それは徹夜明けの朝のことだった。 
一晩かかって暗号の解析が済み、やれやれと眠い目を擦りながらベッドに倒れ込もうとした 
メローネの部屋のドアを誰かが激しくノックした。 
 
「メローネ! 開けて! 開けて!! お願い!!」 
 
トリッシュの必死な声に、メローネは何事かとドアを開けてやった。 
誰かに追われているのかと思ったが、部屋に入ったトリッシュはベッドに座り込んで荒い呼吸をするばかりで全く要領を得ない。 
用がないのならベッドからどいてもらいたかったが、トリッシュはさんざんためらった後、小さな声を震わせて訴えた。 
 
「こ、こんな事、メローネにしか相談できなくて……」 
「何だ? 生理でも止まっちまったのか?」 
 
メローネの下品な冗談にも反応せず、トリッシュは意を決したようにスカートに手をかけ、それをするりと脱ぎ捨てた。 
おいおい、来てすぐにかよ? 参ったなぁ〜〜〜とやに下がるメローネの前で 
彼女はそろそろとパンティーを下ろしていき…… 
 
「な……何だこれはァァァァーーーーッッ!!?」 
 
女性には絶対にありえないものがそこにあった。 
トリッシュの脚の間にぶら下がったものは、どこからどう見ても間違いなく男性のペニスだった。 
ちょうど、お馴染みの可愛らしい割れ目のすぐ前にくっついている。 
メローネに穴が開くほど凝視され、トリッシュは真っ赤になって股間を手で隠す。  
 
「あ、朝起きたらいきなりこんな風になっちゃってて……」 
 
自分の身に起きたあまりに衝撃的な事に、うつむいて涙ぐんでいる。 
さすがのメローネも驚きのあまりしばらく呆然としていたが、持ち前のガッツですぐに気を取り直した。 
 
「女の子なのにこんなのついてるなんておかしいわよね……メローネもこんなの嫌でしょう?」 
「何を言うんだッ!!」 
 
メローネは、今にも泣き出しそうな表情のトリッシュをいきなり抱きしめた。 
その目は明らかにヤバい種類の好奇心に輝き、極度の興奮に瞳孔が開いていた。 
徹夜明けということも相まって、精神テンションは最高潮だった。 
 
「まさか……まさか生きているうちにふたなりに出会えるとはッ! 思ってもみなかったッ! 
 しかもそれが君だったとは…… ああ、オレはなんて幸運なんだッ!!」 
 
男女両方の性を持つ両性具有者は、「ディ・モールト神秘的だ!」と言うメローネの好奇心を掻き立てるものだったが、 
さすがに今まで直接お目にかかったことはなかった。 
だが、それも今の驚きと喜びに比べたら何ほどの事だろうか……! 
そんな事など知るはずもないトリッシュは、メローネが自分を拒絶せず受け入れてくれたらしい事に 
とまどいながらもおずおずと訊ねる。 
 
「メローネ……あたし、こんなになっても変じゃあない?」 
「変じゃあないともッ!!」 
「よかった……」 
 
今度は安心して瞳を潤ませるトリッシュは、メローネが淫蕩な笑みを浮かべたのに気付いていなかった。  
 
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医療用のような白いベッドの上でトリッシュは戸惑った顔をしていた。 
メローネに『身体検査』と称して服を全て脱がされ、変化した身体を興味深そうに弄られているのだった。 
 
「自分の身体の事なんだから……よ〜〜く知っておかなきゃあな……」 
 
すらりとした脚を開かされ、改めて性器をまじまじと観察されるトリッシュ。 
今の所、ここ以外に身体の変化はないようだった。 
男性器としては小ぶりではあるが、一丁前に剥けているようだ。 
とはいえ、亀頭の部分もまだピーチ味のグミキャンディのように可愛らしいうぶな色で、全くグロテスクな感じはしない。 
さあどうやって苛めてやろうか、と考えながらメローネはそれを指先でつん、と突付いた。 
 
「きゃっ」 
「どうしたんだ? ちょっと触っただけで」 
「あ、あんまりさわらないで……」 
 
クリトリスに触れられるのと同じぐらいの刺激があるらしく、もじもじと脚を閉じようとする 
トリッシュにかまわず、メローネは面白がってなおもそこを弄り続けた。 
巧みな指で弄られ、血が集まって敏感になる感覚にトリッシュは身をよじった。 
先端の割れ目から透明な液が滲み、垂れてきたそれを括れの周りに塗りたくるようにされて 
思わず声を上げてしまう。 
括れのところをぬるぬるした指で弄られるのがすごくいい感じで、もっと触って欲しいのに 
メローネは限界まで勃起させたあたりで手を止めてしまった。 
寸止めにされたペニスを持て余し、トリッシュは物欲しそうに荒い息を吐いている。 
 
「ほぉ〜〜〜、おっ勃っても可愛いもんだな」 
「だ、だめっ、こんなの見ないでよっ」 
 
無遠慮なコメントと共にふたつの性器を舐め回すように視姦され、トリッシュは恥ずかしさに目をつぶった。 
腰の奥がむずむずしてどうにかしたいのに、どうすればいいのか分からない。 
さっきまでメローネがしていたように、自分の手でぎこちなく擦ろうとするものの 
すぐに両手を頭の上に押さえつけられてしまった。  
 
