「き、霧山君は前に、こ、恋人とかいなかったの?」  
勇気を出して疑問をぶつけてみる。  
 
「そりゃ普通いるでしょ。恋人の一人や二人」  
 
わかっていたけど聞きたくなかった答  
まぁこの歳で今まで恋人がいなかったり童貞で魔法使いだとそれも嫌だけど  
 
「どんな感じの人?」  
 
こころなしか沈んだトーンで会話は続く  
 
「どんなって。一言で言うと三日月君と正反対って感じかな〜」  
知らなかった  
霧山君は実はB専だったのだ  
美の塊である私が今まで二人っきりなのにあんな事とかこんな事をされなかったのはこうゆう秘密があったのだ……  
 
「そっか」  
 
知らず知らずショックで足が止まっていて、霧山君の背中が心の汗で歪んでる  
こんなんだったら聞かなきゃよかった  
私が美人である限りダメなんて……  
 
「そっか、でも結局別れたんだし僕には三日月君みたいな人の方が合ってるのかもしれない」  
 
一人で納得した様に呟く  
 
「それってもしかして」  
 
「そう言う事!!」  
 
後ろを振り向いて、ビシッと指を私にむけてポーズをとった  
 
「プロポーズね!!!」  
 
喜びのあまり空へと羽ばたいていく  
もう電柱のてっぺんくらいまでパタパタと昇っている  
「ちょっと、三日月君。いろんな意味で間違ってるって」  
 
下から石を投げて霧山が三日月を止めようとする  
石に当たり堕ちると、  
 
「ほら霧山君。未来へとレッツラゴー」  
 
舌を少しペロっと出して、キラリンとウインクを送る  
「うわー痛いな。で、どこ行くのさ?」  
 
「もちろん」  
 
例の結婚届けを広げて霧山にみせながらバック走とは思えぬ速さで翔けていく。  
「はやまったかな」  
 
やれやれと、大人ではありえないオモイッキリこけ方をした恋人を起こしにゆっくりと足を進めた  
起こしてもらうと、三日月はギュッと嬉しそうに腕を絡めた  
 
「やっぱり恋に時効はないのね」  
 
「それ誰の言葉だっけ?」  
油断すると天国へ行ってしまう三日月をしっかりと掴まえながら二人はどこかに消えていった  
 
オチマイ  
 

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