「武藤先生、いらっしゃいますか?」
見慣れた美術準備室のドアをノックする。
返事は………ない。
何となく、予想が付く。
「勝手に入りますからね」
床に散らばった絵の具、乱雑に置かれたキャンバス、そしてソファーの上には
「…先生」
返事が無いのも当たり前。気持ちよさそうに武藤は寝ていた。
ソファーによだれのシミを作って。
やっぱり、と沙紀が呟いた。
「ったく。放課後に来いっていったのはどこの誰ですかー?」
ホームルームで気だるそうに帰りの挨拶を済ませた後、沙紀を呼び出して準備室
に来るように言ったのは武藤だ。
「用事ないなら私帰りますよ?」
天音君が帰りに一緒に寄らないかとケーキ屋さんに誘ってくれたのに。
断らなきゃ良かったかな。
はぁ~とため息をひとつ。
(私って本当に先生の彼女なのかな)
普通彼女を呼び出して平気で眠るだろうか。しかも爆睡。
武藤先生らしいっちゃ武藤先生らしいけど。
(最近放課後は忙しくて中々先生と過ごせなかったから、今日こそは!って嬉しかったのに。
先生は嬉しくないの?)
「先生のばか。いいもん天音君とケーキ屋さんに行くから」
床に置いていた鞄を持ち、扉に向かう。
走っていけば今ならまだ天音君に追いつけるかも。
「…なんで行っちゃうの?」
ぼそりと低い声が聞こえた。
「ケーキ屋に寄り道なんて、先生ゆるしません」
…聞こえてたならすぐ起きてくれればいいのに。
くるりと振り向いて睨みつける。
「起きてない先生が悪いんでしょっ。呼び出したならちゃんと起きていて下さい!」
「だって小泉、来るの遅い…」
武藤はまだ眠いらしくソファーの上でゴロゴロしている。
「もう。先生はたったの10分も待てないんですか?…起きて下さい。」
むにーっと今にも寝てしまいそうな武藤の頬を摘む。
「……小泉がキスしてくれたら、起きる。」
「どこの眠れる森の王子様ですか。」
むー、と唸りながら痛む頬をさすり武藤が見つめてくる。
「…してくれないなら起きない…。」
駄々っ子みたいなことを言って。先生は自分より年上のくせに子供っぽい。
「沙紀にキス、してほしい」
うっ。
反則だ、目を微かに潤ませてめったに呼ばない下の名前で呼ぶなんて。
頬が一気に熱くなるのを感じる、きっと今自分の顔は真っ赤だ。
「…き、キスだけですからね!」
軽く唇を合わせる。それでも自分にはこれが精一杯だ。
「…小泉、口開けて」
「は?!」
「うん、いーこ。」
驚いて口をあけると、すかさず武藤の舌が口内を犯してきた。
「んっ…ふ……」
ぬるりとした舌が沙紀の歯列を確かめるようにしてなぞり、溢れた唾液を啜られる。
悔しいけどこうして武藤にキスされると何も考えられなくなってしまう。
「あふっ…っ」
軽く唇を噛まれて、最後にちゅっと軽くキスをされて、ようやく解放される。
「やーらしい顔。」
「やっ…先生!?」
ふふっと笑うとソファーに寝転がったまま武藤が抱きしめてきた。
「あっ…ん、やだっ先生離してっ」
「真っ赤になっちゃってかーわいい。ね、このまましよ。」
組み敷かれて、目の前には武藤がこちらを楽しそうに見ている。
「ね…?」
耳元で囁きながら武藤の右手が太ももをなぞる。
首筋を軽く噛まれてビクリと沙紀の体が跳ねた。
「っだめ…先生、ここ学校…」
「ん、こっち向いて」
聞いているのかいないのか。
抵抗して顔を背けると、お仕置きだと言うように口づけされる。
「んはぁっ…」
制服は武藤の手によってあっという間に脱がされて、現れた敏感な胸の飾りが口に含まれた。
軽く噛まれたり、吸われたり、そうしてる間にも右手は太ももからその上へ、いやらしく動き始める。
既にうっすらと濡れ始めた下着の上から割れ目をなぞられて。
「っ!!」
「声、出していいのに」
相変わらずのんびりした武藤の囁きが耳元をくすぐる。
「…先生、あっっ…んっ私っ」
「…濡れてきた。きもちい?」
ちゅっとお腹にキスされて、どんどん先生の頭が下へ下へと降りていく。
「綺麗な肌…白くてすべすべしてる...んっ」
全身隈なく愛撫されて、キスされて。
(こういうときだけ…先生って元気だよね。)
刺青職人という職人柄か武藤はいつも沙紀の肌を嬉しそうに撫で上げる。
「ここに…お前に似合う刺青彫りたい...」
柔らかな太ももを甘噛みして、うっとりと武藤が囁く。
「だめ…そんなの龍さん達に知られたら怒られちゃう...よ」
武藤先生と付き合っていることが発覚してから、口をすっぱくして言われ続けている。
『お嬢の大切な体に傷をつけるなんて、ぜえったい、許しませんよっ!!』
ああ…今この瞬間でもみんなの姿が目に浮かぶ。
自分達は武藤先生...もとい無為先生に刺青彫ってもらったり、頼んでたりするくせに。
「龍さん…」
むっとした顔で武藤が沙紀をみた。
「他の男のこと考えてるんだ…?」
既に高ぶっている武藤自身を、濡れているとはいえまだ十分ではない沙紀に宛がうと一気に挿入した。
ずん、とお腹に響く衝撃。
「あっ…ああああー!!!」
「くっ………きつ…でも、全部入った…」
ぎゅうぎゅうと武藤を締め付けるその部分はまだ固い。
「や…先生、いた…」
「っ…悪い子にはおしおき…っん…」
「ああっ…!っ」
(付き合ってみてわかったことだけど…)
武藤は意外と嫉妬深い。
興味ないことにはとことん興味がないくせに変なところで嫉妬深いのだ。
じんじんと痛みを訴えていた部分は、それでも武藤に抱かれることを喜び始める。
「うあっ…ん…」
「んー…きもちよくなってきた…?」
「はっ…はうっ…」
しとどに濡れ始めた沙紀の秘部と自身が繋がっている部分を武藤は愛おしそうに眺めると、
ぐりぐりと今度は腰を使って動き始めた。
「ね、もっと足開いて…」
「っ…ひっ…やぁっ…」
「まだ余計なこと考えてる…?っ…」
(だめ…これ以上されたら、声が抑えられなく…なっちゃ…)
ここは学校で。
放課後とはいえ、まだたくさんの学生が残っているはずだ。
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