「ほら、射精したいって言ってみな」 
「…………!!」 
 
淫猥な言葉を強要され、トリッシュはびくりと震えた。 そんな言葉を口にするなんて…… 
メローネはにやにやしながらこちらの反応をうかがっている。 
言わなければこのまま自分でも触れられず、生殺しにされるのだろう。 
張り詰めた小ぶりな性器は疼いてたまらず、初めての感覚にもう限界を迎えていた。 
ためらいながら唇を開く。 
 
「しゃ、しゃせー……したいっ……」 
 
早く自分で擦りたくてたまらず、トリッシュはその願いを口にしてしまった。 
自由になった華奢な手でペニスを包み込み、擦り上げた。 
 
「っうんっ……! あ、んあぁっ、なに、これ……いいっ……」 
 
メローネとはまた違う、柔らかく熱っぽい掌での摩擦があまりにも良すぎる。 
始めはお上品だった手の動きは徐々に荒々しくなり、露出した亀頭を指の腹でなぞり、茎全体を上下に激しく扱き出した。 
切なげに眉を寄せ、耳まで紅潮させて自慰に没頭しているトリッシュをメローネは生唾を飲んで見守っていた。 
 
「あっ、あ、あぁっ……んぅっ、んはぁぁぁ!!」 
 
やがてお尻がきゅうっと引き締まり、可愛い声を上げてトリッシュは初めての射精を体験した。 
充血した茎がどくどく脈打つのと共に、粘つく練乳のような、独特の匂いのする体液が飛び散った。 
初めての感覚に恍惚とし、眼を潤ませて息を荒くしているトリッシュの手を取り 
メローネは指先から垂れるそれを小瓶に移した。 
 
「貴重なサンプルだ、ちゃんと精子があるか後で調べてやろう」 
 
その妙に冷静な口調にはっと我に返る。 
自分の恥ずかしいものを研究対象として扱われ、トリッシュはますます真っ赤になった。 
 
「惜しい事をしたな、あれが初めての射精だったなら撮っておけば良かった。 
 ……どうだった? たっぷり出して気持ち良かったか?」 
「ば、バカっ……」 
「それとも、こっちにオレのを出されるほうがいいのかな?」  
 
ミルクを吐き出して萎えたものをちょいとつまみ上げて、その下の割れ目を確認すると 
こちらもメローネを誘うように甘い蜜浸しになっていた。 
色付いたおしべとめしべが上下に並んでいる様は、変わった形の花のように見える。 
交互に舐めて可愛がってやりたいぐらいだったが、まずはこっちで味わおうとメローネはいきり勃った自身を取り出した。 
挿入しながら前を弄りたいと思い、膝の上に座らせて後ろから挑む体位にする。 
もちろん繋がるまでわざと時間をかけて焦らし、おねだりさせる事も忘れない。 
先程からの艶事でしっとり汗をかいたトリッシュは何ともいえずいい匂いがして、 
ようやくメローネを受け入れた内部は柔らかくとろけるようだった。 
 
「おねがい……こっちも、あなたのでちゃんといかせてちょうだい……」 
「言われなくてもそうするさ」 
 
腰を掴まれていいところを雁首でぐりぐり擦られ、トリッシュは嬌声を上げた。 
もう形まで覚えているような肉棒でかき回され、突かれているうちに 
女の部分に刺激を受けたせいか、脚の間のものがまた触って欲しそうに勃起し始める。 
 
(……ここも一緒にこすったら、あたしどうなっちゃうの?) 
 
おかしくなってしまうほどの快感を予測し、期待にぞくぞくしながら 
トリッシュはぴくぴく震える茎を自ら握って再び手淫を始めた。 
メローネがその手に自分の手を添えて前を扱くのを手伝ってやると、トリッシュは満足げに甘いため息をついた。 
男と女両方の快感に襲われ、我を忘れて腰を振りよがっている彼女にどっちが気持ちいい?と 
聞いてみると、今度は恥らわずに素直に答えた。 
 
「どっちも……気持ちよくって……い、いいのぉっ……」 
 
トリッシュも自分と同じ快感を得ている事に満足感を覚え、メローネはいたく充実した気持ちでたっぷりと射精した。 
・ 
・ 
・ 
けたたましい着信音でメローネは目を覚ました。 
はいもしもし、とおぼつかない手で携帯電話を取るとギアッチョの怒鳴り声が耳に響く。 
ブラインドの外ではとっくに日は高く昇っていた。 
 
「いつまでも寝ぼけんな! 解析済んだのか? 早くデータ送って来い」 
「聞いてくれッ、トリッシュにオレと同じのが生えてたんだよ! でも夢だったんだ、惜しい事したなあ〜 
 お前さえ起こしてくれなかったらもっとイイ事できたのになあ……」 
「……何言ってんのか全然分かんねーし分かりてーとも思わねーーッ、リゾットに代わるぞ」 
 
メローネはギアッチョの代わりに、リゾットに今見た夢の話を語って聞かせた。 
短気なギアッチョとは違い、微に入り細を穿った話を最後まで聞いたリゾットは、最後に一言だけ 
「……疲れているようだからしばらく休暇を取るといい」という嬉しい知らせを口にして受話器を床に叩きつけた。 
 
<END>  
 

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