ポルナレフに返り討ちにされた後、シンガポールの病院に担ぎ込まれたデーボは  
辛うじて一命を取り留めたものの、退屈な入院生活にうんざりしていた。  
そんなある日、検温に来た看護婦を見てデーボはぎょっとした。  
優雅な足運び、白衣がはちきれそうな豊満な胸、お加減はいかが? と笑う唇の妖艶さ。  
看護婦の白衣に身を包んではいたが、まぎれもなくその女はミドラーだった。  
さてはしくじった自分を始末しに来たのかと身構えたが、どうやら彼女は別口で一仕事終えたばかりのようで  
本人いわく、特別個室に入院中のVIPを殺ってきたとの事だった。  
 
「ついでだからお見舞いに来たのよ。 でも本当にひどい傷ねぇ、よく生きてたわね」  
 
いつにも増して傷だらけの姿をじろじろと眺め回し、遠慮の無い言葉を口にする。  
デーボは内心早く帰って欲しいと思っていたが、ミドラーは勝手にベッドの上に乗っかってきて  
頬の古傷に口付けた。  
 
「でもあたし、傷のある男ってセクシーだと思うわ」  
 
何のつもりだこの女は? と混乱するデーボをよそに、刀傷や銃創をひとつひとつ指でなぞりながら  
ミドラーは色目を使ってくる。  
……そういえば、いつかマライヤがこんな事を言っていたような気がする。  
『あの娘けっこうゲテモノ食いっていうか、けったいな男に入れ込む趣味があるのよねぇ』  
まさか、と思ったがどうやらそのまさかのようだった。  
デーボが動けないのをいい事に病衣の前をはだけ、白い指があちこちを這い回る。  
そのうちに下半身にまで手が伸び、さすがにここには傷は無いのね、と面白そうに弄り出した。  
満身創痍だが、局部まで切り刻まれずに済んだのは不幸中の幸いだった。  
こんな時だったが、デーボはクソったれのポルナレフにちょっとだけ感謝した。  
彼女の作為かそうでないのか、白衣の胸元から覗く見事な谷間が目の前で揺れている。  
せっかくだから自分も愉しませてもらおうと、デーボはためらわず白衣に両手をかけて紙のように引き裂いた。  
ボタンが弾け飛び、レースの下着に覆われた巨大な膨らみがこぼれ出した。  
全身傷だらけのデーボとは対照的な、傷どころか染みひとつない柔肌があらわになる。  
ミドラーは怯えるどころか、挑発的に笑って自ら下着を取り去った。  
 
「たまにはお人形じゃなくて、生身の女も相手してみる?」  
 
怪我人に無理はさせられないとミドラーが上になり、自分のペースで腰を使っていたが  
そのうちに焦れたデーボが下から突き上げる形になった。  
激しい動きにナースキャップがずり落ち、束ねた髪がほどけて乱れる。  
デーボは折れそうに細い腰を力任せに掴み、荒々しくミドラーを揺すり立てた。  
倒れこんだ上体のそこかしこを甘く噛み、きつく吸って白い肌の上にいくつも痕を残してやる。  
 
「やっ……あっ、だめっ、傷が……開く……」  
「心配してくれてんのか?」  
 
縫合したばかりの傷口から血が滲んでいたが、もはや知った事ではなかった。  
入院中で溜まっていたので、一度や二度では終わりそうにない。  
ミドラーが悩ましい声を上げて背中に爪を立ててくる。  
またいくつか、傷が増えることになりそうだった。  
 
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