつすぎるからだ。
こんなことならもっと指なり舌なりでほぐすべきだったろうか、などといった考えが脳裏に浮かんだが、苦痛で涙を流し始めた彼女の顔を見ているうちに彼の中に加虐心が沸いてきてしまい吹っ飛んでいった。
彼女の両足首を掴み強引にそのまま顔のそばまで持っていく。
体を折り畳むような形となり彼女にも繋がっている部分が見えるようになった。
まだ入っているのは陰茎のカリの部分で彼女にも全て収まってないのだと理解できた。
だがたったその数センチだけでこれほどの痛さなのに全てが入ってしまったら……その恐ろしい想像は彼の言葉で中断された。
「君は処女だったか。まだ膜がある。なかなか破れないんだよ。これさえ破れれば初めてで濡れることすら出来ない君でも少しは楽になるだろうに。…なんていったって血が出るからなあ」
「っ…、ち、ってなにが、っあぁ…」
「今に解るさ。自分の身が大事なら力を抜くんだな」
「うぁ、むりっ、もっ、やめ…うあああああっっ!」
彼の腰が沈みこみ激しいーいや言葉で表現できないほどのー痛みが彼女を襲う。
目を見開き口をパクパクさせるのだがうまく呼吸が出来ずただただ苦しいだけだ。
破瓜の証である赤い血がたらりと尻から腰にかけて流れ出る。
愚かなことにそれは愛液の代わりとなり彼の腰の動きを僅かながらもスムーズなものにさせていった。
「っ、はっ…やっ…あぅ、ぬいっ、てぇ……!」
その言葉で彼は抜く寸前まで腰を引くが、また最奥まで腰を沈める。
ほっと安堵の表情を浮かべた彼女に更なる絶望を与える行為を何度か繰り返した。
「ひぐっ、くぅ……はぁ……はああっ!」
「こんなにぐちゅぐちゅ言わせて…ほら、聞こえるかい?」
「ひぃぃっ!いぁっ、やめぇ!……あぅ……」
「いやらしいなぁ…男にいいようにされて感じているのか」
「ちが…っ、やぁ…」
痛みに支配されている頭の中に彼の軽蔑を含む言葉とぐちゃぐちゃと自らが立てる音が侵入してくる。
さっきから痛さが変わらずむしろ死んでしまうのではと感じているほどなのになぜ自分はこんな淫らな音を立てているのだろう。
今まで男を知らなかった、神に身も心も捧げていたはずなのに……
これは神に対する裏切り……?
「ちが、ち…がぅ……」
神に捧げたはずの身体は不本意ながら目の前の男に支配されている。
では心は……?
「はぁ…や…っ、ちがうっ……!」
心だけは彼に渡したくない!
身体だってもう渡すわけにはいかない!
だかそんな思いとは裏腹に少しずつ彼の物が自分と一体化していく予感がした。
そして奥まで突かれたとき確かにそれは自分の中で、溶けた。
「ちがうちがうちがぁ……ああぁっっ!?」
…気がしただけだった。
忘れかけていた痛みが更なる苦痛を伴って再度襲いかかる。
「ひぎっ、あ、くぅ…な、なんでぇ…い、いたぁ……」
「っ…、もうすぐだ、もうすぐで終わる」
先ほどよりも奥をえぐるようにして腰を動かす。
辺りに水音よりも肉と肉がぶつかる音が響いていく。
彼の体から熱い汗がぼたぼたと流れ落ち彼女の体を汚していく。
自分は汗ひとつもかかずに震えているのにこの差はなんだろうか?
「おわっ、おわるっ、てぇ……?」
「中に出してあげるよ。このディオの子を孕むなんて、光栄だろう?」
終わるという言葉の意味をようやく理解した彼女は首をぶんぶん横に振り、取り乱したように叫び声をあげる。
「ひっ、やぁっ!!!やめろぉぉっ…!!」
更に質量を増して入っているそれに恐怖する。
終わりが近づく。
この苦痛からは逃れられる。
だかこんな男に……!
「やめろやめろやめろぉっっ!!!」
「くっ……!」
「ひぁぁっっっっ!!」
体を引き離して逃げようとした彼女の腰をしっかりと掴み動きを止める。
うめき声をあげながら痙攣する彼と自分の中がシンクロし、吐き気がした。
確かに中に流れ込んでくる液体にただ泣いて耐えるしか彼女にはできなかった。