昼間の熱気が未だに残る地面に、ジョニィを押し倒す。  
「…何?ぼくみたいなのをヤりたいわけ?変わってるね、君」  
酷く冷めた口調のジョニィは、青い二つの眼球で自分を押し倒した男を見上げている。  
「うるせえ。溜まってんだ」  
死んだ魚のように濁った瞳にジャイロは内心驚いたが、極力それを表に出さないよう、  
ややイライラした口ぶりで答えたが、当のジョニィはそれを聞いて眉をひそめもしなかった。  
「いいよ、別にしても。ジャイロが望むようなのは無理かもしれないけど、それでも構わないならね」  
まるで他人事のようなジョニィの様子に、押し倒した張本人であるジャイロは弱ったように頬をかく。  
性交渉にそれほど抵抗がないのは自分も同じであるし、それは構わない。  
しかし、いくら不自由とは言え、己の身体を杜撰に扱うような態度がどうにも腑に落ちなかった。  
 
「…お前よォ、もう少し自分の身体大事にしろよ」  
「これからレイプしようって言うのに、よくそんなセリフ吐けるね」  
「俺が言いたいのはそうじゃなくて…。ああ、クソッ!」  
何だかむしゃくしゃしてきて、ジャイロは帽子を脱ぐとがしがしと頭を掻く。  
おまけにここまで挑発されては引き下がる気にもなれず、ジャイロはジョニィのズボンに手をかける。  
「後で文句言うなよ」  
「言わないよ。中に出すとか、SMチック以外ならね」  
「…口の減らねぇガキ」  
互いにそれ以上言わず、ジャイロはジョニィの脚を曝け出した。  
 
 
鎖骨までたくしあげたパーカーの下の肌は、日焼けした二の腕と違って白いままだ。  
服を着た状態では分からなかったが、ジョニィの胸は小振りのオレンジ程の大きさをしており、  
一目見るなりジャイロは、純粋にそれを綺麗だと思った。  
その柔らかい乳房全体を覆うように手で触れると、張りのある弾力が伝わって来る。  
胸の尖りに唇を寄せれば、ぴくんと震えてジョニィが小さく鳴いてのけぞった。  
舌先で嬲り、わざとらしく音をたてて吸い上げる内に、それはジャイロにもっと弄ってくれと言いたげに立ち上がる。  
「感じてるんだろ?ジョニィ」  
その問いに、ジョニィは口元を手で押さえながら頷く。  
興奮しているのだろう、最初に押し倒した時の妙に冷めた顔つきとは異なり、額にはうっすらと汗が滲んでいる。  
胸を味わっている間に手をゆるゆると下へと移動させていく。  
「ここは分かるか?」  
「その辺りはもう、何も感じないよ」  
一般的な女性用の下着とは異なる、厚手の布地で覆われたデルタ地帯を  
撫でながら尋ねると、ジョニィは悲しげに首を横に振った。  
 
改めて見た下肢の筋肉は痩せ衰え、棒きれのように細かった。  
「ほっせー脚だな…」  
「当たり前だよ。動かないんだから」  
ジャイロがぼそりと漏らした感想に、ジョニィは何でもないように答える。  
「またそうやって、自分を突き放すような言い方すんな」  
自分の身体はひとつしかないのだから、どれだけ嫌悪しても慮るべきではないのか。  
押し倒した時と同じ、胸のもやもやが湧いてきてジャイロは顔をしかめる。  
「君、ホントに変わってるね。こんな身体を気にしろなんて言う人間、初めてだよ」  
「死んじまうより、手足失おうが何だろうが、生きてる方がずっと良いだろ」  
「そうだね。…そう言えば、自殺なんて考えたことなかった。  
 やっぱり生きていたいって思ってるのかな、無意識に」  
「そうに決まってんだろ」  
「あはは。君が言うと、そんな気がしてくる」  
そこまで言って、ようやくジョニィはくすりと笑った。  
ジャイロはそれを見て、酷く安心する。  
そうだ、そうやって笑って生きている方がずっと良いと、まるで我が事のように思う。  
 
「…で?やるの?やらないの?」  
手の動きを止めていると、ジョニィが続きを急かしてきた。  
「バッカ、続けるに決まってんだろ」  
「物好きだね、マジで。頭大丈夫?」  
そう言うジョニィの顔つきは、当初と打って変わって明るくなっていた。  
 
