食堂のテーブルで向かい合う私の目の前で霧山君がかけソバを美味しそうに食べている  
 
「お腹すいた」  
思わず口から自分の気持ちが出ていた  
 
「なら食べなよ」  
その当たり前な言葉に私は睨みながら反撃する  
 
「霧山君は本当にデリカシーがないよね」  
「だってさ、しっかり食べないと倒れちゃうよ」  
「太っちゃうでしょ」  
「また〜、三日月君らしくもない御言葉を」  
笑っている霧山君の態度にムカついて席を立った  
遠くの方でウサギのためチャンの真似が聞こえたのがとてもムカついたのも覚えている  
 
これが数日前の会話  
しかし霧山君の予言通り、帰り道の途中私は空腹のあまり倒れてしまったのだ  
 
目が覚めた時最初に目に入ってきたのは霧山君の顔だった  
「霧山君?」  
「あ、起きた」  
困っている様な安心した様な複雑な顔で私を覗きこんでいる  
かなり接近していてメガネ越しの霧山君の瞳がすぐそこにある  
「あれ?」  
「だから倒れるよって言ったのに」  
ポンポンと私の頭を軽く叩いてくる  
 
「ここ私の部屋?」  
「僕の目の前で倒れたからしょうがなくここまでおぶってきたんだよ」  
せっかくの密着チャンスなのに倒れて覚えてないだなんてなんたる不覚  
もう一回倒れてやろうかと考えてたら  
 
「これに懲りたらちゃんとご飯食べるんだよ  
次は僕運ばないからね」  
霧山君はしょうがないなという感じで笑っている  
 
「大丈夫だもん」  
霧山君は私の強がりを聞こえないフリして華麗にスルーしようとする  
 
しかし私だって安々と引き下がるわけにはいかない  
 
「私には私でちゃんと理由があるんだからね」  
 
「食欲あっての三日月君なんだからさ  
そんなんじゃ、クリープを入れないコーヒーみたいじゃない」  
霧山君は古い例えを使った上に、バウバウとか言いながら手を叩き一人で大爆笑してる  
その姿に私の中で何かが弾けた  
 
「馬鹿……」  
感情が溢れ出てきて言葉が上手く出ない  
それを打ち消す為に、お腹に力を溜めて一気に吐き出す  
「このポツネン!!」  
「?」  
霧山君の笑いが私の気持ちの入った声で止まった  
「誰の為に我慢してると思ってるのよ!!  
全部霧山君にちょっとでも綺麗に見られたくて頑張ってるんじゃない!」  
感情が爆発するというのはまさにこれだろう  
自分の言葉が弾ける様に飛び出す  
「え」  
迫力に圧された霧山君が目をパチクリさせてこちらをみている  
「え、じゃないの  
私だけ見て欲しいから1kgでもって乙女心がわからないの、馬鹿!」  
「み」  
「こんなにも」  
怒りがおさまってくると次に出てきたのは、気持ちを伝えたい人へ伝わっていない哀しみだった  
「霧山君が好きだから…  
大好きなのにさ」  
泣き顔を見られたくない意味も含め意中の人の胸へと顔を埋める  
霧山君の胸が私の涙と泣き声で埋まっていく  
 
「あのね」  
胸の中で長く感じた時間は案外短くて一瞬だったのかもしれない  
次の瞬間には私の頭の上で霧山君の優しい声がした  
 
「三日月君は今のままでいいんだって」  
霧山君の腕が言葉と同時にフンワリと私を包んでくれる  
自然に髪の毛を子供をあやす様に触ってくれている  
 
「太ってる方が?」  
顔を上げられないまま私は彼の胸の中で返事をする  
 
「いやいや、体型の事じゃなくて今までの三日月君で充分だって事」  
彼はどんな顔で言ってくれたんだろうか胸の中にいたのでわからないけれど、その言葉は私の芯に綿毛の様に届いた  
 
「僕は三日月しずかマニアだから、いや違うな、あれだ。  
その三日月君の頭の先から爪先までツボというか…  
わかる?」  
今後は上をみなくても霧山君が困ってる顔が想像できた  
 
