ある夜の一幕
ベットに入って寝ようとしていた霧山の部屋のドアが軽く音をたてる
「あのね………」
開かれた先には何か言いたげのパジャマ姿の三日月が霧山を見つめていた
「三日月君?」
パジャマの一部を軽く摘みモジモジしている三日月の様子にピンとくるモノがあったのかポンポンと自分の膝を手で叩く
手の合図を受けて胡座をかいている霧山に近付いていくとチョコンと腰をおろした
三日月は霧山に体を預けると頬を擦り寄せ猫の様に甘える
甘えてくる猫の頭を優しく撫でると猫の表情がトロンと緩む
その可愛さに自然と頭に軽く口付けをしてしまう
クテと体の力が抜けた三日月に霧山の手がパジャマの下から伸びていき肌に触れた
「冷たかった?」
「んーん」
霧山の手の温かさを感じながら安堵の息を吐く三日月の様子に霧山は納得したのか手の動きは止まる事なく続いていく
二人っきりで密着して触れ合っているなどなかなかエッチな感じではあるが、霧山の触れている場所は三日月のお腹だった
女の人の月に一度来る例の痛みは大変苦しいらしい
実際、タッチセラピーが薬より効くかはよくわからないがいつしかこの行為が当たり前になっていた
霧山は自分の手の平で円を描いたり上下へ行ったりきたりと三日月のお腹を優しく撫でる
三日月の顔は母親にお腹を撫でられている子供の様にリラックスしている
「ごめんね、霧山君」
「僕に謝まれても困るんだけど」
三日月のしおらしい態度に思わず唇が上に上がる
こうしておとなしく甘えてくる三日月はなかなか味わえないのだから、月に何度かの楽しみと思えば決して悪いものじゃない
「あったかい」
「そだね」
密集した体は冬に近く寒い夜にでも冷めはしない
「あ、動いた」
突然三日月が驚いて霧山の手にあわせ自分の手を重ねる
「怖い冗談止めてよ」
笑いながらツッコミをいれる霧山だが三日月からは否定も肯定も返ってこない
「冗談だよね」
さっきまで暑いと思える位だったのに背筋に冷たいものが走った
「来月までのお楽しみ」
ようやく返ってきたのは、はにかみながらどちらともとれる返事
霧山は三日月のお腹をなでながら来月もこれがあります様にと神様に祈った