ある日の捜査後…。
鈍行電車で帰る霧山と三日月。少々遅くなってしまい車両には二人しか乗っていない。
初めは三日月の話に「ふーん」とか「へー…」とか素っ気なくかえしていた霧山だが
疲れていたのかウトウトして、遂には三日月の肩に頭を乗せ寝てしまった。
「ちょ…霧山君!?」口では焦ってみるが内心嬉しい三日月。
霧山の髪が三日月の首筋にあたる。
「ふ…ん…ふふ」くすぐったくて思わず笑ってしまう。
霧山との間にある手とは逆の左手でそーっと霧山の髪を触る。
「フワフワだ〜!w」思っていたよりも柔らかい髪。しばらくそのまま髪を触る。
「…唇も…柔らかそうだな…」不意にひとりごちてしまった。
ちょっと迷ったけれど、ゆっくりと唇に手を伸ばす。
手が触れようとしたその瞬間、左手首をグッと掴まれる。
「きゃっ!」
「…何してるのかな?三日月君。」
「え…ぁ…え〜と…」
手首を掴んだまま三日月の目をじっと見る。
「…なんか付いてた?」
空いてる手で唇をさする霧山。いつもと同じだ。
三日月はほっとして霧山の手を振りほどこうとした…。
「…ぇ!?ぁ…んん…んーっ!!」
唇を塞ぐ突然の感触。思っていたより……温かくて柔らかい。
先程二人で食べた立ち食い蕎麦の味がする。
「…ぁ……んっ」三日月の中に霧山の舌が入る。
三日月の目はトロンとなり、左手は掴まれると言うより支えられる形になった。
「…っ…はぁはぁ……」数十秒後。息が上がり上手く声が出ない。
何で?どうして!?といった顔で霧山を見る。
「唇。触りたかったんでしょ?」
「…え?…うん。…って、え、えぇーっ!?」一人紅くなる三日月。
三日月の頭を軽くクシャクシャっとしてニヤリと笑い、霧山は電車を降りた。
おわり。