「言ってくれないとわからない」  
余裕がでてくるといつもの私に戻ってくる  
 
「え〜」  
「また泣くよ」  
胸がずっと待っていた言葉を求めて激しく動く  
すぐに答はなく、私の言葉の後に沈黙が流れている  
 
「多分好きなんじゃないかな?」  
私が目を潤ませて上目使いでみると霧山君は諦めたのか眉を歪ませながら口をゆっくり開いた  
 
「僕は三日月君の全部が大好きだから、無理なんかしないでいいよ」  
はい、いただきました  
瞳にはハートが宿り、心臓には天使の矢が刺さりまくっている  
 
「私にメロメロ?」  
「もうメロメロでマイメロだから」  
最後の欝陶しそうに対処する感じは釈に障ったが、それ以上に嬉しかったから我慢してあげよう  
 
 
 
「なんで急に僕は抱きつかれてるんでしょうか?」  
三日月君は猫が甘える時の様に頬を僕の胸に擦り寄せている  
「好きっていってくれたご褒美」  
確かに悪い気はしない  
三日月君も元気そうだし平和でいいじゃないか  
「ふふん♪」  
平和に浸っている僕を無視していつの間にか三日月君は胸から下へと移動していた  
「あ、こんなところにフランクフルト」  
ムカつくが、最近オッサンでも言わないだろう下ネタを言う勇気は買ってあげたい  
思った時には素早く次のステージに移行していた  
三日月君は僕のズボンの上で手を優しくスライドさせている  
「ちょと、三日月君」  
さすがにこれは駄目と本格的に注意しようとした時  
「こんな事する私の事嫌いかな?」  
少し悲しそう表情をする  
その潤んだ瞳が上目使いで僕を見てくる  
「嫌いじゃないけど」  
いつもと違う表情に困惑しうっかり否定してしまう  
「じゃ続行」  
けろりと、さっきまでの事は嘘の様にまた作業に戻っている  
何が楽しいのかニヤケながら僕の股間を弄っている  
さすがに生地の上からとはいえ断続的に刺激を与えられれば、僕の意思を無視して大きくなってしまう  
「や、これは」  
股間を膨らませながら言っても説得力は全くないのはわかっている  
「大丈夫。私はちゃんとわかってるよ」  
僕の気持ちがわかってくれた  
「私が最後までちゃんとしてあげる」  
のは僕の勘違いだった  
 
ジッパーを開けるとトランクの穴から膨らんでいる僕のを器用にとり出すと、三日月君の細長い指が直に触れた  
自分で触るのと違う感覚にビクンと反応してしまう  
「痛い?」  
首を横に振るのを確認すると、三日月君の右手がそれに近づき小指から順番に折り曲げられていき汗ばんでいて柔らかい感触が優しく包み込み握む  
どこで知った知識か次にはテンポよく上下に動かしている  
経験が少さのせいで、力の強弱がまばらでぎこちないがそれがまた新鮮で気持ちいい  
最初は渇いた音だった摩擦音が先ッポからでてる液体のせいで湿っぽさがでている  
「三日月君、そろそろ」  
まだ少し限界には遠いがこのまま三日月君にかけてしまってはと口を開くと  
「うん」  
三日月君は手を離してくれた  
今度はちゃんと僕の意思が通じたんだと安堵の息を吐く  
「あれ」  
今まで手があった場所に三日月君の顔があった  
「味するのかな?」  
アイスクリームを舐める様に舌でペロッと僕のを舐めた  
少しだけなのに手なんか比べ物にならない快感  
まずくはなかったのか三日月君が積極的に動きだす  
舌だけを竿の下から這わせゆっくりと上げていき、頂点に届くと口でパクリとくわえる  
「ひもひひひ?」  
「物をくわえながら話さないの」  
三日月君が頭を動かすと唾液で滑りのよくなったペニスが音をたてながら入ったり出たりしている  
入口である唇の柔らかい感触と口の中の生暖かい唾液と舌のヌルヌル感で腰が痺れてしまう  
「ん、霧山君の大きくて…はむ、口に収まらないよ」手でのピストン運動も加わると一気に限界が近づく  
「三日月君、本当に出ちゃいそうだから」  
何故か僕の言葉を聞いて、今まで以上に激しく頭を動かしだす  
「どいてっ」  
どかそうとするが、三日月君の強力な吸い付きがきたとき限界がきてしまった  
頭を殴られた様に真っ白になり次に腰から何かが放たれる  
一旦射精は終わるがそれでも最後の一滴まで搾り取らろうとする  
「ゴメン!」  
慌てて三日月君の顔を見ると口をしっかりと閉じて苦しそうにしていた  
「無理しないで出していいから」  
ティッシュ箱を持ってくると三日月君の喉がコクンと動く、そして一度目より大きくもう一度喉が動く  
「美味しくない!」  
「いや、怒られても」  
あんなに自分勝手にやってキレられるとは、レイプされた人の気持ちがわかった気がする  
 
