熊野「いやー、小林。今回も世話になってしまってすまんなあ。」  
小林「いいってことよ。その代わり今度おごれ。」  
熊野「……ワシの体で払ったらダメかのぉ?」  
小林「…………」  
 
熊野「冗談に決まっとるじゃろ。こんなこと本気にするな。ふぁふぁふぁ。」  
小林「……そういや、この間の貸しは熊さんのお嬢さんに返してもらったんだけかな。すまねえな、報告が遅れて。」  
熊野「ふ…ふ…ふもももももももも――――――!」  
 
 
熊さん倒れて病院に担ぎ込まれる。  
家族に連絡が行き娘も駆けつける。たいしたことはないらしく一安心。  
娘「小林さん、どうして父は倒れたんですか?」  
小「こないだの仕事の貸しの話をしていて、  
あんたから“丁寧なお礼状とお中元を”返してもらったって話をしてたら  
いきなり『ふもー』とかいってぶっ倒れちまったんだけど、  
俺なんか悪いこと言ったっけかなあ?」  
 
朦朧とする意識の中で熊さんは思った。  
(小林、言葉をはしょりすぎじゃ…)  
自分の前振りのことは棚に上げ、熊さんは再び漆黒の眠りへと落ちていった。  
 
完  
 

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