ややざらついた手触りの布越しに筋を辿っていると、ジョニィがごくりと唾を飲み込んだのが耳に届いた。  
「どうした?」  
「何でだろう…。感じないはずのに、見ててやらしい気分になる……」  
視覚からの直接的な情報が、ジョニィの性感を煽ったらしい。  
顔を赤く染め、目が釘づけになっているのがその証明になっている。  
そんなジョニィの反応に気を良くし、ジャイロはずれないように  
身体の線に沿って留められていたおむつを緩めると、手を中に差し入れた。  
さりさりとした草叢の感触が手に伝わってくるが、当のジョニィはやはり直接触れられても何も感じないらしい。  
わずかに息を飲んだだけで、それ以外の反応らしい反応は返ってこない。  
恐らくこちらも同じだろうと思いながら、ジャイロはその奥の秘裂へと手を滑らせる。  
 
「……ん?」  
指先に触れたぬるりとしたものに、ジャイロは首を傾げた。  
ジョニィには相変わらず、変わった様子はない。  
しかし、今手についたものは間違いなくあれであり、股間にあてる部分も同じもので湿っている。  
「お前、濡れてる」  
「……え?」  
信じられないと言った様子で、ジョニィはジャイロの顔を見つめる。  
「嘘じゃねぇって。ほら」  
中に忍ばせていた手を取り出し、秘裂から溢れた透明液で濡れた指先を見せつける。  
「こっちも凄いことになってるぜ」  
下を完全に脱がし、愛液が付着しているのも確認させると、ジョニィは明らかに狼狽した表情を浮かべた。  
「で、でも自分じゃ何も…」  
「中の機能は無事に残ってる、ってことだろうな」  
直接的な刺激は分からなくても、それ以外の要素が要因となってジョニィを興奮させ、  
それが愛液という証拠として溢れているのだろう。  
俄然、そのことに興味の沸いてきたジャイロは、ジョニィの秘部に顔を近づけた。  
 
事故以来、誰にも触れられて来なかったのだろう、蜜液で潤った綺麗な花弁がジャイロの眼前に晒される。  
「濡れるってことは、神経が通ってるってことだろ…。ここは感じるか?」  
指先で入口の辺りを弄りながら尋ねるが、ジョニィはかぶりをふっただけだった。  
これは当然かと思いつつ、ジャイロは割れ目を開くと人差し指を挿入する。  
「指が入ってるの、分かるか?」  
「何にも……」  
ぐるりと円を描くように指を動かしてみたものの、やはりジョニィの答えは同じだった。  
けれども、秘裂からの生暖かな蜜は、乾くどころか次から次へと際限なく溢れて来る。  
恐らく、もっと奥まで挿れれば反応が返ってくるだろう。  
だが今の段階ではまだ挿入には至っておらず、胸を中心に上半身と、下腹部への愛撫を施しただけだ。  
ということはやはり、視覚による刺激が一番の原因となって濡らしているに違いないと、ジャイロは当たりをつけた。  
ならばそれを証明しようと、ジャイロはジョニィの足の間に吸い付き始める。  
「ジャ、ジャイロッ!」  
どうせ何も感じないからやめろ、と拒否するのを無視して舌を動かし、同時に中に入れている指の数を増やす。  
指を奥まで突っ込み、内襞を擦り、クリトリスを舌先で突いてみるが、ジョニィの反応は返ってこない。  
それでもジャイロが愛撫を続けていると、ジョニィが恐る恐る口を開いた。  
「な、なんか変な感じがする。何をされてるのか分からないのに、君にされてるのを見てるだけで興奮する…」  
震える声でそう言うジョニィは、信じられないといった表情を浮かべている。  
「そういうことだな。感覚がなくても、お前はできるってことだ」  
 
ジョニィの愛液とジャイロの唾液で、秘所はすでに十分過ぎるほどに解れている。  
そろそろ頃合いだと、ジャイロはすでに猛っている己のものをズボンから取り出した。  
自分でも思っていた以上にキていたようで、すでにガチガチになっており、カウパーを零している。  
ジョニィに握らせるとそれは大きく脈打って、今にも達してしまいそうだ。  
「ジョニィ、これからこいつがお前の中に入る。お前がどれだけ感じるか分かんねーけど、  
 俺が今どうなるか知っとけば、お前だって多少は気持ち良くなれるだろ」  
「う、うん」  
手の中のモノの状態に驚いきながらも、ジョニィはジャイロに言われるままにこくこくと頷いた。  
 