「えぃ」  
パサとなにかが頭にぶつかる  
別に僕のせいじゃないのに八つ当たりをまだやってくるなんて、相手があの三日月君だとしても酷い  
「あのね、三日月君」  
文句を言おうとそれをどかした先には下着姿の女の人が立っていた  
女性の名は三日月しずかと言う  
初めて見る三日月君の体は綺麗だと思った  
あんなに食べるくせにお腹は出ていないし、胸はその栄養を受けて撓わに実っている  
「痩せて綺麗になったでしょ」  
呆気にとられる僕に本人いわく痩せたらしい体を近づけてくる  
「うん」  
見とれている僕は素直に言葉がでてしまう  
「褒めてくれたご褒美欲しいでしょ?」  
 
 
なにやらあった後、ベットに寝ている僕は三日月君を見上げている  
「ん、なんで」  
三日月君はニュルンと滑るだけで上手くいかないでいるのに少し苛立っている  
ヌメッぽい感じが少し先端に感じらたと思うと一気に腰を下ろした  
「ふ、っは、全部入っちゃった」  
恍惚の表情の三日月君は僕の方に顔を向け腰をかけている  
騎乗位という奴だけどいっこうに動いてくれる気配がない  
「動かないの?」  
「深くッて」  
深く入りこんだ接合部分からは液体が溢れ出して、僕の下腹あたりにまで濡らしている  
三日月君の腰は微妙に動いてはいるが、少々まどろっこしくて僕としてはもっと大胆に動いて欲しい  
一生懸命に動かそうとする三日月君には悪いが、強引に腰を上に持ち上げた  
「ヒッ…なかの…おくまで届いてる」  
体が跳ね、髪が舞い、胸がポヨンと波うった  
「ハゥゥ、お腹がキュッンってなってる」  
三日月君の性器が僕の腰の動きにあわせてキュッと僕のを締め付ける  
「ほ…とに…いたらめ」  
途切れがちの言葉と涙目の三日月君が僕に懇願してくる  
「わかったよ」  
三日月君が安心して力を抜く瞬間を狙って、しっかり腰を掴むと体を突き抜く勢いで腰をかち上げた  
「がっ」  
目が見開かれるとガクと今までで一番大きく体が跳ねる  
「イクゥゥゥ」  
痙攣が続いてる間、膣は痛いくらいキツく締め上げていた  
絶頂が終わり力が抜け体が前のめりになると、お腹に生暖かい液体が流れてくるのがわかった  
 
胸の中では力無く呼吸をする三日月君  
―勝ったな  
心の中で握りこぶしを固める  
―でもまだ泣かしちゃる  
さっきまでの行為のお返しとばかりに、液体で濡れている腰に力をいれた  
 
 
その次の昼食  
 
僕の昼食は何も入ってないおむすび  
三日月君の前にはとても一人前とは思えない量の料理の数々が並んでいる  
 
「凄いね」  
「抜いた分も回収しないといけないから」  
食事の量はそんなに単純な足し算引き算ではいかないと思うが……  
 
「食べ過ぎも体に悪いよ」一応注意はしておく  
 
「でも霧山君こんな私でもいいんでしょ」  
三日月君はこれを出されると僕は何も言えなくなるのを知っているのか最近この言葉をよく使う  
そういうとこがムカつく  
 
僕の思考を読みとったのか、三日月君が僕の顔を食べる様にみつめている  
 
「な、何?」  
 
「お弁当ついてるよ」  
 
「は?」  
 
右頬からチュと音がした  
 
「ごちそうさま」  
三日月君は口を軽く動かしてはにかみながら僕を見つめている  
 
その姿が僕の中のお嫁さんのイメージとシンクロしてしまう  
僕の頭にはエプロンを着てキッチンで料理している三日月君の姿がくっきりと浮かんでしまった  
 
必死に否定してもいいが、この先何がおこるかなんてわからない  
僕の想像したビジョンが実際起こらないなんて事もないのだろう  
だからそんなに意識なんてしないで、今は今の三日月君らしい姿を眺める事に専念するだけ満足しておくことにしよう  
 
頬を人差し指で掻きながら見つめる先には、僕の未来の奥様候補が大量の食事と格闘していた  
 
 
    ̄おしマイルド_  
 

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