新しく面白そうな時効事件がくるまでの間、霧山は新しい怪しい壷を手にいれていた。
「これ、何?」
「フリーマーケットで十円で売ってたんだけど、何か凄い魔神が封じ込められてんだってさ」
「お札のサンカイって何?」
「山海?散会かな?」
三日月は胡散臭い目で、霧山はひっくり返り返したりしたりして壷を観察している。
「クション」
壷を眺めていた霧山が一つ大きなくしゃみをする。
「霧山君、風邪?」
「そうじゃないんだけど……」
「ジャンクションンン」
連鎖したのか三日月がくしゃみがでてくる。
続けて
「畜生っ」
袖でこすりズーと鼻音をたてながらすする。
「いつでもどこでも三日月君は汚いなぁ。それに畜生って、高木ブーじゃないんだから」
「高木ブーって……」
言い終わる連鎖して三日月がくしゃみが連続してでてくる。
「も、もしかして今私三回くしゃみした?」
「もしかしなくてもしたけど」
(三回のくしゃみは恋の噂。霧山君もしかして私の事を……。ギュッって抱きしめてくれるかも)
「あー」
驚きながら指を三日月の方を指した。
「霧山君……」
「あ、あれ」
煙がこもる時効管理課。
壷の中からゴジャルゴジャル言っているターバンを巻いたヒゲの先がクルリンと回っているおじさんがたっていた。
「三日月君。やっぱり君は凄いよ」
超弩級の驚きのあまり、思わず三日月をギュッと抱きしめる。
(願いを叶えてくれたみたいだからいいか)
おじさんが誰か知らないが今は霧山君の温もりだけを感じていたかった。
そして、気付かれないようにひそかに霧山君の背中に腕をまわした。