「大分大きくなったな。」
ぼんやりと遠くを見つめる娘はずいぶん前に壊れてしまったがその腹は日に日に大きくなっているのがわかる。
「なぁ、トリッシュ。男か女どっちが産まれるんだろうな。私は男だと思うんだが、お前はどう思う?」
腹を撫でながら聞くがトリッシュはやはり遠くを眺めるだけで何ら反応も返さない。
それでもいつかは笑い返してくれるのではないかと話し掛けるのを止められない。
今ならちゃんと大事にしてやれる自身があるんだ。
「名前はどうしようか。お前が決めるか?」
なぁトリッシュ。頼むから返事をしてくれ
終