ジョニィの片足を肩にかつぎあげ、熟れた秘裂に自身を少しずつ押し入いれていく。  
この大陸に来てから初めて味わう内壁は想像以上に暖かく、ジャイロは思わず呻いた。  
懸念していた締まりも悪くなく、気を抜けばすぐにも爆ぜてしまいそうだ。  
達してしまいそうになるのを堪え、根元まで埋めてからジャイロはジョニィに声をかけた。  
「おいジョニィ、さすがにこれなら分かんだろ?突っ込まれてるって」  
「うん。……前ほどじゃないけど」  
「よし、なら遠慮はいらねーな」  
返事を聞くや否や、ジョニィを揺さぶり始める。  
「ふぁ、あぁ…っ!」  
突かれるたびにジョニィの口から短い喘ぎが漏れ、肌がぶつかる音が辺りに響く。  
無意識に逃げようとする身体を引き寄せ、ジャイロは激しく腰を打ちつける。  
「ん、んぁっ、あぁん…っ!」  
ジョニィの口からこぼれる途切れ途切れの母音の羅列に、ジャイロはほくそ笑む。  
普段からやや小生意気なこの子供を、こうして良い様に扱っていることに背筋がゾクゾクする。  
目の前で揺れる乳房にむしゃぶり付き、足を抱え直して更に深く穿ちこむと、ジョニィが更に甲高い声をあげた。  
 
「ジョニィ、触ってみろよ。ここがどうなってるか」  
ジャイロは上擦った声でジョニィに呼びかけ、手を取って接合部に触れさせる。  
「お前はこれを美味そうに咥えこんでるんだぜ?分かってたか?」  
「や……」  
「嫌じゃねぇよ。ほら、お前の中を出入りしてる」  
先走りと愛液でぬめった雄身は突き上げるたびに内襞が絡みつき、引き抜くとジョニィの手で扱かれる。  
二つの刺激を受け、ジャイロのそれはもはや限界近くまで大きくなっている。  
「…あ、あぁッ、や、ぁ、ジャイ、ロっ」  
ジョニィも握り込んでいるそれに興奮したのか、言葉とは裏腹に無意識に手を動かし、身を貫いているものを離すまいと襞が蠢く。  
この神経が焼き切れそうな程の快感に、ジャイロは目眩がしてきた。  
獣のようにがっつき、ひたすらに目の前の身体を貪って臨界点を目指す。  
 
「あぁぁっ、い、イっちゃ…!」  
「ヤベ、出る…」  
ジョニィが悲鳴をあげたのと、きつい締め付けにジャイロが呟いたのは、ほぼ同時だった。  
「あ、あぁぁぁぁぁぁッ!」  
喉を仰け反らせたジョニィががくんと崩折れ、絶頂に達する。  
思わずこのまま、中で果ててしまいそうになるのを何とか堪えて引き抜くと、ジャイロはジョニィの腹に白濁を吐き出した。  
 
「…なんか、凄く疲れた。背中痛いし、喉も痛いし。最悪」  
奪ったジャイロのマントに包まりながら、ジョニィはぶつぶつ文句を言っている。  
「さっきまであんあん喘ぎまくって、おまけに人のマントを取っておきながら何様だお前は。もっかい犯すぞ」  
「好きにすれば?ぼくは構わないけど」  
脅しのつもりがあっけらかんと返されて、ジャイロは思わず肩を落とす。  
どうやら本気でセックスに対して抵抗がないらしい。  
本人の今後のためにも、こちらの意味でも身体を大事にしてくれないものかと、ジャイロは遠い目を浮かべる。  
「ジョニィよォ、お前、誰でも良いのか相手は」  
「失礼な、ちゃんと選り好みしてるさ。良かったねージャイロ、ぼくのお眼鏡にかなって」  
「へいへい、そりゃどうも」  
 
本当にムカつくガキだと思いながら、マントを剥いでジョニィの素肌に触れる。  
どうせ本人も乗り気だし、こちらとしてもまだ足りないのだ。  
互いにその気があるうちに楽しめた方が、良いに決まっている。  
身体の線を指でなぞると、まだ火照りの残っているジョニィは小さく息を吐いた。  
「…それに、セックスして気持ち良いと、生きてるって感じがするだろ?」  
「即物的だな」  
「ムカつくなあ。より人間的と言ってもらえるかな」  
「分かった、分かった。お前にとってセックスは、何よりも生きてる証拠なんだろ」  
「ま、そうなるね。身体がこうなっても、ちゃんと感じられるんだから」  
その点ではドウモアリガトウ、とジョニィが棒読みで礼を述べる。  
「…お前それ、本気で言ってねーだろ」  
「それは君の想像にお任せするよ」  
こうなったら、本気で泣くまで徹底的にやってやろうかと算段しつつ、ジャイロはジョニィに覆いかぶさった。  
 

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